「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
青年音楽家の、若々しさにあふれた簡潔で魅力的な文章
2008/03/31 21:35
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界のオザワ―小澤征爾が若き日に、ギターを背負い、スクーターに乗ってヨーロッパ各地を走り回ったなどという話を、誰が想像できよう?
決して裕福とはいえない一家に育った小澤征爾は、桐朋学園卒業後、クラシック音楽の本場、ヨーロッパをじかに見てみたいという強い情熱にかられて留学を決意する。資金は友人や親戚からかき集め、スクーター会社からもスクーターを宣伝するという条件のもとにスポンサー料をもらった。フランス到着後まもなく受けた指揮者コンクールで一位となり、一躍有名になる小澤。その後ドイツのベルリンやアメリカに渡り、カラヤン、バーンスタインらの指導を受け、また有名なオーケストラの指揮を任されるなど、東洋の天才指揮者の揚々たるキャリアが幕を開けることとなるのだった。
本書は、青年音楽家小澤が留学中に経験したさまざまな出来事を、帰国後に綴り、出版したものである。天才の自伝など、凡人にはおよそ手の届かない世界の話である―事実、この本はそんな印象を強く読者に与えうると思う。しかし小澤の語り口には、孤高の天才として読者を見下すようなところが微塵も感じられないばかりか、むしろ江戸っ子らしくポンポンとリズミカルに自分の体験を語りつつ、読者と感動を共有しようという無邪気さが感じられる。そこにはむずかしい音楽論も、強圧的な主義主張の展開もなく、ほとんどが端的な事実の羅列とそれに対する率直な感想である。音楽以外の話も豊富で、たとえば数学者広中平祐との意外な交友関係と彼の失敗談など、ユーモラスで意外なエピソードには事欠かない内容となっている。
とりわけ、フランス人指揮者シャルル・ミュンシュやバーンスタインとの思い出話は、率直な愛情と尊敬の念にあふれ、文中のさりげない一句にホロリとさせられたりもした。反対に、帝王カラヤンに対しては、畏敬や感謝の念を抱きながらも、打ち解けない部分があったことが包み隠さず書かれている。しかしそれはそれで、かえって各々の巨匠の生き生きした姿を伝えてくれるようでおもしろい。
巨匠ならではの深い音楽的洞察の感じられる箇所もある。特に私が興味深く感じたのは、各国のオーケストラに表れる国民性の違いである。アンサンブルとしてのまとまりと、総合的テクニックのドイツのオーケストラ。それとは反対に、奏者はバラバラだが、ひとたびうまい指揮者のもとでまとまれば輝かしい音で聴衆を魅了するフランスのオーケストラ。個々の演奏者の能力は抜群だが、個人主義的でビジネスライクなアメリカのオーケストラ。...各国の一流オーケストラを指揮した小澤ならではの薀蓄だろう。
今も世界の第一線で活躍し続ける大指揮者、小澤征爾。だが、彼の態度には何の偉ぶったところや、いかめしい部分もない。かといって控えめでもなく、常に自分を主張し、音楽を楽しみ、人生を楽しんでいるようだ。快活な彼の人生哲学は、青年期の彼が綴ったこの簡潔で魅力的な文章においてすでに伺われる。
紙の本
「外国の音楽をやるためには、その音楽の生まれた土、そこに住んでいる人間、をじかに知りたい」と船旅に続き、日の丸つきスクーターで欧州ひとり旅したのがオザワの原点。エネルギーあふれるエッセイ。
2002/04/27 21:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
1973年よりこの2002年までボストン交響楽団の第13代音楽監督を務めたオザワが、2002年秋からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任する予定であることは大々的に報じられた。
芸術やスポーツなど、真の意味で<タレント>である日本人たちが、それぞれのジャンルの本場で高い評価を受けることほど、心浮き立つニュースはないと私は感じる。ささやかな日常に、前向きのエネルギーを吹き込んでもらえる気がするからだ。
音楽を越えた総合芸術であるオペラの中心舞台にマエストロとして迎えられるとあって、60年以上の歴史があるなか初の日本人指揮者の公演だと注目を浴びたウィーン・フィルのニューイヤーコンサート。その録音盤がヒットチャートを駆け上ったことは、まだ記憶に新しい。
この本は、今や世界のクラシック音楽界の頂点を極めた小澤征爾氏が、若き日、どのような意気込みで見知らぬ世界へと船を漕ぎ出していったかの記録である。
駅前の書店の平積みで、ぱっとタイトル、作者名が目に入ってきたときには驚いてしまった。あのオザワが、若き日にこのような自伝めいたものなど書いていたのか!…と。
昭和37年4月に音楽之友社から刊行されたそうで、文庫化も昭和55年と古い話である。しかし、解説に萩元晴彦氏が書いた通り「まことに比類のない、みずみずしい青春の書」で、実にパワフル。時代や世代を超えて読まれ続けてきた理由がよくわかる。
とにかくカッコいいのである。向こうから押し寄せてくる大波に対し、「よし、来てみろ! 絶対に呑まれないぞ。立ち続けてみせるぞ」といった気概がびんびん伝わってくる。
残念なことに、私は小澤征爾氏のレパートリーについてはまるで知らない。従姉妹の夫君が亡くなった折、故人の好きだった1枚として香典返しにもらったCD(お洒落だよね、このギフト)が僅かに手元にあるのみ。あとは図書館で借りたものをいくつか聴いたことがあるだけだから…。
でも、文章のすみずみまで、エルガーの「♪威風堂々♪」が響きわたっているようで気持ち良かった。
富士重工のラビットジュニア125ccを借り受け、「日本国籍を明示すること」「音楽家であることを示すこと」「事故をおこさないこと」というメーカー側が出した条件に添うため、白ヘルかぶってギターかついで、日の丸つけたスニーカーで欧州行脚に出たんだぜ。ふるっているではないか! こんな人いやしない。
その前に、スクーターのメカや修理法をも身につけて…。
そして、半年も指揮から離れたところでブザンソンのコンクールについて知った小澤氏は、申し込み締切り日に書類が間に合わなかったにも関わらず、パリの米大使館に折衝して力になってもらい、何とか出場権を得る。
エネルギッシュな体を作っておくため、スポーツマンになるつもりでスコアに向かい、言葉がろくに通じないオケ相手に五体でぶつかっていったのだ。結果、54人の応募者から一次、二次予選を経て、本選で一等入賞!
それに続いていく幾多のチャレンジは、まさに道場破りの素浪人そのもので、痛快至極である。
若さの爆発だけでなく、ジャズを通じて感得した音楽の本質についての記述も興味深い。人を不幸にする音楽は決して本物の音楽ではないと彼は言う。
小澤征爾という人は、音楽そのものなんだなと深く首肯した。
紙の本
改版でなく、その前の「ボクの音楽武者修行」で読んでいます!
2019/10/14 23:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
改版は、何が違うのでしょうか!
今度、確認してみます!
偶々、書店でタイトルが目に付いたのか、当時読んでいます!
指揮者としての小沢征爾さんを、演奏を聴く前に、この本で知りました!
確か、広中平祐さんとの事も書いてあったかと!
そこから、当時発売された広中平祐さんの本も読んだ記憶があります!
向上心のある若者の楽しい目的のある旅の物語として読みました!
確か、ドラマ化もされました!
記憶が正しければ、野村義男さんが演じられたかと思います!
先日、サイトウキネンオーケストラ!
今は、呼称が変わりましたか?
演奏会同時フイルムコンサートに行って、松本の担当者の方と、この本の話もさせていただき、又、読みたいと思いました!
とても楽しく、読んだ記憶があります!
紙の本
バイブル
2020/10/04 20:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
道徳の本にも載っていた小澤征爾氏の物語。これを読むと若者よ世界に飛び立てと氏が呼びかけているように思える。
しかし、最近の内向きな世相が少し心配。
紙の本
さりげなく凄い
2013/04/15 13:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:lehkost84 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界の小澤御大の若き頃。
とにかく真っ直ぐとか素直とかそんな表現が思い浮かぶ。
大変な毎日だったろうに、そんなことは微塵も感じさせず、
日本にいる家族を思う。
家族とは、離れていなくてもこうありたいものです。
紙の本
超人の青春
2015/08/28 17:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しろくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
とんでもないことがさりげなく書かれていて、驚きの連続。
純粋で疾走感のある青春記です。
でも、この超人的な希望をもった青年の超人的な努力をもって、輝かしい成功を手にしたと思うと、胸に迫るものがあります。
ちなみに、後年彼が家族にどんなふうに接したのかについては、小澤征良「おわらない夏」に詳しいので、ぜひ併せて読んでほしいです。
紙の本
若々しい積極さが気持ちよい
2002/07/27 01:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MFTR - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界のオザワはどのようにして世界にとびだったのか。いや、当時は飛んでいくのは大変コストのかかることだったので、海を渡っていったのでした。駆け出し当時の苦労について、当時の書簡も交えながら、若々しい感性をちりばめながら書かれています。ちょっと元気の出てきそうな気持ちの良い一冊。
紙の本
情熱を持ち続けること
2002/05/16 21:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:HRKN - この投稿者のレビュー一覧を見る
文章は決して綺麗ではない。だが、読み終えれば大きな充実感が残る。月並みな小説を読むよりも興奮に満ちた体験を提供してくれるのだ。
「事実は小説より奇なり」なんていう在り来たりの言葉では表現しつくせない何か。それは多分、本の中にある当時の小澤氏の情熱、そして今も彼自身の中にある同じ情熱、それが私を興奮させているのだと思う。そして、武満徹氏との共著「音楽」では見事に文章化されている内容が、拙い言葉ではあるが既にここでも語られており、そのスタンスを現在に至るまで持ち続けている事実、それが素晴らしい。
あとがきも必読。沢木耕太郎の「若き実力者たち」と併せて読んでみて欲しい。
紙の本
若き指揮者の肖像
2001/02/03 00:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほし - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界のオザワがまだ、24歳だった頃のお話。
たったの税込420円で、その頃、彼がどう生きていたのかを知ることができる。値段の安さと好奇心につられて手に入れた本書は、私の本棚のすぐ手の届く位置に置かれている。理由は簡単。読むと気分がスカッとするからだ。
特に、飛躍のきっかけとなったブザンソン国際指揮者コンクールで1位をとったときのエピソードを読むと、心の中で何度もブラボー!! と叫びたくなる。
この本を読み終わった翌日、私はオザワのCDを買いに走った。そのCDのお値段は、文庫の5倍以上だったのだが、それを聞く回数よりも、本書を読み返す頻度の方が多いのが、しゃくの種だったりする。