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- カテゴリ:一般
- 発売日:2003/05/30
- 出版社: 文芸春秋
- サイズ:20cm/494p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-16-321870-X
紙の本
石の猿 (「リンカーン・ライム」シリーズ)
著者 ジェフリー・ディーヴァー (著),池田 真紀子 (訳)
蛇頭の手引きで米国密入国を図った中国人が船ごと爆殺された。手掛りは石の猿。国際指名手配中の殺し屋・ゴーストを追うライムとサックス! 「リンカーン・ライム」シリーズ第4弾。...
石の猿 (「リンカーン・ライム」シリーズ)
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商品説明
蛇頭の手引きで米国密入国を図った中国人が船ごと爆殺された。手掛りは石の猿。国際指名手配中の殺し屋・ゴーストを追うライムとサックス! 「リンカーン・ライム」シリーズ第4弾。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジェフリー・ディーヴァー
- 略歴
- 〈ジェフリー・ディーヴァー〉弁護士、ジャーナリスト、フォーク・シンガーなどを経験した後、作家に。著書に「静寂の叫び」「眠れぬイヴのために」ほか。
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紙の本
ニューヨークがまるで歌舞伎町みたいに見えるぶっ飛び冒険小説
2003/07/18 01:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シュン - この投稿者のレビュー一覧を見る
蛇頭はアメリカにも難民を送り出すのか。蛇頭は陸続きのロシアに船を用意したりするのか。蛇頭は大西洋にも乗り出すのか。そうやって蛇頭はマンハッタンのチャイナタウンにまで難民を送り込むのか。そういうことは全然知らなかった。蛇頭は、アジアに老朽船を送り込んで、荒波に沈めたりしているものだとばかり思っていた。
さてそうした蛇頭に送り込まれる難民船という設定がまずはリンカーン・ライム・シリーズとしては実に意外だった。ましてやその難民船に謎の殺し屋が潜伏していて、嵐の中で船を爆破するなどとは、もしかしてこれは英国冒険小説? などとの疑惑が首をもたげたくらいだ。
辛くも生き延びた難民を殺し屋ゴーストがつけ狙う。独り残らず生かしておきたくないみたいに。なんで? っていうのが読書中ずうっとつきまとっていた疑問だった。さほどに執拗に、ゴーストは難民たちをつけ狙う。潜入捜査官、入国管理局、FBI、国務省、例によって複数な組織が全部リンカーン・ライムのタウンハウスに集合して、証拠調べに専念する。アメリア・サックスが車を暴走させ、空に海にアクションの場を求める。
難民の女子供に迫るゴーストの魔手。いくつもの伏線。中国にどっぷりと浸かってゆくライムとサックス。それこそヒューリックの狄(ディー)判事シリーズまでを引用しつつ、東西文化のクロスファイアが、マンハッタンを硝煙に包んでゆく。
とりわけソニー・リーの存在感はこの作品のハイライト。中国からやってきた異文化捜査官の言動がライムやサックスと衝突するうちに、人間的深みの部分でやがて友情を築き上げてゆく下りは、シリーズとしてはとても斬新だ。
また本作のどんでん返しは『シックス・センス』なみに強烈なもので、ページをずうっと最初のほうまで戻して確認したくなるほどの大イベントと言える。ハリウッド的娯楽要素を満遍なく散りばめて、まさに飽きる暇さえないジェットコースター・シリーズは前作よりずっと勢いを取り戻した形でやってきた。
サイコで始まったかに見えたシリーズも、本書ではずっとシンプルに殺し屋と彼を追跡するチームという「冒険小説」化が進んできた。サイコ・ブームが去っても生き残っていることを証明したいと言わんばかりの勢いで。
紙の本
どきどきでした
2003/06/12 18:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マサルン - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリア・サックスとリンカーン・ライムのコンビを首を長くして待っていた甲斐がありました
なつかしいニューヨークのクイーンズとチャイナタウンを舞台が、地図と風景がそのまま脳裏をよぎり、またまた予測を超えるドンデン返しの連続
冒頭から映画のシーンのような、描写はいつもながら敬服します
待ちきれずに原文(ペーパーバック)も数ヶ月前に一気に読みました、飛行機の機中で、食事が運ばれてきたのも気が付かないくらい、ディーヴァーの世界へ没頭できました
読んだあとの、爽快感は、「Blue No Where」を超える、やはりサックス/ライムのコンビの右に出るものはないと思います
紙の本
ライム氏、異文化コミュニケーションに戸惑うの巻
2003/06/05 14:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:t-ash - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズが進むにつれ、リンカーン・ライム氏の行動が活発になっている。
「ボーン・コレクター」では“いやみでうるさい寝たっきり中年”だったのが、「エンプティー・チェア」では旅行までするようになり、今回は囲碁をしたり字まで書いている。このシリーズの愛読者は主人公のこうした場面にニヤッとしてしまう。
このシリーズの主軸は精密なまでの科学捜査の先に見える犯人探しであるが、その部分自体に全シリーズを通じて真新しい発展性はない。
今回の犯人は蛇頭で、舞台が中国人コミュニティという、米国白人になじみの薄い世界を題材にとっている点から考えて、少々「もうそろそろネタ切れ?」の感が否めない。猟奇的な犯罪やずる賢い犯人など日常にそうそう現われないもの。
ただ細密なる一物質が事件を解決していく様は今作も読者をひきつける。どの作品から読み始めても読者を圧倒することは間違いない。また日本人からすれば儒教、道教、背水の陣など中国の故事に比較的明るいだけに米国白人より読みやすいかもしれない。かくいう私も今回494P上下二段組のこの物語を一気に読みきってしまった。
しかしこのシリーズの大切なもう一つ大切な部分は登場人物たちの成長にある。孤独な死にたがりの主人公がどう変わり、周囲の人々をどう変えていったかを知ればこの作品はもっと楽しめるであろう。
「ボーン・コレクター」も文庫化した。未読の方はこれを読んでからこの作品を読むことをお勧めする。
紙の本
リンカーン・ライムシリーズ第4作目の出来映えは?
2012/06/18 22:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「四股麻痺科学捜査官・ライムとNY市警の女巡査・サックスが明かす異常殺人事件の謎」 『ボーン・コレクター』。
「棺おけの前で踊る死神の刺青をした連続殺人鬼を追うライムとサックス」 『コフィン・ダンサー』。
この二つの作品は都会型の凶悪犯罪でしかも相手は奸智に長けた頭脳犯。この追う者、追われる者の知恵のせめぎあいにクールで、ドライで、直線的な緊張感が全編を貫徹していた。まさにジェットコースター型で理屈ぬきの興奮を味わえる第1級のエンタテイメントであった。
「証拠はすべて少年の有罪を指している。だが、サックス巡査だけは彼の無実を確信していた。こよなく昆虫を愛する少年が人を殺すはずがない」 『エンプティー・チェア』。
この作品ではライムとサックスのセックス関係が進展するという余計なおまけがつきで、犯罪が地方共同体型に変化し、どちらかというと頭脳プレイではなく腕力戦と変貌する。「空っぽの椅子に座っているのはだれ?」などと捜査の方法論としてそれまでの一貫した実証主義方法から精神分析的方法論、あるいは女の第六感主義方法論をとりいれるくだりになると緊張感が薄らいでくる。
そして本著は「蛇頭の殺し屋ゴースト、11人殺害容疑で国際指名手配中」すなわち強敵は中国マフィアの殺し屋である。
一般にシリーズ物というのは三作目あたりがその後息長く続くかどうかの正念場である。ライムシリーズは『エンプティー・チェア』で息切れし、この4作目ではそろそろ限界が見えたような気がする。
腐敗と汚職まみれの中国共産党支配下で体制を批判する中国人民には過酷な弾圧が待っている。なけなしの財産をかけて密航を企てるものを待ちける蛇頭の殺し屋・ファック野郎だ。今回の敵は単なる粗暴なサディストである。いかにもアジア人らしく頭脳的ではないところがこれまでの作品の犯人像と異なる。捜査網にかからないのは中国流の信仰に支えられた運の良さである。映画『ブラックレイン』の松田優作の「凄さ」が感じられないのだ。中国マフィアのお話なら大沢在昌の迫真性にはかなわない。自由の国、豊かな国アメリカ、そのアメリカへの憧れで逃れてくるものたちをヒューマニスト・サックスは命をかけて守る! 儒教精神、老荘思想、漢方医学、犯罪捜査も風水占術方法論など迷信とあやしげな思考方法にたいしてもアメリカの英雄ライムは受け入れる懐の深さを持ち合わせています。
よくあることだが、西洋人の分別で東洋を見るあの一段高い場所に立った視線が随所に表れる。作者が生半可で孔子、老子、荘子の教えを説くものだから、よく理解できない禅問答むしろコンニャク問答を聞かされることになる。つまり東洋哲学と西洋技術のコンタクトゾーンに関する叙述が長く、しかも私には退屈であったということだ。
それで、これまでの三作にあった驚愕のエンディングは………?