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紙の本
触れられない恋
2003/07/30 23:11
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sin - この投稿者のレビュー一覧を見る
蛍が森を彷徨い出会ったのは面を着けた少年。
彼(ギン)は森に住む“人ではない者”「人間に触れられると消えてしまう」
蛍は夏になる度、森に通いギンに会いに行った。
共に過ごす中で芽生えていくもの。
けれど触れられない歯痒さ。
二人が行き着く先は…?![蛍火の杜へ]
緑川先生2冊目の短編集です。
私はタイトルにもなってる[蛍火の杜へ]が一番好きです*
紙の本
触れることはない
2022/04/08 21:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
触れることはできない、見つめ合うのが精一杯のはずの恋。
それがあの瞬間実った。それは永遠の別れ。
みずみずしくて悲しい恋物語りでした。
紙の本
その手に触れたなら
2003/10/20 00:00
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:菖蒲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本自体は春夏秋冬になぞらえて、4作品で構成されている。
ここでは、あえて夏の物語であり、タイトルにもなっている「蛍火の社」について述べていきたい。
主人公である蛍は幼いころに山神の森で迷ってしまう。
その時に蛍を助けてくれたのは、ギンという少年だった。
少年は、人間でもなく妖怪でもなかった。
しかし、ギンには触れることができなかった。彼もまた、蛍には触れなかった。触れれば、たちまちにギンは消えてしまうのだ。
それでも、蛍は彼に惹かれ、彼も蛍に惹かれていく。
そうして、年に一回の逢瀬を何度数えたことだろう。
幼かった蛍は中学生、そして高校生になっていた。
二人で出かけた祭りで、その時を迎えた。
ふとした瞬間に、彼は人間に触れてしまう。
彼は、消えてなくなった。しかし、最後に蛍とギンは何とも言えぬ嬉しさで
抱き合った。温かい、そして初めての抱擁。
そのあと、蛍に訪れる何ともいえない切なさには胸が打たれるものがあった。
これが最初で最後の触れ合いだった。
切ない恋が似合う夏。終われば一歩大人になった自分がいる気がする。