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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2003.11
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/353p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-124711-0

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驟り雨 改版 (新潮文庫)

著者 藤沢 周平 (著)

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みんなのレビュー24件

みんなの評価4.1

評価内訳

  • 星 5 (6件)
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  • 星 3 (8件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

電子書籍

通り雨

2013/07/08 01:18

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かぞお - この投稿者のレビュー一覧を見る

短編なれど心に残るいい作品。

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紙の本

驟り雨のように現れた者が降らす情の雨は、人々の心にさまざまな思いをもたらす10編

2010/03/27 18:55

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

どの作品も、驟り雨のように現れた者が降らす、さまざまな情の雨と、それによって芽吹いた人々の思いを描いている。
潤いを孕んだ驟り雨は、読む者の心にも、心地よさや人を思う心を芽吹かせる。

『贈り物』
六十年寄の作十の横腹には尋常でない病が住み着き、この日も日傭取りの帰りに激しい痛みに襲われて、道端で動けなくなった。
同じ裏店に住むおうめに助けられ、介抱された作十は、一人暮らしの気楽さの中に、人の情けを身にしみて感じた。
ある夜、おうめ元に、行方を眩ました夫が作った、借金の取り立てが来たと知った作十は、十両の金を都合すると話をつけた。

人と関わり合うことを煩わしく思っていた作十に降る、慈雨を描き、おうめにも同様に降り注ぐ、作十という驟り雨を暖かく描いている。
完全なハッピーエンドではないが、作十の暖かな贈り物によって、胸を一杯にさせられる。

『うしろ姿』
酔うと誰でもかまわずに人を連れてくる六助が、また家に人を連れてきた。
背を丸めてじっと畳を見つめて動かない、物乞いのそのばあさんは、亡くなった六助の母の様子にそっくりだった。
追い出すわけにもいかず手をこまねいていると、十日たち、二十日たっても、ばあさんの出ていく様子はなかった。

六助とおはまの前に現れた物乞いの老婆が、二人の亡くなった母への悔恨を癒す。
老婆を持て余すユーモラスな雰囲気と、亡き母への思いが相まって、絶妙でほのかな暖かさを描き出している。

『ちきしょう!』
夫に死なれ、幼い子供をかかえたおしゅんは、喰うに困って、同じ店に住む女から誘われた夜鷹を始めた。
抵抗のあった夜鷹には馴れていたが、要領の悪いおしゅんには男がなかなかつかず、客がないこの日も帰ろうかと思案していた。
熱を出していた子供が気になって帰ろうとした時、おしゅんはちょうどやって来た男をつかまえた。

幸せから坂道を転げるように落ちていくおしゅんと、偶然出会った男に降りかかった不幸を描いている。
とことん落ちていくおしゅんは、哀れとした言いようがない。

『驟り雨』
研ぎ屋仕事を本職と考えている嘉吉は、時折悪い血にそそのかされる。この夜も盗みに入る古手問屋の向かいにある、小さな神社の軒下に潜んでいた。
しかし神社の前には、揉める男女、諍いあう男二人が次々と現れ、嘉吉は焦れている。
息を入れて取りかかろうと思ったとき、道の左手に灯影が見え、具合の悪い母と介添えの子供が現れた。

降り続き、やがてあがった雨に、嘉吉の気持ちを投影させた作品。
背負っている嘉吉に気を許して、女の身体の重さが背中に乗る様子や、それまで降っていた雨があがる様子は、明確に言葉で表さない心地よさに溢れ、これが藤沢作品の良さだと再認識させられる。

『人殺し』
日斜め長屋に伊太蔵という疫病神が住み着いた。
狂暴で横暴な限りを尽くす伊太蔵に、長屋の者たちはうつむき加減に暮らしている。
若い繁太は、伊太蔵にやり返さない意気地のない長屋の連中を見て、ある決心をした。

長屋の者たちがうつむき加減に暮らしている理由が、伊太蔵に思い知らせようとした繁太の若気の至りによって、明確にされる作品。
「ガキめ!えれえことしやがって」といった源次の言葉がすべてを物語っている。

『朝焼け』
博奕にはまった新吉は、賭場から元利合わせて七両の借金をしていた。
胴元から返済日を区切られ、金を借してくれそうな当てを考えたとき、最後に一人の女の顔が浮かんできた。
会えばいつも機嫌のいい顔を見せるその女は、新吉が七年前に裏切り、捨てた女だった。

雨の降り続いている新吉の人生に、常にあった一点の光。
それに気づいた新吉の目の前に広がる朝焼けが、象徴的に描かれている。

『遅いしあわせ』
飯屋で働く出戻りのおもんは、無口な桶職人・重吉のことが気になっている。
春先から飯を喰いに来るようになった重吉は、いい男ではなかったが、落ち着いて男らしい一つ一つの印象が、おもんの中にはっきり刻み込まれている。
ある時、離縁の原因となった極道者の弟が無心にきて、店の裏口で言い合いとなった。その様子は重吉に見られていた。

春先に現れた男が、おもんに遅い春を運んでくる。
男に惹かれた、おもんの直感の正しさは、恋愛小説の定番のようにも思えるが、時代小説ならではの抑制の利いた、しっとりとした雰囲気が魅力の作品である。

『運の尽き』
女たらしの参次は、女に不自由していないことを、仲間の若い連中に自慢している。
この日も集まった水茶屋で、先日引っかけた米屋の一人娘の話をしていた。そこへ一人の五十近い大男が現れた。
これが参次の運の尽きだった。

「運の尽き」に込められた、正反対の意味が絶妙。
偶然引っかけた女によって、悪さをする男の成長を描いたユーモア溢れる作品。

『捨てた女』
歯磨き売りの信助は、頭がのろく大飯ぐらいのふきを捨てた。
信助は、矢場でのろのろ働いているふきを見ると、腹が立っていたが、折檻を受け悲しげな表情のふきを見かけたとき、情が湧いた。
以来、ふきと暮らしていたが、博奕にはまって金が無くなった信助は、金のある女の元に転がり込んだ。

ふきの頭がのろいながらも、自分の置かれた状況に気づく鋭さが、ふきを捨てた信助同様、読む者の心に突き刺さる。
捨てたはずの純粋な女が、たった一つの光と気づいた、男の後悔ともの悲しさを描いている。

『泣かない女』
山藤で働く錺職人の道蔵は、前から憧れていた出戻りの山藤の娘お柳と密会し、女房と別れるつもりでいた。
足の悪いお才に同情して一緒になった道蔵は、女房に何の未練もなかった。
別れ話を切り出すと、泣き狂うと思われたお才は、あっさりと認め、静かに家を出ていった。

道蔵の、同情が愛情に変わっていた思いを描いた作品。
道蔵を通り過ぎたお柳は、夫婦の絆を確かなものにした、慈雨かもしれない。

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2016/04/01 10:23

投稿元:ブクログ

内容紹介

激しい雨の中、一人の盗っ人が八幡さまの軒下に潜んで、通り向いの問屋の様子を窺っていた。その眼の前へ、入れかわり立ちかわり雨やどりに来る人々。そして彼らが寸時、繰り広げる人間模様……。表題作「驟り雨」をはじめ、「贈り物」「遅いしあわせ」など、全10編を収める。抗いきれない運命に翻弄されながらも江戸の町に懸命に生きる人々を、陰翳深く描く珠玉の作品集。

2007/03/31 22:06

投稿元:ブクログ

2007.03. いい!藤沢さんの小説は、数年前から”中高年の心に染みる”なんて言われたり、映画化されたりでおじさんに大人気だったけれど、私は敢えて読まなかった。中高年のうちの父も、藤沢さんの小説をたくさん読んでいたのに。だけど「十話」というアンソロジーで表題作の「驟り雨」に出合って、思いは変わった。市井の人々、それも裏店に住んでいるような貧しい人の心の機微が本当にうまく描かれている。無駄な文はひとつもなくて、でも気持ちが伝わる。情景が浮かぶ。素晴らしいです。

2016/09/08 19:03

投稿元:ブクログ

男と女のお話・・・けっこう理不尽な目に遭う女が多くてなんだか切ない。報われないのは本人のせい?男を選ぶ目がないからなのか

2012/08/09 01:30

投稿元:ブクログ

短編10作。
「贈り物」「うしろ姿」「ちきしょう!」「驟(はし)り雨」「人殺し」「朝焼け」「遅いしあわせ」「運の尽き」「捨てた女」「泣かない女」

江戸の裏長屋が舞台。
登場人物の人となりが憎みきれなくてほろっとする。
ハッピーエンドもアンハッピーもあるが、後味の悪さはない。
そしてとても読みやすい。

こちらと「たそがれ清兵衛」で作者の世界にはまってしまったかもしれない。

2011/02/07 13:20

投稿元:ブクログ

男と女にまつわる短編集。よかった。本当によかった。
藤沢周平の人情話だと思ったらガツンと裏切られる厳しい話から、ほろりと涙してしまうようなものまであった。特に表題の「驟り雨」は大好き。この短編にめぐり合えてうれしい、と思った。
これ、役所とかの離婚受付窓口において、待ち時間の間に読んでもらうようにすれば離婚がへるんじゃないだろうか。

2013/10/22 14:31

投稿元:ブクログ

“ 悲しみは沈まず、漂いつづける ”
なんとなく J ・ アーヴィングの 『ホテル・ニューハンプシャー』 を想起させる読後感。
希望と言うには余りに儚いが、それでも全編に救いはある。

2010/06/04 23:00

投稿元:ブクログ

真っ当ではない人生でもみんな心を持ちながら懸命に生きている。
ときに我を省みる。諦めたり、幸せを夢見たり・・・そんな登場人物たちに励まされる。

2010/04/14 14:07

投稿元:ブクログ

全1巻。
短編集。

しみる。
けども。

不幸の中でほんの少しともる幸せ。
小さいがゆえに、かけがえがなく、
人生ってそんなものって気がする。
そんな話。

あれだ。
自分の嫌いな北の国から臭がする。

鬼平の後だからなおのこと暗く感じた。
まあ。
藤沢先生らしいっちゃらしい話なんだけど。

まだいいかな。
もう少しガツガツしよう。
自分。

2010/08/15 17:52

投稿元:ブクログ

江戸の下町に生きる、名もない庶民の人間模様を描いた短編集。

短編集『たそがれ清兵衛』の時のようなスカッと感は少ないけれど、
もちろん江戸時代に私も藤沢周平も生きたことないのに、江戸下町の風景が、情景が、自然と浮かび上がってくる。


特に表題作の『驟り雨』(はしりあめ)。
事件はなにも起きない、ただ、これから盗みに入ろうとする男が神社の軒下で雨宿りをするだけ。なのに、同じく雨宿りのために立ち寄った人々の会話をきいた彼の心の動き、ずっと降り続ける雨の音、雨の匂いがただよってくる。

2013/09/21 19:26

投稿元:ブクログ

江戸の市井の人々の生活。特に女性に辛い話が多く含まれている。「驟り雨」「運の尽き」「泣かない女」が良かった。13.9.21

2013/01/05 08:26

投稿元:ブクログ

知人に勧められ、同郷出身ということもあり。実際の江戸がどうかわからないけど、今もありそうな事が描かれている。いや…今はないことなのかも…。艶と情がある。

2013/02/23 16:10

投稿元:ブクログ

興福寺貫主 多川俊映さん おすすめ
111208 こころの玉手箱 4話より

・・・仏教では「善・悪・夢記」という。人の心には善と悪が混在している。心の奥底は無記つまりニュートラルだから、その時々に善にも悪にもなる。そんな人間の実像を見事に描き出している。・・・

2011/07/16 08:23

投稿元:ブクログ

『ちきしょう』のみ。

大原麗子さん、三浦友和さん、乙羽信子さん他出演のTVドラマ版(1986年)は未ソフト化のようなので原作登録。

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