風に立つライオン

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投稿者：ちはる　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　さだまさしさんの「風に立つライオン」という歌は、長くもないその中に、壮大なアフリカの風景と、切ないドラマが詰め込まれている、奇跡のような名曲です。ケニア辺りでしょうか、そこで巡回医療をしている日本人医師の元に、日本にいた頃の恋人からお別れの手紙が届く、その返事の歌。私は初めて聴いた時から好きで、聞く度に感動したり泣きそうになったりするのですが、賛同してくれる人が周りにおらず、寂しく思っていました。この本で、たくさんの方がやはり感動しているのを発見し、しかもお医者さんや医学生や医学部受験生が「この歌が好きで」と言ってくれているのも知り、嬉しい限りです。
　歌のモチーフとなった体験をさださんに提供したお医者さんの在籍する宮崎医科大学の医学生たちが、その名も「ライオン企画」として、６人の医師（柴田紘一郎・松崎泰憲・木村勤・小松道俊・鎌田實・岩本あづさらそうそうたるメンバー）とさださんにインタビュー。「意外に自由に本音を語っている」という学祭でのレポート展示の内容他をまとめています。企画メンバーの学生の一人の、アフリカ体験記もあり。
　医療事故や医療過誤、不信感をあおるような昨今の日本の医学界ですが、こんな素敵な人たちもいるんだなと、読むとほっとします。と同時に、自分も恥ずかしくないように一生懸命できることをしたいと思いました。「ブラックジャックによろしく」も「Ｄｒ．コトー診療所」も素敵ですが、現実にもいる素敵なお医者さん＆将来のお医者さんたちも応援したいですね。
　それにしても「八ヶ岳に立つ野ウサギ」なんて返歌が在るとは、不覚にもこの本を読むまで知りませんでした。今、ＣＤ探しています。