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商品説明
「不景気」「仕事がない」なんてウソウソ。うちには仕事がいっぱいあるもん! ケータイ、痛くない注射針、燃料電池車…ニッポンのモノづくりを支える金型プレス職人、「不可能を可能にする男」の開発哲学、経営哲学とは?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
岡野 雅行
- 略歴
- 〈岡野雅行〉1933年東京・墨田区生まれ。向島更正国民学校卒。岡野工業株式会社代表。「誰にもできない仕事をする」をモットーとする。
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紙の本
独自技術を開発する職人は経営上手
2003/04/10 15:32
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経BP社 編集委員 木村功 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「刺しても痛くない注射針」の開発で最近広く名前を知られるようになった岡野工業。わずか6名の会社だが、誰も真似のできないプレス技術がある。岡野雅行社長(代表社員と名乗っている)が開発哲学、経営哲学を歯切れ良く語る。大企業を相手に一歩も引かず渡り合う“マイクロ企業”に読者は驚き、感心させられ、ため息をつくことだろう。
岡野社長は、まず何よりも強烈な自恃(じじ)の精神を持つ人なのである。世間から「変わり者」と言われようと意に介さない。「他人のやらないことをやる」がモットーである。この考えで突き進めば、技術的に難しくて他人が不可能と手をつけない仕事をやるか、単価が安くて他人が敬遠するもうからない仕事をやるしかない。しかし、不可能、できないと他人が断った仕事を引き受け技術開発に没頭し、誰にもできない数々の製品を作り上げてきた。
並みの職人ではない。時流も見ている。父親の始めた金型専業に行き詰りを感じプレス技術に進出した。プレス加工業の下請けでしか生きられない金型の利益率の低さに我慢がならず、利益率が高いプレス技術も売る会社に転換させた。金型屋が仕事をくれるプレス屋の領分を犯すのはご法度という時代にプレス加工に乗りこんだ。金型専業のままでいたら現在の岡野工業はなかった。
常に新しい技術に兆戦、とことん追求していく。古い様式のお宮をつくる宮大工のような職人は伝統的な技術を磨いくことが大切だが、金型、プレス加工の仕事は新しい製品が出るたびに研究してなんでもつくらないといけない、と言う。過去のものを修得、維持することにとらわれがちな頑固一徹の職人とはまったく違うタイプの職人なのである。
岡野社長によれば、今は金型の利益率が良くなったが、それも金型をプレス機とセットにして自社のノウハウを埋め込んだプラントとして販売するからだ。もうからないと他社が逃げる仕事は、プレス工程を短縮する自動化機械を独自に開発、大量に処理して利益が出るようにした。岡野社長は、ものづくりを究めた職人であると同時に、利益を計算して仕事をするマネジメントの才を備えた職人でもある。
痛快な「世界一の職人」の話は、業種を問わず中小・ベンチャー企業経営者、起業を考える人などに参考になるだろう。また、大企業の経営陣、管理職、若手社員にも多くの示唆を与えるに違いない。
しゃべり言葉のようなスタイルの文章はテンポが快調で、一気に読ませてしまう。岡野社長の気質を上手く伝える筆致で、担当ライターは、かなりの文章の職人であることを感じさせる。
紙の本
スーパー町工場,経営の秘密
2003/03/31 00:58
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
痛くない注射針を開発して有名になった岡野工業社長の講演をまとめたもの.従業員六名で年商約6億円というので,売り上げ規模,効率からみても,それほどすごくはないのだが,世界でここだけ,という技術を持っていることがすごい.プレス加工と金型という技術のうち,『深絞り』という技術に特長があるという.もともとは,金型から出発したが,プレスの方が安定した収入がえられる,ということからプレスにも進出した.さらに,時間がたつと,陳腐化していくことから常に新しいことを追っていくために,全体の技術をプラントとして売ってしまう,ということを始めている.このあたりの考え方はさすがである.
なるほどと思わせる言葉が並んでいる.いくつか列挙しておく.
「技術だけではダメで,人脈と資金力が必要だ.この三つが揃ってはじめて仕事はうまくいく」
「ただの石かダイアモンドなのかわかる情報を持っていれば儲けることができる.技術があるだけではダメ.技術と情報はワンセットなんだ」
「井戸を最初に掘った人を大切にしないと相手にされなくなる」
「俺は六割の確率で成功できると思ったらスタートする.大企業は九割九分成功の確率がないとスタートしない」
「どうしてそれだけの技術が身に付いたのか.特別なことじゃない.それだけの失敗を経験してきたからだよ.技術というのは,失敗の連続から生まれるものなんだ」
ところで次の言葉.もっとも重要と思えるが,これだけの言葉を言えるようになるには,最高の技術を身につけなければならない.私もこんな言葉を言えるように,頑張っていきたい.元気をくれて,ありがとう.
「納期に間に合わなくたって,文句を言われたら,『じゃあ俺は仕事はやらない.カネもいらない』と言えばいい」
紙の本
元気が出ます
2003/10/03 18:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:堀米 毅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は現在、半導体企業をスピンアウトし、起業2年目になります。相見積もりがない商売というところがキーだと思います。また、この企業しか出来ない事をする。つまり、誰もやらない事に注力すると言う事の重要性を認識しました。私も相見積もりがない商売を目指し、新しい分野、新しい世界に挑戦して行こうと再認識致しました。元気が出る一冊です。
紙の本
日本を支えてきたのはこういう職人さん達だった。
2003/02/16 21:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオトリさま - この投稿者のレビュー一覧を見る
リストラ・賃金カット・倒産と暗い話題ばかりの今の日本でも、元気の良い会社もあります。社員わずか6人の町工場に大企業が行列を作って頭を下げにきます。
理由は他では「作れない」と断わられたから、他人が作れないなら「俺が、つくる!」これが、岡野“代表社員”の心意気です。
おそらく、口述筆記したと思われる文体で、岡野代表社員の生の言葉をすぐそばで、聞いているような気持ちになります。
長引く不況ですっかり元気をなくしてしまった日本人に強い渇を入れられているような気分になります。
「どんなに才能豊かな人でも、まったく何もないところからポッと涌き出て発明するなんて事はありえない。最初はみんなコピーから始まる」。
「次世代携帯電話でも自動車の燃料電池でも、技術的には可能であっても実際のモノを完成させられなくては絵に描いた餅。最先端のハイテクを支えているのは、昔からある金型プレス加工というローテクの技術」。
「俺の様な仕事は、頭もある・設備もある大企業はどこでも出来る。みんな出来るのに何故出来ないか? それは上に立っている人が誰も責任をとらないからだ」。
岡野代表社員の語る言葉は特に目新しい事は何もありません。すべて基本。その基本を日本人は忘れてしまった。
バブル時代、楽して儲ける事ばかりを追い求めた日本人。バブル崩壊後もなかなかバブル後遺症から抜け出せなかった。
岡野代表社員のような「地上の星」は他にも沢山日本にはいるはずだ。日本を支えてきたのは職人さん達だったと改めて思いました。
紙の本
中小企業の商売のカラクリを一変させた男、語る。
2003/03/09 09:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:aguni - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、新聞やTVで良く見かけます。カリスマ職人の岡野雅行氏が語る、中小企業応援の書です。bk1のランキングに登場していたので買いました。面白い!
・「できない」と言われると、俄然、成功してみせると燃えてくる
・技術は見て盗むもの。教えてもらうものじゃない。
・国や銀行に何かしてもらおうと思ったことはこれっぽっちもない
・仕事は看板ではなく、人間性でするものだ
・小泉首相や竹中大臣よりも日本経済のことはわかっているよ
・ちょっと人と違うことをやれば絶対に儲かるのに、苦労しようという人がいない
・誰も責任を取ろうとしないから現場は怖がって何もできない
などなど、これらは章立ての名前でもあり、岡野語録でもあります。どうでしょう? 元気なオヤジの姿が浮かんできませんか?
銀行にしても小売業にしても、どうも日本の企業施策を見ていると、大企業をなんとかして守ろうという印象を受けます。塩爺はときどき喝を入れているけれども、デカすぎてツブせない、という意識がやはりあるようです。では、デカくない中小企業はどうするの?といえば、「経済産業省としましては、元気のある中小企業を支援すべく中小企業対策の着実な実施、創業・新事業への挑戦を促すような環境の整備等に全力を尽くす決意であります」(『中小企業白書 2002年度版』)とのこと。つまりは応援はするけど、自力でなんとかしろ、ということらしいのです。
21世紀に入り、大企業は「日本で生産して海外に輸出する」から、「消費地で生産する」というモデルに切り替えてきた、とこの本の後書きで経済ジャーナリストの財部氏は言います。だから、中小企業の業績の悪化は決して経済のせいばかりではないのです。業績を回復するには、大企業にお仕事をもらって処理する、という下請けのモデルから脱却し、いかに独自で新しいビジネスモデルを創造できるのか、ということになります。
それは製造業だけの話ではない、のです。当たり前のことですが、主体性のない組織は死んでいって当たり前。生きるために進化し、生まれ変わっていく企業でなければ変化に対応できない。
この本はちょっと仕事に行き詰まったときに、飲み屋で元気の良いオヤジに会って話を聞き、頑張ろう!と思える。そんな効能を持った本です。しかも、この本で語られたことをゆっくり考えれば自分の商売にきっと生かせる言葉が満載。中小企業だけではなく、もちろん、大企業の現場を支える人達に、ぜひとも一読していただきたい一冊です。