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紙の本
名著なのに……
2018/08/20 12:15
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投稿者:燕石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今となっては、明治維新が、正義の思いに溢れた薩摩・長州・土佐各藩の志士達が朝廷とともに江戸幕府を倒し、近代国民国家を築いた歴史事象などと、誰も信じてはいない。錦の御旗は、朝廷から官軍(新政府軍)に賜ったものではなく、大久保利通が、自分の愛人に急遽作らせて権威付けのため利用したものであり、京都守護職と京都所司代として京都の治安維持-即ち、薩摩・長州・土佐の志士を斬殺したが故に、会津藩と桑名藩は最後まで「賊軍」として新政府軍の標的とされた。「戊辰戦争ひいては明治維新が、薩摩・長州・土佐の私怨の闘いでなくて何であろうか!」。これが、作者 綱淵謙錠の言わんとしたことである。そのため、当時の新政府軍、会津軍双方の従軍記・回想記を博捜し、戊辰戦争最大の闘いである会津戦争を再現している。原著は、昭和53(1978)年2月文藝春秋社から刊行されている。もちろん、疾うに絶版である。本書は、福島所在の出版社からの再刊本であり、会津の怨念の歴史を遺す、とのその意気や良し。ただ惜しむらくは、誤植(誤字、脱字)が、(誇張でなく) 空気中に酸素や水素が存在するほど多い。猛省を促すとともに、是非改訂版を出し直して頂きたい。これでは、会津の怨念は解消されるどころか、増しかねないと、懸念する。
本書原著の内容は、無条件で5つ星だが、本書版の手抜き校正仕事は、マイナス10星以上の最低評価と言わざるを得ない。
尚、会津戦争後の後日談とも言える同一作者による『苔』の復刊を是非とも望む。