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紙の本
主役はもちろんクビライ、宗像教授は脇役に徹する
2004/01/22 14:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
角界でモンゴル出身力士が大活躍しているが、私自身はこの国についてほとんど興味がなかった。広大な草原で生活するのんびりとした遊牧民族。そんな単純なイメージしか持っていなかった。
ところが、表紙を見るなり迷わず購入。お気に入りの宗像教授が大きく描かれていたからだ。宗像教授といえば、漫画界では名の知れた行動力溢れる民俗学者。面白くないわけがない。
期待通り、宗像教授は持論を展開していく。空港があるような大都市のすさまじい勢いの近代化に驚きながらも、かつてモンゴルを統一した男へと思いを馳せる。数多の部族で構成され、常に争いの絶えなかった民族を、いかにしてまとめ上げたのか。闘いによる領土拡大を進めながら、その一方では人々の暮らしを豊かにすることを忘れなかった彼の人間性とは。一族の中では目立つ存在ではなかったクビライが、世界に手が届く巨大帝国を完成させるまでを、現地の遊牧民と触れ合いながら推理する。
近代化をさけぶだけだった案内役の若者が、自国を愛するということがどういうことなのかに気付いたように、私もいつの間にか教授の推理に引き込まれていた。ナルホドと、納得させられる場面も多かった。
宗像教授が登場するシリーズ全てに言えることだが、子供に歴史に興味を持たせるきっかけ作りにうってつけ。特に本書は複雑な表現が少ないので、小学生でも高学年ならば十分に理解できる。全国の学校図書館の本棚に並んで欲しい一冊だ。