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紙の本
女子高生の実体
2004/10/05 23:43
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投稿者:ツカサ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつては高校の美術教師だったという作者の描いた、シュールな女子高生ギャグである。
女子高生ものといっても、今どきの女子高生を踏まえつつ、それに向けた大人としての視線でアイロニーを含めて、ある種の賞賛すらしてしまうといった徹底されたギャグである。
たとえば、ある高校では帰宅部が一番の厳しい部活であるという。帰宅部とは世間の女子高生の代表であり、態度と声はでかく、最低でもファーストフード店で二時間は居座り、常に意味もない世間話をしなければならないというのが部の規則である。
部長である熱血な女子高生は、マックで唯物論と観念論について語っていた部員に対して、そんな真面目な話はするなと檄を飛ばす。
さらに帰宅部には過酷な夏合宿があり、やはり意味もない世間話をしながら命をかけて厳しい山道を生き抜かなければならない。喋りながら、途中で誤って崖から転落した女子高生に対し部長は「そう……かおり、最後まで言葉乱れてなかったんだね」と涙を流して哀悼する。
そんな女子高生たちに対し、著者は「こんなにもひたむきな彼女たちに対し、そっとガンバレと応援してあげてください」と呼び掛ける。
また、作中に目立つのが、子供向けの教育番組のパロディだ。
かわいいぬいぐるみとおねえさん、というお決まりのパターンを提示し、そこでSMをあくまでも愛らしくレクチャーする。明らかに実在する番組のパロディーだとわかるキャラクターまでも登場し、彼らにやはり性的なものを付属させて、そこでドラマ的な人間関係をさせてみせるということもする。
とても、シュールである。がしかし、女子高生を記号化して、その細末に着目した主題のおかげで、シュールさが割と緩和されているのは、効果的だと言えるだろう。
少しずれた目で観察した女子高生像は、前作の「palepoli」を読んだときに感じた子気味の良い違和感と同じものがある。
不条理ギャグとも違った笑いを投げかけ、そこで苦笑する読者を見ながら、著者が笑いを堪えている様が目に浮かぶ。