紙の本
これは予想以上にサッカーのプレーを書いています。でも、実際の試合を超えることは、村上の筆を持ってしても無理でした。でも、モデルとなった中田英寿の勇姿をピッチでみることはもうできない
2006/07/26 20:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「イタリアのセリエAでプレーする夜羽冬次。非欧州選手の謎の死の陰に隠されたものを、作家の矢崎剣介だ追う」サッカー小説。
サスペンスタッチの部分はありますが、作者が言うようにサッカーのプレーを小説で描くことに挑んだとあるだけに、そちらを中心に読むべき本でしょう。
夜羽冬次のモデルは、ご存知 中田英寿です。といっても、あとがきにあるように、所属チーム メレーニアは架空のものだし、性格なども全く別だということです。ただし、イタリアで実績を積んでいく姿や、プレースタイル、その評価や、試合の内容などは、中田そのものです。
冬次が矢崎にもらすのは、セリエAのプレーヤーに起きている死亡事故。事故というよりは、病死であると言っていいかもしれません。心臓発作などの死であり、決して警察が介入するようなものではありません。ただ、そこで亡くなっているのが白人ではなく、欧州圏外から来ている選手達ばかりと言うのが気にかかるのだというのです。
そして、そのことについて冬次に忠告を与えたのが、分子細胞生物学研究所に勤めるコリンヌ・マーティンという美貌の女性でした。彼女が伝える様々なドーピング。検査を潜り抜ける方法の開発と、その結果としての異常なプレーの活発化、その反動による心臓への負担。
リーグ戦やカップ戦が組み込まれ、週に二戦以上をこなしていかねばならないヨーロッパサッカー界の実態と、そこに見られる人種差別。そして、チームを応援する人々の熱狂と、その中で手段を選ばず名前を挙げようとする男たちの欲望。冬次こそ仮名ですが、他のチームや選手は実名で登場します。プレーも当然、実際のものに近いといえるでしょう。
噂の真相を求める矢崎。冬次とのメールのやり取りや、ゲーム後の食事風景などは、現実の村上と中田の付き合いのあり方を髣髴とさせます。でも、最も頁が裂かれるのは、試合の風景である。W・カップで我々の前に勇姿を見せてくれたジダン、デル・ピエーロ、ダーヴィッツ、ザンブロッタ、ルイ・コスタ、バティステュータなどが登場し、中田の試合を思い出させるようにプレーを見せてくれまする。
誰にでも楽しめる本かと思っていましたが、それは間違い。サッカーを理解していない人には楽しめない本ではないでしょうか。村上の挑戦はよくわかりますが、連日のようにサッカーのプレーが楽しめるW・カップ期間中に読んだせいか、やはり映像を越えることは無理だったなあという印象です。
それにしても、小説中に出てくるダーヴィッツ、ザンブロッタ、バティステュータを晴れの舞台でみることはなく、次回の南アフリカ大会では、ジダンも中田英寿の姿も見ることができません。ヒデとともに私の中のサッカーも、幕を引くときがきたのでしょう・・・
紙の本
サッカー
2016/05/27 20:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽにょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
サッカーとドーピングにまつわる話。
サッカーのプレーに関する描写も甘くて楽しめた。
ヒデと著者が仲いいことから思いついた話だとか。
紙の本
サッカーファンならずとも楽しめます。
2005/02/03 09:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ロングボーダー - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説は、中田英寿さんのサイト上で連載されたものだそうで、
準備段階から中田さんが協力をしているとのこと。
著者の村上龍さんとサッカー選手の中田英寿さんは友人で、
小説に登場する夜羽は中田さんをモデルに
そして矢崎は村上さん自身をモデルにしているのだと思います。
巻末には中田さんの解説もあります。
ジダン、デル・ピエーロ、インザーギなど
セリエAの実在選手も登場し、
クライマックスの試合シーンは112ページに渡り綿密に描かれています。
サッカーファンの方にはぜひ、お勧めします。
サッカーファンでない私でも十分に楽しめました。
村上さんのサッカーへの愛情が感じられました。
読み終わった後に、セリエAの試合が見たくなります。
投稿元:
レビューを見る
中田英寿リスペクトなエモーション満載のオリジナル。一瞬、中田同人誌みたいな位置づけなのかと思いました。
面白いんですけどね。
投稿元:
レビューを見る
個人的に村上龍の作品は、当たりハズレが多いけど、この作品は中くらいという感じ。
著者があとがきの中で述べているように「サッカーがいかに魅力的なスポーツか伝えたかった」という点では成功していると思うし、十分伝わってきたけど、著者特有の(他の小説でもよくでてくる)人生観のようなものを、ほとんどストーリーらしきものがない中で、見せられのは個人的にはつらかった。
投稿元:
レビューを見る
サッカー小説というとどうしても「龍時」と比較してしまう。と同時に村上龍と中田ヒデが仲良く会食してる場面をどうしても想像してしまう。冬次の台詞がどうしてもヒデの声で聞こえてきてしまう。そんな訳でまったく小説自体に集中できなかった。試合描写もボリュームはあるけれどイマイチ。アンギオンの副作用が冬次には出なかった理由も蛇足っぽくて読後感を損ねたような。
投稿元:
レビューを見る
NY旅行にて読了。
ストーリーとしてはたいした話じゃない。
でもサッカーを小説化した村上龍の功績というか、チャレンジング試みは少なからず意義がある。
特に「五分後の世界」のラスト100ページ以上に渡る衝撃的かつ革命的かつ最高の描写を髣髴とさせる、ユベントス戦の描写は圧巻。
そこにはリアルで壮絶な「サッカー」がある。
そこには全盛期のジダンがいてデルピエロがいてダーヴィッツがいる。
主人公は完全に中田英寿をモデルにしている。
中田にしか見えない。
この小説を読んでいて思ったが、やはり日本は今のままでは一生W杯で優勝できない気がする。
サッカー=文化という体系にならない限り。
ヨーロッパ・南米の国々にとってサッカーは文化でありLIFEそのものなのだ。
地元のクラブチームの勝利に一喜一憂する度合いが尋常じゃない。なんせ人が死ぬくらいなんだから。
そんな人間達にたかが数十年の歴史のリーグを持つ国がで勝てるはずが無い。
レッズのように帰属性を感じられるクラブ作りから始めるしかない。
投稿元:
レビューを見る
サッカーを知らない子なので、なかなかついていき辛かったんですが、
最後のユヴェントス戦は普通にサッカーの本を読んでるみたいで、
サッカーの勉強しようかと思いましたww
でも、そっちに力注ぎすぎて、肝心のミステリーの終わり方尻つぼみな気がするんですが…?笑
投稿元:
レビューを見る
前半ミステリー、後半サッカー描写、ということであります。この人の小説は好きなんだけど、なんで前半の勢いとか面白さが最後まで持続せず、最後はこんな終わり方になってしまうんでしょうか? それが残念。やはりスポーツの動きを文字で描写することへの限界値はあると思います。この描写で村上龍が表したかったプレーが、読者の想像力の中に立ち上がってくるかと言えば無理かな・・・。けどヨーロッパの壮絶なまでのサッカーに対する姿勢というのは感じられました。疑似戦争という言い方がとても的を得ていると。
投稿元:
レビューを見る
ミステリーとしてはちょっと、どうかなぁ…
試合のシーンは面白かった。
「文体とパスの精度」読んだあとだったせいもあるかもしれないけど、中田と村上龍の本としか思えなかった。
投稿元:
レビューを見る
例のごとく、別の村上龍の本の骨格を成す(と自分は解釈している)、自分の現実を直視し、「生き抜く」べき(≠頑張る)である、という点から書かれている。
舞台は、イタリア・セリエA。そこの弱小チームに渡った世界最高レベルの日本人選手から、主人公は、「使うと一試合中、フルパワーで試合に臨めるが、効果が切れると副作用により死に至る危険性が非常に高い薬」が密かに使われていることを聞く。薬の裏に隠された陰謀を探るために、真実を求め、彼は世界中を回る。その一方で、選手はサッカーの試合に臨む。そして、その選手にも、薬の魔の手が…。
後半の、日本人選手の所属する弱小チーム(その試合で負けると、降格が決定する)と優勝がかかったユヴェントスとの試合に100ページを超える分量が割かれているのだが、これが圧巻である。個人的に、サッカーは対して好きではないんだけれども、興奮し、熱中した。互いのチームの負けられないという気迫に、恐ろしいと感じさせられた。というか、それまでのページは、ここの部分のための伏線?という感じが否めない。
ただ、その試合のために、陰謀のほうがちょっと乱暴に扱われた感があり、少し残念だった。また、確かに最後に書かれた試合は引き付けられたが、そこまでの部分がイマイチ好きになれなかった。ので、この本全体を評価して、★★★で…。
投稿元:
レビューを見る
イタリアサッカー界が舞台
ミステリー仕様だけど、ミステリーな部分はどうでもいい(笑)
後半の試合を記述してる部分はもう 圧巻!
野沢さんのサッカー小説『龍時』より、私は好き
主人公の夜羽冬次は、中田がモデルとか言われてるけど、私には中村に思えてならないよ・・・
ともかく、サッカーのルールとかわからない人や
、あまり興味の無い人でもサッカーが観たくなる本!
ジダンとか現役なんだね~
と、少し時代を感じるけれど・・・
最近ワールドカップの影響でサッカーモノが溢れてるけど、本当に熱くなれる一冊
何回も読み返せちゃいます
投稿元:
レビューを見る
サッカーの中田選手をモデルにして書かれたらしい。
とにかくサッカーの試合の描写が詳しく鮮やかで見事だった。
それ以外の部分がまるでおまけに思えるくらい。
特別サッカー好きではないんですけれど、何故か丁寧に読んでしまった。
投稿元:
レビューを見る
ほぼ中田英寿をモチーフにしたサッカー題材のミステリー。
一時期、問題になった試合中に倒れたり、試合後に心臓麻痺になったりする選手の問題と、ドーピング問題を結び付けたストーリー。
そこにヒデが絡みつつ、サッカーのシーンにかなりのページを割いているので、そこも必見。
特にラストのユベントス戦では116ページくらいをサッカーシーンのみに。
文字からグラウンド上の動きを想像出来る人ならかなり楽しめる。
投稿元:
レビューを見る
村上龍の超大作です。著者は中田さんと個人的な交流がある
ようで、実際イタリアで食事しているらしいです。
サッカーは今でもかじっていますが、文章で読みながらこれほど
ダイナミックな雰囲気を出せるのはすごいと思います。
試合中の選手の感じている躍動感が読み取れます。