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博士の愛した数式
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.2 758件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2003/08/01
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/253p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-401303-X

紙の本

博士の愛した数式

著者 小川 洋子 (著)

【日本数学会出版賞(第1回)】【全国書店員が選んだいちばん!売りたい本本屋大賞(第1回)】【読売文学賞(第55回)】この世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたったひとつ...

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商品説明

【日本数学会出版賞(第1回)】【全国書店員が選んだいちばん!売りたい本本屋大賞(第1回)】【読売文学賞(第55回)】この世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたったひとつの数式で示してくれた−。記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの息子の3人の奇妙な関係を軸にした物語。『新潮』掲載作。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

小川 洋子

略歴
〈小川洋子〉1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞、「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞。他の著書に「偶然の祝福」など。

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みんなのレビュー758件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

第1回本屋大賞受賞作

2018/05/23 05:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

80分間しか記憶を保てない数学者が斬新な設定でした。数の秩序によって生きてきた博士が、人間的な優しさに触れ合っていく様子が感動的でした。

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紙の本

無くした歳月の重さ

2017/01/27 19:48

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

数学が不倶戴天の敵だったため、小難しい数学の話を挟んだ作品かと思ったら痛いほどの悲しみの物語だった。博士とあの人が失ってしまったものの重さは胸を抉る。

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紙の本

本屋には本との出会いがある(1)

2015/09/30 22:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kyod - この投稿者のレビュー一覧を見る

当時、虎ノ門のスターバックスのとなりにあった書店で偶然手に取りました。初版でした。小川洋子という作家を読んだことはありませんでした。
事故で80分間しか記憶を維持することができない天才老数学者と、家政婦として派遣された主人公、その息子。数学をスパイスに彼らの静かな生活と関係が描かれています。
たしか文芸コーナーに平積みされていました。表紙がまず目について、本文を少し読んで、興味を覚えたので購入。仕事をサボって、そのままとなりのスターバックスで読み始めました。
途中でやめられずに読み切って、最後で涙がボロボロこぼれてきてあわててハンカチで顔を隠したのを憶えています。
後に第1回本屋大賞も受賞した名作です。
きっとあの本屋の書店員さんも読んで欲しくて平積みしていたんだろうなあ。

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紙の本

記憶を失ってもなお美しい生き方

2015/09/19 02:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ピコ - この投稿者のレビュー一覧を見る

80分しか記憶が持たない。
そんな博士が忘れてはいけないことをメモに残して張り付けておく。
頑なに心を開かなかった訳もまた切ない。
数式を美しいと思ったことはなかったが、この作品を読んでから、世の中のものは全て数式で表せるのではと思った。
博士の世話を依頼した女性、ただ冷たい人だと思いながら読み進めていくと、思わぬ結末に更に切なさは増す。
美しい作品。

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紙の本

心あたたまるー

2013/02/18 20:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はだかの王様 - この投稿者のレビュー一覧を見る

80分しか記憶が持たない博士、家政婦、その息子ルートとの間に数学の美しさを通して広がるヒューマンドラマ。

博士の数学を通したぎこちないコミュニケーションと、素直で優しいルートのやりとりに心温まる。

たまに読みづらい文章がある。

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紙の本

数学を勉強しようとしている中高生に読ませたい

2008/02/07 01:38

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:redhelink - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私は数学が好きでした。でも日本史にも興味があったので文系へ行ったので3Cまでやりませんでした。大学でも数学系の授業は教職関係程度でした。それでも懲りずに授業を受けて、どのように教えたらいいのか、○○の単元では△△がポイントなんだな、と思いながらノートを作った記憶があります。

 そんな淡い記憶を蘇らせてくれた作品でありました。この本は勿論数学についても触れられています。そしてそれは読み終えたとき、数学が好きな人も、数学が好きでない人にも読んでほしいという作者の(私が勝手に感じ取った)意図があるように思いました。決して数学の『○○の公式』について熱く語っているとかそのような学術書ではないけれど、つい調べたくなる書き方がされていることにも注目してほしいです。

 登場人物は、80分しか記憶がもたない「博士」、家政婦として派遣された「母」、母の息子で博士がつけたあだ名が「ルート」の三人で構成されています。登場人物が少ないのは読み手にとっては、一人ひとりにより注目できるのでいいことだと思います(勿論多いものはそれはそれでいいところがありますが割愛)。この本では特に感情移入がしやすいことが特徴ではないでしょうか。博士の記憶のリズムをつかむまでの母の試行錯誤、家政婦規則に反するけれど、人道的に後回しにしたことで色々指摘されるやるせなさ、突然の雇用先変更などがあります。人と接していくことの難しさを考えさせられた場面でもありました。将来の自分の職業を思うと憂鬱です(笑)。

 また個人的に印象に残ったのは、博士がルートに数学を教えるときの姿勢や褒め方でした。ヒントの与え方、考え方について、答えが導き出されたときのリアクションや賛美の仕方は、私にとっては授業のうまい先生の学術書でも読んでいる気分でした。私はまだまだ拙い教え方しかできないので、生徒一人ひとりに教え方を使い分けることがうまくできませんが、そのようなこともしなければならないとか、考えるときの間の与え方や褒め方には、本文で描かれているような方法もあるのだと博士に教えられたのが印象に残りました。

 これを書いている時点では、本屋大賞を2冊ほど読んだことになります。『東京タワー』と共通して言えるのは、「いい話(感動もの)」であったということです。本屋大賞(票を入れた書店員)が今後もこのような話ばかり選ぶと、読者は本屋大賞そのものに対して飽きてくるのではないかとも思ってしまった私がいます。感動ものは確かに売れます。しかし、言葉はストレートにしか表現できないものではありません。たまには悲しい話、あるときは強烈な印象を与える話(例としては『バトル・ロワイヤル』なんかがそれにあたると思います。)を選ぶことで、

本屋大賞=感動ものしか選ばれない

ということを否定してほしいと思います。性格のひねくれた私の独り言として聞き流してもらえると幸いです。

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紙の本

「いい話」というだけの物語ではない。

2008/01/27 03:02

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小川洋子は、今作品『博士の愛した数式』で第一回本屋大賞を受賞。小川自身は、『妊娠カレンダー』で第104回芥川賞を受賞。

 ここでいまさら言う必要が無いほど有名で、蛇足かもしれないが、念の為に。
 本屋大賞とは、2004年に創設された文学賞の一つであり、他の文学賞と大きく違うのは、「新刊を扱う書店の書店員が選考委員」という特徴である。現在の所の受賞作品を見てみると、「女性作家が多い」、「文学性云々よりもエンタメ性が重視されている」、「受賞作品全てが映像化されている」などの特徴が見られる(一部、ウィキぺディアを参照)。
 2008年一月末現在までの所、四作品が受賞作として知られているが、もうすぐ最新受賞作が決まるはずである。選考委員が書店員、という特徴からも、やはりというかなんというか、次世代の書物、文学を牽引する役割を担っているだろう。大きく拓かれた文学の誕生(又は再誕?)である。
 
 …などと、評論ぶった偉そう口調が出てしまってすいません。直木、芥川、メフィストと並んで、個人的に注目してるんで。

 前置きが長くなったのは、実は書く事があんま無いからだったりする。

 事故で記憶を80分しか保てなくなった元数学教授の老人、「博士」。家政婦紹介組合を介して、彼の義姉に雇われたシングルマザーの美人家政婦。その家政婦の息子であり、博士に溺愛される少年、「ルート」。彼らが紡ぐ、美しく、どこか悲しい話。

 これが概観であり、大体全てを表現していると思うんだけど、そういう「感動系のお話」として、物語らしい物語で、現代の良いおとぎ話だな、というのが一点。そっち系のお話として読んだらこれは、「小川洋子が書いた」というだけで一流で、外れるわけがない。小川洋子が『妊娠カレンダー』で見せたブラックさが無い分少し物足りないと私は感じるが(おとぎ話として、博士の「性質」にブラックさを求めることも出来るかもしれないが、そこに対する言及は避けたい。というか、したくない)。もちろん、「博士から【私】へ」、「博士からルートへ」、「ルートから【私】へ」、「ルートから博士へ」、「【私】からルートへ」、「【私】から博士へ」、と三人の間でそれぞれが「親子」どちらにもなりえる、という構成にも注目できる。

 我らがげんちゃん(高橋源一郎)が、どこかで小川洋子について触れた事を覚えている。詳しくは覚えてないが、おそらく褒めているような内容だった。
  
 この作品で大きく扱われているのは、さきほど述べた「いい話」であると共に、それでいて、細かすぎるほどの数学に対しての描写である。話の全てに数学が絡んでいると言っていいだろう。数学の「美しさ」の上に、「いい話」が置かれている。
 この作品が「いい話」で終わらないのは、この数学の描写という特徴のおかげである。

 数学という部門の真理に生きる人間が博士なのであるが、その博士が語る「真理について」は、こちらの心に大きく響く。
 私の印象としては、「いい話」だな、という一点であり、特別良いとも思えなかったが(これは私がひねくれているからであろう)、この博士が語る「真理」についての語りは一番光って見えた。

 彼が語った「真理」の対象は、「数学」であったが、私はそれを「文学」と置き換えて、小川洋子はやっぱりすごい、と一人で感じていた。この一冊でした「数学」への試みは、遠まわしな「文学」への試みじゃないのかな。それを博士という「特殊な運命を背負った人間」が滅びながらも実践し、それを小川はこんなにも「いい話」にしたんだから。

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紙の本

喪う

2005/11/28 16:55

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つな - この投稿者のレビュー一覧を見る

 過去形で書かれた物語には、何だか切ない匂いがする。
 この物語は、80分の記憶しか持つことの出来ない博士、家政婦の私、その息子ルートの交流を描いたもの。博士は不慮の事故により、それまで持っていたものの殆どを喪ってしまった。残されたのは、事故に遭う以前までの記憶、研究していた数学の知識、子供に対する限りない慈しみの情、そして80分の記憶しか保つことの出来ない脳。
 博士から語られる数の話は、静謐で美しい。また、そっと博士に寄り添う家政婦の私の姿、博士に全幅の信頼を寄せる息子ルートの心も、優しく、ただ切ない。本当に美しい魂の物語。
 博士が喪ったものは数多いけれど、残されたものは削ぎ落とされた美徳だったのだろうなあ、と思う。どちらが幸せだったのか。普通に考えれば勿論事故に遭う前だと思うのだけれど、この物語を読むとどちらなのか分からなくなってくる。美しく静謐な世界が広がります。

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紙の本

記憶が少ないのに数式は忘れない

2005/07/01 21:33

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GKO - この投稿者のレビュー一覧を見る

博士の愛した数式は
ベストセラーと言うことで読んだけれども
そんなベストセラーになるとは思えるほどには感動できなかった。
ベストセラーだからといって読もうとする人は
あまりオススメできない。
でもすごく読みやすかったし
人間の皮肉さがでていたのはとても滑稽だった。
最初の方で数字がきれいになっていて
本当にそんなところがあるのかなあ
と言うほどすごかった。

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紙の本

小川洋子の透明な世界

2005/03/21 12:36

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はなこちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

小川洋子の作品を読むと、いつも私は、作品の世界と自分との間に透明なフィルターがあるのを感じる。
彼女の作品の登場人物による語りはいつも淡々と進められる。どこか頭の芯を冷やして、彼女(もしくは彼)の存在する、「普通」とは異なる世界を淡々と語っているのだ。そして読み手は、透明なフィルターのむこうから、その世界を覗き見る。
彼女の作品にはけっしてダイナミックな筆致だの、作品世界を浮かび上がらせるようなリアルな描写だのはない。けれども、そうやって冷静かつ客観的に描かれた虚構の世界に、読み手は安らぎと、そして不思議な現実感を——この世界がどこか現実にひっそりと存在していそうな、そんな感覚を覚えさせられるのだ。
この作品は、そんな彼女の描いた、不思議な世界の物語のひとつである。
この本を読んで、そしてこの現実世界のどこかにひっそりとこの不思議な世界があることを、どうか願ってほしい。

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紙の本

芥川賞作家の新境地?

2005/03/13 14:50

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ツキ カオリ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 作者の小川氏が芥川賞を受賞したのは、1991年、『妊娠カレンダー』という作品にて、だった。

 『妊娠カレンダー』を読んだ方はご存知だと思うが、この話は、グレープフルーツがキーワードの、怖い話なのである。未読の方は、ぜひ読んでみていたただきたい。この作品のイメージが強烈だったことに加え、例えば氏のある短編には、ケーキにたかった蟻の描写が出てくるものがあるのだが、そういったイメージが重なり合って、氏の作品群に対して、私は勝手なイメージを付与していたようだ。

 なので、この『博士の愛した数式』が、一昨年の、読売文学賞の小説賞を受賞しただとか、昨年の、第1回本屋大賞も受賞した、などという話を聞くにつけ、そうか、小川さんの怖い話が巷では流行ってるのか、何せ、ホラー・ブームだし、などと呑気に構えていたのであった(笑)。だが、本屋大賞というのは、確か、本屋さんが一番売りたい本に与えられる賞のはずだし、泣ける話という噂も伝わってきて、どういう内容なのか知りかったのだが、入手できたのは、つい最近のことだ。

 で、この本だ。この本を読んで、残念ながら、泣けはしなかった。もちろん、涙腺は大いに刺戟されたのだったが。

 小川氏は、人間のもつ、えぐみや渋みを抽出することに長けている作家だ。だが、あえて今回は、そう言う部分は抑制して書いている、というよりは、人物を動かしているうちに、まるで、炭火焼にすると肉の余計な脂が落ちてしまうように、自然に、えぐみや渋みが、なくなっていったのではないか、とも思った。

 唯一、博士が、感情を強く出す場面が、最初のほうにある。
 家政婦の「私」が、博士の食の好みを知ろうとして、声を掛けるところだ。

 「言うべきことなど何もない」
 不意に博士が振り向き大きな声を出した。
 「僕は今考えているんだ。考えているのを邪魔されるのは、首を絞められるより苦しいんだ。数字と愛を交わしているところにずかずか踏み込んでくるなんて、トイレを覗くより失礼じゃないか、君」

 これは、博士の、唯一見せた狷介な部分である。だが、この無二の我侭も、数字、数学を考えるためなのだから、いとおしいではないか。
 これ以外の大きな動きとしては、例えば、「私」の息子、「√(ルート)」が怪我をした際に、博士は大層慌てるのだが、それも「√」を思いやってのことだし、博士は終始、温和な性格として描かれている。

 かつて、こんなに優しい目線のみで、小川氏作品が描かれたことがあっただろうか。むしろ、これまでの氏の真骨頂なら、博士の狷介さを、いっそう、膨らませそうなものなのだが。「裏切り(?)」とも感じられるこの展開を、私は、いい意味として受け止めた。

 そもそも、80分しか記憶がもたない、とは、どういうことなのか。例えば、こうやって書評を書いているうちにも、5分、10分と、時間は過ぎていく。ある時点を「0」として、その目盛りを分単位とした場合、それが「80」に達した段階で、博士は「0」以前の記憶はなくなってしまうのだ。その論理でいくと、ある瞬間は、始点と考えれば全て「0」、終点と考えれば全て「80」である。ある瞬間を始点として、終点を追ってみると、もしくは、ある瞬間を終点として、始点を遡ると、などと連続して考えていくと、段々、思考の塊が、スパイラル状に、上へ上へと、動いていくような錯覚に囚われた(笑)。

 こんな、博士のような人が夫だったら、きっと私も、主人公の「私」のように、いかに、人参を人参とわからせずに食べさせるか腐心するだろうなと思う。何せ、「考える」ためには、栄養は、重要な要素だからだ(笑)。

 数学が、かつて嫌いだった、今嫌い、徐々に嫌いになりかけている、人達が、きっと、数学に対する新しい発見をするに違いない、本書である。
 

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紙の本

何故だか懐かしさを感じる話

2005/02/26 02:48

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:karasu - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本を読むと、その本の世界の空気に触れられる様な気がする。この本の空気は、ほっこりとした感じがした。
 温かくて、そこら中に子供や素数への無償の愛などを感じられる。ポカポカやサンサンと言う様に感じないのは、忘れるという事の残酷さが、常についてまわっているからなのだろう。
 家政婦をしている「私」の語り口調のせいか、何処にあるとも知れない郷愁を覚える。それがまた、この本に一層引き込んでくれるのだ。
 「私」やルートが、博士から数式や素数の話などを聞いた時の様に、私も、素晴らしい発見を知ることが出来た気になれた。

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紙の本

完璧な美しさとその悲しさを静かに味わえる小説

2004/12/04 13:20

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人はなぜ数学を学ぶのか、という問いに対してよく世間では「論理的な思考方法を養うため」などともっともらしいことを言いがちです。私が中高生の時にもそんな理屈がまことしやかに流布されましたが、おそらく今でも状況は同じでしょう。

 このまやかしに対して御茶の水女子大の数学教授・藤原正彦氏がそのエッセイの中で敢然と矢を放っているのを私が目にしたのは大学に入った頃でしたでしょうか。分数の計算すらろくに出来ないアメリカ人が、議論となると日本人には歯が立たないほどとうとうと自論を述べる。だから数学の出来不出来と論理的思考との間には何の関係もないのだと氏は綴った後で、それではなぜ我々は数学を学ぶのか、と改めて問い掛けます。その答えは「数学が美しいから。その美しさを味わうために」。
 目から鱗が落ちるというのはまさにこのことです。数学は永遠の美しさをたたえている。でもそれは常に世界のどこかに姿を隠していて、我々が積極的に関わっていかないことには見抜くことが出来ないものです。

 本書「博士の愛した数式」は、事故によって記憶を蓄積できなくなった初老の元数学者「博士」と、彼に雇われたシングルマザーの家政婦「私」との交流を描いた小説です。記憶力を失ったことで永遠に循環する時の中に閉じ込められたかのような「博士」の真の姿は、家政婦である私にとって少しずつ解き明かされていく数式のようなものです。

 彼がかつて隠した秘密が物語の終盤に「私」の前に姿を現しますが、それはまさに数式のように永遠の美しさをたたえていて、読者の心にも迫ってきます。

 そして「博士」とともに「閉じられた永遠」の中に生き続けていたもう一人の人物が姿を現すに至って、その永遠の完璧なまでの美しさと悲しみを私たちは知ることになります。

 大きな起伏のある物語ではありませんが、しっとりと静かに胸にしみてくる思いを味わえる小説であると思います。

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紙の本

大人の泣ける本

2004/12/02 20:35

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mikage - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本を爆笑問題のススメという番組で知りました。“大人の泣ける本”という紹介だったのでとても気になり読んでみたのですが、私は最後まで読み終わっても泣くことができませんでした。物語全体の雰囲気はとてもすきで、それぞれの愛情が詰まっていて良かったと思います。料理をする横で博士が√に算数を教えているところは何だか温かくて、でも博士をみているととても切ない気持ちになりました。私が泣けなかった理由のひとつは、私が本当の意味で大人になれていないからだと思います。大人とはいつからなのでしょうか? 年齢とは関係なく、別のところにあると思います。もし私が本当の意味での大人になれた時、この本をもう一度読んで泣くことができたらいいなと思いました。

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紙の本

愛の物語、永遠に心に響く

2004/10/22 02:35

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:辻斬り - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは、愛の物語だった。

博士の、数学に対する愛。
博士の、ルートに対する愛。
博士の、江夏豊に対する愛。

博士の記憶が80分しか持たないことも、ルートのことを毎日忘れてしまう
ことも、江夏豊がもうマウンドに立たないことも、すべて愛の前では無意味
なのである。

私の心の中には江夏のカードを首からぶら下げてルートを抱きしめる博士が
今でも鮮明に色をなしている。

久々にいい作品に出会えたことに感謝。

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