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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2003.3
  • 出版社: 毎日新聞社
  • サイズ:20cm/357p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-620-10667-4

紙の本

手紙

著者 東野 圭吾 (著)

兄は強盗殺人で服役中。その時、弟は…。断ち切られた兄弟の絆。希望なき世界を彷徨う人生。いつか罪は償われ、傷は癒されていくのだろうか。『毎日新聞』日曜版連載、待望の単行本化...

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手紙

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商品説明

兄は強盗殺人で服役中。その時、弟は…。断ち切られた兄弟の絆。希望なき世界を彷徨う人生。いつか罪は償われ、傷は癒されていくのだろうか。『毎日新聞』日曜版連載、待望の単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

東野 圭吾

略歴
〈東野圭吾〉1958年大阪生まれ。85年「放課後」で江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。99年「秘密」で日本推理作家協会賞を受賞。著書に「レイクサイド」「トキオ」「超殺人事件推理作家の苦悩」など。

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みんなのレビュー254件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

東野圭吾ははずさない。

2007/10/19 22:05

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る

東野圭吾ははずさない。
わたしは東野圭吾を読むのはまだ二度目なのだが、
はずれ、ということが今のところない。
話の重さ、量、展開が常に適度で、ほどよい現実感があり、
本の中は常に心地よい温度に保たれている。

この小説の内容は、犯罪者で服役中の兄と弟の話という、
極めて難しく、デリケートな問題。
デリケートだからこそ、
いい人ぶった展開や、ニュースで討論されているような内容を予想してしまうが、
それだけには終らないことを保証する。

償うとはどういうことか、犯罪とはどういうことか、
ゆるすってなんなのか、
この本のなかでも完全には答えはでていない気がするが、
そのあたりは読者各々に託されているのだろう。

弟に強いられる様々な苦労と、そのたびに感じる気持ち、
まわりの態度。そしてその家族。
塀の中から、大きな喜びとして、弟に手紙を出し続ける兄。

あなたは、だれに自分をかさねますか。





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紙の本

握り潰される手紙の行方

2007/01/27 13:43

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:祐樹一依 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 天涯孤独の兄弟であり、弟の就学費を作るために空き巣を試みようとするが、家人に見つかり、思わず殺してしまう。兄が殺人を犯してしまった弟、が主人公。「犯罪者の弟」という強烈にして執拗なレッテルが、人生の分岐点で常に付きまとう非情な命運。就学、就職、恋愛、家族、様々な場面で弾劾され、人生の道筋を見失いかける主人公。彼の元に届く、兄からの手紙。「受刑者」からの手紙を厭う思いと、そのそもそもの動機が自分にあることとのジレンマが、それに本心を書いた返信をさせない…。
 犯罪は、してはいけないこと。その罪を償うために、受刑者は刑務所で刑期を務める。では、犯罪者の近親者は、どうあるべきなのか…? それを描いたのが、本作。犯罪に直接自分は関係がないはずなのに、主人公には何の罪もないのに、犯罪受刑者の近親者だというだけで、弟の直貴は、ある意味では「檻の中」にいる受刑者本人よりも直截に社会的な制圧、抑圧、差別を受けざるを得ない(*)。そんな、本当は目を背けてはいけないはずの「事実」が何処までも描かれていることに目から鱗。これはたまたまそうであった、という「不幸の連鎖」ではなく、そうならざるを得ないという「社会悪」に対する制裁の延長なのですね。犯罪被害者の苦しみは勿論、犯罪加害者の苦しみも、また、多くの者が描き、追求してきたものです。けれども、犯罪者を身内に持つことで、犯罪者本人と同じく罪を背負わなくてはならないという論理には息を呑みました。人を殺すということ…、いや、犯罪を犯すということ、それが、一体、どんな意味合いを持つのかを、これまでずっと軽い認識でいたのだと、本書によって重く受け止めずにはいられません。
 数々の逆境を経験し、自分たちは一体、社会の中でどうあるべきなのかを悟り、弟が心からの思いを綴った手紙を書くとき、物語は終幕を迎えることになります。ラストシーンへの流れは、胸を打たれます。この衝撃は強いですよ。
*追記:制圧、弾圧、と書きましたが、それは直截的なものではないですね。作中にもそういった形での困難は書かれていません。実質的には遠回しの「非難」という程度のものと思われますが、それを受ける側の精神的負担はやはり、相当大きいはず。
(初出:CANARYCAGE)

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紙の本

結局私たちはこの社会の中で生きていくしかない

2004/02/13 21:37

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:遊子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

結局誰が一番辛い目にあって、誰が一番悪いヤツなんだろうと
考えると「現代社会」ってヤツが問題なんだろうなと思った。
けれども、私たちはこの「社会」ってヤツのなかでしか生きられない
生き物なんだ。

弟の進学費用がほしくて犯してしまった強盗殺人。
被害者、被害者の家族は理不尽な死に本当に辛い思いをしたと思う。
そして、殺人犯の弟というレッテルを貼られてしまった加害者の弟。
彼はそんななかで、ひとりで生きていくしかなかった。
人生のターニングポイントではいつも、殺人を犯した兄の存在が
成功の邪魔をした。毎月送られてくる兄からの手紙は、だんだんと
疎ましいものになっていく。けれども、誰が弟を責められるだろう。

また、どんな思いで兄は毎月弟に手紙を書きつづけたのだろうか。
体を壊すまで働いて、行き詰まって、弟を進学させたいという
気持ちが膨らみすぎて。強盗殺人を肯定するつもりはない。
けれども、強盗の動機が悲しすぎるではないか。
塀の中で兄だって苦しんだに違いない。

「勧善懲悪」というのは人々がつくりあげた理想なんだとつねづね思う。
悪役をつくっておけば、自分はそうじゃないと区別して安心し、
そいつを懲らしめることで丸くおさまる。けれども世の中はそんなに
単純じゃない。

最後の最後で、涙をこらえた。ここで泣いたら涙といっしょに
主人公たちの苦悩や辛さが流れていってしまいそうだから。
ぐっとこらえて噛み締めるんだ。
世の中は白と黒だけで成り立ってるんじゃない。

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紙の本

兄が弟を思う心境、弟が兄に齎す真実。

2005/03/05 17:14

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:リチャード - この投稿者のレビュー一覧を見る

兄が弟を思うあまりやってしまった事。それは弟にとって、どれだけ過酷な人生を歩ませる結果になったのか。弟が兄の事を思うあまり兄に対して言えなかった事…それは果たして兄のために、自分のためになったのか。
思いが強すぎると重くなるのがわかった作品だった。
最後の方の弟の葛藤がものすごく辛くてそして兄にとって残酷な事であってもそれがやはり兄はそれを受け入れ背負って贖罪として思わなければならないのだろう。

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紙の本

その時、自分は?残された家族は?友人は?

2003/08/08 22:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おば - この投稿者のレビュー一覧を見る

父親を不慮の事故で亡くし、母親の願いは子ども二人を大学にまで行かせることであった。しかし、その母親も過労により他界。
残された兄は高校を中退し、生活費と弟の学費を肉体労働でかせぎ、そんな兄の苦労を見ている弟は、自分も働くという意志表示を見せるのだが、兄は母親の願いを自分の使命とし、なんとしても大学まで進めようとする。
しかし、肉体労働者の兄は身体を壊してしまい、ちょっとした心のすき間に入り込んだ「魔」によって、資産家独居老女宅に空き巣に入ってしまう。
そこで、ふとしたことから弟の昔のエピソードを思い出し、長居したために老女に気付かれ手をかけてしまい、強盗殺人罪となってしまう。
物語は、そんな強盗殺人の罪を犯した兄を持つまじめで優秀な弟が、兄の存在が露見した途端に評価がひっくり返るという辛い想いに幾度となくあわされ、そんな中で自分はどう生きるべきかを模索しながら進んでいきます。

最初に読み始めたときは、結末はハッピーエンドで終わるのであろうと思われました。
しかし、読み進めていくうちに、今までの事件報道や小説では描かれていなかった「加害者の家族の苦悩」が描かれていました。

さきほど「苦悩」と簡単に表現しましたが、実際の加害者の家族の方は物語に出てくるような「よき理解者」には恐らく巡り会えないでしょう。
そう考えると帯にも書かれていたとおり「あなたが彼ならどうしますか? あなたは彼に何をしてあげられますか?」という著者の問いかけには、答えが見つからなかったです。

あえてラストについてはふれませんが、多種多様な犯罪がちまたを騒がしている現在。また、誰もが免許を有する自動車社会の今日。不慮の事故を起こして相手をあやめてしまうことがあるかもしれません。

その時、自分が加害者となるかもしれません。
この作品の主人公のように加害者の家族となるかもしれません。
身近な人に主人公のような立場の人が出てくるかもしれません。
その時、自分は? 残された家族は? 友人は?

ラストを数回読み返し、何度も何度も深く考えさせられる作品でした。

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紙の本

外見に騙されるな

2003/04/23 23:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:趣味は読書 - この投稿者のレビュー一覧を見る

地味なタイトル
地味な装丁
意味不明なオビのコピー

東野圭吾の名前がなかったら
手に取ることもないであろう。
実際書店で手にとって見たものの
ーああ、加害者家族のお涙頂戴物語ねー
とすぐに戻してしまった。

あとでweb本の雑誌の書評で絶賛されているのを見て
あわてて読んでみた。

確かに、プロットも個々のエピソードも
手垢のついたモノを使っている。
話を作りすぎている部分もある。
しかし、そこはモノマネの嫌いな東野圭吾らしく
同じネタを使っても、他の作家のモノとは
全く違う作品に仕上がっている。

いや、むしろこんな陳腐なテーマでも
ここまで掘り下げて描けるんだぞと
挑戦的ですらある。

後半のクライマックスで主人公の勤める会社の
社長平野の口から、おそらくこれまで誰の口からも
又どの作家も書き得なかったセリフが発せられる。
この10ページほどを読むだけでも
この本を読む価値はある。

そしてラスト1ページ。
その手には乗るかと思いつつも
涙を堪えることができなかった。
今まで読んだ東野作品のなかでも最も印象的なラストだ。

感動したいひとも、安易なお涙頂戴物語が嫌いなひとも
どちらも満足させられる、中身の濃ーい一冊です。

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紙の本

届くのは。

2003/03/14 16:23

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かなめ - この投稿者のレビュー一覧を見る

手紙、それは刑務所から届く手紙である。
差出人は兄。

序章は犯罪を犯す場面から始まる。
そして、兄が逮捕され、そこから弟の視点で物語は進んでいく。
最後は兄弟が再会する場面で終了する。

織り込まれている被害者家族の心情と加害者家族の心情。
それは複雑極まりない。
憎しみと悲しみと謝罪の気持ち、消すことのできない罪、犯してしまった罪の重さ。

これは物語(フィクション)ではなく、現実に転がっている話(ノンフィクション)ではないだろうか。
殺伐とした現代に真摯に考えて欲しい作品に仕上がっている。

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紙の本

送り続けられた「手紙」がもたらしたもの

2004/01/27 21:57

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:白くま子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

弟を進学させたい一心で、強盗殺人を犯してしまった兄。当時高校生だった弟のそれからの人生はイバラの道となる。就職、恋愛、日常生活…あらゆる場面で、兄の存在が大きな大きな障害となってくる。
そんな中、返事を出さなくても、刑務所から届き続ける兄からの手紙。兄の存在のために悩み苦しんでいるというのに、その当人の兄からは、弟の目からみると、のんびりとした脳天気な手紙が送り続けられてくる。
全357ページのこの本の約300ページ余りまでは、凶悪犯を身内に持った家族の厳しい人生物語として、淡々と読んでいった。
それがラスト近くになって、気持ちを大きく揺さぶられることになる。

この世の人間を、嫌われる人間と、そうでない人間とに二分したとすると、私は前者である。だから、人に「手紙」を書くこと、今ならば、「メール」も、そして「電話」することも、物凄い勇気を必要とすることになる。これら、自分から手紙を出す等の行動を人に起こしたとしても、相手から返事が返ってこなかったり、少しでも迷惑そうな雰囲気を感じたら、その後、続けてそれらの連絡をとることを激しくためらってしまう。
私にとって一番辛いことは、人から嫌がられているのに、そのことに気付かずに脳天気に連絡を取り続けるということだ。相手に「嫌がっているのに気が付かないのか、この人は」とため息まじりに苦笑されている場面を、自分で勝手に想像するだけで、身悶えするほどの恥ずかしさに、自分で自分がどうしようもなくなる。
だから、嫌われているというサインを相手から感じる前に、引きこもってしまう。つまり「手紙を出す」等の人との関わりを自分から積極的に持つことも、初めから余りしようとはせずに、自己防衛して、引きこもるのである。
あまりにも卑屈で臆病で自意識過剰と言ってしまえば、それまでなのだが…。

その私にとっての最も恥ずべき行為である、「嫌がられている人がそれに気付かずに手紙を出し続けたらどうなるか?」の1つの結論が、この本「手紙」のラスト近くで出てくる。
「嫌がられているのに気がつかずに手紙を出し続けた人」が受けた思いについてはともかく、「手紙を貰い続けた迷惑を掛けられている人」の思いは、想像の範囲を越えていた。もちろん、迷惑であったという一面は揺ぎない事実なのだが…。
「実際は、そんなに甘いもんじゃないよ」と思いながらも、この兄が「手紙を送り続けた行為」そのものには、意味があったと認めざるをえなかった。

強盗殺人犯と、単なる嫌われ者を、一緒にすることが間違っているのであろうが、対人関係の気持ちの根本においては同じだと、私は考える。

「凶悪犯を身内に持った家族の厳しい人生物語」として読んでいた途中までは、「どうしてこの本の題名が『手紙』なんだろう?」と思っていたのだが、最後には、「手紙」でなければならなかったと感じた。
気が付けば、強盗殺人犯の兄に自分を同化させて読み、そして読後には「手紙」の物語として心に残った。

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紙の本

日本的なこの現代版「罪と罰」に救いはあるのか

2003/05/23 11:27

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

さすがミステリー作家らしいある意味で二重、三重のわなが仕掛けられてあり、読者は心情的にさらに頭脳的に混乱させられます。しかしミステリーとは全く異質の作品でありました。これは不幸な境遇にある兄弟の愛あるいは不当な社会の迫害に耐える青年の健気な生き方を描く感動モノ文芸作品として読むことはできるでしょう。だが、読み終えて涙を流す感動というよりも、私たちの周囲におこりえる人間関係に対して、おそろしく難しい問題提起をしたものだという思考のほうが感情の先にたって、それでも深い味わいをおぼえるのであるから、この作品、間違いなく傑作だと思ったのです。
その翌日、テレビの報道番組で6年前におきたあの神戸連続児童殺傷事件を取り上げていた。加害者である少年、今は成人したA(当時14歳)が今年にも医療少年院を仮退院することになり、当時11歳の被害者少年の父親が複雑な胸のうちを語っていた。言葉はすくなかったが遺族の無念を加害者に直接聞かせる権利の必要性を述べ、そこに滲む悲痛な思いに私は素直に共感することができた。ところが一方、報道番組が視聴者に訴求しているこの感情の共有にはふさわしくない場違いな思いにもとらわれたのである。Aの家族、つまり加害者側の家族、両親や彼の兄弟たちは今どのような生活を市井の隅っこで強いられているのだろうかと気遣う、思いやる感情であり、それはこの『手紙』を読んだ直後のせいである。そういう思いを抱かせることにおいてもこの作品は今日的問題作である。
ふたりだけでつつましく生きている兄弟。弟思いの兄はその学費捻出のために裕福な老人宅に押し入り発見されて殺害する。服役した兄の存在によって弟は世間のいたるところで迫害をうける。冷酷な社会とそれに立ち向かう健気な青年という図式上に表現されるいくつもの愁嘆場は一見類型的であるが、迫害する側は極めて常識人であり、あるいは彼の立場の理解者であるにもかかわらず、徐々に青年が絶望的状況に追い込まれていくストーリー展開に読者はどうにもいたたまれない気持ちにさせられる。それぞれのエピソードの責める側にある深い含意が読むものの心をとらえるからだ。
兄の存在を隠し、現実から逃避を続けるが、学園生活、就職、結婚、誕生した子どもの養育の場で繰り返される「不当な」迫害から逃れられない。彼はあるときこれは「差別」ではないかと気がつき、敢然と正々堂々と生きようと決意するのだが………。
そして、彼の雇い主として良識人を代表する現実主義の経営者が登場し、驚くべき冷酷な論理を披露する。罪と罰と償いに関するこの論理は私としてははじめて耳にするものなのだが、あまりにも彼にとって過酷なものであり、私としてもはじめ受け入れがたい心境になったものだが、にもかかわらず最終的にはその妥当性が充分感じられた。個人主義、罪刑法定主義という近代思想にはない極めて日本的な思考だと思う。ラストシーンへの伏線でもある。ここはそれぞれの読者が充分に咀嚼する価値がある山場だ。
ラストの受け止め方も多様になろうが、印象的である。私は宗教的救済の暗示があるような気がしている。ドストエフスキー『罪と罰』のラスコーリニコフの魂は信仰によって救われる。しかし、この兄弟の魂はこれで救われたと言えるのだろうか。

書評集「よっちゃんの書斎」はこちらです。

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紙の本

犯罪者の家族は市中引きまわしの上打ち首?

2003/07/12 22:56

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オオトリさま - この投稿者のレビュー一覧を見る

長崎の幼児殺害事件に関して、青少年問題の担当大臣が「加害者の親なんか市中引き回しの上、打ち首にすればいい」などと発言して話題になった。
「よく言った」との声も多いらしいが、弁護士会では「加害少年やその親に対する怒りの声があることは理解できるが、大臣の時代錯誤の発言は少年やその親に対する憎悪感情をいたずらに増幅させるのみで事件の本質のすり替えになりかねない」と厳重に抗議の声明を発表した。

犯罪者の家族は一緒に罪をつぐなわなくてはいけないのか?

兄は学業優秀な弟を進学させたくて、裕福な老女の家に空き巣に入り発見されて殺害してしまう。罪状は強盗殺人。
主人公は担任の先生の好意により何とか高校は卒業するが、就職・恋愛・結婚と人生のあらゆる場面で兄の存在が主人公の人生の前に立ちはだかる。

兄を恨む気持ちと、「窃盗」を考えるまで経済的に追い詰められていた兄の気持ちに気付かなかった自分に対する反省の気持ちが振り子のようにかわるがわる訪れる。

度重なる差別に疲れ、勤務先の社長に「刑務所に入ったのは自分じゃないのに、どうして自分がこんな扱いを受けなければいけないのか?」の問いに対しての平野社長の答えは今までになかった発言だと思う。

文章も上手くプロットがしっかりしているので、スラスラと読みやすい。
やや話が作りすぎていて感動させようとする作者の意図が鼻につく部分もあるが、長崎の事件を始め色々な事件の罪と罰・犯罪者の更正が話題になっている時代だけに読んで損はさせないと思う。

あなたは、
「こんなことをしたらえらいことになると自覚させるには、被害者の両親だけを(テレビなどに)映すのではなく、加害者の親を引きずり出すべきだ。親なり、担当の校長なりが前に出てくるべきだ」の意見を支持しますか? しませんか?

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紙の本

『トキオ』は嫌いじゃあなかった。うまいもんだと思う。でもね、初めから感動を狙ったのが見えちゃう作品てのは、「ごめんなさい!」

2003/06/27 21:58

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

よくいるよね、「良い人なんだけどね」って奴が。で、どうも東野圭吾ってのは、私にとってその「良い人」みたい。文章は嫌いではない。素直で読みやすい。気取りが無いし、扱うテーマも重過ぎず、軽過ぎず。深刻ぶることは無いし、最後には必ず救いというか、前向きなところがあって。だから、映画の原作にもなる。広末涼子がでるような、ね、分かるでしょ。適当に騒がれて、でも「見る気、しねーっ」ってやつ。

要するに、ドラマの原作なのだ。繰り返すけれど、文章はうまいし、構成だって、しっかりしている。でも、毒はない。ユーモアも感じない。でも、いつも評判になるので気にはなる。赤川次郎を、もう一歩本格的な小説に近づけた感じ。ま、二人とも喜ばないだろうね、この指摘。で、本の内容。

主人公は武島直貴、父は直貴が三歳の時、仕事中に居眠り運転で死亡。以来、学歴こそ全てと思い込む母加津子の手で育てられるが、その母も過労で、兄の剛志が高校のとき死亡。兄は、親代わりとなって弟の進学を助けようとする。その兄が直貴が高校三年生のとき事件を起こした。弟の大学進学のための資金を心配した剛志が資産家の家に侵入し、現金を奪って逃げる時、誤って老婆を殺してしまう。

直貴は担任教師の支援もあって、何とか高校だけは卒業する。しかし、大事な事となると、兄の存在が足を引っ張る。就職をしようにも、結婚を考えても兄のことを隠さなければならない。将来の展望も見出せないままに、ただただ疲れ果て、日々を送る。そんな弟の苦労を知ってか知らずか、千葉の刑務所からは懲役15年の刑を言い渡された兄から、手紙が。

乃南アサの『晩鐘』同様、犯罪を描くのではなく、それによって生活を壊された人々のその後を描く作品。新聞の日曜版に連載され、タイトルが『手紙』。これって、感動を狙ったんだろうなあ、というのがよく分かるのだけれど、正直、空振りという感じが否めない。その原因の最大のものが、魅力的な人物が全くいないこと、といったらどうだろう。

重要な役を果たす白石由実子にしても、平野社長にしても、バンドのリーダー寺尾祐輔にしても、彼らの言動に全く説得力がない、いやあまりに型に嵌りすぎてリアリティを感じない。しかも、主人公の愚かさは何だろう。若気の至りと言えないことはない。しかし、舞台は現代なのだ。被害者の人権が、加害者の責任が真剣に問われている時代である。我が家の中学の娘たちですら、それらに心を配る。無論、事件の当事者となれば、冷静でいる事は難しいことは分かる。

しかし、直貴が世の中というものから学ばない、その度合いがひどい。その時間が長過ぎる。だから、ラストが感動にならない。しかも、歌われるのがジョン・レノンの『イマジン』というのだから、恐れ入る。ま、ビートルズに関する評価は人によって大きく違うから一概には否定できないけれど、少なくとも直貴の世代のものではない。この作品は明らかに舞台に20年、いや30年くらいのズレがある。それが、私を引き気味にさせる。

最初に書いたように、東野は読者層を明確にして、その人たちに合わせた作品を書く。うまいのである。この作品は、まさに日曜版の小説、家族の誰もが読んで、皆、納得する。その毒の無さこそが、私には「良い人」に思えてしまう。そして、乃南アサ『晩鐘』、宮部みゆき『模倣犯』との比較になると、どうしても言ってしまう、「ごめんなさい」。東野の読みやすい文章も、こういったテーマには不利に働く。売れる作品ではあるだろう。でも語り継がれるレベルには届かない。もう一度言う「ごめんなさい!」。

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紙の本

イマジンが歌いづらくなった

2007/07/17 00:15

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:仙道秀雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

私の兄弟が強盗殺人を犯したらわたしはたぶんこんな目にあうだろうと思った。人は誰でも災いを避けたいと思う。よって、人は犯罪者と近しい関係にあるわたしと付き合うことに躊躇を覚える。友達は去り、就職はしづらくなり、恋は結婚へと成就しがたくなり、首尾よく結婚できても子供は強盗殺人関係者の子供というレッテルを貼られる。

 そうなるのは自然だが、この本の面白いのは、そのような差別はまったく正当であると断言しつつ、だからといって正面切って「正々堂々と生きる」ても実は「正々堂々とした生き方」への幻想にひたっているだけで、実際には悲劇を拡大しているかもしれないという洞察をも持っていることだ。

 だからといって「正々堂々」でない別の何か実際的な悲劇を極小化できる選択枝があったとしても、それが本当に正しいかどうは簡単には言えないとも判断している、この深さはたいしたものだ。

 犯罪を犯すと犯罪者だけが償えばいいのではない。誰しも災いはさけたいものならば、犯罪者とその関係者は当然忌避されるほかないだろう。かくてそれに耐えることが犯罪の償いの全体なのだという命題とこの命題に真っ向から反対するジョン・レノンのイマジンの思想が通奏低音となって作品全体を通貫し、最後にフォルテシモに至る語り口は流石であった。

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紙の本

ズンドコより愛を込めて

2003/10/08 14:38

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぼこにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 十月六日付朝日新聞夕刊に、十八年の刑期を終えた加藤三郎氏の手記が掲載された。この人はなんでも『急進左翼の一員』とやらで、平安神宮に放火したりあちこちに爆弾を仕掛けたり、というのが罪状。出所後訪れた生家は荒廃振りに衝撃を受けた、とある。兄と妹とが精神を病んだ、という記述も。
 加藤氏のいわく『残された家族が負わねばならなかった社会的な孤立』という簡潔な文の、この本は詳細な解説書といってもいい。強盗殺人犯の弟の苦悩の日々が、割合淡白な筆致で綴られている。しかしそれ以上のものではない。
 加害者の家族の物語といってまず思い浮かぶのは、殺人犯の娘を主人公とする三浦綾子の『笑点』、いや『氷点』であろうか。無辜の主人公が家族の犯罪のとばっちりを受けて不幸のズンドコに突き落とされる、というのは昼メロ的だが不朽の主題なのかも。
 面白いのは、逆境への対し方というか反応が、女性の場合には結構強く、時にオドロオドロしく描かれていることだ。『晩鐘(乃南アサ著。加害者の妻子が登場)』の妻は厚化粧と負けん気の強さと身勝手さとでその後の人生をうまく運営していたし、『模倣犯(宮部みゆき著。加害者の娘が登場)』の女の子に至ってはストーカー化して被害者の息子につきまとうのである(妖怪みたいだった)。
 それに比べこの物語の主人公は随分と受け身であっさりしている。男だからそうなのか、そういう性格だからそうなのか、また東野作品だからそうなのかは知らないが、世間の偏見を跳ね除けて根性すえて生きて行く、という気概に欠ける感じである。「にーちゃん、なんであんなことしたんだよ」とぼやくばかり。はっきりいって鈍い(女性の場合は大抵そんなに呑気に構えてられない。だからヒステリックなほど神経質で恐くなるのか)。現実はもっと遥かに陰惨なものだと想像するが。
 ともかく人の命を奪うということは、加害者と被害者の間だけの問題ではなく、その周囲の人達を否応なく巻き込んでかなり大勢の人生を極めて効果的に破壊する行為なのだ。ひとたび失ったら二度と戻らないものもある。
 でもそんなこたぁ当たり前である。やる前に考えろよ、そのくらい。
 犯人である兄が弟思いの人情家として描かれている(小道具として天津甘栗が登場)のはたぶん、話にやるせなさ、切なさを添加するためなのだろうが、ヤクザや独裁者だってふつう身内には優しいものだ。身内以外の人に対する想像力と配慮(殴られたら痛い、盗まれたら困る、といったごく基本的なことなのだが)の欠如。それが一番厄介なのだ。
 余談だが、似たような境遇の兄弟を描いた作品にレジナルド・ヒルの『弟の番人』(『最低の犯罪』収録)というのがあり、こちらはなかなか痛快な短篇だった。

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2004/09/20 18:23

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2004/10/12 16:50

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