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グロテスク
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.8 231件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2003/06/30
  • 出版社: 文芸春秋
  • サイズ:20cm/536p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-16-321950-1

紙の本

グロテスク

著者 桐野 夏生 (著)

【泉鏡花文学賞(第31回)】美貌の妹ユリコと名門女子高の同級生和恵。最下層の娼婦として孤独でセンセーショナルな死を迎えた二人を取巻く黒い魂のドラマ。『週刊文春』連載を単行...

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商品説明

【泉鏡花文学賞(第31回)】美貌の妹ユリコと名門女子高の同級生和恵。最下層の娼婦として孤独でセンセーショナルな死を迎えた二人を取巻く黒い魂のドラマ。『週刊文春』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

桐野 夏生

略歴
〈桐野夏生〉1951年金沢生まれ。成蹊大学法学部卒。「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞、「OUT」で日本推理作家協会賞、「柔らかな頰」で第121回直木賞を受賞。

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みんなのレビュー231件

みんなの評価3.8

評価内訳

紙の本

『リアルワールド』に続いて、桐野が描くのは女子高校生の世界。もちろん、大人の世界もたっぷりあるけどね。で、これをリアルと感じるかどうかで、読者の成熟度が分かるんじゃあないか、私はそう思うんだよね

2003/08/03 21:17

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりに母親のところに帰って朝日新聞の日曜版を読んでいたら、読書欄に『グロテスク』が大きく取り上げられていて、今日はこの本を書くと予定していた私は「やられた」と思った。おいおい、桐野夏生を一番に扱うなんてことをやるなよな、アサヒメ、である。こうなったら、得意の外見から入るしかないじゃあないか。で、この本、カバーイラスト・章扉イラストは水口理恵子。特に、章扉がちょっと硬質なお色気があって、私は好きだ。出来るなら、イラストもカラーで見たかった。

ついでに書くと、この本を読まされた中三の長女は「この本、嫌いだ」という。あれ、面白いはずだぞ。だって、あんたの好きな私立の学校の話だし、ま、小説の方は慶応を思わせる小学校から大学までエスカレーターの名門校だけど、一応あんたも、中高一貫校に行ってるわけだし、と首をひねったものの、たしかに彼女の思いが分からないわけじゃあない。出てくる人間に、子どもでも分かる魅力的なキャラがいるかというと、決してそうではない。でも、ここに出てくる男女は、まさにあなたであり、私であり父である。現実は、笑うだけの面白さでは括れない。

全体は七章+最終章で、手記の形で描かれる。第一章は私が語る「子供想像図」。以下、ユリコの姉「裸子植物群」。ユリコの手記「生まれついての娼婦」。ユリコの姉「愛なき世界」。張の上申書「私のやった悪いこと」。ユリコの姉「発酵と腐敗」。佐藤和恵の日記「肉体地獄」。最終章、ユリコの姉「彼方の滝音」。

舞台は大きくは二つ。一つは今から22年前。ただし、ここで描かれる女子高生の姿は全く現在そのもので、回顧という形式を取っていなければ、過去と思う人はいないのではないだろうか。桐野には過去の時代を描く、という気はない。私はポーランド系スイス人の父と、日本人の母の間に生れた。父は吝嗇である。妹の名はユリコ、怪物的な美貌の持ち主で、小さい時から、誰の子だろうと騒がれ続けてきた。いつも周囲の目を惹く妹が煙たくてしょうがなかった。そんな家族の生活が崩れたのが、父親の事業の失敗である。日本での生活をあきらめた父は、家族と共にスイスの弟のところに帰ることを決める。しかし、両親との暮らしを望まぬ私は、名門校のQ女子高に受かったことで、独り日本に残る決心し、独り年金生活を送っている祖父と公団で過ごし始める。Q女子高内部のヒエラルキー、主流と傍流といった話が、私の視点で克明に描かれる。そこで私が出会った中等部組の天才のミツル、学校の中にある不文律に気付こうとしない佐藤和恵。子どもを名門校に入れた中流の親たちの背伸びし、絶望する姿がリアルだ。しかし、彼らの学校生活は、ユリコの突然の帰国とQ校の中等部への編入で崩れ去っていく。

もう一つの舞台が現代日本、東京である。私は、現在、東京のP区役所でアルバイトをしている。名前は最後まで明かされることはない。39歳。妹ほど美人ではないが、エキゾチックな顔立ちが人目を惹くらしく、他の部署の課長が顔を眺めに現れたりする。妹とは全く似ていない。二年前37歳の時、新宿の安アパートで殺されている。そして、先日、私の同級生の佐藤和恵が殺された。場所は渋谷の円山町のアパート。彼女は大手建設会社のシンクタンクで働くキャリアウーマンで、私と同じQ大卒。ユリコも和恵も、街娼をしていた。

視点は平田百合子、殺人者、佐藤和恵と移るが、そこにはいつも、ユリコとその姉がいる。彼らの言葉が明かす、自分と他人の評価のズレ。それが個人の思い込み、欺瞞をあぶりだしていく。ただし、この本はミステリではない。様々な視点による価値観、判断、ぶつかり合い、矛盾しあう言葉。東電OL殺人事件を思わせる事件が、核にあるけれど、やはり女性の手になると久間十義『ダブルフェイス』とは一味も二味も違った、一層説得力のあるものになっていく。

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紙の本

洞窟の壁画が語る夢

2005/04/29 15:56

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村静英 - この投稿者のレビュー一覧を見る

一つの事実を複数の人間が語る。
幾度も語られることで物語は展開する。
重く悲惨な事件をとりまく人々の本気の想いが、その生い立ちも含め、これでもかというくらいに濃く描かれる。
自分を中心に置いた、自分だけが清く正しく美しい独白の中に、どれほどの真実があるのだろうか。
実際にあった殺人事件がベースになっているらしく、“歪んだ現代社会の中の悲劇”と、無難に言えばそんなところか。
が、各々の一人称の告白は、一つの真実を探すには矛盾しすぎている。
まるで「羅生門」のように、言葉だけが空ろに回る。
人間はここまで自分を美化できるのだと、感心を超えて呆然となる。
果たして、本当の事だけを言った人は、いたのだろうか?
一番の嘘つきは誰なのか?
それとも、語られたたくさんの言葉は、それぞれにとって全て真実だったのか?
結果、彼らの身勝手な言葉の中に、事件の真相を見ることはできない。
誰もが正直な嘘つきなのだから。
人は誰も自分の聖域を持っていて、それを信じ守ることで、生は極上の娯楽になる。
犯罪や殺人さえも綺麗な言葉で正当化し、崇高な自己の世界に溺れていく。
人の業の深さの呪いのように。
たった一つ、判ること。
みんな、ただ、幸せになりたかったのだ。

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紙の本

なにが本当か

2008/02/22 23:12

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る

確かなことは、
二人の女性が売春相手に殺された、
ということで、
それ以外は、この話のなかでは、
はっきりいってどこまでなにが本当なのかは、確かではない。
どれも1人称の語りである。
主だった語り手は、
殺されたユリコの姉であり、
和恵の同級生でもある女性だが、
他の手記や日記に対して、
嘘ばかり、興味がない、と繰り返す。
しかし、しかしである。
彼女の言っていることもあやしいのだ。

なぜ、美しく、怪物的なユリコやミツルはカタカナ表記なのに、
和恵や百合雄は漢字表記なのか。
こまかいですが、そういうところまで気になりました。
東電OL殺人事件をそのままモデルとしてドキュメントした、
というより、すごく込み入った構成だと思います。
2段組ですが、あまりしんどさを感じませんでした。

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紙の本

桐野夏生の小説は読者を徹底的に支配する…

2004/05/09 16:59

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本作の登場人物は私、ユリコ、和恵、ミツルの4人が中心。
ユリコと和恵の2人は殺されるのだが、本作においては誰に殺されたのかなどの興味を持って読まれることを前提としていない。

女に生まれての容姿による人生の悲喜こもごも…

前半は私とユリコの姉妹間の確執が中心で興味深い。
特に、高校時代のエピソードは読者(とりわけ女性)にはリアルだと思う。
男性読者が読むと理解し辛い点もあるのだが、退廃的ではあるが、“女性の本音”だと思って割り切って読んだ。

やっぱり1番悲惨でその変貌振りが目立ってグロテスクなのは和恵であろう。
昼は一流企業のOLで晩は娼婦と言うモデルとなった「東電OL殺人事件」の主人公も和恵に当てはめることが出来る。
彼女の精神の分裂ぶりが後半の1番の読ませどころかな。

果たして娼婦に成り下がった登場人物たちは幸せであったのだろうか?
“努力”の象徴として勉学に励んで一流企業に就職した和恵の現実は儚すぎる。
女性の奥に潜む“真の孤独感”を描いてるとともに、先天的なもの(ユリコの象徴される)と後天的なもの(若い頃の和恵に象徴される)とのどちらを優先すべきであるかが不明瞭な“日本の社会のどうしようも出来ない歪み”がよく現れてると思う。
桐野さんの凄さはもちろん、小説として許される限りの脚色をほどこして読者を楽しませてくれる。

この作品はある意味“人生模索小説”である。
桐野さんは“読者の明日からの人生で壁にぶち当たった時や何か挫折しそうな時、この物語が何かの教訓となれば”と書かれたのであろう。
とっても重くて暗いけど、いつまでもどっぷりと読者の心に根ざす作品であると確信している。

トラキチのブックレビュー

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紙の本

誰か声を掛けて。あたしを誘ってください。お願いだから、あたしに優しい言葉をかけてください。綺麗だって言って。可愛いって言って。お茶でも飲まないかって囁いて。

2003/08/10 00:41

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アベイズミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「桐野夏生」の書く女達は、いつだって好きになれない。

嫌な女愚かな女醜い女。感情移入とは一番遠い所から、入っていくのが常のこと。この本「グロテスク」も例外ではない。いやむしろ、その度合いはいつもより激しい。誰もが誰もエゴが丸出しで浅ましい(それは女に限らないけれど)。それでも本から、気持ちが反らされることはない。そこには作者の「力」を感じる。とにかく強引なぐらいグイグイと惹き付けて読み進めさせる「力技」。そのせいだろうか、この本を読み終えた私はクタクタにくたびれていた。そしてさっばりとこの本から顔を上げ、毎日の暮らしに戻っていくのが難しかった。引きずられた。自分の立ち位置がグラグラとする。そんな本に出会ってしまうことが、私には時々あるのだ。

物語は「わたし」の語りで進められる。その湿った語り口は禍々しく、視線は意地悪く、どこか猟奇的な匂いさえする。江戸川乱歩の「人間椅子」や「芋虫」を遠くで思い出したりもした。

「わたし」には超人的な美貌を持つ妹「ユリコ」がいる。物語は「ユリコ」と「わたし」の同級生でエリートOL「和恵」が、中年の娼婦となって殺される。その謎を辿るという形で進んでいくけれど。「謎解き」が物語の主ではない。いつぞや週刊誌を賑わせた「東電OL殺人事件」がこの物語のベースになっていることはすぐに分かるが、おそらく、この物語は現実を大幅にリードしているのではなかろうか。そんな勢いと力に溢れている。

「ユリコの手記」「和恵の日記」「張(娼婦殺しの容疑者)の上申書」などを盛り込みながら、「ユリコ」「和恵」「張」そして「わたし」の姿を立体的にあぶり出していく。有り体な言葉を使うなら「心の闇」に迫っていくのだ。それぞれの心の底に巣くう、ぬぐい去れないコンプレックスを晒していくのだ。

常識やバランスを崩すほどの美貌の存在というものは、決して穏やかな日常など約束してはくれない。まるでそこだけ磁場が崩れるかのように、様々なことが起こっていく。妹に何かにつけ比較される「わたし」はいつしか戦うことを止め「悪意」で武装することを覚える。

「わたし」に限らず「ユリコ」に関わった人々が皆「不幸」になっていく。落ちぶれ見る影も無くなっていく。誰の心にも終わることのない、憎悪と混乱と不幸のスパイラルを描いていく。その「ユリコ」自身でさえも、自分の力に復讐されるように滅亡へと進んでいく。「ユリコ」とは不幸の象徴ではないか。と、私は物語の半ば過ぎまで思っていた。

しかし、物語が終わりに近づくにつれ、私の考えは変わっていった。ここに「不幸な出来事」など存在しないことに気が付いたからだ。そして、思い出しもした。「桐野夏生」の書く女達が、ある時点を境にいつも目覚めることに。それは彼女たちの奥底に眠る姿なのかもしれないし、思いも寄らない自分の姿かもしれない。とにかく、彼女たちは目覚めていく。後戻りはできないその場所から、大きく根を広げて飛び立つのだ。それは醜いアヒルの子が、白鳥になるのではない。空恐ろしい「怪物」への変身だ。とにもかくにも、目覚めてしまった彼女たちは絶対だ。嫌な女だろうと愚かだろうと醜くかろうと。私は言葉を挟めない。

物語の終盤。「和恵の日記(肉体地像)」には、とにかく引き込まれた。私は彼女のことは最後まで好きにはなれない。それでも彼女が、その痩せ過ぎてボロボロな体ひとつでつかみ取ろうとした世界を。世界を征服するということを、羨ましいとさえ思っている。彼女が世間という荒波を、全力で泳ぎきったということだけは、誰にも否定される事のない事実なのだから。

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紙の本

評価の基準

2005/11/01 12:54

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つな - この投稿者のレビュー一覧を見る

高校の同級生だった「わたし」と和恵。「わたし」の妹で、怪物的な美貌をもつユリコ。高校時代、「エリート達」に認められようと必死だった和恵。ユリコはその美貌だけをもって、「エリート」に認定される。時が過ぎ、和恵は一流企業に勤務しながらも、女としての評価を得るために、夜毎街に立ち春を鬻ぐ。同じく街娼となったユリコ。和恵とユリコは娼婦として殺害される。なぜ二人は娼婦となり、殺害されたのか。「わたし」が語っていく。
人間の嫌な部分が沢山描かれる怖い本。従順、協調性、優しさ等が、他者から見た際に重視される女性の世界。さらに容姿や学歴など、シビアでいながら、明文化されていない基準は沢山ある。小中学生であっても、区別の基準は数多あって、女の子のグループは形成されていく。
唯一自己から離れた冷徹な目を持った、ユリコは醜くなり殺されてしまう。
この本を怖いと感じた理由の一つは、落ちていく和恵の気持ちに分かる部分があったから。評価から逃れ、足ることを知るのは、大変に難しいことだけれど、結局、人の決めた相対的な土俵の上で戦っている限り、人は幸せにはなれない。

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紙の本

女性ゆえの悲しさかもしれない…。

2003/12/25 15:36

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「10年前のお姉ちゃんがいた世界だよ」。先に読んだ妹は何度もこう言っていた。この本のモデルは「東電OL殺人事件」だと言われているが、そうだったら−私は確かにいた。Q高校に。
 物語は、語り部として「わたし」、「ユリコ」、「張」、「和恵」が登場する。それぞれ日記だったり陳述書だったりし、同じ話が繰り返されることが多い。全体として、陰の部分が多く、何度も本を閉じては溜息をつく、その繰り返しだった。書評を書くのだって、何度も書いては消し、書いては消しの繰り返しだった。
 神様がなかなか与えてくれない「美貌」、「頭脳」、「家柄」、それゆえに持っている者に対して向けられる羨望の眼差しと嫉妬。この本はこれでもかというほどに、目を背けたくなるほどに、鋭く訴えてくる。
 中学時代努力をし続け、やっと入った高校ではただの人だった和恵。その中でも頑張ろう、頑張ろうとするが、それが空回りして、逆に変わった人として目立ってしまった和恵。段々変化していく和恵に哀れさを覚えてしまった。
 そして、思った。「気持ちは分かる」と。多分、人ってこうやって生きている。雑誌に「女性受けしている」と紹介されていた。私の推測だが、この本の登場人物の姿に、自分の姿を見る人が多いのではないだろうか。
 ところで、この本はQ学園(あるいはそのモデル)の日常生活がとてもよく書かれていた。著者の徹底した取材ぶりに本当に驚かされた。入学式から現われる階級差、部活動のこと、リズミック(リトミックと呼んでいた)、そして果ては卒業リングまで、私自身が「あった、あった」と思い出すほどで、本当に懐かしかった。
 描写がややオーバー気味のきらいはあるが、それは小説、やむを得ないだろう。
 誰しもが心の中にもっている羨望、嫉妬。この難しくてやっかいな感情に、これからどうやって付き合っていくか、考えていこうと思った。

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紙の本

怒濤の迫力で綴られた、幸せになれぬ女達の物語。

2003/08/02 11:24

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「わたし」の妹、ユリコは怪物。その美貌は、母にも姉のわたしにも、そしてスイス人の父にすら似ていない。そんな美しすぎるユリコは、娼婦となって客の男に殺された。彼女に何があったのか。
 前半の姉と妹に的をしぼった息苦しい関係はたいへんに好み。家族の誰にも愛されず、誰も愛さない「わたし」の孤独がしみる。いつも「ユリコの姉」としか見られないことへの憎悪や焦燥が我がことのように感じられ、スリリングであった。
 後半は和恵が光る。真面目なだけでは報われぬ、この世は不公平。彼女のとった復讐の手段は、愚かしくも悲しい。ミツルのその後や、かつてハンサムだった男、ユリコの息子などは私には余計に感じられた。「わたし・ユリコ・和恵」の三人に絞って書かれていたらもっと楽しめたろう。賢くあろうとした「わたし」が選んだ結末は嫌いだ。こういう展開は好きじゃない。だが、それでも目を離せない異様な迫力があって、ラストまで一気に読んでしまった。
 惜しむらくは、和恵は『天人唐草』、ユリコは『星の素白き花束の…』、ユリコの姉は『奈落−タルタロス−』と設定に山岸凉子の諸作という先例があることだろうか。ミツルはR.H.医師がモデルですね。事件自体は現実の東電OL殺人事件が元ネタと言われているが、私はこの事件をよく知らないので言うべき言葉を持たない。モデルがあったとしても、本書の価値がゆらぐわけではない。作中世界の粘度とすさまじさ、良き自分であろうとするゆえの不幸が読む者をゆさぶる。
 作中で殺人が二件起こるが、この事件自体の描写は少ない。被害者の手記という形式なために殺人場面は無く、被告の判決の描写すら無い。でも、この物語はそれでいいのだ。姉妹、家族をこえて「女」を描く大作である。

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紙の本

女はこんなふうに傷つき、刷り込まれている。

2003/11/27 01:31

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:RIKA - この投稿者のレビュー一覧を見る

絶世の美女、ユリコは娼婦になり娼婦として死んでいった。なぜ彼女は「マダム」や「女優」を選ばずに(それを選べるだけの素材ではあったはず)娼婦だったのか。私はそこに、ユリコの賢さと自由さ、それからこの本の核心を見た。

しかし、大半の女はユリコにはなれない。舞台となった名門Q学園を卒業した主人公、優等生からキャリアウーマンになった和恵のように、家族の期待や自意識や優越感と背中合わせの劣等感にがんじがらめになって、誰かをねたみ、誰かと比べ、あるいは、ひりひりした孤独を抱えながら、生きていく。社会の階層の中での女、男から否応なく値段をつけられる女として、そして、人間として、どうにかして社会とつながっていなければならないからだ。

この本の何がグロテスクかといえば、娼婦となって一生を終えるユリコが、次々と知らない男と体を重ねることではもちろんなく、真夜中の円山町で起きることでもない。そうではない、ユリコになれない女の苦悩が巻きおこす苛立ちの渦である。和恵の高校時代のエピソードや会社での奇怪な言動…そういう描写が恐ろしい。

殺された和恵が欲しかったものは何か。それを、娼婦にもならない、殺されもしない私や、他の女は手に入れているのだろうか。覗き込めば、自分の中にもグロテスクが横たわっているような気がした。

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紙の本

この疲労感っていったい…

2004/02/19 00:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読んだ後の疲労感は相当のもの。作者の描く世界に翻弄された気分。「グロテスク」の世界の中で、現代社会の人の心の闇の構図を垣間見たような感じ。

 人は他者と同質でありたいと願う。それゆえの思慕と憎悪。しかしまた人は他者と異質でありたいと願う。それゆえの尊敬と軽蔑、憧れと嫉妬。相反する願いと感情は人を混乱させ悩ませる。そこで人は確固としたものをもとめるのではないか。それが自分というものの存在価値。

 登場人物の「わたし」「ユリコ」「ミツル」「和恵」がそれぞれの手段で自分の存在価値を見いだそうとする。その時の感情や行為があまりにもグロテスク。そしておそらく4人の抱く感情を誰しもが持ったことがあるはずだ。しかしこの感情は人には知られたくない、いや自分自身も意識したくないはずだ。これが人の心の闇の構図…それを作者に鋭く暴かれたような気分になってしまう。

 自分の存在とは何か、答えはあるのだろうか。登場する4人の女性の中でその答えを見つけたのは「ユリコ」だけではないだろうか。
 
 「ユリコ」は幼い頃からあまりの美しさに他者の好奇の目にさらされてきた。それゆえ早くに自分と対峙せざるをえなかったのではないか。そこででた答え。「自由は自分の心の中だけ」…「ユリコ」のつぶやきである。欲望のままに生き、死んでいったような女性が、実は確固とした自分を見つけていたのではないかと感じずにいられなかった。

 人は他者との関わりがあるからこそ生きていけるけれども、真実はきっと誰にもわからない…誰の心にも闇が存在するのだ。

 忘れたくても忘れられないような読後の疲労感だった。

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紙の本

一流大学に入学し、社会人となり、娼婦に転落し、悲惨な末路を迎える女たちの物語、読み終えた私は三重のあわれさを感じるのである。

2003/08/21 15:56

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

じっとりと湿ってすえた万年床の異臭、安手の脂粉に混じった体液と汚物に加え、病んだ精神の腐敗臭がページを繰るごとに強まってくる。グロテスク!
日本人の描く哀しい女の生涯には伝統的に末路として春をひさぐ娼婦の物語が多い。自由が奪われたままに容色は衰え、ぼろきれのように心身をすり減らし、病死、他殺、自殺、心中か、いずれにせよ死を迎えるのである。
一流大学に入学し、社会人となり、娼婦に転落し、悲惨な末路を迎える女たちの物語、読み終えた私は三重のあわれさを感じるのである。

四人の女のうち三人が四十近く、醜い姿をさらして渋谷円山町の暗がりで客引きをする。
「おにいさん、一回三千円にまけとくよ」「一流大学卒よ」「一流企業のOLよ、身分証明書みてよ」「おじさん、私、処女よ」暗がりで小便はする、客に請われてベッドで大便をする。そのうちふたりは殺害される。娼婦になれなかった女は新興宗教の幹部になり無差別大量殺人に加担、獄舎に繋がれる。まずこの鬼気迫る狂態に悲惨をみる。なんとかわいそうな女たちよ。

幼稚園から大学までのあるこの一流の学園では人間の価値はどうやら出自・家柄・その副産物である資産価値で序列がつけられている。そんな教育の場は現在の冷徹な企業社会では決して一流とは言わないのだが、なぜかそうなっている時代錯誤はともかくとして、その枠組みから疎外されているヨソモノは存在価値がないのである。ヨソモノである彼女たちはこの環境にも屈服することなく、自己を確立し存在価値を高め個性を発揮しなければならないと確信する、すなわち自我に目覚めるのである。ひとりは絶世の美貌の持ち主、フェロモンつき肉体を武器に中等部から男の愛玩用いい女と目覚め早くも先輩を相手とする娼婦として君臨する。高校生のその姉は他人を不幸に貶めることに快感を見出し、持ち前の悪意を露骨に実行する。あとのふたりはテスト成績で一番を狙う。社会人になっても、彼女らにとっては同様の仕組み(ここにも錯誤があると思うのだが)があって、この閉塞状況から飛躍するにはなにをするべきか、すなわち娼婦になることであった。養老先生のベストセラー『バカの壁』を併読していたらよぉーく理解できました。「間違った個性発揮」「欲望をコントロールできない」「真実は人知では見出せないにもかかわらず一面を見て真実と誤解する」三千円で体を売り、腹の上で果てる男を見て「征服した」として自己満足する。このあたりが伝統的悲劇とは大いに異なる自己主張型確信的売春感覚なのだが、本当にバカな、なんとかわいそうな女たちよ。

これはバーチャルリアリティの中の寓話である。しかし、桐野夏生の力作と評価された作品だけに男性優位の差別社会の中で女の自己確立を衝撃的に描いた作品などと万一うっかり誤解して「ワカル、ワカル」とこの生き方を評価しあるいは共感したり感動をもって読む女性がいないともかぎらないなどと思い巡らし、これこそがまことにかわいそうな女たちよと嘆くことになるのである。

そこで、この本は男どもに薦めて「さて久しぶりに円山町界隈をウォッチングしてこようか」などとニヤニヤすることはできるが、まちがっても女性には薦めてはならない。「よっちゃん! あなた私になにを言いたいの」と食って掛かられることは避けたい。ましてこれで目覚めた女性から「三千円でどう?」などと絶対に回避しなければならない。

書評集「よっちゃんの書斎」はこちらです

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2004/10/13 15:36

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2004/10/23 07:58

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2004/10/22 23:02

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2004/11/15 06:38

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