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戦争報道(ちくま新書)
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.9 10件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2003.2
  • 出版社: 筑摩書房
  • レーベル: ちくま新書
  • サイズ:18cm/238p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-480-05987-3

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紙の本

戦争報道 (ちくま新書)

著者 武田 徹 (著)

戦争報道 (ちくま新書)

778(税込)

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戦争報道

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戦争報道

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みんなのレビュー10件

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評価内訳

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  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

戦争報道の洪水に対して我々はどんな読解力を持っているのか?

2003/03/22 14:34

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ただ、見ること、ひたすら見続ける…そして、世界から、ものから、見返される。『開高健』や『日野啓三』のように作家の眼で戦争の不気味な根源的現実を言葉で露出させる事が作家としての行動であるならジャーナリストの眼はいかなる語るべき言葉を持っているのか。

 1991年から99年までに米英軍は約六千回の出撃をし、およそ四百五十の施設を破壊したらしい。武田徹はしかし、おかしな話ではないかと本書を書き起こす。−アメリカもイギリスも既にイラクの頭上から爆弾の雨霰を降らせているのに、それは戦争行為とはみなされず、新たな戦争の始まりとしてイラク侵攻が改めて語られる。/現代の戦争とは、ジャーナリズムがそれを「戦争」として報じることで始まるのだ。それまでは、いかに爆撃が行われていても戦争でないらしい。戦争を戦争として承認する役割を担っているのは今やジャーナリズムなのだ。ー

 私は不勉強であるのか、米英軍が六千回も出撃したのを知らなかった。かような空爆を伝える報道を単に見逃しただけなのか。どうやら、私は戦争報道の掌の中で踊らされているのではないか。3/20、堤防は決壊し、戦争報道は洪水となって押し寄せる。皆それぞれ、メディアリテラシーを磨いて信頼に足りる報道か流言飛語かを判別して読解しなければならないと、言われても私は自信がない。武田は「ジャーナリストがその最も優れた資質を発揮できる舞台が戦争の悲惨であるとすれば、ジャーナリストの人間としての存在はどのような意味をもつのか」と、ハルバースタムの言葉を引用しているが、ジャーナリスト達を通してしか我々は戦争を知ることが出来ないのか。彼等の情報が我々を浸す時、我々は恐らく自前の歴史観なり哲学なり想像力で情報を検証するしかないのであろう。この本はそのようなメディアリテラシーを鍛えるための啓蒙書と言って良い。

 戦中戦後の同盟通信社の公益と国益の問題。オーウェルの言葉による究極の検閲の問題。岡村昭彦、ハルバースタムのベトナム戦争の報道のあり方、リアリズムとしての『地獄の黙示録』。湾岸戦争以降の『戦争広告代理店』による報道とプロパガンダ。そのようなマスの信頼の失墜の一方で『田中字』等のインターネット情報を解読することによるネット発信の信頼性の担保をどこに求めるのか。
 現地から情報発信しているアジアプレスの『綿井健陽』等のビデオジャーナリスト達の挑戦、だが、マスメディアは自社社員を危険な現地に送り込まず、前線で同時中継する要員としてフリーの彼等を起用する。フォト・ジャーナリストの『広河隆一』は本来、調査報道等で戦争の本質を伝えるのがフリーの仕事であって、彼等による前線中継に疑問を呈す。
 
 武田はアジアプレスの行く末に関心を持っているらしい。『アジアプレス』はフリーランスのジャーナリストのネットワークを作ることによって、企業でないメディアの流れを構築しようとしたものである。問題は広告資本から自立してインターネット配信は可能か? そのためには国境を越えた課金システムによる国益でない公益による信頼の再構築を行う。これは国境を越えた生協運動ではないか。成程、情報のクオリティを求めて有料会員になるのだなあ。しかし、かような運動は政治に侵される危険がある。多価値型社会を許容する言葉を常に更新し鍛えて資本と政治に対処するしかないであろう。『ノーム・チョムスキー』は言葉を鍛える。

 

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紙の本

真実は二つある。

2003/04/25 11:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

話題の本書を手に取り、さまざまなことが頭の中をかけめぐった。

とっさに思いついたのは、ベトナム戦争の有名な報道写真だ。米軍の攻撃を受けて泣きながら全裸で逃げている、いたいけな少女の写真。記憶されている人も多いだろう。しかし、その写真はトリミングされたものであることが判明した。写真には、他に逃げまどうベトナム人が何人か写っていた。確かに写真としてのインパクトは、全然違う。しかし、真実を伝えるのが報道写真の第一ではないか。写真にクレームをつける気はないが、解せない。でも、これも「真実」なのだ。真実と「真実」(カッコつきの真実)が存在しているわけで、報道は、ぼくは、後者の方だと思う。

銀座あたりにある古い広告代理店って社名に「なんとか通」がついている会社が多いけど、これも氷解した。「世界最大級の広告代理店である電通と共同、時事通信はかつてひとつの会社だった」と。もともとは、通信社で、そのサービスの一環ではじまった広告代理業がでかくなり、その創業時の名残が「なんとか通」とまるで盲腸のようについている。これも、宣伝と報道が同じ母胎にあるというのか、つながりがあるというのは、それこそ、いとも簡単に「戦争広告代理店」になってプロパガンダもOKよ。という、空恐ろしさを改めて感じる。

開高健がかつてベトナム戦争へ赴き、戦場体験をルポにしたり、小説にしたりしたが、三島由起夫が作家ならそのあたりは創造力で書けなければ作家ではないと批判したエピソードを紹介している。しかし、事実の重み、カッコつきでない真実は、出ていかなければ見えてこないだろう。それは即座に見える場合もあるし、長い時間を要する場合もある。開高が死ぬまでベトナム戦争をテーマに追っていたくだりは、感慨が深い。

つい先日まで、イラク戦争と名づけられている米英のイラク侵略の映像が、毎日毎日、大量に放映されていた。軍事評論家はなぜかうれしそうに、タクティクスや兵器を解説していた。局によってはご丁寧に3DCGまで駆使して、戦争ゲームさながらに。いながらにして、デジカムをかついで戦場を駆け巡るジャーナリストの映像を見ることができた。見たかないけど。ちょっと前までは、写真だったのに、今は動画で音までついている。見たかないけど。

報道と流言蜚語の判別は可能か? 作者は清水幾太郎の説を取り上げ、紹介している。

「報道と流言蜚語を区別するのは不可能である。−略−二つのものを区別するのは知識ではなく信仰である。信仰と言って悪ければ信頼と言ひ換へてもよい」

報道だって間違える。あえて虚偽の報道をさせられることだってある、特に戦争の場合は。どのように伝えるのか。FOXテレビとアルジャジーラが伝える映像は、まるで別な戦争だ。戦争報道が氾濫する中で、この本は、マスメディア・ジャーナリズムとの接し方を教えてくれる。また、戦争でジャーナリストがヒーローになることの終焉を告げている。

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2006/01/02 01:06

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2007/06/01 12:34

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2009/12/08 20:22

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2009/08/16 07:55

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2010/05/25 07:03

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2013/05/08 20:16

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2014/05/18 13:07

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2017/01/22 18:36

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