紙の本
ロストジェネレーション、ロストラブ
2004/03/24 00:39
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投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説と、スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」は、学生時代から折にふれて何度か読み返しています。書店に新訳で並んでいるのを見て、また何年かぶりに読んでみました。読み易いですね。古くさい表現にいちいちひっかかったりすることもないし。
巻末には訳者による丁寧な訳注と解説が付され、この小説の誕生した経緯が結構詳しく紹介されています。当時敬愛していたガートルード・スタインという女流作家に「あなたたちはロスト・ジェネレーションね」みたいなことを言われたのに反発したことが動機で編まれたらしいこの長編小説は、いわゆる「モデル小説」で、個性的な登場人物には全て身近なモデルがいて(主人公のジェイクはヘミングウェイ自身)、彼と彼の仲間たちによる休暇中の実際の出来事がベースになっているようです。
また、スコット・フィッツジェラルドの助言により、冒頭を16ページもカットしたそうです。この小説、「ロバート・コーンは〜」と、嫌味な脇役の紹介から始まるので、何でかなって思ってましたが。
素晴らしきスペインでの休暇。それは大自然の中での優雅な鱒釣り。フィエスタの喧噪、連夜のバカ騒ぎ。闘牛場での熱狂と興奮。そして休暇が終わり、去り行く人々。
主人公ジェイクの醒めたたたずまいに同じく、一夜の夢物語といった感じのストーリーは、緩く、クールに彷徨います。
学生のときにこれら2つの小説を読んで、「失われた世代」という言葉を知り、そんな時代からすでに我々は失われていたのかとちょっと唖然としたことを思い出し、何かを得ては何かを失い、人の世ではもうずいぶん前からそんなことが延々と繰り返されてきたのだろう、などときっと前に読んだときと同じようなことを考えつつも、私はすべてが泡と消えてしまうかのようなラストの主人公のセリフが好きで、やっぱりこれって恋愛小説じゃん、とあらためて思ったりもします。
紙の本
自堕落な展開にはまってしまった
2019/01/26 23:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
実はヘミングウェイを初めて読んだ。映画になっている「誰がために鐘は鳴る」や「武器よさらば」にしても、映画すら見ていない。どうも、彼の書く作品の印象というのがアメリカンマッチョが独りよがりに想い悩むだけだと勝手に思い込んで敬遠していたのだ。先ず、手に取ったこの作品を読み進めて行って、アメリカンヒーローが全く出てこないことに安心した、そして、この作者の実体験をもとにしたというフィエスタの期間中のいい女ブレットを中心として繰り広げられる自堕落な展開、特にいかれたユダヤ人コーンのだめ人間ぶり(この人にもモデルがいる)にどんどんと惹かれていった。あったいう間に読み終えてしまった
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日はまたのぼる
2022/06/25 10:09
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投稿者:ねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロストジェネレーション
紙の本
日はまたのぼる
2020/03/08 19:13
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投稿者:あっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
強い人間 強くない人間 とちらも人間
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この本についてのレポートを書かなければならなくて、仕方なく買ったけれど、2,3ページ読んで相容れないことに気づいた。ヘミングウェイ的な男のロマンは大嫌い。
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リンクは新訳版ですが、大久保康雄氏の旧訳版で読みました。第一次大戦後のパリ・スペインでの情景を描く、簡潔で断定的な短文。生命力に満ちた力強さと、日が昇り日が沈む繰り返しの中、確実なのは“いま”だけであるという虚無感が同居した名文です。ロスト・ジェネレーション、失われたのは過去か未来か。愛も美も狂乱も、やるせないまでに淡々と描く筆致が印象的。
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「あなたがたはみんな失われた世代ね」という言葉が冒頭で引用されているけれども、その意味がよく分かる作品だと思う。ヘミングウェイ作品の中の真骨頂だと思う。(登場人物が同年代だからかもしれないけど…)
登場する人物たちのQOL(Quolity of Life)の高さに、ちょっとうらやましさを感じる。一方、本当は世のため人のために自分の人生を捧げたいのに、その信念で参加した第一次世界大戦でそれを裏切られ、逆に鬱屈してやり場のないエネルギーに満ち溢れてしまっている感が良く出ている。生活は充実(?)してても、あとで無駄に感じてしまう時間。闘牛が終わった後のやるせなさ。終わった後もすっと本を閉じて日常生活に戻れない、漠とした荒涼感が残るところに、現代にも通じる若者世代の感覚がよく表現されていたように思う。
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タイトルに惹かれて!・・・と思いきや、中身は結構暗い話。なんか太宰治の人間失格を彷彿としてしまった。話は全然似てないけど。
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これを読むと胸が苦しくなります。恋がしたくなる、というか。
不毛だなぁ、なんて思いながらビールが進んじゃう。切ない終わり方がたまらない。最後のジェイクの台詞!!!でも原書のほうがよりぐっときます。ヘミングウェイの作品でたぶん一番好き。
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当時のアメリカで青春時代を過ごしている若者たちの一連の行動の物語。アメリカ文学は言葉の一つ一つの意味とか、風景描写とか、そんなものを楽しむのではなく、この登場人物たちの行動に如何に読者が自分なりに意味を見出すか、というように読む気がする。この話も表向きは若者らしく楽しく騒々しく過ごす人物たちの、その実少し暗鬱でもある妙な心持をさぁ、共感でもなんでもしてくれ!的な空気は感じるが、個人的には「長い。闘牛士可哀そう。」以外の感想は出てこなかった。盗んだバイクで走りだす人に憤怒するタイプの人はこの話にも憤怒すると思う。
同著者のものなら老人と海のほうが好きかな…
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悪くない。良いとは思う。ジェイクもブレットも、描き出される風景も、魅力にあふれている。だけど私には、どうして多くの人が騒ぎ立て、この小説を崇めるのかは、ちょっと理解できない。小説自体は良くても、この小説を取り巻くキャッチコピー的空気みたいなのが、激しくいやだなと思った。
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軽妙でドライな文体と刹那的な恋。戦争の影。スペインの情熱的な祝祭を舞台に繰り広げられる人間模様は何ともやりきれない思いを残します。戦争も悲恋もお祭りも、何事もなかったようにまた昇る太陽。いかにもヘミングウェイらしい作品です。
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面白かった!
ヘミングウェイは老人と海の良さがあんまりわからなかったからあんまり期待せずに読んだけど、ばっちり楽しめた。もう一回老人と海読んでみるのもいいかもしれない。
スペインの闘牛を見に行った男女が繰り広げる恋愛劇?こういうと全然おもしろくなさそうやけど…。
割とみんな経済的にも性的にも享楽的で、後先のことを考え無い感じ。
そういう世代をロストジェネレーションの作家たちっていうらしいけど、同じロストジェネレーションの作家でもフィツジラルドとかとは大分感じが違った。もっとクールだった気がする。ギャッツビーとコーンの描かれ方の違いを見てもそう思う。
どちらももう時代遅れになってしまった価値観や夢を信じている人物だと思うけど、ギャッツビーがあんなに魅力的だったのに対して、この小説でのコーンは悲しい間抜けだった。
あと、主人公が性的に不能なんだけど、それで女性たちとの関わり方がすごく新鮮に見えた。どうやっても報われない雰囲気がずっと漂っていてそれは結局最後まで続いた。
別に性的に不能でも幸せに女性と結ばれることは全然可能だと思うけど、作中の退廃的な雰囲気と相まって「どうしようもない」って言う感覚が妙に説得力を持ってた気がする。
印象に残ったシーンはビルが酔っぱらって犬の剥製のジョークをいうところと、ブレッドが闘牛士とどこかへ出かけた後の男三人の雰囲気、そしてラストシーン。あとはブレッドがワイワイ騒ぎの最中にふいにみじめな気分になるところとか。
闘牛についての説明はなんかくどくてうんざりした。これはまあ単なる好みの問題か。
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ヘミングウェイ自身の実体験をもとに書いた作品。
戦争で性交渉不能になる傷を負ったジェイクと、多くの男と遊び歩くブレット。二人は互いに惹かれながらも、微妙な距離感のまま物語は進行する。
個性をもった友人達との会話、フランスの山並みや川の風景、スペインのフィエスタでの熱狂、友人であるコーンに対するジェイクの冷めた視線・・・。文章が生き生きとしていて、想像力がかきたてられる。
原書でも読んでみたい一冊。
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アンニュイ。とてもアンニュイ。好き勝手に生きているように見える若者たち。でもそれがかっこいい。だらしなさも、やるせなさもひっくるめて。原文でも結構、読めちゃいます。そんな難しい文体ではないですよね、ハードボイルド。