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紙の本
飽食・グルメ・健康食品と,食の関心が高まっている日本人に,自らの健康について考えさせられるデータ満載
2000/11/15 21:15
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投稿者:神村 龍二 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書には,栄養士を志す学生や,現在栄養指導や健康教育に携っている人々に役立つ,栄養や健康に関するデータが数多くまとめられている。しかし,食生活が健康の土台であることを考えると,専門家のみならず我々すべてにとって便利かつ有用なハンドブックである。
がん,心臓病,脳血管障害という3大生活習慣病は50年前には日本人の死因の約25%であったが,今では60%を超えているという。最近まで成人病と呼ばれていたこれらの病気が生活習慣病という名称に変えられたのは,早期発見,早期治療で病気を治すより,食生活の改善や適度な運動そして十分な休養など,生活を改善することで病気を予防することが,より重要だからである。
ここで栄養士の役割がぐんと大きくなるのだが,結局は日々脂肪の多い食事をとり,ストレスに悩まされ煙草を吸い,酒を飲むといった我々の日常を見直さなくてはならないため,本書によって自己管理の必要性を痛感させられるのである。
しかもがんの危険因子は塩分,熱すぎる飲食物,喫煙,さらに糖尿病を防ぐには脂肪や砂糖を避け肥満を防止するなどと,病気にならないための具体的な方策も示されている。それだけはない。栄養士は運動の指導もするので,ウォーキングやダンスなど適度な運動の指針まで挙げられている。
「データ」といっても無味乾燥な数字の羅列ではなく,適切な解説と多彩な資料の編集から,日本人の過去,現在,未来がおもしろいように読み取れるのも本書の楽しみの一つである。15歳未満,65歳以上のいわゆる従属人口は,現在はそれ以外の生産人口とほぼ同じだが,50年後には従属人口は全人口のなんと85%となるそうだ。その上,総人口は今より3000万人も少なくなるという予測なのだ。
本書を読むと,婚姻数は減り,離婚は増え,子どもは減り,高齢者が増え,しかも食料自給率は低い,といういびつな構造に,国民の健康状態だけはなく国家の健康状態も気になってくる。
(C) ブッククレビュー社 2000