紙の本
懷疑主義のすゝめ−元祖「トンデモ本の世界」
2004/02/03 00:08
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投稿者:吉田松陰 - この投稿者のレビュー一覧を見る
解説にと學會會長の山本弘が書いてゐるやうに「と學會」「トンデモ本の世界」が産まれるきつかけと成つた本である。初版が一九五二年、改訂版が一九五七年と云ふことなので最新の話題は勿論含まれてゐないのだが、不思議と古さを感じさせないのは、此の本で採り上げた似而非科學の多くが今もなほ衣を變へ、或は變質し乍らも生き永らへてゐるからだらう。
上卷に收められてゐる話題は以下の通り。
平度い大地、中空の地球 地球空洞説の周邊
地球を搖るがした怪星たち 聖書の奇蹟の「天文學的」裏附け
くたばれアインシュタイン 相對性理論の揚げ足取り
地質學對創世紀 進化論への對抗
憎惡を煽る人々 人種差別の「科學的」基礎
醫療の四大宗派 同種療法、自然療法など
食物のあぶく流行 斷食からハウザー食まで
オルゴン理論 オルガスムと宇宙論
ダイアネティックス 出生前記憶と精神治療
ESPとPK ラインの實驗の問題點
さすがに地球空洞説を信じてゐる人はもういないだらうが、聖書を信じてゐる人は幾らでもゐるし、相對性理論は間違つてゐると主張する人、健康食品に踊らされる人も後を絶たない。SF作家は相變はらず超能力者の物語を書き續ける。眞實を追求するには非常な精神力を要する。多くの人は眞實と向き合ふよりも今其處にある救濟を求めてしまふものなのだ。
紙の本
擬似科学批判の古典が復刻
2003/02/07 14:46
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投稿者:NATROM - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆるトンデモ、擬似科学の批判の先駆けになった名著が復刻された。「トンデモ本の世界」などで知られる、と学会会長の山本弘による解説がついてさらにお得に。
あちこちで言われていることであるが、原著は50年以上も前に書かれたものであるにも関わらず、ほとんど古さを感じさせない。進歩がないことが、擬似科学の特徴の一つなのだ。たとえば、この本でインチキ医療として批判されている同種療法(ホメオパシー)は、いまなお多くの信者を誇っている。ウソだと思うなら、検索エンジンで“ホメオパシー”を検索してみよう。50年前のアメリカ人を笑うなかれ。
「波動」やら「マイナスイオン」やら、新しい怪しげな擬似科学的な概念が登場している。個々の科学知識はあるほうが良いが、知識よりも大事なのは健全な懐疑精神だ。財産と健康を守るためにも、現代社会を生きる上で懐疑精神は必要である。手軽に懐疑精神を得られる一冊である。
「奇妙な論理2」の復刻にも期待している。
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アトランティスやムー大陸には超古代文明があったとか、降霊術とか、催眠術かけて前世の記憶を引っ張り出すとか言った、擬似科学の批判本の古典。
ただ「こんなのは嘘っぱちだ!」と決めつけるのではなく、「なぜ、だまされてしまうのか」「どうして彼らはそんなことを考えるのか」ということを、読みやすく、平易な文体で論理的に解説しています。普通に読むだけでも面白い。
……いや実際、50年も前に出版された本なのですけれど、現代でもそのまんま通用してしまうところが、人間ってそうそう変わらないのだなあ、ということを痛感させられて愉快です。いろいろな意味で。
1巻の中でのお気に入りは、「科学の名において」「平たい大地、中空の地球」「地質学対創世記」。
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「奇妙な論理I」
著者 マーティン・ガードナー 訳 市場泰男
出版 早川書房
p37より引用
“私たちも本書を読んだあとでは、
未来の科学的奇人にはじめてあったとたんに、
それと認識できるようになるかもしれない。”
科学解説かである著者による、
疑似科学をまとめて解説した一冊。
文庫二分冊のうちの上巻、
原著が出版されたのは1952年です。
巻末の解説は、
と学会会長である山本氏が書かれています。
上記の引用は、
ベテランの医師や警官の経験に基づく勘に匹敵する物を、
身に付けられる可能性についての一文
何かおかしな事を言っている事にピンとくる様になれば、
嫌な思いをする事も減るのではないでしょうか。
元祖「トンデモ本の世界」とも言える一冊ですので、
それらのシリーズが好きな方なら、
文句無く楽しめます。
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懐疑主義はマーチン・ガードナーを以って嚆矢とすると言われているかと思いますが、サイエンスの周辺領域を広範囲に吟味した古典です。「オルガノン」とか「エホバの証人」とか「カイロプラクティック」とか、この本で初めてその出自を知ったものは数しれません。
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読んだときは知らなかったけど、「歴史的名著」らしいです。
こんな面白そうな本、読まないわけにはいかないじゃん!
でも名著だと思って読んだら拍子抜けするかもね。気軽に読むべき。ガードナーの突っ込みが素敵だった。
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擬似科学批判の古典。原書が出たのは今から60年も前。解説は山本弘で,彼の人生を変えた本ということだ。この本が邦訳されなかったら「と学会」はなかったのかも。
60年前のアメリカも,今の日本も,トンデモな説が結構影響力をもっているのは変わらない。科学時代が始まって以来,科学を騙るまがいものがはびこるのは,普遍的な現象のようだ。特にアメリカっぽいのは反進化論。あと,論者たちはかなり壮大な理論体系を脳内構築しているらしいのも特徴的。
地球が平らだとか,空洞だとか,あからさまにデタラメっぽいのから,相対論を否定するためにリーマン幾何学の破綻を示そうと,平行線公準を「証明」してしまおうという一見それっぽいのまでいろいろあるけど,どれも話にならない。言ってる本人は大真面目で確信に満ちているのだが…。
医療とか,心理学の関係する分野では,特にトンデモが隆盛を極める。なぜかというと,儲かるし,なんだかわからないけれどうまくいったように見えるからだ。病気は何もしなくても良くなることがあるが,それをホメオパシーのおかげだとか勘違いしてしまう。
フロイトの弟子でデタラメ心理分析とかやってたらしい人も取り上げられている。というかフロイト自身かなりその気が…。
結構有名人も擬似科学にはまる。エジソンは心霊現象を信じていたらしいし(p.303),文豪ゲーテもニュートンの光学を否定する支離滅裂な色彩論をものしてる(p.89)。
古い本なので,状況がかわってることもあるのは仕方ない。 確実な科学とダメダメな非科学の間に,「賛否両論のかしましい理論」として「宇宙が膨脹しつつあるという理論」を挙げてる(p.21)のとか,「くすりというものは多くの場合自然界に見出される化合物」という記述(p.182)とか。
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60年代に書かれた結構古い本。
目次見るだけでワクワクするようないわゆるオルタナティブサイエンス、トンデモ、インチキ科学を紹介、批判した内容。
原文もきっとユーモアのきいた文章だっただろうと思わせる翻訳。
ちょっと古すぎる情報なので興味が今ひとつ。
しかしこういうのって次から次にいろいろ出て来てなくならないものなのだ。
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平らな大地、中空な地球、進化論や相対論の否定など、トンデモ科学が多く紹介されている。紹介されるトンデモ理論は、内容的には至ってバカバカしいものが多いが、こうした理論を考えつくある種の「想像力」には感心してしまう。
似非科学者が、根拠がない理論(あるいは、すでに完全に否定された理論)に基づく「単なる偏執的狂者」であれば、それ自体取るに足らないかもしれない。しかし、トンデモ理論を主張する人間の雄弁性、社会に対する不満の助長などによって、一定の支持層を得る可能性がある。そして、トンデモ理論を信じる一種のカルト集団へと転換していく危険性がある。
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原著者のまえがき
第1~3,7,11,13,16,18,21,25章
訳者あとがき
解説 「人生を決めた古典的名著」 (山本弘)
『奇妙な論理 だまされやすさの研究』 1980.9 社会思想社刊 文庫化
『In the Name of Science』 1952 G. P. Putnam's Sons 原著
カバーイラスト 七戸優
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
印刷 亨有堂印刷所
製本 川島製本所
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地球は丸くない、人間は神が創造した、云々。
科学そのものが、常識なだけで一般人には確かめようがない事もたくさんある。くだらない「証拠」にしがみついて世に逆らっている人々は滑稽に見えるかもしれないけど一見納得してしまうし今の科学的常識も千年後はどうなっているか分からないと思う。
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奇妙な論理を列挙している。どんな論理があるかを知ることが目的なら良いが、すべてに詳しい反証がついているわけではないのでいまひとつ。
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東大教授おすすめ
超自然現象、超能力がいかにして人々の中に浸透していき、ブームが際限なく繰り返されるかを分析
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この本を読もうと思ったきっかけは、世に出回るうまい話、特に人間(医療)系に関して、これは効かない、インチキだという面での主張を知りたかったから。
この点では、医療の四大宗派、「同種療法(ホメオパシー)」、「自然療法(ナチュロパシー)」、「整骨療法(オステオパシー)」、「脊椎指圧療法(カイロプラクティック)」について、出自及びその背景とする理論の怪しさ、証明の怪しさなどから排除している。科学的な実証に重きが置かれず、ふわふわした感じのまま、うわさが広まって、それなりに支持を受けている点を糾弾しているのだが、科学的実験も統計学的には、完全性が保証されるわけではなさそうだし、これらすべてを排除するのは、どうなのか?という感じを受けた。
だまされたことをわからずだと困った話だと思うのだが、これを受け入れつつ、効果が実感できる場合、どうしたものか?
地球空洞説とか、オルゴン理論、ダイアネティクスなど、前提となる知識が全く違う人っていうのがある一定数存在することや、言葉巧みな誘導などのテクニックによってだまされるってことがあるという事を認識しておく必要があるということは、知っておいて損はないかもしれないと。
この本って、科学的見地に立ったマーティン・ガードナーが、世界中のおかしな説を紹介しているのだが、ここがおかしいということを並べて、章が終わるので、そこから先は、読んだ人が感じたり考えたりして欲しいという事なのだろう。
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上下2巻、一気に読んだと言いたいところだけど、実は読むのに少し時間がかかった。書かれた時代が少し前で、現代の感覚と合わないところもあったのだと思うけれど、それ以上に作者の語り口がもうひとつ肌に合わなかった。
以前「ト学会」の本を楽しんでいた。まさに「奇妙な論理」を振り回すおかしな本たちを「トンデモ本」と呼び、それらの書評をする本を何冊か出していて、僕も「とんでもないな」と思いながら、笑いながら読んでいた。この「奇妙な論理」という本は、そういう読書の中から知った本で、読むのを楽しみにしていたものである。が、実際読んでみたらもうひとつ肌に合わなかった。
理由はたぶん簡単なことで、「ト学会」の人たちは楽しんでいたけれど、作者ガードナーは怒っているのである。数学者のガードナーにとって、論理に合わないことを振りかざしている輩は許すまじ存在なのかもしれない。あるいは、そういう不可思議な論理を振り回すことで詐欺同然に大もうけをしたり他人を迷わすことが許せないのかもしれない。その怒りには共感できる。
が、同時代の新聞記事を読んでいるわけではない僕にとって、その怒りは共感こそすれ、好んで読みたいものではなかった。正直、現代の日本には、こういう形ではないにしても、もっともらしい論理を振りかざし他社の利益を損ない自己の利益を求めるものがいくらもいるからだ。
実際のところ、作者は、僕のような読者を対象に本を書いているのではないはずだ。この本が書かれた時代・場所の中では、大いに怒り論破する理由があったのは、本を読めばわかる。同時代で読んでいれば、溜飲が下がる思いがしたかもしれない。
いい本だと思うけど、ちょっと期待が高くて少しずれていた僕の勝手な事情で、思ったほど楽しめなかったのである。