紙の本
ビートルズの音楽の魅力を解りやすく具体的に伝える力作
2003/04/02 22:16
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投稿者:武田淳一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
改めて言うまでもないことだが、世界で最も有名なバンドはやはりビートルズであろう。では、何故彼らは有名なのか? いろいろな理由が考えられるが、一番大きな理由は彼等の音楽が時代を超えて圧倒的に素晴らしいからであろう。では、ビートルズの音楽のどこがどう素晴らしいのか? これを具体的に書く(語る)のは、簡単なようでいて実は意外に難しい。幾多のビートルズ本が溢れる中で、彼等の音楽そのものの魅力について解りやすく書かれた本が殆ど無いのは、書き手にとってその魅力を余すことなく伝えるのが難しいからなのだ。
この本は、ビートルズが現役時代に残した全213曲を著者が聴きたおし、その音楽が持つ魅力に迫った力作である。著者が言うところの、“制覇本”のビートルズ版だ。何故ビートルズの音楽がいまもって古さを感じさせず新鮮に響くのかを、著者は1曲1ページという限られたスペースを使って伝える。そこで書かれていることは、ビートルズ初心者にとっては結構マニアックなものもある(例えば、《Love Me Do》のドラマーが3人いたことや、リンゴの一時的な脱退など)。それにも関わらずグイグイと読まされてしまうのは、書き手としての力量もさることながら、著者がビートルズの声、ハーモニー、アレンジ、サウンドなどの“音楽”そのものに焦点をあてて書いているからに他ならない。結果として“マニアックなこと”、“作者の思い”、“今まで一般的に語られてきた定説”などは全て二の次となり、その曲が持つ魅力(著者がどこに魅了されているのか)が浮き上がってくる。読者がビートルズ初心者であってもマニアックなファンであっても、著者の思いに共感したり、自分なりの感想と比較したりしながら楽しめる。そしてそこに書かれた曲を聴きたくなり、著者が語る魅力的な部分や“?”を確かめてみたくなるに違いない。
昨今の日本では、ベスト盤を少し聞きかじっただけでビートルズを“知ってるつもり”になり、その音楽的な魅力に気付くことなしに遠ざかっていってしまう若者が後をたたないらしい。この中山康樹の本を片手にビートルズを聴けば、読者の誰もが彼等の音楽の持つ力とスケール大きさに魅了されること請け合いである。
(書評:2003.04.02 武田淳一 )
紙の本
ジョン派には厳しいが・・・
2011/04/09 09:50
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Genpyon - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビートルズの全公式曲213曲について、著者が熱く思い入れを語る。著者自身は「制覇本」と呼んでおり、これは、1曲について1ページを使う形式であるため、著者の熱い思いは、ぎゅっと1ページに濃縮されている。
私個人はとても面白く読むことができ、実際、何度も読み返している著書なのだが、残念ながら、万人にお薦めできる著書ではないと思う。
まず、最低条件としてビートルズ全曲を聴いておく必要がある。全曲聴いてみても、ビートルズが単なるワンオブゼムと感じる人には、この著書は向かないと思う。
ビートルズは神話に彩られたグループであるが、全曲を聴いてみれば、名曲駄曲好き嫌いがあることに気づくだろう。どの曲を聴いても素晴らしい、と神格化してしまう人にも、この著書は向かないかもしれない。
ビートルズにおける好き嫌いは、得てして、ポール派とジョン派に別れることになりがちなのだが、熱狂的にどちらかのファンだ、ということになると、この著書が向かない可能性が高まる。特にジョン派には厳しい印象だ。
音楽という趣味の分野に関する評論本なので、当然、内容は著者の趣味と偏見が書き込まれる。特に、本著では、それらを、これでもかと前面に押し出して来ている。読者にとっては名曲であっても、著者は駄曲とこきおろしているかもしれない。
自分と異なる意見を知る、というのは、読書の楽しみの一つのはずなのだが、特にビートルズのような熱狂がついてまわる対象については、残念ながら、そのハードルが高まってしまう。
「同じビートルズが好きな者どうしなんだし、他人の意見も聞いてみようか」と思える人であれば、本著は、著者の独断と偏見を力強く痛快な筆致で書き込んだ読み物として、「えー、それは違うよ!」などと突っ込みを入れながらも、楽しむことができると思う。
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大好きなビートルズが、端麗辛口で全曲コメントされています。つばが飛んでくるかと思うほど感情のこもりまくった文章で埋め尽くされています。よくこんな偏見の塊みたいな本を、わざわざ金払って買ったなぁ。。と我ながらあきれ返ります。
でも、ひそかに5回は読み返しています。やめられないとまらない。。いつも当たり前のように聞いていたあんな局やこんな曲が、読んだ後だと新鮮に響くのが不思議です。
どんなに辛口でも、そこにゆるぎないビートルズへの「大好き」な気持ちが溢れているからだと、勝手に解釈しています。
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著者のビートルズ本で一冊選ぶならこれ。ビートルズ全曲解説本だが、単に読み物として面白い。ビートルズをある程度聴きこんだ中級ファンならかなり楽しめる…と思う。
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この本で、書かれていることは面白かった。ジョンの「ストロベリー〜」から後の作品で名曲は一曲も無いというのはどうなのかなと思うが。こうした曲説明の本が書かれ、全曲を興味を持って読めてしまうのは、ビートルズの凄いところでしょうか。
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素直に面白かった!
この本を読むことで、これまでよりも深い聴き方が出来ると思う。
思わず笑ってしまうほどの「ビートルズ愛」を感じさせる著者の努力に乾杯!
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とりあえず筆者がポール派だということがよくわかる本。ポール派の人は楽しめうだろう。
しかし、ジョン派の人は非常に腹の立つ内容であることは間違いない。
しかもやたら偉そうな態度で文章を書いてあるので余計に腹が立つ。
はっきりいって個人的な偏見で文章を書いているのでポール派だろうがジョン派だろうが腹の立つ箇所がかなりあるのではないか。自分は呼んでいて非常に不愉快な本だと感じた。
批評家というのはなぜこんなに腹が立つのだろう。
「お前に言われる筋合いはない」といいたくなる本。
金を払って不愉快な思いをしたいマゾな人向け。
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Juliaの中にocean childなんて歌詞があるの、ぜんぜん気付かなかった。それはよだちますね。
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[ 内容 ]
ジョンが最も輝いた瞬間とは。
ポールの才能はいかに爆発したか。
今なお発掘され続ける新事実を踏まえ、六年間、全作品の謎に迫る。
[ 目次 ]
ビートルズという謎
『プリーズ・プリーズ・ミー』―スタジオで再現されたライヴ・ステージ
『ウィズ・ザ・ビートルズ』―カヴァー曲を聴け!
『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』―ジョンの才能が大爆発
『ビートルズ・フォー・セール』―人気絶頂の中でみせたジョンの新境地
『4人はアイドル(ヘルプ)』―本気とジョークが交差する
『ラバー・ソウル』―レコーディング・バンドへ変貌を遂げる
『リヴォルヴァー』―“レコーディングの時代”に突入
『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』―時代を象徴する名盤
『マジカル・ミステリー・ツアー』―ポールが作った名曲群を聴け!〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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2013年6月9日再読。巧みなバンドがビートルズをコピーしてもビートルズにはならないのは、技術や演奏を超えた、魂やノリ、感情といったものごビートルズのレベルでは誰にも出せないからだ、という。確かにそうかもしれない。
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2011年2月13日読了。中山康樹による、ビートルズ全213曲の発表アルバム順の解説、と書けば内容は推して知るべし・・・。最初の3アルバムにジョンの歌手・クリエイターとしてのピークがあり、最後の3アルバムにポールの同じくピークがあり、ジョージの成長ペースは極端な2次曲線を描き、リンゴはマイペースで終始安定・・・という各人のバランスも、奇跡的なビートルズマジックを構成する要素でもあったのか。後期ジョンへの苦言というか愚痴というかそのような文章が目立つが、愛ゆえにというかこの人の芸風なんだと思ってサラッと読み流すのが吉か。後期ビートルズのアルバムばかり聴いていてはダメだな。
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実は飛行機に忘れてきて最後の一章読んでないけど、ま、いいかなと。とりあえずこの本と一緒にビートルズ全部聴き直した。うなずける部分もあり、断固うなずけない部分もあり。
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南さんおすすめの一冊!
雨とのつながりは・・・・
Beatlesの好きな曲が、”Rain”だから
でした!
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改めて知る、ビートルズの物語とその音楽的世界。
この本に刺激され、改めてCDにて全曲を聞きなおしております。
最初に彼らの曲をラジオで耳したのが、1964年頃。
それから、武道館からのテレビ中継(30分程度でしたが)を観たり、BBCの衛星中継(愛こそはすべて)を見た事が思い出されます。かれこれ40年近い昔の音楽ですが、今聞いても、飽きないというか、新鮮というところが、ビートルズであります。
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ひき篭もれ!ボリューム上げろ!書を開け!
どんと てぃんく! ふぃ~~~~う。
本書片手に全213曲聴き直してしまいました。
ステレオタイプのビートルズ観に囚われない、
こんなに面白いビートルズ本初めて。傑作です。
でも、おこちゃまや生真面目な人は読まない方がいいよ。
感じる本だからね♪ 考えちゃダメ。
元「スイング・ジャーナル」編集長 中山康樹氏による、
ビートルズ全公式曲213曲のレビュー集。
1曲1ページ。小難しい薀蓄一切なし。
誇張や偏見承知のうえで面白おかしい解説でした。
本の内容をちょっとご紹介。
「リンゴが歌うよりも自分たちが歌ったほうがいいということは、ジョンもポールも、そしてジョージでさえもわかっていた。~それは彼等にとって最高の気分転換であり、リンゴも「そうか、そこまで言うなら歌おうか」と応じたことは想像にかたくない。リンゴ、大張り切りだ。」―Boys
「捨て曲だからストーンズに渡した。捨て曲だからリンゴにまわした。」―I wanna be your man
「全てを塗り替えたビートルズ(のメンバー)にも古い体質は残っていた。それが「リンゴにも歌わせないと」だ。~彼等は、リンゴが歌わないのはおかしいと考える。誰も考えていないのに、そう考える。~もちろんリンゴの歌が“弱い”ことは知っていた。ゆえにバックアップは懸命だ。~ビートルズに駄作なしとは、こういうことだ。」―Act Naturally
「ジョンとポールはこの曲を捨てていた。だがリンゴが歌う曲がないことに気付き、わざわざ引っ張り出してきたのだ。友情というべきか、諦観というべきか。」―What goes on
「このヴォーカルがすごい。二人の声が完全に溶け合い、まるでひとりの人間が歌っているように聞こえる。~ビートルズは最初から強力な武器を持っていた。」―Misery
「初期ビートルズの最大の吸引力は、ジョンの声と天賦の歌唱力だ。~ジョンはなだらかに下降線を辿り、替りにポールが絶頂期に入る。~なにからなにまでビートルズほど“うまくいってしまった”グループはない。」―All I’ve got to do
「ビートルズは最高のアレンジャー集団だった。」―Please Mister Postman
「ジョンとポールはいささかジョージを甘やかしすぎたのではないか。~ジョージには申し訳ないが“ほど”というものがあるだろう。~インド系は才能の浪費だ。~いったいジョージはなにを考えていたのか。いや、なにも考えていなかったのだ。ゆえにタチが悪い。最後に残された手段は笑って聴くことだけだ。」―Blue Jay Way
「結局のところジョンは表現者であり、ポールは作曲家であったということか。~異なる二大天才が合体したのだから、すごいことになるのは当然だった。~(時代を映すゆえに普遍性を得られないのは)“表現”の宿命~最後に残るのは“音楽”なのだ。」―I am the Walrus
「ジョンとポールはアーティストであると同時に職業作家だった。~人類愛などという気恥ずかしくなるような~非ビートルズ的なテーマを依頼されて生まれた曲にすぎない。~思い出してほしい、ジョンはガ���を噛みながら歌っていたのだ。」―All You need is Love
「リンゴのサウンドがあってはじめて“ビートルズになる”~荒削りにして繊細、重いが軽やかな味とニュアンス、合っているような合っていないようなタイミングこそリンゴであり、ビートルズそのものなのだ。」―Glass Onion
「ヨーコが嫌われたのは、やっていいことといけないことに対する理解に欠けていたからだ。無神経さが嫌悪の対象になったのだ。」―The continuing story of Bungalow Bill
「待った甲斐があったとはこのことだ。~ざっと三年ぶりのジョージの傑作だ。~その間シタールと遊んでいたわけだが~ついに改心したというべきだろう。」―While my guitar gently weeps
「ジョンの“聴きどころ”は聴き手がジョンに近付いてはじめて成立する。」―I’m so tired
「ポールがすごいのは、誰にとっても「ポールはすごい」と理解できる点だ。~ポールの天才はまず曲に表れる。~前から“そこにあった”ような曲~次にアレンジだ。必要と不要を選びどう料理するか。~歌や演奏は最後の天才にすぎない。」―Blackbird
「なんとかっこいい曲か。まるで全盛期のジョンが書いたような曲だ。~音楽的な要素だけで言えば、ビートルズはジョンが脱退してもやっていけたはずだ。だが他の3人のいずれかが脱退してもビートルズは成立しない。」―Savoy Truffle
「これこそがビートルズなのだ。ジョンとポールとジョージとリンゴがR&Rを歌い、演奏する。しかもライブだ。これ以上のものを求める必要なない。」―One after 909
「リンゴの歌は“明るい・優しい・温かい”といった表現がつきまとうが、それらと背中合わせにある“哀愁”こそが真の魅力だ。」―Octopus’s Garden
「ついにくるべきものがきたという感じだ。~オープニングに感傷はない~つづいてリンゴの最初で最後のドラム・ソロだ。これがビートルズのサウンドを根底から支えていたリンゴ・スターのドラムスだ。~そしてポール、ジョージ、ジョンの順で激しく3回繰り返されるギター合戦~突然切断されてコーラス。これでビートルズは終わった。」―The End
The Endメドレー これからも聴くたびに放心し、Her Majestyで我に帰るだろう。
ビートルズの魅力は曲そのものであるべきで、曲がビートルズのすべてだ。
どんと てぃんく! ふぃ~~~~う。
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いくら音楽界に革命を起こしたビートルズに対しても、批判するところは批判するズバズバした語り口が特徴だと思う。
自分が曲を聴きながら思ったことと全く同じ感想を著者も抱いていたのが何カ所かあり驚いた。まだまだビートルズの曲は開拓中だが、この本を手引きに一曲一曲味わっていきたい。