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- カテゴリ:一般
- 発売日:2003/12/01
- 出版社: 大月書店
- サイズ:20cm/47p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-272-60047-8
紙の本
茶色の朝
著者 フランク パヴロフ (物語),ヴィンセント ギャロ (絵),藤本 一勇 (訳)
突然「茶色のペット以外は飼ってはいけない」という法律ができたことで起こる変化を描いた反ファシズムの寓話。フランスのベストセラーにオリジナルの絵と解説を加えた日本版。【「T...
茶色の朝
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商品説明
突然「茶色のペット以外は飼ってはいけない」という法律ができたことで起こる変化を描いた反ファシズムの寓話。フランスのベストセラーにオリジナルの絵と解説を加えた日本版。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
フランク パヴロフ
- 略歴
- 〈フランク パヴロフ〉フランスとブルガリア国籍をもつ心理学者、人権運動家。子どもの心理と人権のスペシャリスト。
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書店員レビュー
ある国で、犬から始ま...
MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店さん
ある国で、犬から始まり、新聞、本、ラジオ、人々の服装、そして終には
「朝」までもが茶色に染まっていくという物語です。
フランスでは茶色=ナチスを連想させるそうですが、それにとどまらず
ナチズム、ファシズム、全体主義に及ぶまで広くイメージさせられます。
「茶色に守られた安心、それも悪くない」
というセリフが印象的です。
はじめは、すべてが茶色になってしまう違和感、危機感を感じていても、
いずれ、それに守られているという安心感へと自然淘汰されてしまう。
とても危険なことであり、遠く離れた時代、国の話ではなく、
私たち日本人の身近にもあることではないだろうか
新聞やニュースの報道を受け、「なんかおかしいな?」と思ってはいても
なれてしまうと、いつの間にか結果として受け入れてしまうことがある。
「茶色の朝」を迎えないためには自ら感じた疑問や違和感を持ち続ける
ことが重要であると考えさせられる作品です。
人文書担当 小泉
紙の本
現状を確認させられた一冊
2004/07/03 02:54
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:karasu - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴィンセント・ギャロの名を見て手に取った本でした。茶色の朝という柔らかくも感じる様な題に、気を抜いていた私としては、とても衝撃的な内容でした。
この短い寓話の中に、人間の性格、習性、集団の意識が凝縮されていて、この本を手に取った人は、何かしら思うところがあると思います。私には、耳の痛い話でした。
「茶色の猫以外禁止」から静かに、しかし、素早く忍び寄る茶色の日々。自分にとって、納得のいかない事である筈なのに、些細なこととして、目先の安心を取ってしまう自分。周りが何でもない事の様に流れていく様を見て、それが当たり前だと思ってしまう自分。全てが手遅れだと気づいた時にさえ、言い訳を思ってしまう自分。誰でも少しは見に覚えがあるのではないでしょうか?
この本に出てくる「俺」の日常生活は、そんな人間の特徴と、集団の中での意識がよくとらえられています。
そして、本編と同時に必読すべきは、高橋哲哉さんのメッセージです。茶色を柔らかいとも思った私に、しっかりと意味を教えてくれました。なぜ茶色なのか、その意味や、現代の日本に当てはめた時の考えなどは、本編同様考えさせられる内容でした。
面倒事を避け、妥協してしまっている自分というものを、再確認させられてしまった一冊。分かっているけど改善するのは難しい。しかし、読んで再確認し、改善しようという気持ちを持つということも良いことだと思います。
紙の本
見過ごすこととやり過ごすことの“代償”を説く書
2004/11/27 10:22
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
全体主義の最初の訪れは巧妙この上ないほどかすかで人目につきにくいため、捉えそこなうこともたびたびです。気がついた時には四囲をぐるりと取り巻かれて、にっちもさっちもいかないほど身動きが取れない状況に陥ることも珍しくありません。
本書は全体主義の萌芽を見過ごしてしまうことのそんな恐ろしさを寓話の形で提示しています。
1992年にパリへ長期滞在していたある晩、私はホテルへ戻る道すがら、極右の大物政治家ルペンのポスターを貼っている若いフランス人青年を見かけたことがあります。当時から既にルペンの極右思想に対してはヨーロッパ中が危惧の念を抱いていましたが、その一方で、混沌とした社会の中でこの政治家はフランスの栄光を示してくれるカリスマ的魅力を放っていたのです。外国人排斥を臆面もなく語るルペンのポスターを黙々と貼るその青年が私のような東洋人に対して危害を加える跳ねっ返りの若者であったらどうしようと、おっかなびっくりでホテルへと小走りに帰った覚えがあります。
彼らフランスの青年たちはその後10年かけてルペンを大統領候補にまで押し上げていきます。2002年の大統領選挙でルペンは決選投票に踊り出るほど票を伸ばすのですが、まさにその時期に本書は国民の間で広く読まれてベストセラーとなりました。知らず知らずの内に「茶色」に染まっていくことの恐ろしさを静かに説く本書は、ルペンを敗戦に追い込むのに一役買ったと見られています。
それでも全体主義の亡霊がいつの時代も私たちを脅かし続けるのは、本書の中で主人公がつぶやくように「茶色に守られた安心、それも悪くない」(14頁)と自らを正当化する気持ちが多くの「普通の人々」の中に存在するからです。
主人公に読者自身の姿が重なり、うそ寒い思いがすることでしょう。
なお、類書にジェームズ・クラベル著「23分間の奇跡」という寓話があります。
紙の本
購入して正解
2020/12/03 02:03
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シゲル - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の現在の政治が何も変わらなかったら、おそらくこうなってしまうのだろうと思わざるをえないストーリーでした。
政治に無関心のままでは、そのうち良くなるでしょ?という呑気な姿勢では、日本も近い将来この本の中身と同じになってしまうと思います。(2020年12月投稿)
紙の本
茶色の朝と大きな力
2004/09/27 13:32
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とびた - この投稿者のレビュー一覧を見る
この絵本のような装丁の本が書店で「社会・哲学」棚にあり、手にとりました。そこには、書店にはこの本がどのような背景で出版された本なのかが紹介されており、帯には読者からの反響が載せられていました。
この短い寓話は、その短いストーリーのなかに警告を発しています。ただ押し付けがましい思想を述べたりはしていないので、読者それぞれがここから考えたり、答えを探したりするきっかけになりうると思います。寓話というスタイルであることにより本と読者にいい距離関係があり、ひとりひとりが考えることのできる隙間があると思います。
また、高橋哲哉氏の本書に寄せたメッセージは、この本に新たな価値を与えていると思います。
いつからこんな流れになってしまったのだろう、この流れを止めることはもうできないのか、と世界のニュースを知るたびに何もできずに日常を繰り返している自分を嘆いていた私にとって、高橋氏の「勇気をもって発言し、行動することは、考えつづけることのうえにたってのみ可能なのです。」というメッセージは「思考停止をやめること、考えつづけること」の大切さをストレートに教えてくれたと思います。
ひとりひとりと大きな力、どちらが正しく、どちらが大切なことなのか、それぞれが考えていける世界を私は考えます。
紙の本
内容紹介
2004/01/29 12:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大月書店 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「これは昔々ある国に起こったおとぎ話じゃない」
本の帯にこう記したように、日本オリジナル編集版に全国からたくさんの反響が届いています。
特徴的なのは、「今、この時期に、ぜひ周りの人に読んでもらいたい」「この本を広めることによって、いっしょに考えたい」・・・と、1冊買って読んでくれた方が、10冊、20冊とプレゼント本としてまとめ買いをしてくれていることです。
パヴロフの寓話は原書でたった11ページ、日本語版も48ページの小さな本ですが、ヴィンセント・ギャロの絵と高橋哲哉のメッセージが加わったことにより、さらに新たな力をもつものとなりました。翻訳には中学生たちの意見も反映され、読みやすいものとなっています。
寄せられた反響の一部をご紹介します。
ヴィンセント・ギャロの絵が好きで買ってみましたが、とても素晴らしい本に出会えた事をとても嬉しく思っています。ここ数年考えている事をそのまま本を通して投げかけられた気がしました。「このままではいけない」とか「行動に移さなくては」と思うけれどなかなか踏み出せない私を見透かされている感じでした。迷いのある自分にとって運命のような出逢いの本です。
(27歳・女性・会社員)
今の社会の現状をわかりやすく、しかも私にはとても悲しく恐ろしく感じました。「ふつうの人々」は私の周りの人、親、兄妹、友達・・・とにかくたくさん。私が今の社会に不安を抱き、発信しても結局「流された」意見しか返ってきません。どうしたら今の情勢の不安を伝えることができるか・・・私はこの本しかないと思いました。
(22歳・女性・保育士)
これは今、ぜひ他の方々にすすめたい大事な内容をもつ本です。中3生の息子も心に刻む高橋氏のメッセージ、息子卒業時、何人かの友人に配ります。
(50歳・女性・パート)
戦中の日本も、こうやって戦争に突き進んでいったんだろうなと思いました。話の流れがとても説得力を持っていると感じました。そして高橋さんのメッセージが、とりあえず楽しければいいかなと妥協し始めていた自分に対して、戒めと警告を与えてくれたように思います。より多くの人がこの本に出会えますように。
(大学生)
ストーリーを読んでいるときから、日本の状況と同じだと思い始めていましたが、高橋さんのメッセージを読んで、より一層その思いを強くするとともに、これを他の人にも読んでもらわないとまずいなと思いました。
(49歳・女性・教員)
購入動機がギャロのさし絵だったにもかかわらず、本文と高橋氏のメッセージに感動してしまいました。思いがけずよい1冊を手にして嬉しく思っています。
(53歳・女性・主婦)
どこかで感じていた日々の生活での疑問がはっきりと鮮明に書かれていて共感できたし納得した。GALLOの絵もやわらかく何かうったえてくるものがあったように感じられた。とてもよかった!!
(20歳・女性・学生)
反ファシズムと正面切った本だと見向きもされないが、なるほど物語として何気なく手にとった人が、世の風潮に目覚めてくれる一冊となればと思う。
(52歳・男性・会社員)
寓話とはいえない物語の展開と、質の高い挿画、そして、高橋哲哉さんの明瞭なメッセージ。私たちの置かれている今という時。歴史を大きく黒くマークする不幸極まりない人間の日々。フランスにおいて、本当にこの一冊が力を持ち、極右の進出を阻むことができたのなら、私たちにもまだ、できることは残されているのではないでしょうか。
(女性・パート)