紙の本
してやられたっ!読後感も良かったし、好みの倉知淳作品のなかでもこれが一等好きである
2004/04/17 20:35
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投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品、方城成一と藤重佐枝子の両者の視点から交互に語られて
いくんですね。そして行って、ある箇所であることが明かされる件りで、
「えっ? えーーっ!」と、思わず天を仰ぎました。
してやられたっ!
以前、小泉喜美子さんのあるミステリを読んだ時に感じた
「あっ! そういうことだったんかい。してやられた」と
呆然とさせられた驚き、それを本書でも味わうことができました。
それと第二章で、成一が猫丸先輩に電話をかけて話す場面。
猫丸先輩が、「あ、ひょっとしてお前さんとこ、ジョンとかカーター
とかって名前の犬、飼ってないか」と言う台詞があります。
なんなんですか、この冗談は?>猫丸先輩
と聞いてみたくなったんですが、もしかして猫丸先輩、ミステリの
大御所カーのことを指して言ったんと違うかな? と。
ジョンてのは、ジョン・ディクスン・カーのことで、カーターてのは、
カーの別名義カーター・ディクスンのことじゃないかと見当つけて
みたんだけど。うーん、違うかなあ。
そうそう、日常の謎派のミステリに触れて、その持ち味、身上とする
ところについて語った巽 昌章さんの巻末解説も、実に読みごたえが
ありました。鋭くて的確。倉知淳作品等の「日常の謎派」ミステリの
本質的な部分を解き明かし、垣間見せてくれたみたいな。
お見事!
倉知淳さんのミステリ。
『星降り山荘の殺人』『猫丸先輩の推測』『日曜の夜は出たくない』
『過ぎ行く風はみどり色』と読みましたが、一番好きなのは本書です。
読後感がいつにも増して心地よく、爽やかだったのと、仕掛けのミソで
感じた驚きてのが、寝転がって読んでいたのをむくりと起き上がらせて
くれるものだったから。
しっかしなあ、思いがけなかったなあ、そういうわけでああいうことが
起こっただなんて。詳しく書くと、勘のいい方だと見当がついてしまう
かもなので、奥歯にものの挟まったこういう言い方しかできないのだ。
ま、とにかく、作者の仕掛けにまんまとしてやられちまったいっ(笑)
紙の本
爽やかなミステリー
2007/06/09 19:14
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投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
猫丸先輩シリーズ第2作目は長編本格ミステリー。
成城に一代で財を築いた方城兵馬が密室状態で殺され
その方城が気に入っていた霊媒師が
その屋敷で降霊会を行い、また密室殺人。
さらにもうひとり殺されてしまう。
と、連続殺人が次々に起こる。
この家の孫の方城成一が奇妙ながらも
奇妙なことにめっぽう強い猫丸先輩に助けを求めて
猫丸先輩登場、となるのだが、それまでが長い。
語りは成一と、体が不自由で両親を早くに亡くし
同居する従妹のクロスカッティングで描いているのだが
内気な思考がくどいし、細かくカッティングしすぎでうざったい。
でも、ミステリーも謎解きもおもしろい。
犯人のアリバイに関するトリックも意表をついているし
これってなかなか使えないでしょう。
一歩間違えれば人権問題ですよ。
でもこの部分はうまく描いています。
霊媒師のキャラクターが憎めない。
いい味わいで、家族の絆を描くミステリーになっている。
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猫丸先輩のシリーズは短編ばかりですが、この作品のみ長編です。
このトリックはほぼ100%やられます。
ぜひ気持ちよくやられてください。
私は思わず「あぁ、やられたぁ〜」と声に出してしまいました。
決してアンフェアではありません。読後はとてもさわやかです。
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また叙述にだまされました。
いや、だまされるのは別に構わないのです。むしろだましてだまして最後にあっと驚かせてくれ、みたいな感じのスタンスでミステリ読んでますから。
その点ではこの作品には見事にだまされて「そうだったのかー!」となったので合格じゃないかしら、と。まあ合格とか言うのはおこがましいのですが。
ただ、『星降り山荘〜』でも思ったのですが、割と叙情的な文章を書くのに、出てくる登場人物が胡散くさいのが気になるというか鼻につくというか。もっと他になかったのかしら、と思ってしまうんです。どうもそれがこの作品のすっきり感を損なっている気がするのですよ。猫丸先輩も一歩間違えたら図々しくて口の悪い人になってしまうしなあ。なんていうか、人間を描こう描こうとしてるんだけどそれが裏目に出ている感じが否めないのです。そこが残念でした。
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猫丸先輩の二作目。
長編は長編で面白いなぁと思います。
ラストは、ほのぼのな感じで、
良い話。
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タイトルが示すとおり、読後爽やかな作品。事件自体は結構陰鬱なのですが、それを補って余りある成一と佐枝子の恋物語というか、なんというか。推理小説としても、非常に丁寧。真相が明かされるに至っては、それまでの伏線を全て読み返して、歯軋り。
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読み終えて冷静に考えてみれば尺の無用な伸ばしとしか思えないような描写も結構あった。が…読んでる最中はそんなこと全く気にならない。やっぱりこの一種独特な雰囲気がなせる技なのかなぁ。またその「いかにも」な本格っぷり(名探偵、視線の密室、降霊会etc...)と伏線の妙、メロドラマ風の描写としか思えないところにも伏線が仕込んであったりでかなりよく出来た本格ミステリって印象だった。ま、冷静に判断すればガチガチの本格と言うわけではないような気もするけど、ミステリとしての面白さも、これを読んでるとやっぱりプロットの力なんだなぁと思った。
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猫丸先輩シリーズ。
「亡き妻に謝りたい」と望む父のもとに長男が連れてきたのは、いかにも胡散臭い霊媒師。
騒ぎの中、当の父は密室で殺され、降霊会では第2の殺人が。
本格好きにはたまらない一冊。
倉知さんは短編では日常に根づいたほのぼのとした作品を書く作家さんですが、長編こそこの人の真骨頂という気がします。
何しろ、複線の張り方や、読者に対する罠のかけ方が上手い!とにかくご一読あれ。
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猫丸先輩の長編。短編はほのぼの系のいわゆる日常の謎ものが多いですが今回はいつもと違う先輩も…。
単純なトリックなのにすっかり騙されました…。
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この人の長編は面白いと思う。
読む前は、結構厚みがあって読むの大変そうだと思っても、結構さくさく読めてしまうので、全然苦痛じゃない。
時々こじつけぽい感じもあるけれど、読み終わった後にすっきりする内容なので良いと思う。
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私の場合、ミステリー読む時に事件の犯人とか実行方法とか推理しながら読むほどマメではない。だからトリックの出来より謎解き役の人となりが重要です。
この作品では前作と同じ「猫丸先輩」という事件とは全く関係無い人が探偵役。「只の好奇心が強い変な人」として実に興味本位に事件に関わるので、コメディタッチで読みやすいんです。
前作「日曜の夜は出たくない」は短編集でしたが今回は長編。事件解決まで間を持たせることも無くテンポ良く話が進み、楽しく一気に読めました。
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おたくは秋葉原や池袋にいるとは限らないですよ。その趣味、いっそおたく的だと評される偏執狂な部分、ありますよね。宅の趣味ですの、はあ、そうですか。そんな境界線のおはなし。秘密基地に招待したいされたいおたくって愉しい!
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隠退した不動産業者の死に続き、怪しげな霊媒師が行う降霊術の最中、当の霊媒師が
殺された。 相次ぐ密室状況の不可能犯罪に挑む、おなじみ猫丸先輩の名推理。
倉知淳が〈天然カー〉ぶりを発揮する、本格長編ミステリ
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猫丸先輩の長編。トリックに関しては…内緒です(笑)。読んでください。ただ、猫丸先輩の出番は、意外と少ないですので、他の短編集等猫丸先輩をよく知ってから読むと良いでしょう。タイトル同様読後感も良い感じでした。
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猫丸先輩シリーズ長編。すごい長い(笑)何が素敵って「探偵が事件後に現われる」ことですよ。事件前に居たら「なんでそんなのろのろしてるんだよ防げないで」とか思うんですけども(笑)そして感動したのがラストの解決シーン。さすが猫丸先輩!警察の前で偉そうに喋り倒して犯人暴いて逮捕させるような探偵なんてくだらねーと思いました。真相語るだけじゃ「解決」にはならないんだな。長いから読むのは大変そうですが結構さらさら読めるしこの最後の猫丸先輩の粋っぷりは見て損はない。