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血の味(新潮文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.6 23件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2003.3
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/300p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-123514-7
  • 国内送料無料
文庫

紙の本

血の味 (新潮文庫)

著者 沢木 耕太郎 (著)

血の味 (新潮文庫)

594(税込)

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みんなのレビュー23件

みんなの評価3.6

評価内訳

紙の本

自分の顔がいい、と思っている男ほど不快なものはない。もし沢木が醜男だったら、絶対にこんな小説は書かなかった、そう思う。男は顔だけじゃあないよ

2003/06/03 20:50

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

どうも、最初に出会った作品で、作家を判断する悪い癖がある。沢木耕太郎は、遅ればせながら手にした『深夜特急』の存在が大き過ぎ、その後読んだ『テロルの決算』、『一瞬の夏』、『天涯』には、今一つ感動できなかった。だから、その沢木が十年以上かけて純文学作品書いていたと知って驚いた。私にとって、沢木は小説家ではなく、ノンフィクション作家だったからだ。

中学生の時、人を殺した少年は、その後、少年院を出て会計事務所に入り、公認会計士の資格を取る為の試験勉強に追われながら、彼の過去を知る妻と家庭生活を送っている。子供にも恵まれ、一見平穏な日々。そうした或る日、彼が乗り合わせた電車の中で、見知らぬ男が車中の少年に向ける視線に苛立ちを覚える。その時、記憶の底にしまってあった過去が顔を覗かせる。

理由も無く苛立つ日々、周囲と自分とのすれ違い。父母の離婚と、何となく選んでしまった父との生活。銭湯で顔を合わせるゲイとの奇妙な腐れ縁。学校で走り幅跳びの出来なくなった自分、それを告げ口する友人。密かに自分に思いを寄せる医師の娘。そこから抜け出ようとする焦り、怒り。

しかし、そういったある意味、異常に緊迫した状況こそあるものの、子供から少年時代にかけてあるであろう、笑いや喜び、友情、愛情などはどこにもない。だから息抜きがない。そして普通の青春小説が持つ、人間の成長の軌跡が欠落している。周囲の人間は、自分を中心に配された「もの」でしかない。

その寒々とした心象は現代ならではのものだろうか。淡々と己の心の移り変わり、事件への道のりを語る姿に、感動ではなく、ほう、そうかといった妙な納得をする。それは、主人公が犯した罪の性質によるものかもしれない。脱稿まで十年かかったという。もしかするとその間、著者のなかの時間も止まっていたのではないか、なぜかそういう印象をもった。いい意味でも、悪い意味でも。

結局、私は誕生日を迎える中学の娘に『深夜特急』を贈る事にした。この出会いを大切にして欲しい、そう思いながら。

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2006/06/05 10:11

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2006/06/30 01:04

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