紙の本
精神の金庫
2003/02/09 20:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「私は十八歳のとき、大学受験に失敗し、浪人生活に入ったが、受験勉強そっちのけで、中之島図書館にかよってロシア文学とフランス文学に耽溺した」と、作家宮本輝は「精神の金庫」(「命の器」収録)という短文に書いている。多分その十何年か後、同じように大学受験に失敗した私も大阪の淀屋橋にある中之島図書館に友人と通うことになる。しかし、宮本氏のようにロシア文学が並ぶ書架の前で「全部読んでやる」と決意することもなく、読書室にいた女の子といつか付き合い始めた友人をうらやましく思いつつもそんな勇気もなく、やがてこの図書館に通わなくなった。
そんな切ない思い出があるが、今は毎週一度は必ず行くくらい、図書館が好きだ。図書館の書架の間を、何の目的もなく、ただ本の背表紙を眺めながら、歩くのが好きだ。書架を見て歩く楽しみは、未知の本と偶然に出会える楽しみでもある。読む本はどうしても自分が好きなジャンルのものに偏りがちだが、こうして歩いていると意外な場所で意外な本と遭遇する。それは時に民俗学の棚であったり、哲学の一角だったりする。この本にも書かれているが、「読むジャンルが広がれば、図書館は何倍も楽しめ」(108頁)るのだ。
でも、時々その圧倒的な本の量に目が眩むこともある。私はこの本の多くを読まずに死んでしまうだろうという、絶望感に呆然と立ち尽くす。しかし、考えてみれば、世界とは図書館にある本くらいに私にとっては果てしないものであり、私が知っている世界などわずか数冊の本に過ぎないのだ。図書館の書架に並ぶ本たちは、私にそのことを教えてくれているのだ。その度にそう思うようにしている。そういう意味でいうと、図書館は世界の縮図でもある。
宮本輝は冒頭の短文の中で、さらにこう書いている。「あそこ(中之島図書館)、川のほとりの、鳩の糞にまみれた古い建物は、おびただしい精神の金庫だったなと思った。古今の名著、もはや手に入らぬ貴重な文献が、大切に保管されている巨大な金庫である」と。その精神の金庫を開けるヒントを、この本は教えてくれる。そういうことからすれば、この本は宝島の地図のような一冊だといえる。
紙の本
図書館を、もっと身近に
2003/02/03 22:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とりる - この投稿者のレビュー一覧を見る
図書館よりは、本屋さんの方が好き。けれども、財布が軽くてついつい図書館の利用が多くなっているこの頃、その名も『図書館へ行こう』という本に遭遇。
ですます調の丁寧な語り口。初心に返って、図書館とはどんなところかしら、と田中さんの案内に従って読み進んでいくと図書館のことだけでなく本を読むことの楽しさを再確認できる。また、本が苦手な子どもに対する押し付けがましくない「楽しいよ」という誘いに好感が持てます。
旅行中だった筆者に声を掛け、本を貸そうとしてくれたニューヨーク市立図書館員の親切は、田中さんの心に生きていて、この本を読んだ人にも届くことでしょう。そういう幸せなめぐり合わせが育っていって、世の中の読書環境が向上していくといいなあ。
堀川理万子さんのイラストにも心温まります。
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これまで何か調べものをする場合、ネットで検索してわからなかったら終わりにしていたが、図書館のレファレンスサービスを受けるのも楽しそうだと感じた。機会を見つけて利用したい。
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タイトル通りの本です。
図書館へ行こう。じゃあ行く前に何を準備しておけばいいだろう。行った後は?本棚にはどういう並びで本が並べられているの?司書さんって?
などなど、図書館を知り尽くすための本です。
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中学生に図書館とは何かを説明した本。2003年刊なのですがエピソードや中学生観が、それよりひと昔以上前の感覚。本も娯楽小説の類を全く無視しているので違和感もある。当時既にラノベも並んでいたはずなのに。図書館を全く利用していない人向きなのかも。
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杉並区立の図書館司書である著者が、図書館についてや読書について、中学生向き程度のレベルで分かり易く書いている。
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[ 内容 ]
図書館ではどんなサービスがうけられる?
調べ学習で使うには?
司書の仕事をしてみたい!
―図書館を最大限に活用するためのテクニックについて、まちの図書館員がていねいに語ります。
読書の初心者でも達人でも、きっと今すぐ図書館へ行ってみたくなる楽しい入門書。
[ 目次 ]
1 まちの図書館を探検しよう
2 本を読むということ
3 図書館を使いこなそう
4 もっと知りたい図書館のこと
5 図書館の仕事―人と本をつなぐ
6 図書館は生きている
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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図書館に行ったことがない人にも、図書館マニアにもお勧めです。
あまり図書館に行ったことがない人も、なんで図書館がつまらないと感じてしまったかは、
いろいろ遠慮して、司書の人に質問しなかったからだということに気がつくかもしれません。
学校へ行かない人が、図書館には行って、結局学校に行くようになったという挿話は、とても素敵な感じでした。一人ひとりを大切にすることが大切なことが分かりました。無理を押し付けたり、やりたくなさそうなことに誘っても、うまくいかないんですね。
10進分類や、図書館の方々の苦労が良く分かりました。
今度は、図書館の利用者の方が、同じことを書かれてくださると嬉しいかもしれません。
まったく別の視点が分かるかもしれません。
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司書資格取得をめざしている時の課題図書として読みました。
今までレファレンスサービスを利用したことはありませんが、図書館員に求められることの多さに驚きました。
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高校生向けでしょうか。
図書館の使い方のガイダンスとしては、大変分かりやすい内容になっています。中学生が読んでもいいかもしれません。
本の中で紹介されている、日清食品の食の図書館は今度行ってみたいです。
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【目次】
1. まちの図書館を探検しよう
2. 本を読むということ
3. 図書館を使いこなそう
4. もっと知りたい 図書館のこと
5. 図書館の仕事ー人と本をつなぐ
6. 図書館は生きている
【概要】
図書館で受けられるサービスから司書のなり方まで、現役の図書館員が図書館の魅力を語った本。
【感想】
リファレンスサービスについて知りたくて読んだ本。
お目当ての情報はあまり得られなかったけど、楽しく読めました。
特に、物語を読むこと
昔読んだ児童書が読みたくなってくる。
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図書館というメディアはどうなるんだろうなあ。
電子書籍の今後にもよるけど、長期的にはかなり変容するはずなのだが。
ま、ジュニア新書ではそんな論考は当然なく、図書館いいよ、という話に終始。もちろん、それはそれでよい。本好きの中高生が増えてくれると、なんか同志が増えたみたいでうれしいからね。
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公共図書館で長年司書の仕事をされている著者による、書名の通り「図書館へ行こう!」を題材とした図書館(推奨)論。
ジュニア新書なので青少年向けには書かれているが、大人も十分納得の内容になっている。「本を苦手をする相手に対しどういったアプローチをすれば本を手に取ってもらえるか」、「個々において本を選ぶ基準は何か」等、長年の司書経験をベースとした対応策が分かりやすく書かれている。
図書館について知りたい方はもちろん、本の読み方・本との付き合い方を模索している方、再確認したい方へもオススメ。
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図書館に行かない中・高生がいらっしゃる親御さんにおすすめ!
「そんなに難しく考えずに図書館に行けばいいんだぁー!」
「感想文とか、課題本とかってこうやって見つけて行けばいいんだ!」
と前向きになれる本です。
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図書館ではどんなサービスがうけられる?調べ学習で使うには?司書の仕事をしてみたい!―図書館を最大限に活用するためのテクニックについて、まちの図書館員がていねいに語ります。読書の初心者でも達人でも、きっと今すぐ図書館へ行ってみたくなる楽しい入門書。