- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.11
- 出版社: 太田出版
- サイズ:19cm/253p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-87233-795-6
紙の本
エコノミスト・ミシュラン
著者 田中 秀臣 (編著),野口 旭 (編著),若田部 昌澄 (編著)
経済学を知らないエコノミスト&読めば害になる「トンデモ」ビジネス書を一刀両断。不況の日本経済に激震を起こし、すべての社会人・学生に日本経済の真相と問題を明確に教える、エコ...
エコノミスト・ミシュラン
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商品説明
経済学を知らないエコノミスト&読めば害になる「トンデモ」ビジネス書を一刀両断。不況の日本経済に激震を起こし、すべての社会人・学生に日本経済の真相と問題を明確に教える、エコノミスト&ビジネス書ガイド。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
田中 秀臣
- 略歴
- 〈田中〉1961年生まれ。上武大学ビジネス情報学部助教授。著書に「沈黙と抵抗」など。
〈野口〉1958年生まれ。専修大学経済学部教授。著書に「経済対立は誰が起こすのか」など。
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著者/著名人のレビュー
日本経済の停滞が長期...
ジュンク堂
日本経済の停滞が長期化するなか、多くのエコノミストによって様々な政策が提唱されてきた。玉石混淆、混迷する経済論壇を、三人のエコノミストたちが経済学の基本に則って一刀両断、わかりやすく整理、解説する。辛口経済書ガイドつき。
紙の本
本物を見極めるために、こんなところでもミシュランリスト?
2012/02/07 04:18
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在のデフレ状況が一向に改善しないのは、需要が伸びてこないためである。日本の持つ潜在的な供給力に対し、需要がついていかない。結果、生産側においては、持てる供給能力をフルに使わないことで調整がはかられる。すなわち、新規の投資を控えたり、雇用を減らしたり。デフレにより実質的な借金は増大していくので、消費に回す金があれば、借金返済にまわる。結果、ますます消費は減退する。
どうすれば、需要を回復させ、持てる潜在供給能力を活用させることができるか、経済学の常識的な手法としては限られているはずなのに、日本の政府も日銀も、そのセオリーどおりの政策を打ち出してこない。
それでは、国民が一致団結して、まともな政策を実行しない政府をクビにしてしまえば、とも思うのであるが、そんな声も一向にあがってもない。そもそも、経済問題に関して国民をリードすべき立場にある経済学者や、この国にあまた居るエコノミストと呼ばれる人たちの主張も、全然、一枚岩でない。
かなりの自称“経済通”たちが、国民に“ウソ”をついていることになる。国民の眼を真実から遠ざけている。
われわれは、何を誰を信じればよいというのか。
デフレ対策を考えるにあたって、まず必要なデフレ原因の推測であるが、ここらへんからすでに“ウソつきエコノミスト”たちは活躍する。
日本の需要力が供給に届かないのは、需要がすでに飽和していると主張するエコノミストがいる。すなわち、いまの飽食の時代、消費者は欲しいものはみんな持っているから、欲しいものがないというエコノミストがいる。こんな話、多くの低所得に苦しむ“一般庶民”はまともに聞けるか。
中国などの新興市場が台頭し、安価な労働力を背景とした安価な製品の輸入といった構造的な要因によって、ものはこれまでよりも安く製造できるのがデフレの原因だというエコノミストがいる。この人たちは、われわれが日常生活で消費するものの中で、中国製品がどれだけを占めると認識しているのか。それと、先にもあったように、“一般庶民”の需要は決して飽和していない。安いものですべての消費が満ち足りているわけでは決してない。
ウソつきエコノミストたちと、本物のエコノミストたちを見分ける力が、いまこそ、われわれ“一般庶民”に必要となっている。
エコノミストを見分けるためのミシュランリストなんて、悪い冗談のような本であるが、実はいま、一番読まれるべき本なのではないかという気がする。
われわれが本物を見分ける眼を養うためにも。
この本でも、結局、本物と偽物の境には、あいかわらずの対立劇が見られる。リフレ派対構造改革派の対立である。
本書は明確に指摘する。
『リフレ派は構造改革をないがしろにしているという誤解があるが、そうではない。その正反対である。リフレ派は、デフレからの脱却がなければ構造改革が進まないといっているだけである。』
ごまかされない行き方を学ぶことが、今を生きる人間の究極の自衛策なのである。
紙の本
待望のエコノミスト診断書
2003/10/25 23:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
正しい経済学書の読み方を知るのに最適。
対談・書評ともに毒が盛られていて痛快である。
表紙がやや悪趣味だが、書かれてあることはまさに
正鵠を射ている感あり。
紙の本
「ミシュラン」という名の経済の「ナビゲーション」
2003/11/03 22:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:子母原心 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は表紙のド派手さが目に付くが、内容もいい意味で「過激」な内容となっている。まず本書の基本的性格だが、本書の編者たちは現在の日本経済の低迷は日本銀行の金融政策の失敗が原因としたリフレ派の立場をとっていて、既に本書以外に著作を刊行したりしている。しかし、本書の一番の特徴は1990年代から現在に至るまでの経済論壇を整理して徹底的に批評を加えているところであろう。「経済論壇の整理」といえば、すでに東谷暁の仕事があるが(『誰が日本経済を救えるのか!』や月刊誌文芸春秋に発表した「エコノミスト格付け」など)、本書が画期的なのは1.リフレ派側に立った整理 2.より広範な読者対象をターゲット、の2点にあると思われる。
2について述べると、本書の立場である「リフレーション政策」すなわちインフレ・ターゲットに関しては経済論壇では「主流派」とは言い難い。この点に関しては、確かに本書はビジネス/経済書コーナーに配置されればいやでも人目に付くだろうし、本書の内容もそうした人たちにとっつきやすいような工夫がある。第一部の3編者による鼎談では経済学の専門用語が結構バンバン飛び出しているが、その都度丁寧な注釈が付け加えらているので、そう難解なものではない。
本書の第二部は書評であるが(このレビュアーは編者以外に7名の外部者が加わっている)本書の欠点をこの書評の編集の「物足りなさ」に求めたい。まず書評自体のコメントはきわめてまっとうなのだが(手前味噌だが評者がこれまで評した本と被る所がある)、しかし単に経済書/ビジネス書の書評がダラーっと続いているだけ、という感じがして、ここは編集にするべきだった。例えば「読んではいけないトンでも経済本」というコーナーを作るとか。あるいは100点中○○点という具合に明示的に点数化して「品評」するとか。一般読者にはこういう形での評価のほうが「これが読んでいい」「これは読むに値しない」という具合にはっきり分かるものなのだし、そのほうが「センセーショナル」さを狙ったであろう本書のコンセプトに沿うものではないかとも思う。
本書はある意味で「論争的」なものだとおもうが、俎上に挙げられたエコノミストたちも何らかの形で反論していただき、経済論壇を沸かせてほしいものである。
紙の本
出版社からのオススメ
2003/10/30 03:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:落合 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を作るに当たって、いろいろ経済書を読みましたが、正直言って驚きました。日本崩壊とか、マネー敗戦とか、日本沈没とか、恐ろしい未来とか、日本はゴジラ映画に出てくる東京タワーみたいに何度も崩壊させられていて、SFもどきの世界が繰り広げられています。確かに日本経済は何年も不況が続いてはいますが、ノストラダムスもびっくりのトンデモ予言本が経済書としてまかり通っている現実をきちんと批判しようと思ってこの本を出しました。
しかし、知れば知るほどエコノミストの世界ってとんでもない。10年以上も不況が続いているのに、その原因が何かでいまだに揉めていたり、原因が何かのコンセンサスができていないから、処方箋だって千差万別。なかには資本主義を一時停止しろとか、今後100年はデフレが続くから諦めろとか、そんなことまで言い出すエコノミストまでいます。しかもそういう派手なことをいう人たちに限って、呆れたことに90年代初頭には「日本は資本主義を超えた素晴らしい経済システムをもった国だ」と絶賛していたりするんですね。この本ではそんな馬鹿げたことを主張しているのは誰なのか、逆に信用できるのは誰なのか、を明確にしています。
最近、政府や日銀やメディアでは、日本経済も景気が底を打って、回復基調にあるという話が飛び交っています。でも、ここ10年以上もそんな話は度々あって、期待を持ったとたん、やっぱりダメでしたという結果を繰り返してきたのが、この「失われた10年」の軌跡です。この轍を繰り返さないためには、小泉首相は誰の言葉を信用すればいいかも書いてあります。もうすぐ総選挙で忙しそうですが、ぜひ読んで欲しい。少なくともそれが竹中平蔵ではないことは明白。クルーグマンも竹中平蔵路線は「暗闇への跳躍」だと指摘しているぐらいですから。
経済書を買っても会社の経費で落ちる時代ではありません。自腹を切って読むのに、誰のどの本を読めばいいか、この本でしっかり見極めて選んでください。