サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

honto7周年&会員500万人突破記念!hontoポイント最大7倍キャンペーン(~6/30)

【HB】丸善丸の内本店×hontoブックツリー「人生と幸せとお金」ポイント5倍キャンペーン(~6/26)

電子書籍化お知らせメール

商品が電子書籍化すると、メールでお知らせする機能です。
「メールを登録する」ボタンを押して登録完了です。
キャンセルをご希望の場合は、同じ場所から「メール登録を解除する」を押してください。

電子書籍化したら知らせてほしい

サリンジャー戦記 翻訳夜話 2(文春新書)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4 52件
  • あなたの評価 評価して"My本棚"に追加 評価ありがとうございます。×
  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2003/07/18
  • 出版社: 文芸春秋
  • レーベル: 文春新書
  • サイズ:18cm/247p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-16-660330-2
新書

紙の本

サリンジャー戦記 翻訳夜話 2 (文春新書)

著者 村上 春樹 (著),柴田 元幸 (著)

サリンジャー戦記 翻訳夜話 2 (文春新書)

税込 864 8pt

翻訳夜話2 サリンジャー戦記

税込 850 7pt

翻訳夜話2 サリンジャー戦記

電子書籍をカートに入れる

ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは

ほしい本に追加(値下がりすると通知がきます)

このシリーズの最新巻を自動購入できます

続刊予約とは

今後、発売されるシリーズの本を自動的に購入できる機能です。

こんな方にオススメ

  • ①お気に入りのシリーズは買い忘れしたくない
  • ②不定期の発売情報を得るのが面倒だ
  • シリーズ購読一覧から、いつでも簡単にキャンセルができます。
  • honto会員とクレジットカードの登録が必要です。未登録でも、ボタンを押せばスムーズにご案内します。

ご利用中のデバイスが対応しているかご確認ください

  • iOS
  • Android
  • Win
  • Mac

対応デバイスごとのコンテンツタイプやファイルサイズヘルプ

対応デバイス毎のコンテンツタイプやファイルサイズ

対応デバイス コンテンツタイプ ファイルサイズ 閲覧期限
iOS EPUB 5.5MB 無制限
Android EPUB 5.5MB 無制限
Win EPUB 5.5MB 無制限
Mac EPUB 5.5MB 無制限

対応デバイス毎のコンテンツタイプやファイルサイズ

対応デバイス コンテンツタイプ 閲覧期限
iOS EPUB 無制限
Android EPUB 無制限
Win EPUB 無制限
Mac EPUB 無制限

予約購入とは

まだ販売されていない電子書籍の予約ができます。予約すると、販売開始日に自動的に決済されて本が読めます。

  • 商品は販売開始日にダウンロード可能となります。
  • 価格と販売開始日は変更となる可能性があります。
  • ポイント・クーポンはご利用いただけません。
  • 間違えて予約購入しても、予約一覧から簡単にキャンセルができます。
  • honto会員とクレジットカードの登録が必要です。未登録でも、ボタンを押せばスムーズにご案内します。

予約購入について詳しく見る

ワンステップ購入とは

ワンステップ購入とは、ボタンを1回押すだけでカートを通らずに電子書籍を購入できる機能です。

こんな方にオススメ

  • とにかくすぐ読みたい
  • 購入までの手間を省きたい
  • ポイント・クーポンはご利用いただけません。
  • 間違えて購入しても、完了ページもしくは購入履歴詳細から簡単にキャンセルができます。
  • 初めてのご利用でボタンを押すと会員登録(無料)をご案内します。購入する場合はクレジットカード登録までご案内します。

キャンセルについて詳しく見る

あわせて読みたい本

この商品に興味のある人は、こんな商品にも興味があります。

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

このセットに含まれる商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

この著者・アーティストの他の商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

書店員レビュー

ジュンク堂書店三宮店

 2003年村上春樹...

ジュンク堂書店三宮店さん

 2003年村上春樹新訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が出版されたさいには、村上春樹×J.D.サリンジャーの組み合わせに喜びつつも、訳者の解説が原著者の要請、または契約の条項に基づき外されることになったと知って、残念に思われた読者も多いと思います。
 そんな読者に嬉しい一冊がこの「翻訳夜話2サリンジャー戦記」です。
本書では翻訳仲間の柴田元幸氏と村上春樹さんが「キャッチャー」について語り尽くしています。
村上×柴田×サリンジャー。海外文学ファンとしては、またまた心躍らされる組み合わせです。「キャッチャー」について語られていく中で、私達はその小説の深みだけではなく、村上春樹という小説家について、翻訳という仕事について、あるいはアメリカ文学についても知る事が出来ます。
 「ライ麦畑か、ずいぶん前に読んだけど・・・」という人も、本書を手に取ることで、「また読んでみようかな」という気持ちにさせられるのではないでしょうか。そうすれば、新たな魅力あふれる「キャッチャー」にきっと出会えるはずです。

文庫担当 I

みんなのレビュー52件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

深い「読み」の記録

2003/08/21 00:07

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上さんとしては渾身の「訳者解説」が、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の巻末に掲載できなかったのがよほど残念だったのでしょう。それもあってか、その幻の解説を軸にして、早くも関連本が出ました。「翻訳夜話」の体裁を借りてはいますが、優秀な「キャッチャー」のサブテキストだと思います。って、当たり前ですかね。訳した本人が書いていらっしゃるんですし。
その「幻の解説」は、親切丁寧な種類のもので、これが巻末に付されていたならば、読後感もまた違ったものになっていたことだろうな、と思いました。

ホールデンがたびたび映画をけなしていたり、宗教を訊かれることを気にしていたことの理由とか、ひとつひとつのことにふーん、なるほどと思わせる経緯があったり(まあそんなことは些細なことなんですけど)、サリンジャーの人物像や時代背景などが明らかになってくるにつれ、作品の持つ意味合いが格段に深いものになること請け合いです。

サリンジャーがその極端な隠遁生活に陥るに至った経緯もある程度明らかになります。悲惨な戦争体験とか、父親の存在とか、その他いろいろなことがあってのことなのでしょうけど、作品が自分自身よりはるかに大きな存在になってしまったってことは、やはりとんでもなく怖いことなのでしょう。

そういえば、マイク・チャップマンの事件とかもありました。ってことも思い出させられました。そもそも小説ってそういう怖さを内包しうるものなんですよね。

でも本書を読んでいちばん感じたことは、まあ翻訳するんだから当然なんでしょうけど、村上・柴田の両氏ともに、テキストに対してもの凄く深い「読み」が施されているっていうことで、深く読むってことは、自分の知識やら人生観やら経験やらをすべて呼び起こして読むんだってことをいまさらながら認識したわけです。「翻訳」はその延長線上にあるものでしょう。

うんざりするくらい情報過多な世の中で、さらにここBK1に投稿などしたりしていると競争意識も高揚してしまって、「あれも読まなきゃこれも読まなきゃ」で、まるで消費的な読書になってしまっている自分に気づきます。たくさん読むことも必要だけど、ひとつの作品を深く読むことのほうが大切ではないか、もっと時間をかけて読まなければ、人間の「深み」を追求するための読書でなければ、すっかりそういう気持ちにさせられてしまいました。

日頃から、読み終わって、うーんもう一回読みたいな、って思う本はあっても、なかなか再読に至らないのが悲しい現状です。もう一回読みたいっていう気持ちは、もうちょっと大事にしてやらなくては。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

翻訳するにあたってのすごく深い内訳話のようなものが聞けた

2016/08/29 18:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る

「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は、以前読んだがはっきり言ってあまり良く覚えていない。今回この対談を読んで村上春樹氏の、サリンジャー(特に「キャッチャー・イン・ザ・ライ」)についての愛が感じられた。この対談では、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を翻訳するにあたってのすごく深い内訳話のようなものが聞けた。ここまでさらけ出していいのかとさえ思ったほどだ。もう一度読み直してもいいかなと思った。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

いくつかのややこしい現実的な問題

2003/08/09 21:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「本書には訳者の解説が加えられる予定でしたが、原著者の要請により、また契約の条項に基づき、それが不可能になりました。残念ですが、ご理解いただければ幸甚です。 著者」
 村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・レイ」の最後のページにさりげなく付けられた二行の文章の全文である。おそらくこういう文章がなければ特にどういうこともないだろうが、たった二行の文章があることで、一体何があったのだろうかと考えてしまう。野崎孝訳の「ライ麦畑でつかまえて」には訳者による解説がついていた。なのにどうして村上訳にはつかないのか。村上訳が気にいらなかったのか、同じ文学者という立場の村上による訳を気にしたのか。色々と下種(げす)は勘繰るものである。

 そのあたりの事情は、この新書のまえがきにあたる村上春樹の「ライ麦畑の翻訳者たち」に詳しい。村上春樹流にいえば、「やれやれ」というところだろう。その幻の解説がこの新書に収録されている。サリンジャーという作家の経歴とか「キャッチャー」が生み出した多くの波紋が丁寧に書かれた上等な訳者解説である。つまり、この新書で村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・レイ」が初めて完結するのだ。

 村上春樹の解説と野崎孝のそれ(私が持っているのは白水社の《Uブックス》で一九八四年に書かれたもの)とは違いは、原作者サリンジャーの経歴の詳細さだろう。村上解説には「我が父サリンジャー」など野崎が解説を書いてから出版された資料がテクストとして採用されているが、野崎にはほとんど情報がなかったようである。しかも、野崎が解説を書いてから二十年が経って、作品「キャッチャー」は色褪せないものの作者サリンジャーがどういう人物なのかほとんどの人が忘れているともいえる。村上はこの作品を古典と位置づけ、そのあたりの情報が重要であると判断したようだ。

 二人の解説の相違で面白いのが、ジョン・レノン狙撃事件の犯人チャップマンの扱いだろう。彼は事件を起こした際に「キャッチャー」本を所有していたことで有名だが、野崎にとって「新聞記事を読んだ記憶もある」程度の記述にすぎない。その点、ビートルズ世代の村上にとってはもっとこだわりがある。もっともそれは単に世代の相違だけかもしれないが、村上は野崎訳を肯定しつつも「時代に応じて」翻訳があってもいいとしているから、今後村上訳を読んだ若い人による新しい「キャッチャー」が登場するかもしれない。

 もし、できるなら村上訳の「キャッチャー」とこの新書をセットして販売すればいいのにと思うが、きっといくつかのややこしい現実的な問題があるのだろうな。やれやれ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

インチキなタイトルと柴田元幸の「芸」

2003/08/02 11:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 このタイトルは「騙し」である。これを見れば誰もがあの「翻訳夜話」の続編だと思うはずだ。ところが内容は似ても似つかない。
 「翻訳夜話」は翻訳の楽しさ・面白さを教えてくれる本だった。僕が「ライ麦畑」の原文/野崎訳/村上訳の全てを読んでみたのは、「翻訳夜話」でカーヴァーの原文と村上訳、柴田訳を比べる、そしてオースターの原文と村上訳、柴田訳を比べるという体験をしたから、そしてその面白さに嵌ってしまったからにほかならない。
 ところがこの「翻訳夜話2」の場合は、そのタイトルに反してサリンジャーの「作品」を語ることが主になっており、「翻訳」のほうは決して中心に据えられていない。翻訳を語る上で必然的に作品を語っているには違いないが、読者としてのフラットな感想ではなく訳者が高い地位から解説しているという印象を与えてしまっているのである。
 作家が作品を語るのは往々にして悪趣味である。訳者が作品を語りすぎるのも同様である。この本の場合、特に序盤が辛い。翻訳を語っているようで作品を分析しすぎている感じがする。

 とは言うものの、この本によって僕が村上春樹に対して抱いていた2つの疑問が解けた。
 村上が cool as a cucumber という慣用句を「キュウリのようにクール」と訳す(翻訳だけでなく自作の小説中にも出てくる)のはクリーシェとしての存在感を活かすためだということ。そして、「ライ麦畑」の中で数多く登場する you という単語をほとんどそのまま「君」と訳しているのは外国語の言語的様式性を重んじるからであって、ホールデンの言う you に聞き手としての仮定の対象を感じているからだということである。
 僕としてはいずれも牽強付会な感じがする。
 訳者としてクリーシェとしての存在感を活かしたいというのは解る。しかし、読者がその存在感を感じ取るためには cool as a cucumber という英語を事前に知っている必要があるのである。この慣用句を知らない人が日本語の文を読んでいていきなりキュウリに出くわしたら首を傾げるだけではないだろうか?
 そして、you のほうだが、これをいちいち訳出するのもどうかと思う。英語の you は日本語の「君」よりも遥かに利用範囲が広いのである。日本人が英作文すると必ず they や we を使ってしまうかなりの局面でアメリカ人はよく you を使ってくる。日本語としての滑らかさを考えれば主語は省略したほうが良い場合も多いのではないか?
 ただ、これを読んで少なくとも村上がうっかり訳してしまったのではないということが納得できたのは収穫である。

 という風に、この本には確かに翻訳について考えさせてくれる部分も少なくないし、語りすぎとは言え語られている作品論も非常に興味深い。特に僕のようなサリンジャーのファンであり村上のファンであり柴田のファンでもあるような人間には、気に入らない点もあるが読んでみると残念ながら面白い。そういう人は仕方がないから読みなさい、と言うしかないか? ただ、村上が語る作品論は影響力が強すぎて読者の身に染みついてしまうのではないかという不安がある。ひとつの読み解き方が固定してしまうのはそれこそ村上の本意にもとることなのである。そのことを肝に銘じて読んでほしい。

 最後に Call me Holden という章で柴田元幸の「芸」を見せてもらった。今までは翻訳の「技術者」という印象が強かったのだが(「技術者」というのは文字通り「技術を持った人」という意味であって、「機械的なことしかできない人」という意味ではない)、こんな「芸」ができるとは驚いた。いやいや楽しませてもらいました。

by yama-a 賢い言葉のWeb

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

サリンジャーの“イノセンス”をめぐって。

2003/07/28 17:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:奈伊里 - この投稿者のレビュー一覧を見る

たくさんのかつての読者がホールデンに再会し、たくさんの新しい読者がホールデンと(野崎訳から40年を経て)出会うことになった、村上春樹氏新訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。
この本の末尾には、「本書には訳者の解説が加えられる予定でしたが、原著者の要請により、また契約の条項に基づき、それが不可能になりました。残念ですが、ご理解いただければ幸甚です」という村上氏のことばが添えられている。

その幻の解説文が、本書で読める。出版直前に、サリンジャーのエージェントから待ったのかかった、その掲載。訳者の解説・あとがきとしては、例を見ない長さであり、とても力の入ったサリンジャー紹介になっている。村上氏は無念だったろうし、読者としても、是非新訳版に加えられていてほしかった。
でも、その幻の訳者解説を読むことで、逆にわたしたちは、サリンジャーがなぜそうも頑なにならなければいけなかったかを知ることになる。

ホールデンのごとく自分探しをして青春を送った後、悲惨な戦争体験をしたサリンジャー。
その後神経を病みながら、彼が執筆の足場にしたのは、戦争体験ではなく、イノセントな16歳の目から見た世界だった。
そして、色濃く自らを投影したホールデンという少年が生み出される。
多くの読者を獲得しながら、そのあと作家として成熟への道を辿らなかったのは、戦争体験や離婚など様々な現実から神経衰弱になった彼が、他者に“イノセント”なるものを求め、裏切られ、世界と直接繋がることをあきらめてしまったからだと分かってくる。
彼は、「キャッチャー」でホールデンが回転木馬に乗るフィービーに見た“イノセンス”を、実人生でも見続けようとしたのだ。もちろん、そんなことは叶わない。そして現在、彼は隠遁生活の中で、出版しない著作を今も書き続けているらしい。

本書では、名コンビの柴田元幸氏を聞き手に、村上氏が「キャッチャー」の翻訳といかに取り組んだかが語られる。

50年前のニューヨークで生きていたことばを、現代日本のどんなことばで置き換えるかという問題。
ホールデンが語りかけるYOUという存在をどう解釈し、どう訳出するかという問題。(「海辺のカフカ」を書き終えた直後訳業に入った村上氏が、カラスと呼ばれる少年をふまえて語っているのも面白い。)
ホールデンや、アントリーニ先生、フィービー、DBといった人物たちに、サリンジャー自身が如何に投影されているかという解釈の問題。

それらの問題に取り組む村上氏の指針になっていたのが、サリンジャーの“イノセンス”であったと、わたしには読み取れる。
その上で、彼はこう語る。
「僕は『キャッチャー』という小説が今でも若い人々に読み継がれ、評価されているのは、それがイノセンスを礼賛しているからじゃないと思うんです。そうではなくて、ホールデンという少年の生き方や、考え方や、ものの見方が、そういう時代的な価値観のシフトを超えて、優れて真摯であり、切実であり、リアルであるからじゃないかな。……ホールデンは特殊であることによって、読者のいろんな事情を吸い上げていくんです。それがホールデンという人物の機能なんです。イノセンスへの傾倒というのは、その機能のひとつに過ぎません」。
このあたりは、翻訳者としての村上氏と、作家としての村上氏が、対談しているようでもある。

「翻訳夜話」としては、一巻目とまったく違う様相を本書は見せる。
まさに、「戦記」だ。人間サリンジャーの。翻訳家村上春樹の。
そしてそれを、名翻訳家柴田元幸氏のキャラクターが、どんな読者でも入っていきやすい世界に、変換してくれている。柴田氏の案内人としての存在が実に効いているのだ。

「キャッチャー」の読後すぐにこの本が読めてよかったと思う読者は、わたしだけではないだろう。「キャッチャー」既読の方にも未読の方にも、お薦めします。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

イノセンスとフォニーの間のピンポイント

2003/09/21 17:06

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 村上春樹は『白鯨』と『グレート・ギャツビー』と『ライ麦畑でつかまえて』の三人のヒーローについて、「志は高く、行動は滑稽」という共通点を指摘した。これは柴田元幸さんが『アメリカ文学のレッスン』で紹介していることだが、これを読んで、アントリーニ先生が「無価値な大義のために、なんらかのかたちで高貴なる死を迎えようとしている」ホールデンに、手許にとっておくようにと手渡した一文を想起した。

《未成熟なるもののしるしとは、大義のために高貴なる死を求めることだ。その一方で、成熟したもののしるしとは、大義のために卑しく生きることを求めることだ。》

 本書に収められた「対談2『キャッチャー』は謎に満ちている」で、村上春樹は『キャッチャー』は「地獄めぐり」の物語だと言っている。「普通だったら、こういうのはひとつの通過儀礼になるわけですよね、いろんなひどい目や奇妙な目にあって、それをひとつひとつ乗り越えて、身体にしみこませて少年が大人になっていくみたいな。」「そうですね。」「ところが、まったくなっていないんですね。」「なっていないですね。…」「出来事はみんな並列的で、積み上がっていかない。…」

 つまり『キャッチャー』は、未成熟(イノセンス)対成熟(フォニー)の図式にのっとったイノセンス礼賛やアドレッセンス(思春期)賛歌の物語ではなく、まして抵抗と成長と和解の物語などではなくて、あくまでも「ホールデンが十六歳だから成立する話」だというのである。

《つまり主人公であるホールデンは、少年時代のイノセンスからは既にしりぞけられた存在でありながら、大人の世界に入るための資格も得られないでいます。部分的にはすごく成熟で、視点もクリアなんだけど、自分自身の客体化というのはまだなされていない。それは十六歳という設定だからできることでもあります。…それから彼は社会階級的に見ても、やたら狭い、あえて言うなら特殊な世界に属している。彼が懸命に移動する範囲も、マンハッタンの中の、すごく限定された場所です。『キャッチャー』というのは、この小さなエリアの中にピンポイントで設定されることによって、有効に成立している小説なんです。》(村上)

 ──本書は、村上春樹の「『キャッチャー・イン・ザ・ライ』訳者解説」が読みたくて購入した。それはとても力のこもったいい文章だった。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2005/05/14 19:19

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2004/10/07 22:36

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2016/03/21 23:25

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/09/24 21:19

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/05/13 06:18

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/05/03 18:13

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/04/06 19:30

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2006/10/09 23:08

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/05/01 22:11

投稿元:ブクログ

レビューを見る

英米 ランキング

英米のランキングをご紹介します一覧を見る

前へ戻る

次に進む

×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。