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韓非子 不信と打算の現実主義 (中公新書)
韓非子 不信と打算の現実主義
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紙の本
法学(刑事罰)的側面から読み解く韓非子
2010/10/19 00:35
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:楊耽 - この投稿者のレビュー一覧を見る
韓非子と言えば、君主論。
「実力のない部下のお中元やお歳暮につられて、あなたの役に立つ優秀な部下をないがしろにしてはイケマセン。例えばそれを防止するには、あなたが熱中している余暇の過ごし方などを簡単に部下に披見しないことです。」と言うような、佞臣を退ける術を解いたもの、を期待して買いました。
しかし、本書は(あとがきを引くと)「二〇〇一年度京都大学法学部で行われた教授法を研究するプロジェクトで行われた授業」を本に起こしたもので、主に法学的側面、特に刑事罰についての考え方を示したものでした。
そのような意味では、近代の西洋思想家カントやマキアベリ、ホッブズと比較した第三章「韓非と法家思想」のIV 政治と君主、V 韓非思想のエッセンスが、大変興味深く、考えるところ多かったです。
また、第一章「殷周から春秋戦国へ」では、古代中国の国家形成に至る歴史の概略にふれることが出来ました。
第二章「模索する思想家たち」では、孔子に始まり、孟子、荀子と続く儒教から法家の旗手である本書の「韓非子」へ、その成熟する社会の求めに応じて登場してくる思想家、哲学者の変遷が、解りやすく復習できました。
「復習」と言うのは、高校の古文で習って、言葉だけは記憶のあった「性善説」「性悪説」の概略を改めて確認出来たのがうれしかったと言うことです。本書では、さらに、そのどちらの議論にも参加しない韓非子が、なぜ「性善説」「性悪説」の議論に熱中する後生の儒教思想家を尻目にその後の秦や漢の政治手法として採用されたのか。その背景を鮮やかに示されているのが痛快でした。
本書の主題ではありませんが、韓非子からの故事成語「矛盾」や「株を守る(待ちぼうけ)」の解説と、韓非子がどのような文脈でこのアナロジーを用いたか、の雑学などもグッドでした。韓非子を悪用して滅んだ秦の第二代皇帝・胡亥の「馬鹿」語源説の紹介もおもしろかったです。
紙の本
韓非の思想とその後世への影響について解説
2003/11/20 20:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
韓非子について述べるにあたり、その師といわれる荀子、荀子の性悪説と対立する性善説の孟子、彼ら儒者の祖である孔子、その時代背景である春秋戦国時代、それに先立つ夏殷周の時代、と遡って、説き起こしている。このあたりは韓非子の解説として、ごく標準的な語り出しというべきか。韓非子の現実主義、人間不信にたいして、前三者の天命論と人性論とを、さきだって説明する。つづいて、韓非子の記述を抜粋して紹介しながら、打算主義の人間性、法実証主義、統治の道具としての法、犯罪予防法としての刑罰、といった 韓非の思想を解説する。そして、マキアベリなどの西洋の法治主義者の思想と、比較する。続いて韓非の法治主義と後世の中国や西洋の法治主義とを、比較検討する。
この本は韓非子の解説ではなく、韓非の思想とその後世への影響についての解説である。法家思想を標榜した秦は、韓非の危惧した重臣と暗君でもって国を滅ぼし、儒教国家漢は、韓非思想をその根幹に据えたことで、最も安定した国家を築くことができたのは、歴史の皮肉である。実は皮肉でもなんでもなく、建て前の徳治と本音の法治を巧みに使い分けて有効に活用したのが、漢帝国であっただけだ。漢帝国がその後の中国歴代王朝の手本となった。官吏登用試験の科挙においては儒教だけを出題しながら、支配統治の実際は法家思想であった。現代までこの思想は受け継がれていよう。中国人とつき合う時は、考慮しておくべきであろう。
電子書籍
韓非子の入門書
2015/09/27 22:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Ottoさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
原典はもとより、現代訳でもなかなかとっつきにくいので、この本から始めるのがよいだろう。
孔子、孟子、荀子など諸子百家との比較から始めて、現実主義者の韓非子を解説してゆく。
論語のように説教くさくなく、孫子のように戦略的でもなく、徹底した現実主義の韓非子は詰まった時の手助けとなろう。
韓非子でもだめな人は、最後は荘子に行きつくのかな。