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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.1
- 出版社: 小学館
- サイズ:20cm/302p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-09-387366-6
紙の本
話し言葉の日本語
二人の劇作家が「流行語」「ファーストフード店のマニュアル敬語」「ら抜き言葉」など、話し言葉に焦点を当て、日本語の問題を徹底的に話し合った「書き言葉」ではなく「話し言葉」の...
話し言葉の日本語
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商品説明
二人の劇作家が「流行語」「ファーストフード店のマニュアル敬語」「ら抜き言葉」など、話し言葉に焦点を当て、日本語の問題を徹底的に話し合った「書き言葉」ではなく「話し言葉」の日本語論。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
井上 ひさし
- 略歴
- 〈井上〉1934年山形県生まれ。作家・劇作家。日本ペンクラブ副会長、こまつ座代表。
〈平田〉1962年東京生まれ。劇作家・演出家。劇団「青年団」主宰。桜美林大学助教授。
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紙の本
TVではよく見る平田だけれど、読むのは初めて。で、だ、商業的敬語のマニュアル、海外の言語における敬語、居酒屋の従業員の言葉遣いは、秀逸
2005/01/27 20:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「劇団を主宰する二人が、戯曲家の立場から演劇の中の話し言葉、演劇を支える海外の政策、文化論まで語る」対談集。
季刊雑誌『せりふの時代』に1996年から2001年まで連載されたもの。13回に亘る演劇に関する対談の記録。タイトルだけ読むと、日本語論かと思うが、演劇を通してみた日本語についての話であるし、また演劇、文化論でもある。
各回、テーマはあるが、二人が脱線して大体は演劇論に終始するという感じ。だから「話し言葉の時代を走る乗り物としての「せりふ」」「主語・述語の演劇と助詞・助動詞の演劇」などとあっても、あまり構える必要はない。井上ひさしに関しては昔からの読者だったから、特に発見というのはなかったが、平田オリザについてはTVなどで顔を見るだけだったので、戯曲を書いていると知って、驚いた。勿論、今回読むのが初めて。私は基本的小説の人なので、戯曲は井上ひさし以外、自慢ではないがシェークスピアもチェーホフも、ギリシア悲劇も読んだことがない。
多分、自分のような人間が日本では平均的な存在だと思う。それが海外、特にフランスや英国との違いらしい。かの国では公立大学で演劇に関する講座があるのは当たり前で、その目的は俳優や評論家を作るためではなく、演劇のよい観衆を作るためである、というのは新鮮。再三、海外と日本との観客の質の相違が上がられるが、演劇好きではない自分でもそれは理解できる。
知らない世界だけに、面白いことばかりだったが、方言と国語のありかた、NHKの「青年の主張」における日本語への違和感あたりは、予想がついたが、敬語に使われ方や、商業的敬語のマニュアルの話、海外の言語における敬語の話法、居酒屋で従業員の言葉遣いなどは、思わず今度自分でチェックして見たくなる。
戯曲の作り方、対話のありかたや、人間の使う語彙が名詞を除けばせいぜい3万程度に過ぎない、だとか、海外の人が漢字を好んで、漢字字体も2000字位覚えると、それから先は極めて面白く、楽しめるようになるなどは言語論というより、文化論として白い。また日本には戯曲の専門誌があるが、それは海外では考えられない状況だとか、それが日本の戯曲水準の現在の高さを表すとか、日本では評論化が自国の戯曲を評価せず、未だに海外作品を崇拝しているのに、海外ではそのようなことがないとか、それが必ずしも演劇を支える観客の質を意味しないとか、三島由紀夫だけが突出した評価を受けていたのが、変わってきている現状、その認識のズレ。
今後の日本での文化的生活を考える上で、見習いたいと思ったのが海外の様々な政策。イタリアでは優秀な劇作家や演出家に劇場を与えてくれるという。文化面の活性化のためにローマからダリオ・フォーという劇作家を招聘したというボローニャ市の都市の例などは、日本にも富山県東礪波郡利賀村が、芸術公園を設け、学校を演劇の施設として使わせたりしていて、演劇とか文化の大切さを知っている村人の対応のよさとともにあげられているが、他の自治体にも見習って欲しいほど。ただし日本中が右へ倣えで劇場化して、閑古鳥が鳴くという愚はもう沢山だが。
他にも、日本語と戦争責任、満州、シベリア抑留、ドイツと日本の待遇の違い、それは国際的な言語をもてなかった日本の責任、日本人の「自立」と日本語などについても有益な話が沢山。本の下に出ている注の量では、日本の古典書並で、手習いの「いろは」などという私の知らないものから、人名、哲学、日本語などについて実に要領のよいガイドとなっている。