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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.1
- 出版社: 新曜社
- サイズ:20cm/305p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7885-0836-2
- 国内送料無料
紙の本
マクドナルドはグローバルか 東アジアのファーストフード
著者 ジェームズ・ワトソン (編),前川 啓治 (訳),竹内 惠行 (訳),岡部 曜子 (訳)
マクドナルドはいかにして東アジアの食文化に適応したか。清潔感、行列、笑顔、食事作法、政治的意味などに渡って、北京、香港、台湾、韓国、日本でのフィールドワークを通して、その...
マクドナルドはグローバルか 東アジアのファーストフード
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商品説明
マクドナルドはいかにして東アジアの食文化に適応したか。清潔感、行列、笑顔、食事作法、政治的意味などに渡って、北京、香港、台湾、韓国、日本でのフィールドワークを通して、その受容と変遷をさぐる。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
脱国籍性、現地化、東アジアのファーストフード産業 | ジェームズ・ワトソン 著 | 23−65 |
---|---|---|
北京のマクドナルド | ユンシャン・ヤン 著 | 66−105 |
香港のマクドナルド | ジェームズ・ワトソン 著 | 106−144 |
著者紹介
ジェームズ・ワトソン
- 略歴
- 〈ワトソン〉カリフォルニア大学大学院で人類学を学ぶ。ロンドン大学、ピッツバーグ大学での教歴を経て、現在、ハーバード大学人類学部の教授。中国人社会研究を中心に行う。
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紙の本
目次
2003/03/24 18:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
《マクドナルドをフィールドワークする》
マクドナルドはいかにして東アジアの食文化に適応したか。清潔感、行列、笑顔、食事作法、時空間の利用法、家族革命、政治的意味などにわたって、北京、香港、台湾、韓国、日本でのフィールドワークをとおして、その受容と変遷をさぐる。(本書帯より)
【目次】
序章 脱国籍性、現地化、東アジアのファーストフード
第一章 北京のマクドナルド──アメリカ的なものの現地化
第二章 香港のマクドナルド──消費主義、食べ物の変化、子供文化の起源
第三章 台北のマクドナルド──ハンバーガーとビンロウの実と国民のアイデンティティ
第四章 ソウルのマクドナルド──食べ物の選択とアイデンティティとナショナリズム
第五章 日本のマクドナルド──変わる行儀作法
終章 近代を飲み込むこと
紙の本
あなたがおかしいから笑っているのではありません
2003/03/24 18:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:守屋淳 - この投稿者のレビュー一覧を見る
多くの商品では、環境や文化の違う地域で販売する際に「現地仕様」がついてまわる。
四半世紀ほど前、アメリカの自動車メーカーが日本向け輸出車に右ハンドル仕様を設けず、日本の多くの消費者からそっぽを向かれてしまったように、その地域ごとの特性に合わせた仕様やサービスがなければ、独善的な商品はいずれ淘汰されてしまうからだ。
そしてこの問題はマクドナルド——アメリカン・スタンダードの権化のように見なされる巨大ハンバーガー・チェーンでも当然付きまとってくる。
本書は、そんなマクドナルドの現地仕様のあり方と、中国、香港、台湾、韓国、日本といった東アジア各国への食文化への影響を、現地調査を元に炙り出していった本だ。
国ごとに著者が変わるため、内容には出来不出来の凸凹もあるが、現地調査を踏まえたリアリティ溢れる話——特に、異文化同士の接触によるユーモラスな逸話が、まずとても面白い。例えば、モスクワのマクドナルド開店時の話。
《とくに忙しい時間は、若い女性が店の外に立って、携帯の拡声器でこう言ったものである。「店内の従業員はあなたに微笑むでしょうが、あなたがおかしいから笑っているのではありません。あなた方に応対するのが嬉しいからです」》
また、中国ではこんな都市伝説が——
《たとえば、マクドナルドで用いられているジャガイモは立方体のかたちをしている、と北京の多くが信じていた》
さらに、日本でも、ある年齢以上には懐かしさを感じる都市伝説が広まり——
《一人の少年がマクドナルド店の調理場に迷い込んだとき、そこで数多くの猫の頭を見かけたというものだが、要するにハンバーガーが猫の肉でつくられているという話である。このいかがわしい話は、その少年が一万円を握らされて口止めされたという結末になっている》
こんな異文化の接触や軋轢を繰り返しながら、マクドナルドが各国の食文化を変容させ、またマクドナルド自身も変貌を遂げていく過程を本書は描き出していて、面白い。しかし一方で、本書にはちょっと首をかしげたくなる部分もある。例えば、日本のマクドナルドを考察した大貫・ティアニー・恵美子氏の一文。
《マクドナルドは、意味は違っていても少なくともかたちのうえでは、人の多い駅のプラットホームにある「立食い蕎麦」屋とまったく同じである》
という真っ当な指摘をしておきながら、後の方ではこんな記述が出て来てしまう。
《「汝立食いすべからず」はマクドナルドから直撃を受けた。「立食い」という行為は、何世紀もの間、日本文化のなかでは否定的な含意があった》
《ファーストフード・レストランは、伝統的な日本の礼儀作法とは反対の食事作法を生み出したのである》
落語で有名な「時そば」で知られるように、日本には江戸時代から「夜鷹そば」「夜啼うどん」といった立食い形式の伝統がある(蕎麦やうどんの「ぶっかけ」は、より立ち食いしやすい形態のため流行したともいわれている)。こんな基本的なことを無視して、日本の食文化を論じられても……とちょっと思ってしまう部分だ。
この点で、本書はみずから異文化接触のトンチンカンな部分を体現してしまっている所もあるが、世界のグローバル化と反グローバル化という単純な二項対立に一石を投じる本として、お薦めしたい。
(守屋淳/著述・翻訳業)