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文明史のなかの明治憲法 この国のかたちと西洋体験 (講談社選書メチエ)
著者 滝井 一博 (編著)
【大佛次郎論壇賞(第4回)】【角川財団学芸賞(第2回)】国の内外で識者から迎え入れられた明治憲法。ウエスタンインパクトとナショナリズムの19世紀、木戸、大久保、伊藤、山県...
文明史のなかの明治憲法 この国のかたちと西洋体験 (講談社選書メチエ)
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商品説明
【大佛次郎論壇賞(第4回)】【角川財団学芸賞(第2回)】国の内外で識者から迎え入れられた明治憲法。ウエスタンインパクトとナショナリズムの19世紀、木戸、大久保、伊藤、山県らが西洋体験をもとに描いた「この国のかたち」とは? 日本型立憲国家が誕生するまでのドラマを描く。【「TRC MARC」の商品解説】
<国家のかたち>はこうして描かれた
「噫憲法よ汝已に生まれたり」国の内外で識者から迎え入れられた明治憲法。ウエスタンインパクトとナショナリズムの19世紀、木戸、大久保、伊藤、山県らが西洋体験をもとに描いた<この国のかたち>とは? 日本型立憲国家が誕生するまでのドラマを描く。【商品解説】
目次
- 序 章 西洋体験としての明治憲法成立史
- 第1章 岩倉使節団の憲法体験――万国公法から憲法へ
- 第2章 伊藤博文の滞欧憲法調査――憲法から国制へ
- 第3章 山県有朋の欧米巡遊――もうひとつの「憲法」調査
- 終 章 外から見た明治憲法
著者紹介
滝井 一博
- 略歴
- 〈滝井一博〉1967年福岡県生まれ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。現在、神戸商科大学助教授。専攻は比較法史、国制史。著書に「ドイツ国家学と明治国制」など。
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法制史家の明治憲法論
2005/04/30 11:20
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:虚無坊主 - この投稿者のレビュー一覧を見る
条約改正を大きな目標として、岩倉使節団に参加した元勲たち、木戸孝允、大久保利通、伊藤博文らの万国公法(国際法)に対するいじらしいまでの素朴な信頼から話は始まる。その信頼はナショナリズムとリアル・ポリティックスが渦巻く訪問先の欧米各国を目の当たりにしてあえなく崩れ去る。条約改正交渉の失敗から、彼らの目は国内法としての憲法制定に向かう。
約十年後の伊藤の欧州留学は、憲法制定という政治課題について大隈重信や井上毅にリーダーシップを奪われた危機感から、伊藤が打ち出した秘策であったという。だが、伊藤が学んだドイツの憲法学者グナイストは、ブルガリアの例を持ち出して、日本の憲法制定は百年早いと暗にほのめかしたり、これから議会制度を開こうという日本に対して、議会に予算議決権を与えてはならないと助言するなど、伊藤をたびたび失望させた。
内容の紹介はここまでにとどめ、不満をひと言。久野収の『現代日本の思想』は画期的な北一輝論であり、かつ独創的な明治憲法論でもあった。明治憲法のエグゾテリッシュ(顕教的)/エゾテリッシュ(密教的)な両義性が『憲法義解』の著者、伊藤の天才なくしてはありえなかった創造物であると論じた。すなわち、たてまえとしての天皇制絶対主義と、本音としての立憲主義(権限なき君主)の同在。北は明治憲法の秘密を的確に読み解き、逆手にとって『国体論および純正社会主義』を書く。明治憲法に対する見方が、久野以後どのように展開されているのかを期待していた私としては、いささか当てが外れた恰好だ。だが、今まであまり紹介されてこなかった明治憲法に対する当時の欧米の知識人(なんとアメリカの著名な判事ホームズを含む!)の総じて高い評価など、興味深いエピソードが多く紹介されていて、決して飽きない。二〇〇四年、第四回大仏次郎論壇賞受賞。