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半身(創元推理文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.6 75件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2003.5
  • 出版社: 東京創元社
  • レーベル: 創元推理文庫
  • サイズ:15cm/494p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-488-25402-0

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文庫

紙の本

半身 (創元推理文庫)

著者 サラ・ウォーターズ (著),中村 有希 (訳)

【サマセット・モーム賞受賞】1874年の秋、監獄を訪れたわたしは、不思議な女囚と出逢った。ただならぬ静寂をまとったその娘は……霊媒。戸惑うわたしの前に、やがて、秘めやかに...

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商品説明

【サマセット・モーム賞受賞】
1874年の秋、監獄を訪れたわたしは、不思議な女囚と出逢った。ただならぬ静寂をまとったその娘は……霊媒。戸惑うわたしの前に、やがて、秘めやかに謎が零れ落ちてくる。魔術的な筆さばきの物語が到達する、青天の霹靂のごとき結末。魔物のように妖しい魅力に富む、ミステリの絶品!

*第1位「週刊文春」2003年傑作ミステリーベスト10/海外部門
*第1位「このミステリーがすごい! 2004年版」海外編ベスト10
*第3位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門・評論家部門【本の内容】

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書店員レビュー

ジュンク堂書店大分店

監獄を訪れた上流婦人...

ジュンク堂書店大分店さん

監獄を訪れた上流婦人と、不思議な女囚の出逢いが始まりの物語です。
女囚のことを知れば知るほど、魅かれてゆく婦人。
多くの謎は最後に全て解けた。でも、信じたくないという気持ちと、全てつながってしまう真実。
読み終わった後に襲ってくる空虚感…。どうしようかと思いました。
獄内における石の冷たさなど伝わってくる文章力も是非感じて頂きたい一冊です。

文庫・新書担当

みんなのレビュー75件

みんなの評価3.6

評価内訳

紙の本

じわーっと迫る女性刑務所内。

2005/11/01 19:24

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「荊の城」以来、はまってしまった、
サラ・ウォーターズ。
勢いに乗って「半身」も、読んでみました。
順番的には、こっちのほうから、本当は、読まなくては、
いけないのですが、、、。

舞台は、「荊の城」と同じく、ビクトリア期の、
英国を扱っており、刑務所が舞台です。
そこを、慰問で訪れる、貴婦人と霊媒の女囚の交流を描いています。
相変わらず、ビクトリア期の描写というか、
女性刑務所内の、描写も本当にウォーターズは凄いです。
じわーっと迫ってきます。
読んでいて途中で、時々振り向いて
あぁー良かった、自分の部屋だ、とか、思ったりしてました。

「荊の城」ほど、コン・ゲームというか、
冒険小説的要素は、なくて、
普通の小説っぽい仕上がりです。
併し、不可能を、可能にする、脱獄小説でもあるので、
ラストまで、目が離せません。
そして、ラストには、驚くべき結末が、あります。
勿論それは、書けません。
本書も、T社の「このミス」の海外部門一位で、
翌年の「荊の城」でも、一位で、
二年連続の快挙だったのです。
流石に、今年は、翻訳の出版の予定がないみたいで、
(えぇ、本当、東京創元社さん!?)
三年連続とは、いかないみたいですが、、、。
(でも、直ぐに出してね、東京創元社さん!!)

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紙の本

特殊な世界の謎めいた物語

2011/01/22 13:27

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 予想はできたが、やはりショッキングな結末だった。
 訳者のあとがきには、「これはどんな本なのだろう―読み進む間、それがずっと不思議だった。歴史小説だろうか。ラブストーリーだろうか。ゴシックホラーだろうか。ミステリだろうか」と書かれてある。
 たしかにこれは、19世紀のイギリス社会を舞台にした歴史小説のようでもあるし、ラブストーリー―それも特殊な愛の物語―のようでもあるし、オカルト小説のようでもある。また同時に、読者はこれがミステリなら、きっとタネがあり、真犯人がどこかにいるはずだと思いつつも、実はそういうジャンルの作品ではないのかもしれない、と不思議な気分で読み進むことだろう。
 物語は、シライナ・ドーズという若き女霊媒師のモノローグで始まり、その後、オールドミスの主人公マーガレット・プライアの日記とそれとが交互につづられる構成になっている。シライナは、自らが呼んだ霊が原因で人が死んだことで罪に問われ、現在ミルバンク監獄に収容されているという。刑務所を慰問に訪れたマーガレットはシライナを知り、やがて彼女の境遇に同情を寄せる。
 霊媒師として事件までの経緯を語るシライナの立場と、外から彼女を見つめながら記述をするマーガレットの立場―実はこの両者の記述によって、読者は一つの暗示をかけられるのである。そしてきっと、このナレーションのトリックと上に述べたジャンルのあいまいさゆえに、彼は最後の最後まで結末の衝撃を察知することがないのだと思う。たとえ結末そのものは予想できたとしても...
 『半身』は、本国のイギリスでは、サマセット・モーム賞、日本では「このミステリがすごい」大賞を獲得するなど、常に話題をさらう名作ではあるが、テーマの特殊性やそのショッキングなエンディングゆえに、一般的な評価は得られていないという気もする。これを読んだ直後、私はとっくにこれが映画化されているものと思い、DVDを探したが、見つからなかった。だが、映画(あるいはドラマ)化はされていた。しかも、ある海外のサイトでそれを全編観ることができる。映画を観ると、この物語の特殊性がますます浮き彫りにされているように感じた。検索の糸をくぐりながらたどり着いたそのサイトも、よく見ると、特殊な嗜好をもつ人々のためのものだった。

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紙の本

人間の魂をいかにコントロールするか——フーコーが『監獄の誕生』で組織の管理哲学として論じたテーマが、交霊術の陰に「謎」として息づく極上の小説。

2003/10/07 22:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本文に入る前に「ミルバンク監獄俯瞰図」というものが添えられている。この小説の舞台となる場所で、かつて英国に実在した建物だという。
 中央に監視のための塔がそびえている。六角形の回廊状の建物がその塔を囲んでいる。その外側には、六角形の一辺と重なる五角形の回廊状の建物が花びらのように広がっている。五角形の建物の中庭にも、各々監視塔が設けられている。一望監視型の監獄で「パノプチコン」と呼ばれるものだ(これについては、後述のフーコーの著作とともに巻末の解説で説明されている)。

 ミルバンクの挿画を見た途端、ひらめいてフーコーの『監獄の誕生』を取り出してきた。私の持っている9刷は、現在の本体価格より1000円安い。求めた当時はまだ消費税もなかった。——別に蔵書の自慢をしたいわけではない。
 自分語りをしたいわけでもないが、ちょっとしたいわくがある。学生時代に仲間が研究発表に使った本でずっと欲しかった。現代の組織社会を考える上で、一番ぞっとさせられた本であった。それを、社会に出て最初に就職した会社を退職するとき、記念に購入したのである。就業時間や服務規程があるのは致し方ないが、笑顔や挨拶もマニュアル化された会社で、えらくしんどかった。

 物語の主人公であるマーガレットも、自分の置かれた環境にある種のしんどさを抱えた人物である。上流家庭の令嬢、つまり貴婦人と呼ばれるところの身分であるもののオールドミス。とうに嫁いでいてしかるべきなのに、婚期を逃した。ピラミッド型の階級社会に内在する婚姻の常識・慣習といったものから外れてしまっており、居心地の悪さを感じている。しかし、その後ろめたさこそが制度という獄につながれていることの何よりの証しなのだろう。

 ほかにも精神的に追い込まれている事情はあって、心に翼を求めている。「自由」という願望ではなかろうが、安らぎや精神的支柱を求めている。求めた先というのが、ミルバンク監獄だというのは何とも皮肉な話である。
 貴婦人として女囚たちの規範となるよう、知人の勧めで慰問を始める。そこで出会ったのが、霊媒の少女である。老嬢がうら若き娘の魅力に吸い寄せられ、「とりこ」になっていく。この過程もまた、獄につながれていくようなものである。だが、幸いなことに少女の方でもマーガレットとの交流を強く求め始める。
 少女を大切に思うマーガレットの切なさはラブロマンスさながらで、胸が痛くなる。最初から最後まで、一体どのように話が展開していくのかどきどきするほどの筆力に支配されるが、ふたりの気持ちが昂じるくだりに至って、読み手である自分も物語という獄につながれたことに気づく。
 
「自由を奪い管理する」というメタファーが何重にも張り巡らされた巧妙な小説だが、もうひとつそのメタファーが顕著なのは、日記という形式である。老嬢マーガレットと霊媒シライナの日記という形で、ふたつの時間の流れが描かれているのだが、日記というものもまた獄のようなものではないか。鍵を掛けた内側でのみ安心して心を吐露できる。書くことは、自分を囲い込むことにつながると思う。
 このように魂の「自由」と「コントロール」という少し理屈っぽい読みも可能だし、もっと自由な読みも可能だ。けれども、有能な看守のごとき作者に見張られ、その奸計に乗せられる「囚人」であることが、なぜか快楽につながる。

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紙の本

この物語は、本当に恐ろしいものの正体を、ラストシーンに秘めている。

2003/07/14 14:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:zero - この投稿者のレビュー一覧を見る

 19世紀にイギリスで流行したという、心霊主義を主な題材とした恐怖小説であると同時に、読者に物語の真相を探らせる、推理ものとしての要素もたっぷりと盛り込んである作品です。

 物語の主人公は、英国に住む上流階級の女性で、尊敬する父を亡くし、その失意からさめやらぬ人物です。婚期をすぎても良縁に恵まれず、美しい妹の結婚を前に、家族から白い目で見られ、肩身の狭い思いをしています。

 そんな彼女の心の支えとなっていたのが、ミルバンク監獄への慰問でした。複雑に曲がりくねる薄汚い陰鬱な廊下、その奥にある小部屋のひとつひとつに、罪を犯した女達が閉じこめられています。
 粗末な囚人服には女性らしい気持ちを満たすものは一切なく、不潔な部屋の悪臭の中で一日働かされる女達を、暖かく励まし、諭し、気高い女性の模範を示すことが、主人公が行う慈善。

 日記形式で綴られる物語の中で、主人公は赤裸々な独白をします。
 ──私は醜い。妹のように美人じゃない。
 ──ミルバンクの女たちを見ていると気が安らぐ。自分より不幸な女がいると思うと。

 そんな彼女がもっとも安らぎを感じた囚人は、殺人の咎で収監されていた、美貌の霊媒師でした。
 その娘はほとんど天使かと思えるほど美しく、汚れなく、窓からさす陽もわずかな独房の中で、どこから手に入れたのか、スミレの花を捧げ持って横たわっていました。
 霊からもらったのだと、霊媒の少女は主人公に語ります。
 そして、生まれつき霊が見え、その声を聞ける者の生き様を語ります。
 殺人の罪も少女自身が犯したものではなく、呼び出した霊の仕業であったことも。

 主人公はほとんど恋に近い崇拝を、その少女に傾け、取り憑かれたようにミルバンクへと通い続けます。
 やがて彼女たちの思い詰めた気持ちは、常に、永遠に、互いの傍にいたいという、陶酔的な感情へと上りつめてゆき、物語は静かなクライマックスへと突き進んでいきます。

 囚人への思慕にのめりこんでいく老嬢の心の震えは、恐ろしいほどの生々しさ。
 熱にうかされた目で、髪振り乱し日記帳に向かう彼女の姿が、薄暗い部屋のなかに垣間見えるような錯覚さえ覚えます。

 最後の日記に記された出来事を、いったい何人の読者が想像できたでしょうか? 想像できなかった……いや、したくなかった、と言うべきでしょうか?

 この物語の筆致は、ほんとうに美しいのに、その筆で描かれる出来事は、恐ろしいほどに醜い。社会の、人間の、女の醜さが、残酷なまでに赤裸々に、この日記帳の中に詰め込まれています。

 他人の日記など読んでもろくなことはない、しかし、他人の心の恥部をこっそりと暴く浅ましい快感が、この作品にはあります。
 ひっそりとページをめくってください。
 作品と、それに共感する自分の心の醜さに恐怖しつつ。
 できれば、蝋燭の明かりの下、ひとりきりになれる秘密の部屋の中で。

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紙の本

スピリチュアル・ダイアリー

2004/07/04 16:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る


 ヴィクトリア期ロンドンの上流階級に属する孤独で繊細な未婚の女性マーガレットが書き残した「心の日記」と、やがてその「半身」として、親和力(アフィニティ)によって結び付けられ濃密で妖しい交情を深めることになる美しい霊媒シライナの手記を交錯させながら、徐々に明かされていく女たちの秘められた過去の欲望の物語をめぐるじれったいほどに緩慢な前半部から、やがて訪れるだろう魂の合一と肉的欲望の成就への期待の高まりとともにしだいに緊張の度を増していく後半部へ、そして一気に狂おしいクライマックスに達したかと思うや、通奏低音のように作品の最底部で密かに蠢いていた崩壊への危うい傾きが現実のものとなる残酷な結末へと到る、まことに「魔術的な筆さばき」(文庫カバー)の評言にふさわしい見事な叙述の力によって緊密に造形された物語。──マーガレットが慰問に訪れるミルバンク監獄とは、彼女の肉体を縛る心の象徴で、そこで出会うシライナは彼女の欲望そのものの造形である。シライナの支配霊が語るように、霊媒(肉体)とは霊(心=欲望)の奴隷である。だからこそ、この作品はマーガレットの「心の日記」(スピリチュアル・ダイアリー)によって綴られた。

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紙の本

衝撃、覚めやらず。

2003/07/21 01:23

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 マーガレット・プライアは、貴婦人としては素直すぎる人間だった。

 29歳で“老嬢”と呼ばれるマーガレット。
 弟は親友と結ばれ、妹は結婚しようとしている。
 最愛の父は2年前に亡くなり、失意の中、口うるさい母親と2人きり…。

 自分のことは自分でやる。今にしては普通のことが、口に出して言うだけで変人扱いされてしまう貴婦人の世界。自分の気持ちに正直で、本当は前向きなマーガレット。彼女は、どうすればよかったのだろう。

 19世紀のロンドン。貴婦人マーガレット・プライアは、ミルバンクの監獄を慰問に訪れる。そこは、訪れる人を飲み込み、捕らえて離さない、狂気に満ちた場所だった。
 あるいは、マーガレットはその狂気にあてられた被害者なのかもしれない。塞ぎ込んでノイローゼ気味だった彼女に、自分の裕福さ、幸福さを再確認させるためにと慰問に行かせた人物は、大きな間違いを犯したことになる。
 狭くて不潔な房に入れられた女囚たちは、罰とはいえ、ますます人間らしさを失くしていく。そんな女囚監獄で、マーガレットは一人の女囚と出会う。
 シライナ・ドーズ。
 みすぼらしい監獄の中、そこだけ天に祝福されたような光を浴びる彼女は、霊媒師だった。

 物語は、マーガレットの日記と、シライナの過去の記述によって綴られる。
 貴婦人マーガレット・プライアの丁寧な描写。霊媒シライナ・ドーズの不思議な霊媒記録。そんな妖しい文章が、結末をさらに悲劇的なものに作り上げている。

 マーガレットは感性の鋭い、繊細な人間なのだった。敏感で、感情の豊かな愛すべき人間。理不尽な母親の要求、貴婦人の在り方に嫌気がさしても、それは仕方のないこと。
 自分のやりたいことすら見つける暇を与えられず、親の敷いたレールの上を歩かされ、反発の仕方も分からない。
 諦められたら、どんなに幸せだっただろう。
 ただ、自分の思いが強かっただけ。
 なのに。

 悲劇の結末は、誰が予想できただろう。

 霊媒師の少女が登場することで、現実離れしたストーリーの雰囲気作りは成功している。
 貴婦人と監獄。貴婦人と霊媒師。
 このアンバランスさが、クライマックスを効果的に盛り上げる。
 物語の世界から現実に戻ったいまも、その衝撃はまだ覚めない。

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紙の本

やっぱりね、いかにも何かあります、ふうの解説ってのはね、話の構成よりは文章で読ませるタイプの小説には不要じゃないかって思うわけ。それより、ミネット・ウォルターズとサラの関係の方が謎だよね

2003/10/10 21:10

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

独房からは信じがたい静寂が漂ってきた。獄内の静けさを残らず集めたより深い静謐が。それを破ったのは溜息。わたしは思わず、中を覗いた。娘は目を閉じ  祈っている!指の間には、鮮やかな紫 うなだれた菫の花。

以上はカバーの案内文。自分の手抜きを弁護するわけではないが、文学的にうまい要約で、私は、この紹介に、個人の名前を与える以外にはすることがない。カルロ・クルヴェッリ「マグダラのマリア」像(アムステルダム王立美術館蔵)が、カバーを飾るが、これがまた怪しげなムードで思わず腰が引ける。

物語の舞台は、かつてロンドンに実在したミルバンク監獄。主人公は裕福な家庭の令嬢マーガレット29歳。彼女には、弟のスティーヴンと、その妻のヘレン、妹のプリシラと婚約者のバークリー、そして母という家族がいる。父は二年前に亡くなっている。彼女には、精神を病み、長い間療養していた過去がある。そんな彼女が、最近、生きがいを感じているのが、ミルバンクの監獄に女囚たちを慰問することだった。寄付をしたり、差し入れをする、というのではない。自分の気の向いたときに牢獄を訪問して、刑に服している女性たちの話を聞いてあげる、ただそれだけをする。

孤独な囚人が話に餓えているというのは分るが、裕福な世間知らずのお嬢様の訪問が、彼女たちにとって本当に慰めかどうかは大いに疑問で、私ならば首でも絞めたろかと思う。他にも、かなり自由に獄房で長時間を過ごすことも嘘っぽくて、眉唾状態になるのだけれど、訳者も書評氏も気にしないところを見ると、案外これは歴史や慰問という実態にあっているのかもしれない。

しかも、マーガレットは、妹が自分が訪問したかったイタリアを、妹が新婚旅先に選んだことや、義妹のヘレンとの確執、あるいは、家に残ったことで彼女を利用し尽くそうとする母親の高圧的な仕打ちに出会い、精神が決して安定してはいない。そんな彼女が牢獄で見たのが、気品のある不思議な美しい娘だった。なぜか彼女の手には一輪の菫が。娘の名はシライナ・ドーズ19歳。霊媒である。彼女は、霊媒宿の主人ヴィシー師のもとで、その能力を開花させるが、ある時、富豪のプリンク夫人のもとに引き取られることになる。そして交霊会の時、支配霊ピーター・クィックを呼び出したことで、恩人でもあるプリンク夫人を死なせてしまう。マーガレットと出逢った当時、入獄してすでに11ヶ月がたち、出獄は4年も先だという。話は1874年を中心にしたマーガレットの現在と、1982年に始まるシライナの過去がほぼ交互に移動しながら展開する。消えたロケット。現れた花束。そして深まる思い。

ま、読んでもらって判断してもらうしかないけれど、個人的には大山鳴動鼠一匹という感じだろうか。おなじサマセット・モーム賞を取った『ジョン・ランプリエールの辞書』も、前評判ばかり高かったものの、読み物としては歴史に劣等感をいだく人種が書いたものではないのか、と言いたくなるほどにお粗末な話だった。訳文は独特の粘りがあって、こういう話にはぴったりのもの。ただし、解説のいかにもどんでん返しがあります、ふうの断り書きは、この作品だけではないけれどやめたほうがいい。読む側が過剰な期待を抱いてしまう。それから、カバーの見返しにミネット・ウォルターズの作品リストが載っている。だれが考えても、サラと何らかの関係があると思うはずだ。無関係なら無関係なりにコメントするくらいの配慮があってしかるべきだろう。

ちなみにサラ・ウォルターズは1966年、ウェールズに生まれた若手の有望作家で、2作目のこの作品でアメリカ図書館協会賞、サンデー・タイムズの若手作家年間最優秀賞、サマセット・モーム賞を取っているという。既に三つの作品を書き、すべてヴィクトリア時代の英国が舞台だそうだ。案外、世界が狭いなあ、といった感じ。

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紙の本

技巧と装飾にちりばめられたミステリーである。作者の緻密に企てた作為であることがわかっていながらその巧妙さに乗せられること自体がこの作品の魅力なのだ。

2003/12/16 13:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み終えてもう一度ページをめくり返してポイントになっていたと思われる箇所を読み返さざるを得ない。そんな気持ちになって結局、全ストーリーを読み直す誘惑にかられる。技巧と装飾にちりばめられたミステリーだからである。作者の緻密に企てた作為であることがわかっていながらその巧妙さに乗せられること自体がこの作品の魅力なのだ。
時代は19世紀末。舞台はロンドンのミルバンク監獄。女囚は男囚と完全に隔離され看守もすべて女性、女だけの密室。抑圧された欲望が陰湿に満ちてサディスティックな狂気が支配する空間である。主要登場人物は獄舎にとらえられている女霊媒師と監獄を慰問に訪れる婚期を逸した精神病質者である上流貴族階級の貴婦人。二人の交情が妖しく燃え上がる。その行き着くところはと読み手が惹きつけられるのが基本の謎であり、同性すら性の虜にする実に官能的な霊媒師である娘が罪を問われた事件の真相が明らかになるまでがもう一つの基本の謎として構成されるている。それだけではなく謎は重層的に用意される。、ストーリーは二人の日記で交互に語られる主観の叙述であって客観的描写は最後までない。事実であるのか幻想・幻覚のたぐいであるのか、はたまた虚偽であるのかは読者として妄想をたくましくするしか理解しようがない仕掛けであって、(特に降霊術シーンは肝心な説明がないまま濃密な女同士の性的行為を連想させそれはそれで楽しい)、しかも作者の優れた文章力が活きて、全編これ、霧の立ちこめた風景を見ているような、曇りガラスをとおして人影をのぞくような、ミステリアスな語りに魅了される。
ラストもあざやかである。悲劇的な結果に遭遇する貴婦人は一転、眼前の霧が晴れて現実を見た心境になるが、読者は二転させられて、さらに深い霧に包まれ、もう一度読み返さざるを得ない仕掛けが待っていたことに気づかされるのだ。
私はこの作品を読んでいてちょうどこの時代のイギリスの降霊術にまつわるあるエピソードを思い出した。当時イギリスでは降霊術ブームであちこちで降霊会が催されていた。その会では霊媒が死者の霊を招き寄せたり、病気を霊の力で治療するというこの小説と同じ超自然現象を現出するのである。なかにはインチキな霊能力者も多かったようだ。ミステリーの元祖であるシャーロック・ホームズの生みの親コナン・ドイルは作風からすれば極め付きの合理主義者であると思われるのだが、実は、晩年は英国心霊協会の幹部でこの降霊術の信奉者であった。あるとき、霊能者たちにその能力を競わせる大会があって、彼が審査委員となったときのことである。彼の鼻をあかそうとした手品師が出席し、マジックでもって超常現象を演出したところドイルはこれを高く評価してしまった。してやったりとマジシャン氏は後日友人を介してドイルにこれが手品だったことを告げたところ、ドイル「それは嘘だ。アレこそ本物の霊媒師だ」と。

書評集「よっちゃんの書斎」はこちらです

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紙の本

編集部コメント

2003/05/29 21:07

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投稿者:東京創元社編集部 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 傑出した小説家の登場にたちあうのは、いつだってわくわくするものです。ここにご紹介するサラ・ウォーターズは1966年生まれ。34歳のときに書いた本書が大評判となり、一躍英国文壇の期待の星となりました。かつてジョン・ル・カレが『寒い国から帰ってきたスパイ』(ハヤカワ文庫NV)で獲得し、その後もイアン・マキューアン、ジュリアン・バーンズ、サルマン・ラシュディ、ピーター・アクロイド、ローレンス・ノーフォークなど凄腕の小説家を輩出しているサマセット・モーム賞をはじめ、数多くの文学賞に輝いたのですが、では、どこがそんなに素晴らしいのか?
 書き出しは、こうです。
 門をいくつも抜け、曲がりくねった小径をたどった奥にある石の迷宮——ミルバンク監獄。1874年の秋、テムズ河畔にそびえるこの牢獄を慰問のために訪れた上流婦人は、不思議な娘と出逢う。ただならぬ静寂をまとったその娘は……霊媒。戸惑う婦人の前に、やがて、秘めやかに謎が零れ落ちてくる。
 溜め息が洩れるのは、“秘めやかに”の部分。この新人作家は魔術的な筆力の持ち主で、声のでなくなるような瞬間を自在に描きだし、それを塗りかさねることで、いつのまにか魔物じみた気配を行間にただよわせてしまう。まったく驚くべき力量です。そして、技巧を尽くしたはてに、完成するのはどんな物語か。この点については読んでみてのお愉しみですが、作者の筆はここでも冴えわたっていると言うほかありません。
 物語の魔を味わいたいなら、どうか本書を手にとってください。ミステリ好きは言うにおよばず、小説の醍醐味をもとめるすべてのかたに、この妖しい魅力に富む傑作長編を強く、強くお薦めします。

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2004/10/02 21:01

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2005/02/03 16:59

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2004/10/22 11:12

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2004/10/16 21:59

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2004/12/04 12:53

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2007/08/30 12:07

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