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うわさの遠近法 (ちくま学芸文庫)
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紙の本
うわさに関する重厚な考察
2005/07/26 21:37
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヨンゴリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治初頭から大正、そして昭和の戦後にいたるまでに巷間に流布した「うわさ」をつぶさに拾い上げ、現代の視野から当時の状況を、さらにそのうわさを生み出すにいたった過去へと俯瞰してゆく。
疫病、醜聞、超能力、天災、そして戦争・・・さまざまな時代に、多くのうわさが語られ、消えていった。それら個々のうわさを解析しながら、うわさの本質に迫ろうとする。
現代の視点でみると、まったくの戯言にしか聞こえない馬鹿げたうわさも多い。しかし著者の視線は、決してそれら無知蒙昧なうわさを現代の視点から嘲笑するのではない。そこには、それらの時代状況において、生活の不安や恐怖を紛らわせるために、うわさ=ことばにすがりつかざるを得ない人間の弱さや哀しみに対する、やさしい眼差しが感じられる。
と同時に、人間を不安に陥れるのもまた、うわさ=ことばに他ならないという点も看過しない。