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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.3
- 出版社: 日本放送出版協会
- サイズ:20cm/404p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-14-080773-3
紙の本
もう抗生物質では治らない 猛威をふるう薬剤耐性菌
著者 マイケル・シュナイアソン (著),マーク・プロトキン (著),栗木 さつき (訳)
抗生物質が効かない耐性菌が広がっている。これまで抗生物質で治っていた病気が致死性のものになった。院内感染にとどまらず、市中で生活している人々にも恐怖は迫る。抗生物質の乱用...
もう抗生物質では治らない 猛威をふるう薬剤耐性菌
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商品説明
抗生物質が効かない耐性菌が広がっている。これまで抗生物質で治っていた病気が致死性のものになった。院内感染にとどまらず、市中で生活している人々にも恐怖は迫る。抗生物質の乱用が耐性菌を広めている現状を警告する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マイケル・シュナイアソン
- 略歴
- 〈シュナイアソン〉ジャーナリスト。雑誌を中心に執筆。
〈プロトキン〉民族植物学者。著書に「シャーマンの弟子になった民族植物学者の話」がある。
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紙の本
スパイ小説や戦争小説を読むように臨場感、緊迫感があって面白い、人間と細菌との永遠の戦記
2005/02/20 09:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
そら恐ろしくなる話である。どんなに効き目のある抗生物質を開発しても、すぐに耐性を持つ細菌が現れて、病院で体力の低下した人に感染し、その命を奪うとは。その細菌が普段は人間に悪さのできないものなのに。新たな抗生物質を開発し、病原菌を根絶しようとする人間と、その抗生物質を無力にして種を保存しようとする細菌との、戦いの現状の最前線が次々と紹介される。病理学的には必ずしも使用する必要がない場合までも、むやみに抗生物質を多量に使用し、逆に、自然のままなら何万年何億年もかけて進化する細菌に、わずか数年で新しい抗生物質に対する耐性を獲得させてしまう、人間側に圧倒的に分が悪い。なにしろ、家畜の成長促進材として、多種多量の抗生物質が、むやみやたらと使われているのだから。我々自身も必要もないのに、ちょっとした病気でも医師に抗生物質を要求してはいないか。
スパイ小説や戦争小説を読むように臨場感、緊迫感があって、面白い。お互いに相手を出し抜こうとしたり、殲滅したりしようとしている、永遠の戦いの実録なのだから、当然か。
紙の本
日々進化
2017/10/15 05:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
医学の進歩に合わせて、ウイルスや病原菌も進化していることを感じました。医療がビジネスとなっている、今の問題も伝わってきました。
紙の本
では、何であったら治るのか。頼りは自身の免疫力
2003/05/21 18:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:7ひきのこぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
いい年をして恥ずかしい話だが、先日、虫歯で抜歯を余儀なくされた。そして、治療がほとんど終わったときに歯科医師が「決めかねる」といった様子をした。それは、抜歯のために出血しているから、抗生物質を処方しようかどうかを迷ったのだ。結局、「明日も来院してもらうので、出しません。様子を見ましょう」ということになったのだが、昔だったら、必須として飲むように渡されたものだが−。
日本語には「伝家の宝刀」という言葉がある。だが「伝家の宝刀」とて、しょっちゅう抜いていては価値が半減する。いや、半減どころか、抜くたび毎にゼロに限りなく近づく。
ペニシリンが使われ始めた当初(1940年頃)は、感染症に対する万能薬視すらされた。だが、早くも「1946年には、アメリカの病院で見つかった黄色ブドウ球菌の菌株のうち14%がペニシリン耐性になっていた。1年後、その数字は38%まで上昇した。さらにその1年後には、59%になった」という。
さらに黄色ブドウ球菌は「投与されるすべての新しい抗生物質に抵抗を見せ始めた」。それに対しては、人が有機化学で生み出した半合成の抗生物質に効果が期待された。自然界に存在しないのなら、耐性が生まれにくいものと思われたからである。ちなみに、それ以前の抗生物質は、ペニシリンが青カビからであるように、自然の中から“発見”するものであった。そして、1960年代初頭に半合成抗生物質として、メチシリンが作られた。ところが「わずか1年後、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の初の出現が報告」されたのだそうだ。
それからは新薬とウイルスの“いたちごっこ”である。当初はMRSAにも効果が見られ、最強かと思われたパンコマイシンも、間もなくパンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の出現が報告され、うかつに投与できなくなった。なぜなら「パンコマイシン自身がVREの引き金をひいている」ことがわかったからである。
いまや、抗生物質はたびたび抜いてなまくらになった「伝家の宝刀」のようである。「The Killers Within」−本書の原題である。直訳すれば「内包する殺し屋たち」とでもいうべきか。本書は、薬剤耐性菌の恐ろしさを記した本である。
紙の本
残された時間は少ない。効く薬があるうちに、どうにか……
2003/04/21 15:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鈴木クニエ - この投稿者のレビュー一覧を見る
約10年前、日本では、新聞報道から院内感染問題に火が点いた。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や院内感染という言葉が広く知れ渡ったときだった。だがそのとき一部の医師は、「新聞はウソつきだ。“効く薬がない”というけれど、バンコマイシンがあるじゃないか」と不満をもらしていた。
たしかに当時、バンコマイシンは黄色ブドウ球菌に有効だった。だが、ほんとうに「効く薬がある」というだけでいいのか? 『メディシン・クエスト』などで知られるマーク・プロトキンとジャーナリストが書いた本書を読み終わった今ならはっきり言える。1993年の日本で言えたのは「今この瞬間なら、もしかしたら効くかも知れない薬がある」くらいだったはずだ。1980年代末にはすでにバンコマイシン耐性の腸球菌VREが現れ、1993年にはアメリカの病院で問題になっていたのだから。
そして、生ぬるい感染症、特に院内感染対策しか講じられなかった日本で、もっとも恐れられている事態の萌芽がついに発見された。1章をさいてその様子が描かれているのは、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌。MRSAからわずか2年である。幸いなことに完全な耐性ではなく、大量のバンコマイシンなら効果がある軽度耐性ではあった。だが、これから先は……。
目に見えない細菌といえども、生き物である。生き残るためには、あの手この手で対抗策に打って出てくる。彼らには「圧倒的な数」と「早い世代交代」という2つの強みがあることを、人は完全に忘れていた。ていねいに冷静に書かれた耐性菌出現の様子を読みながら、ページを繰るたびに自分たちの「思い上がり」を突きつけられる。
今、私たちが直面するのはMRSAやVREだけではない。ヒト食いバクテリアと呼ばれる劇症性溶血連鎖球菌や、過去の病気と忘れた結核菌の復活など、いたるところから狙われているのが現実なのだ。それは直接的な投与だけではない。家畜の成長促進にも使われている抗生物質が、耐性への引き金をひいている。
そして、さらに本書が指摘する、もうひとつの現実がある。“マーケット”という沼だ。製薬会社が司る利益至上主義のその沼に、底があるのかどうかはわからない。しかし、そこに60億の人類を支える足場を組まなければならない。皆平等に耐性菌のターゲットになっている今、きちんとした知識で身を守るためにも読んでほしい。
(鈴木クニエ/フリーライター http://homepage2.nifty.com/suzuki-kunie/)
【マーク・プロトキンの本】
『メディシン・クエスト 新薬発見のあくなき探究』築地書館
『シャーマンの弟子になった民族植物学者の話 上』築地書館
『シャーマンの弟子になった民族植物学者の話 下』築地書館
【関連書】
ローリー・ギャレット著、山内一也監訳『カミング・プレイグ 迫りくる病原体の恐怖 上』河出書房新社
ローリー・ギャレット著、山内一也監訳『カミング・プレイグ 迫りくる病原体の恐怖 下』河出書房新社
太田美智男著『人はなぜ病院で感染するのか? 院内感染対策の現在』日本放送出版協会
紙の本
目次
2003/04/21 15:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
プロローグ
1 抗生物質時代の終わり
2 細菌と抗生物質の闘い
3 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)現る
4 VRE遺伝子の謎を解明する
5 日本に現れた恐るべき耐性菌
6 新しい抗生物質の開発に望みを託す
7 動物の成長促進剤にひそむ脅威
8 ヨーロッパで成長促進剤禁止
9 市中にMRSAが発生
10 市中にはびこる肺炎球菌
11 「ヒト食いバクテリア」が襲ってくる
12 グラム陰性菌の悪夢
13 動物に抗生物質をさがせ
14 ファージへの期待
15 結核菌が復活した
訳者あとがき