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忘却の船に流れは光
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.7 12件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2003.7
  • 出版社: 早川書房
  • サイズ:19cm/369p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-15-208502-9
  • 国内送料無料

紙の本

忘却の船に流れは光 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

著者 田中 啓文 (著)

かつて世界は悪魔の襲来によって滅びた。それから幾星霜、聖職者ブルーは、悪魔崇拝者の摘発に参加し、世界の真理を探究する修学者ヘーゲルに出会うが…。著者畢生のSF黙示録。【「...

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忘却の船に流れは光 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

1,944(税込)

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商品説明

かつて世界は悪魔の襲来によって滅びた。それから幾星霜、聖職者ブルーは、悪魔崇拝者の摘発に参加し、世界の真理を探究する修学者ヘーゲルに出会うが…。著者畢生のSF黙示録。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

田中 啓文

略歴
〈田中啓文〉1962年大阪府生まれ。神戸大学卒。「凶の剣士」でファンタジーロマン大賞に佳作入選しデビュー。「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で星雲賞短編部門を受賞。

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みんなのレビュー12件

みんなの評価3.7

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (3件)
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  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

自ら変化球作家と名乗る田中啓文に何が起きたのか、それほどに真面目なSFである。駄洒落皆無怪奇雰囲気横溢極優秀空想科学小説意外立派、はい

2005/01/12 20:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

全体はプロローグ、第一部 地獄篇、第二部 煉獄篇、第三部 天国篇、エピローグからなる。

面白いのは「あとがき」で、虚実入り混じった「あとがき」なんだそうだ。で、田中いわく、この話は高校二年生の時に思いついたネタがもとになっているらしい。タイトルはダンテの『神曲』からとったという。そして、一度は中断、二度目はコンテストに応募したものの一次選考にもかからず、今回やっと陽の目を見たそうだ、まさに継続は力。

そして田中は、つい先日、SFファンであったことを止めたと告白する。一体、自ら変化球作家と名乗る田中啓文に何が起きたのか。その謎は「あとがき」の中であっけなく明かされる。どうだ、読んでみたくならないかい。ならないなら、仕方ないかなあ、もったいない。駄洒落もなくて、本当、真面目なんですぞ、話と、あとがき。

雨が殆ど降らない血原砂漠、そこで〈普遍者〉である男が見るのは〈壁〉。この世界の奇妙な生き物は奇豚、砂潜りに砂鯰、砂奉行、砂水母。砂漠を飛び回る〈踊り子〉、徘徊する砂龍、白い奇豚の王、そして小山のような達磨和尚。男が逃げてきたのは第五階層の貧民窟。彼が憬れるのは〈殿堂〉の大僧正、恐れるのは〈警防者〉。

五つの階層からなる世界。人々は階層ごとに分かれて住むが、厳密に行き来が制限されているわけではない。その全てを司るのは〈殿堂〉。〈聖職者〉ブルーは、男だが、股間にあるべきものがない。そのことは、しかし額の五芒星形のあざとともに〈聖職者〉のシンボルでもある。彼は角州坊、欽慈坊たち八名の神学士とともに暮らしている。なぜか彼を目の敵にするのが上位にある幻擾坊師。昇進試験を目前に、彼へのイジメは留まる所を知らない。

そうしたある日、彼らのもとに悪魔崇拝者の集会が開かれているという緊急通報が入る。彼らが携帯する武器は如意棒、矛、刺股、突棒、袖からみ。1人、留守番を言いつけられたブルーのもとに、さらに緊急通報が。相談する相手もいない彼は、別地区で開かれていた集会に出向く。

そこで出会ったのが病床にある飛縁大僧正の片腕として〈殿堂〉を動かす倶泥名誉大司教の庇護の下、辣腕を振るう大蟻象司教だった。他にヘーゲル、マリア、赤ん坊のチカ、〈雌雄者〉〈保育者〉〈修学者〉といった如何にも何かを象徴したような人間たちが登場する。

これは、彼らの住む世界の真実の姿を暴く話である。いや、現れる物語というべきだろうか。この話ばかりは、映像化をしてはいけない。アニメでもまずい。途中で、奇怪な様子が、その世界の、彼らの姿の異様さが徐々に姿を見せる。やっと、作者が描こうとした世界が見えてくる。それを楽しむ本である。そう、極めて真面目なSFなのだ。

ただし、〈 〉書きで示される様々な名前に振ってあるルビを読むと、変化球作家、私に言わせれば駄洒落作家田中の片鱗がうかがうことができるところが幾つもある。それでも、これは極めてオーソドックスな、いや最近のVR世界になれた読者には、新鮮なくらい王道をいくSFである。あの田中にこんな話を書くことが出来るのか、驚きをもって読んだ。

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紙の本

本書を読まずして田中啓文を語るなかれ

2003/07/29 12:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:喜多哲士 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 閉ざされた空間に作られた都市。その都市の秩序を保つのは徹底した階層社会。というと、眉村卓あたりの社会派SFを連想する人もいるだろう。しかし、本書の作者は田中啓文である。支配階層である〈聖職者〉には性器がなく、子どもをつくるのは性器のみが発達した〈雌雄者〉である。子どもを育てる〈保育者〉は三対の乳房を持ち、作物を育て取り入れる者は三対の手足を有する〈耕作者〉、治安を守る〈警防者〉には鋭い嘴と爪がある。さらに脳だけ肥大した研究者である〈修学者〉……。神〈スサノオ〉によって産み出されたフリークスがそれぞれの階層で都市を守る。特化していない者は〈普遍者〉と呼ばれ、最下層の身分とされている。
 この設定だけでわくわくしない人がいたとしたら、その人はSFファンではない、と断言してしまおう。物語は、〈修学者〉に生まれ〈聖職者〉として育った主人公が、悪魔崇拝者たちの会合を取り締まったその場で出生した〈普遍者〉の子どもを〈保育者〉に預け、そこで出会った〈修学者〉からこの世界を律するルールに対する疑念を示唆されるところから動きだし、秩序に従おうとする心とこの世界の隠された秘密を知りたいという欲求の葛藤を経て、ついに真相にたどりつくまでを描く。その葛藤、真相、複雑な人間関係は、一点に収斂していく。作者のその手並みたるや見事なもの。
 読み始めたら一気によまずにはいられない面白さではあるが、私は本書を読了した後、本書が作者のデビュー直後に書いていたヤングアダルト作品でただよわせていた匂いを感じていた。そして、その余韻にひたっていた。本書では、人間の悪意、虚無感、猥雑性、幼児的なものがごった煮のように詰めこまれている。小さい子どもが不思議な姿形をした怪獣に熱中するように、怪獣が町を破壊する様子にカタルシスを感じるように。それこそ、作者がデビュー以来ずっと追い続けてきたものではなかったか。
 本書ではまた、作者独特の言語感覚、言葉遊びの楽しさも味わうことができる。駄洒落すれすれの寸止め……いや、もうこれは駄洒落を超えた言語遊戯かもしれない。
 汚物や猥褻なものを嫌う潔癖な人たちには、本書は受け入れられないかもしれない。しかし考えても見てほしい。人間、いや生き物、いや、この世界全てを律する現象は全てがそういったもので満たされているのではないか。作者の小児的なまでの汚物指向を嫌悪してはならない。そこにこそ、生けとし生きるものの真実が現れているのだ。
 さあ、ここまで拙文を読んだあなたなら、もうおわかりだろう。本書を読まずして田中啓文を語るなかれ。ここには彼のエッセンスがたっぷり詰めこまれているのだから。(bk1ブックナビゲーター:喜多哲士/書評家・教員)

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紙の本

彼からアレを取り上げるのは不可能だ。

2004/10/06 20:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ほーく - この投稿者のレビュー一覧を見る

 関西、いや天下随一の駄洒落SF作家・田中啓文が時々見せるその筆力はある種の麻薬のようだ。一度体験したその衝撃は脳内にこびりつき、その余韻からは容易に
抜け出せない。しかも、それは禁断症状を伴うのだから大変だ。
 本書もいたるところに掛け言葉、というより思いついたネタを無理やり使い切った言葉(それを駄洒落というのかどうかさえ悩ましい)、びろうな単語が溢れ返っている。それ故に生理的嫌悪感より読者を限定してしまっている。
 だがしかし! そんなことはどうでもいい(いや、それだから彼らしいのか)、今回の作品の描く世界観はひさびさにスケールがでかい。世界創造から現在の社会秩序まで、その描写はともかく一貫しており、読者の脳裏には世界が構築される。そしてダイナミックな物語の展開は一気にクライマックスまで続く。
 オチはまあ、著者の悪いくせというか魅力というか…。

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紙の本

無題

2004/04/04 18:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:青木 - この投稿者のレビュー一覧を見る

どちらかというとつまらなかった。初めて田中啓文を読んだが、もう一作くらい読んでみる予定。
これに一番近い話は神林長平の「あなたの魂に安らぎあれ」だろう。
ちょっと変な世界で主人公がひどい目にあう話。(まあ「ナウシカ」もそんな話だっけ)その変な世界は現在の地球と どう繋がるのか、という大仕掛けがお約束の見せ場だけど、壮大な虚構を取り扱うだけにキャラが生きていないと虚構負けしてしまう。
SM好きな人にはバイブルかも。

(spelled from純粋呪文)

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紙の本

著者コメント

2003/08/02 22:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:田中啓文 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この作品は、SF好きはもとより、ミステリ好きもホラー好きも伝奇好きも恋愛小説好きも皆顔をしかめるようなめちゃくちゃな内容である。どうしてこんなことになってしまったのか作者の私にもわからない。ただ、駄洒落好きは、巻末で少しにっこりしてもらえるかもしれない。あくまで可能性だが。

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2004/11/12 21:01

投稿元:ブクログ

日本神話とクトゥルフ神話の綯い交ぜ度合いは相変わらず。SFとしても、骨太のテーマ「世界の謎」に取り組む。壁と階層に別けられ、職業毎に姿形まで異なる人間たち。奇抜な世界観に引き込まれ、そしてブルーが辿り着く意外な結末(ちょっと意外を追求したあまり、作中に矛盾がある気もしますが)に驚かされる。

2003/12/13 23:08

投稿元:ブクログ

●駄洒落SFミステリの大家。だっけ?
牧野修・我孫子武丸との共著「3人のゴーストハンター」を読んだのが最初ですが、耽美牧野論理派我孫子両氏を尻目に、ひとりひたむきに汚物路線を走っていたような記憶が。て誤解ですか?
分類はたぶん悪魔エログロSFでいいと思うんですが、なんか違うな。
いちおうのエロシーンも、あんまりエロくないんだよね。
成年まんがの牛乳少女が、エロを通りこしてギャグにしか見えないような感じと言えば、なんとなくおわかりいただけるでしょうか?

●SFとしてはきれいに落ちててよろしいんじゃないかと思います。はい。
別にSF読みじゃないですけど私。

2011/05/28 11:29

投稿元:ブクログ

図書館で借りました。

 SF。
「蹴りたい田中」を書いている人だけあり、この作品の流れも、そんなダジャレ要素満載。
 よく人が死ぬ。けっこう無惨。
 その上、ヤオイちっく。
 階位制の頂点、聖職者は性器を持たない。ブルーという神学生もまた性器がなく、それでもそういった欲望は持っている。嘘をついた罰として師父に拷問されるのだが、……そのものずばりハードSMですな。めっちゃスカ●ロ系だし。
 気味悪いものがいっぱいてんこ盛り。

 内容は
 悪魔によって人類は滅ぼされ、主は人を守るために世界を作り出した。
 そこは完全な階位制。
 そして幾星霜。悪魔崇拝がその世界を覆い、その世界は滅びかけていた。
 ここは地球で「壁」の外には世界があるのだと、ヘーゲルは言う。
 だが、壁の外は宇宙だった。
 ここは船なのだ、と気がつく。
 そして、ヘーゲルが死んで、ブルーは真実を探求し続け、理解する。
 ここは宇宙船の中ではなく、タイムマシーンの中なのだ、と。

 ここまでくればオチはおのずとわかる。ラストで。
「かくして円環は閉じられた」
 そういうこと。

 嫌いじゃないが(笑)、大怪我をしているわりに、みんな元気に動いてしまうのがわからない。そのへんがリアリティーがない。
 二段仕掛けの真相というのは、面白い。さすがだ。

2012/05/11 19:25

投稿元:ブクログ

またそういうオチかっ!田中啓文じゃなければ許さないところです


SFネタが盛りすぎというくらい盛りだくさんで楽しめましたが、昔と比べてグロ描写のレベルが下がった気がします。
方向性が違うだけかもしれませんが。

2013/04/30 02:24

投稿元:ブクログ

 2003年に田中啓文が刊行した書き下ろし長編SF小説のタイトルを見た瞬間、読者の脳裏には奇妙な疑問が渦巻いたに違いない。
 「もしかして、ついにマジメなSF小説を書いたのかな?」
 田中啓文といえば伝奇SF等で実力を発揮する一方、必要以上に描写されるグロテスクな場面や、どんなに真剣にやっているように見えても最後の最後をダジャレで落としたりと、悪趣味としか言えない、でも悔しいことに読んでて面白いクセのある小説で一部に熱狂的なファンを獲得していた作家である。なにしろ作品のタイトルからして『銀河帝国の弘法も筆の誤り』(SFの古典的名作『銀河帝国の興亡』が元ネタ)や『蹴りたい田中』(言うまでもなく芥川賞受賞の『蹴りたい背中』が元ネタ)とマニアックに人を食っている。

 そんな訳だからみんな新作の刊行時は怖々待ち受けていたのだが、今回はタイトルが『忘却の船に流れは光』である。ダンテの『神曲』の一節からとったというこの硬派なタイトルに、カバーイラストは不穏な空気に満ちたデザイン。さすが早川書房が社運をかけてスタートさせた叢書「ハヤカワSFシリーズ Jコレクション」の一冊として刊行されるだけあって田中啓文もマジメにちゃんとした超大作SFに取り組んだのではないか――そんな憶測が飛び交ったのでる。
 実際はどうだったか。

 かつて悪魔の襲来によって滅ぼされた世界。そこに神によって巨大な閉鎖都市が建造され、生き残った人々はその中に入ることで悪魔の侵攻から逃れた。都市は5つの階層に分かれており、そこに暮らす人々も職業によって身体の構造が違っていた。
 やがて何世代も経るうちに人々は都市こそが世界のすべてのように認識するようになっていた。そんな世界で「聖職者」として生まれたブルーは、ある日、偶然のきっかけで悪魔崇拝者たちの集会の摘発に加わるのだが、その日を境にブルーの運命は大きく狂い、驚くべき世界の真実を目の当たりにする事になる。

 一体、この都市は何なのか。悪魔の正体とは何か。なぜ人々は職業によって身体構造までが違うのか。というかこの人たちは人間なのか。それなりに文明は発達しているようだが、一体いつの時代の話なのか。そもそもここは我々の住む世界とは違う異世界の話なのか。
 読みながら様々な疑問が噴出するが、猥雑で奇怪な世界観にそんな疑念を挟む余裕もなく引きこまれてしまう。やはり田中節は健在で、登場人物たちは容赦なく酷い目にあわされ、良識ある人なら目を背けてしまうようなグロ描写もたんまりと用意されている。
 だが今回は不思議な世界の空気感が背徳的な雰囲気を醸し出していて、それらのグロ描写がかなり効いているのだ(といっても明らかに必要以上にグロテスクな場面が多々…)。
 僕は読みながら何故かヒエロニムス・ボッシュの『快楽の園』という祭壇画を思い出していた。よくわからないが、そこに繰り広げられるぐっちゃぐちゃでねっちゃねちゃな淫猥で醜悪な場面は、人の原罪をも表しているように見えたからだ。
 そう思わせるくらい、この小説には様々な寓意が満ちている。階層に分かれて暮らす人々の退廃した生活。真実を知ろうとする欲求が芽生え、不可侵の秘密に触れてしまう罪…。西洋趣味と東洋趣味が絶妙にブレンドされた田中ワールドは、妖しい魅力を放ちながら読者こう問いかけてくるようだ。キモチワルイとか下品とか言いつつこういうの好きなんでしょ、目が離せないんでしょ、と。
 圧巻の終盤ではまさに驚天動地の真実が明らかになる。それまで無条件に受け入れてきた世界が変容する感覚。何もかも無批判に信じこむことの罪。

 ただし、勢いでなんか飲み込んじゃったけど読後によくよく考えると辻褄のあっていないところも散見。うーむ、と思いネットでインタビューとかを探して読んでみると、作者も承知の上でやっているらしく、「編集の人にこうしろって言われたから」的な言い訳をしている。まあたしかにこの方が面白くなってはいるが、辻褄合わせる努力くらいはしなさいよ。その他にも結構いい加減な部分も多いらしく、タイトルが『神曲』に由来しているというのもネタ臭い。まあ田中啓文だしな…。
 そんな訳なんで田中テイストを効果的に盛り込んだかなりの力作ではあるが、ラスト、やっぱりダジャレで落ちるかどうかは読んでのお楽しみだ。ただしどちらにしてもかなり意外などんでん返しが待ち受けるラストであることは確か。

 作者はその後、趣味を活かして創作落語などでも活躍。落語小説「笑酔亭梅寿謎解噺」シリーズも刊行している。またもう一つの趣味であるジャズの知識を活かした「永見緋太郎の事件簿」シリーズはエロもグロもギャグも封印したクールな(!?)、ジャズミステリーとして評価を得ており、第62回日本推理作家協会賞短編部門を受賞した。多彩な人だ。

2012/06/18 21:43

投稿元:ブクログ

見覚えのあるオチはたぶん様式美ってことで。
すごくよい和製SFでした。海外SFだとキリスト教の感覚すぎてわからないものが仏教だとこうなるのかーみたいな。あと文庫版での篠房六郎がいい仕事しすぎだとおもった

2016/07/13 17:03

投稿元:ブクログ

主人公の壮大なだらしなさも、拷問や環境の描写の強烈なエグさも最高。テンションがいやでも上がっちゃう。ひとくちで勘弁してくれって思っちゃうくらい、いろんな味が詰まった物語。

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