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- カテゴリ:小学生
- 発売日:2003/03/17
- 出版社: 徳間書店
- サイズ:19cm/270p
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-19-861664-7
紙の本
バドの扉がひらくとき
著者 クリストファー・ポール・カーティス (作),前沢 明枝 (訳)
【ニューベリー賞(2000年)】6歳のときにママが死に、一枚のちらしを手に本当のお父さん捜しを始めた孤児で黒人の男の子バド。不況で暗い世の中、差別にもめげず明るく前進する...
バドの扉がひらくとき
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商品説明
【ニューベリー賞(2000年)】6歳のときにママが死に、一枚のちらしを手に本当のお父さん捜しを始めた孤児で黒人の男の子バド。不況で暗い世の中、差別にもめげず明るく前進するバドの姿を感動的に描く。ニューベリー賞受賞作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
クリストファー・ポール・カーティス
- 略歴
- 〈クリストファー・ポール・カーティス〉1953年ミシガン州生まれ。高校卒業後、工場で働きながらミシガン大学フリント分校に学ぶ。「バドの扉がひらくとき」でニューベリー賞を受賞。
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紙の本
ひとりぼっちだった少年が、粋なおとなたちに助けられながら、「ほんとうの居場所」をみつけるまでを描いた心暖まる作品
2003/07/22 18:26
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投稿者:こ・と・は - この投稿者のレビュー一覧を見る
バドは、会ったことのないおとうさんを探しにでかけた。手がかりは、ママが遺したジャズバンドの水色のチラシだけ。ひとりぼっちだった少年が、粋なおとなたちに助けられながら、「ほんとうの居場所」をみつけるまでを描いた心暖まる作品。アメリカの児童文学賞、ニューベリー賞受賞。
この本を読む直前、わたしが読んでいたのは、リンドグレーンの『さすらいの孤児ラスムス』でした。ラスムスを題材にした映画がロードショーになるというのをチラシで知って、映画を見る前にと思い、ちょうど岩波少年文庫になって新しく出版されたのを、読んでいたのです。そして、次に開いたのがこの本。なんか同じような出だしだなぁと思っているうち、やはり孤児の話とわかって、ちょっとびっくり。リンドグレーンがラスムスを書いたのは1956年。物語の設定は、そのちょっと前の時代でしょうか? そして、こちらの物語の設定は1930年代のアメリカ。同じような設定の話を2冊続けて読むことになった偶然と、そのうち1冊はつい最近出版された本だということに、ちょっと驚いてしまったわけです。
時代は、大恐慌に続く不景気の最中、舞台は、黒人差別の激しいミシガン州のフリント市、主人公のバドは、あずけられた家で、同じ黒人たちからもひどい仕打ちを受けるといった具合で、物語の始まりは暗い話を予想させます。けれども、そこをちょっと我慢して読み進み、バドがあずけられた家から逃亡するあたりまでいくと、物語も暗い色調を抜け出します。何よりも、バドが出会うおとなたちがみんな粋。世の中って悪くないと思わせてくれる素敵なおとなたちに、ちょっとずつ助けられながら、けれども、決して頼りきることはなく、バドは自分の足で歩いていきます。まだ会ったことのないおとうさんを自分でさがそうというのです。
バドのママが死ぬ少し前、ママはあるジャズバンドの公演のチラシを持って帰ってきて、すごくそわそわしていました。チラシをテーブルの上に置いたり、手に取ったり、また戻したり。その様子を見ていたバドは、ある日、ママが遺したそのチラシを眺めていて、ふとひらめきます。このチラシの写真の人、ジャズの巨匠・ハーマン・E・キャロウェイがぼくのおとうさんに違いないと。そして、このひらめきは、種が育つように大きく育ち、ついにバドは、彼に会いにいくことにするのです。
読後感は、単館ロードショーの地味だけれど良い映画を見た感じといったところでしょうか(大雑把な表現ですみません)。本当に映画化されたのを見てみたいと思う作品でした。
作者は、2作目にあたるこの作品でニューベリー賞を受賞。1作目の『ワトソン一家に天使がやってくるとき』(くもん出版)も、ニューベリー賞次点ということで、今後の作品が期待されます。
(こ・と・は/図書館の学校・児童書選書委員会)