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商品説明
十五年前のあの日、男は法を捨てた…。一人の女性をめぐり業火に消えた双子の弟。残された兄。三つの魂が絡み合う哀切のハード・サスペンス。『小説NON』連載を単行本化。祥伝社ノン・ノベル創刊30周年記念特別作品。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
横山 秀夫
- 略歴
- 〈横山秀夫〉昭和32年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業。上毛新聞記者を経て、フリーライターとなる。「陰の季節」で松本清張賞、「動機」で日本推理作家協会賞短編部門賞を受賞。
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紙の本
心の隙間に忍び込む
2020/05/27 18:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
窃盗犯でありながら独自の正義感を貫き通す、真壁修一は異色の主人公です。亡くなった弟の声を聞きながら、真実を追い求めていく苦悩も伝わってきました。
紙の本
どれも
2015/11/18 18:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のきなみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
複雑な人間模様を題材にしている短編集。
私が推理小説が好きな理由に『解決』するから、と言うのがあるのですがこの本の中の話はどれもはっきりとした『正しい解決』がないように思う。読んだ後、いろいろ考えさせられる。
紙の本
駅伝ミステリー
2004/06/20 23:09
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投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
「影踏み」横山秀夫。出所したノビカベこと真鍋は忍び込みのプロの泥棒。双子の弟は母と放火による無理心中、助けに入った父親も亡くした。保育士の婚約者と結婚はご破算になりながら付き合いは続いている。元婚約者はノビカベを待ち続けている。…出所したノビカベは逮捕されるきっかけとなった事件を洗い直そうとしている。それは、忍び込んだ家で妻が夫を殺そうとしている事が分かったからだ。一体、何が起ころうとしていたのか? 起きてしまったのか?
…と、言うわけで忍び込んだ家の殺人事件を起点として、駅伝のようにたすきを次に渡しながら連作短編小説が続いていきます。探偵役はプロの泥棒ノビカベで、これがホームズばりの推理力で謎を解いていきます。ノビカベ自身の不幸な過去も絡み合い、事件そのものも面白いのですが一層深みのあるドラマに仕上がっていて、ページをくくる手が止められませんでした。例によって、散りばめられた警察内部や裏家業の専門的な話が現実感や緊迫感をもたらしています。感動のラスト、短編が見事に1つとなり絶妙の題名に納得し静かなる興奮が身体に染みこんでいきました。ミステリーファンならずとも必読の1冊です!!
紙の本
横山英夫の新境地か?
2004/01/10 17:14
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投稿者:オオトリさま - この投稿者のレビュー一覧を見る
元新聞記者ならではの警察内の裏側を題材にしたミステリーで有名な横山英夫が犯罪者を主人公にした連作短編集を発表した。
主人公は「ノビ師」。「ノビ」とは深夜、寝静まった民家を狙い現金を盗み出す忍び込みのプロの事。捕まっても取り調べに対し決して口を割らない「壁」を思わすしたたかさから刑事から「ノベカベ」とあだ名された真壁修一が主人公だ。
15年前まで修一は司法試験を目指すほど優秀な学生で家族の期待の星だった。双子の弟啓二は道を踏み外し空き巣の常習犯となる。母親は自宅に火を放ち啓二を道連れに焼身自殺を図る。その日から修一の頭の中に啓二の意思が住み着き、修一は親にあてつけるように忍び込みのプロへの道を歩む事になる。
「消息」「刻印」「抱擁」「業火」「使徒」「遺言」「行方」の6つの違うエピソードを修一が忍び込みの腕を使い解決していく。
次第に明らかになる修一と啓二の過去。幼馴染の久子との関係。
6つのエピソードの中では「使徒」が横山作品らしい人情話で秀逸だと思う。
個人的には横山秀夫は組織のしがらみの中で悩む人間を描くのが美味い人だと思うので、一匹狼の主人公真壁修一には今一つ魅力を感じないが、スリや空き巣などの業界の裏話も多くシリーズ化したら面白い作品になる予感がする。
紙の本
知能的泥棒からみた世界と,心の葛藤
2003/12/01 00:24
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投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は双子の兄,真壁修一32歳.深夜,寝静まった民家を狙い現金を盗み出す「ノビ」と呼ばれる忍び込みのプロ.取り調べに対してけっして口を割らない,その高く強固な「壁」を思わすしたたかさに刑事たちから“ノビカベ”と呼ばれる.15年前に双子の弟,啓二が,浪人中に空き巣を重ね,悲観した母親が家に火を放って,弟を道連れに無理心中した.それ以来,法学部で優秀な学生だった兄も泥棒に転落,また,弟が兄の心の中に住むようになる.影踏みというのは,この兄と弟の関係を示している.この弟の完璧な記憶力と,兄の鋭い推理の力,これをあわせて,裏でいろいろ事件(必ずしも犯罪というわけではない)を解決させていく.刑事に,「泥棒にしておくのはおしい」と言わせるような男である.
兄弟ともに好きだった女性との関係はすっきりしない.修一は好きなのだが,弟が心の中に現れてきて,うまくいかない.弟がいっしょになれといくら,心の中で言っても,弟のことを考えてしまうのか.この弟の存在が,本来兄の心の現れだとすると,おかしな話.空想的にほんとに弟が心の中にいるとすれば,話としては成立するが,それはSFの世界になってしまう.
それよりも二人の卓越した能力による問題解決能力の方が面白い.こちらに集中して,次の物語を作ってもいいのではないだろうか.
泥棒の種類にいろいろあって,それぞれ名前がつけられている,というのが面白い.それにしても地方の小都市にこれほど各種の泥棒がいるとは.
紙の本
修一と啓二の会話に疑問を感じたら、この小説は全く面白くない。正直、わたしはこの仕掛けにわざとらしさを感じて、少しも楽しむことはなかった。横山秀夫の作品で初めて肯けなかった一冊
2005/01/28 22:18
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっと地味めの装亭は新妻久典、え、これが?と思わせるカバー写真は奥林千明。最近の横山の本の中では、もっとも「らしくない」装丁ではある。特に、カバー写真の感じは木場の現代美術館や竹橋の近代美術館でみるものを感じさせて、面白いことは間違いない。でも、ちょっと見には、ミステリらしくはない。
自分がノビのために入り込んだ家で、真壁を待ち受けていたのは寝室で夫の顔を見つめる女だった「消息」。小学校時代からの友だちで警察官の吉川が殺された。警察に任意同行された修一はアリバイを申し立てることができない「刻印」。一仕事を終えてねぐらに向かうノビカベをパトカーのライトが照らし出す。乗り回していた自転車を怪しまれて「抱擁」。町で盗人狩が始まった。立て続けに三人の同業者が狙われ、次の標的は「業火」。
Y刑務所で俺に声をかけてきた男が言い出したのは、娑婆に出たらサンタクロースの役をやってくれないか、というものだった「使徒」。二月十五日、宵闇に紛れて空き巣を働く黛明夫が死んだ。最後まで明が呟いていた言葉が「遺言」。縁のあった女がストーカーに纏わりつかれて困っているという。二人が休んでいた建物が火を出して「行方」。
主人公は34歳の真壁修一、通称“ノビカベ”である。「ノビ」とは、深夜、寝静まった民家を狙い、現金を盗み出す、というから空き巣ではないし、原則、人を起こして脅すのでもないので強盗ともちがう。ま、寝ているところで盗みを働くと言うのだから、かなりスリリングな職種ではある。
で、修一の経歴というのが、ちょっと変わっていて、いわゆる硬派のインテリなのである。高校時代は空手部で過ごし、A大法学部現役入学したものの、恋人を巡る争いから、やけになった双子の弟啓二は、空き巣となってしまい、悲観した母親と無理心中をしてしまう。それがきっかけで大学を中退し、現在の職業?についたという設定だ。
で、最初の「消息」に絡んで逮捕され、二年の服役を務め、出所したばかり。そこから話が始まる。主な登場人物は、小学校時代からの友達で、今は雁谷署刑事一課強犯係長である吉川聡介がいる。同じ署内には聡介のライバルとなる同年齢の馬淵昭信がいるが、話の展開上はあまり重要ではない。それに暴力団博慈会の若頭の御影征一が面白い。
それから、最初に登場する、色の白さが男の心を揺さぶる稲村葉子32歳と、修一の小学校の同級生で、途中から出てくる三沢玲子がいて、さらに重要な安西久子がいる。修一と玲子の同級生で、今は保育園の保母をしている。そして、もっとも大きな存在が、母親と一緒に死んでしまった弟の啓二である。
この本は、ある意味、修一と啓二の会話が軸になって展開する。当然、この話の評価も、それを自然なものとして受け入れるか、ウザイと感じるかで大きく分かれるだろう。少なくとも私は、啓二の女々しさの陰に、打算だらけの卑怯な男の姿、兄を自分の意のままに操ろうとする弟の傲慢さを見る。そして、それに耳を傾けることで己の免罪を望む修一の弱さを感じる。
だから、人間の心という点で、『半落ち』と同じく不自然と感じて、最後まで納得することはなかった。ただし、ありえない、として退けてしまう気もない。横山の作品のなかでは、肌に合わない部類だとだけ言っておこう。
紙の本
横山さんの作品の中では一番ハードボイルドタッチの作品ですが…
2003/11/16 15:10
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投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大作『クライマーズ・ハイ』のあとの作品の為に非常に期待して読んだのだが、正直言って肩透かしを食らった感は否めない。
横山さんの主人公は一貫して正義感の強い人間が務めることによってその生き様が大いに読者に共感を呼ぶのだろうが、本作は窃盗罪の常習犯で“ノビカベ”の異名を持つ真壁修一を主人公としてる点が異彩を放っている。
長編作品なんだが、雑誌連載の弊害が出てる点も否めず、ところどころ不自然なつながり方というか、焦点の定まらない話の進み方が読者の集中力を妨げたような気がする。
それぞれのシーンは緊迫感のある文章と会話でいいのだけど、上手く機能してないのが残念だ。
全7章中、5編目の「使徒」は独立して考えてもとっても良い話なのは印象的だが、いかんせん、双子の弟との会話がそんなに彼の人生を変えてるのかなあという疑問を持って読んでるためにインパクトが薄い気がした。
あと、登場人物の繋がりもいささかわかり辛かった点もあげておきたい。
正直、初めて横山さんの作品を読まれる方にはオススメしたくない作品と言えそうですね(笑)
本作の評価の分かれどころは、久子との修復を勧める亡き啓二(修一の意識の中に棲みついてます)との兄弟愛をどう捉えるかが一番のポイントとなってくるでしょう。
個人的には主人公が少しでも更正しようとういう意志を読者に投げかけてくれなかった点は残念な気がした。
ラストで火事の時の亡き弟と母親の関係が語られますが、ちょっとインパクトが弱かったというか引き込まれませんでしたわ、今回は…
ただ、双子の方が読まれた場合の感想は聞きたいと思いますね。
横山さんの作品の中では一番ハードボイルドタッチであることも付け加えておきたいですね。
暴力シーンは楽しめます(笑)
横山さんにはもっと前向きに生きる男を描いて欲しいです。
紙の本
あらすじ
2003/10/20 11:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:祥伝社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
住宅侵入罪での服役を終え出所した真壁修一(34)が真っ先に足を向けたのは警察署だった。それは、2年前、自らが捕まった事件の謎を解くためだった。あの日忍び込んだ家の女は亭主を焼き殺そうとしていた——。生きている人間を焼き殺す、それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なっていた。真壁はかつて、一流大学法学部に籍を置き司法試験を目指す学生だった。しかし、空き巣を重ねた啓二を、母が悲観、自宅に放火し無理心中したことから、真壁の人生は暗転。明るい未来を捨て忍び込みのプロ“ノビ師”として生きることになったのだ。真壁の中耳には、燃えさかる火の中で死んでいった19歳のままの啓二が棲んでいる。啓二がグレてしまったのは愛する久子が真壁を選んだからだ。真壁は弟を殺したのは自分だという負い目を感じながら、啓二とともに生きてきたのだった……。