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- カテゴリ:小学生
- 発行年月:2003.4
- 出版社: 岩崎書店
- サイズ:22cm/157p
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-265-06053-6
紙の本
三日月ジョリー (わくわく読み物コレクション ドルフィン・エクスプレス)
ねこのテールは海の特急貨物便ドルフィン・エクスプレスの配達員。配達中に知り合ったルキの盗んだ財布の持ち主をさぐるうち、黒丸商会をめぐるトラブルに巻き込まれていく。「ドルフ...
三日月ジョリー (わくわく読み物コレクション ドルフィン・エクスプレス)
紙の本 |
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商品説明
ねこのテールは海の特急貨物便ドルフィン・エクスプレスの配達員。配達中に知り合ったルキの盗んだ財布の持ち主をさぐるうち、黒丸商会をめぐるトラブルに巻き込まれていく。「ドルフィン・エクスプレス」シリーズ第2作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
竹下 文子
- 略歴
- 〈竹下文子〉福岡県生まれ。東京学芸大学卒業。「黒ねこサンゴロウ」シリーズで路傍の石幼少年文学賞受賞。他の作品に「わたしおてつだいねこ」「こぎつねキックのおはなし」など。
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紙の本
走り続けながらも、周りの仲間達の思いをのせて成長していくテール
2010/04/29 15:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アサギ岬、ミヤケ・ハナさん。チョクハイです」
つい最近はじめたばかりの直行配達。
荷物を受け取って、事務所に持って帰らず、
そのまま相手に届けるサービスで、
早く届くが、その分、配達料金も高いというシステム。
テールの無線に、知らせが入る。
送り先は、ついさっき行って来たばかりのさかずき島。
忙しい配達の毎日だが、今回も順調に事件だらけだ。
チョクハイで荷物を撮りに行った先では、ドアを開くとなかから煙が!
ミヤケ・ハナさんは、小柄なおばあさんねこで、
やけにのんびりしているのだけど、台所は火事。
さかずき島の息子に大好きなクッキーを贈りたいと
チョコレート・クッキーを準備したところで、手紙を書こうと思い立ち・・・。
オーブンから火が出たのだった。
結局、チョコレートクッキーがなくなってしまったので、
チョクハイはしないことになるのだけど。
このテールとミヤケ・ハナさんのやりとりはこのあと大きな意味を持つことになる。
ひとり暮らしをしているけれど、ちょっと心配なおばあちゃん。
テールは、ハナおばあさんのことが気になっている。
あまりにもどこかにいそうで身につまされる。
この世界もどこかの世界と似ている。
有能な配船部長・ヒナコさんにこきつかわれつつも
テールは、自分なりの配達哲学を持って働いている。
それは、お客様に喜ばれるのは良いけれど、
特定のお客様と個人的に親しくなりすぎるのはよくない、
仕事とプライベートは区別するべきと
ヒナコさんに注意されても揺らがない思い。
おれは、いつだって、おれだよ。
配達だろうと、プライベートだろうと、
おおぜいだろうと、ひとりだろうと、
おれがおれじゃなくなることは、ぜったいに、ないよ。
1週間後、ハナさんから「このあいだ火事を消してくれた配達のひと」とご指名が入る。
送り先のハナさんの息子のいる場所は、黒丸商会。
ドルフィン・エクスプレスのお得意先のひとつだが、
なにやら黒い評判も聞こえてくるところだ。
その頃、ヨットレーサーだった時代の仲間・ホープの
乗った貨物船が海賊に襲われて、
ホープが命を落としたという記事を新聞で見かけていた。
そして、チンピラの赤とらに追いかけられていた
スリの小さな子供を助けたら、懐かれたりもして・・・。
その子がもって逃げていたのは高級そうな革のさいふ。
テールの住むおんぼろアパートの隣の部屋にはギャンブラーが住んでいる。
ギャンブラーが帰ってくる足跡を聞きながら、テールは自分の生い立ちのこと、
レーサー時代のこと、今の自分、これからの自分に思いを馳せる。
一見バラバラの出来事がパズルのように組み合わさっていく。
自分のおやじ、ホープ、ギャンブラー、そして、自分自身の思いが重なり合っていく。
お互いにきっと何かを探していたのだ。
それは、他人がみつけて、ひろってとどけてくれるような種類のものじゃない。
上をむいて、じぶんの手をのばして、せいいっぱいのばしてつかむんだ。
たとえば、あの月みたいに。遠いさかさまの三日月みたいに。
つかめなかったら、そのときは、それでいいんだ。
さがして、さがしながら、みつかっても、みつからなくても、おれは、どんどんいくよ。
いきあたりばったりや、その場のおもいつきや、くだらない失敗をくりかえして。
走り続けながらも、周りの仲間達の思いをのせて成長していくテールは、応援したくなる主人公である。
この巻ではサンゴロウは登場しないが、
それは、このシリーズがサンゴロウのいた世界を踏襲しながらも、
サンゴロウのいないところでも十二分に
魅力を持った世界であることのささやかな証明でもあったのだ。