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前藩主毒殺の黒幕の宿望が膨れあがる。江戸の藩隠密組織嗅足組に放たれた五人の刺客。江戸嗅足組助勢の密命を帯びた青江又八郎は、再び江戸に舞い戻り、用心棒を続けながら刺客との対決する。
2010/08/01 16:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
【あらすじ】
藩主毒殺に関わる文書を狙う幕府隠密、その文書をもつ大富静馬との闘いに勝ち、文書奪還に成功した青江又八郎。
辛苦の働きにも関わらず例によって褒美もなく、旧録の馬廻り組百石に戻された不満はあったものの、帰国して半年、妻由亀との暮らしは平穏で幸せだった。
ところが又八郎に再び『災難』が降りかかる。
前藩主毒殺の黒幕は、藩主の座を狙い、藩隠密嗅足組の抹殺するため、江戸に五人の刺客を放った。
昨年の文書奪還で江戸嗅足組に助けられた又八郎は、今度は借りを返せとばかりに江戸嗅足組助勢の密命を受けたのだ。
かくして又八郎は、再び藩を脱藩。用心棒で糊口を凌ぎながら、刺客との対決を始めるのだった。
【書評】
用心棒日月抄シリーズ第三弾。
今作も、前作「孤剣―用心棒日月抄」同様、密命で脱藩する羽目になり、藩からの支援は一切なし。青江又八郎は、用心棒で暮らしを立てながら、命を果たすため奮闘する。
例のごとく、しもた屋のような店構えにもかかわらず江戸第一の格式を誇るような口振りで、割の良い仕事を紹介したときには、胸を反り返らせる口入れ屋の吉蔵や、酒好きで六人の子がいる豪快な用心棒仲間の細谷源太夫との交流はユーモアに溢れ、用心棒や密命に関わる緊迫の場面が読進欲を誘う作品となっている。
こう書くと、これまでの作品と変わり映えのしない内容かと思われがちだが、五人の刺客との緊迫した闘い、死地を共にくぐり抜けた佐知との深まる交情、これまで又八郎が経験してきた辛苦に一区切りがつく驚愕の展開が用意され、満足度はこれまでで最高。
続く第四弾にどのような展開が待っているのか、非常に期待させる内容だった。
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第一弾:用心棒日月抄
第二弾:孤剣―用心棒日月抄
第三弾:刺客―用心棒日月抄
第四弾:凶刃―用心棒日月抄
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刺客 用心棒日月抄
2022/09/02 21:07
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作、前前作から続く国許の争い。藩主の伯父が権力を握ろうとし、それを阻止する為に青江は再び江戸に出る。
シリーズごとに青江の待遇が上がると共に、想定外の苦しみにも襲われるようになって面白い。
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用心棒稼業
2001/05/08 15:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代物の小説と言うのは、どうもとっつきにくくてあまり読まなかったのだけれど、人に勧められて読んだのがこの本でした。
颯爽とした又八郎と、陰の集団「嗅足組」(かぎあしぐみ、と読むんだそうです)をまとめる女頭領・佐知との関係にはらはらしたり、細谷源太夫の遠慮仮借ないものの言い方がおかしかったり…。
こんなに楽しめるものだとは知りませんでした。今まで食わず嫌いだった時間がなんだかもったいなく思えてしまいます。
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佐知の魅力にますます磨きがかかっています。細谷の豪快さも相変わらず。吉蔵の狸もそ知らぬ顔で危険な仕事を持ってくる。でも少しずつ変わっていく部分もあって、登場人物たちがとても親近感湧きます。【所蔵】
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藤沢作品の良いところは
主人公が1番強いわけでも1番カッコイイわけでもないと言う所
主人公よりも強いし主人公よりも貧乏な脇役が面白い
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用心棒シリーズ第三作目。
すでに最終四作目まで読み終えてますがこの作品が
一番おもしろかったです。
藩創設時から存在する陰の集団「嗅足組」の女頭領を
守るという密命を帯び、またもや脱藩して江戸へ出向く
又八郎。
密命を受ける度に脱藩させられ、日々の食い扶持を
自力で稼がなければならない又八郎に対してなんとなく
切なさを感じてしまいます(笑)
今も昔も、お上・組織は無情なんですね〜。
それはさておき、用心棒として、また藩命を遂行するため
繰り広げられる数々の死闘は迫力満点。
圧巻です。
それにしても、男女間に純粋な友情というものは成立
しないんでしょうか。。。
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用心棒日月抄シリーズの3作目です。
今回は、藩乗っ取りを狙う寿庵保方が江戸に放った刺客との対決がメインストーリーとなっていますが、用心棒稼業で描かれる人間模様は、相変わらず面白いです。
刺客との対決場面は緊張感があり、読んでいて映像が浮かんできますし、一瞬の心の動きを、短い文章で表現し切ってしまうところは、さすが藤沢周平と思わされます。
藩命に従って奮闘するも報われなかったり、権力に執着したり、現代社会にも通じる悲哀がありますね。
時代小説が苦手な人にも、このシリーズだけは、是非読んで欲しいと思います。
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08、3月22日読了
用心棒シリーズ三作目「刺客」を読み終わりました。
冒頭から急展開でグイグイ引き込まれていきました。
明日から最終巻「凶刃」に入ります。
我慢できなくて先に解説読んでしまいましたが;;これで最後なんだと思うと
読み進むのがもったいないような気もします。
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用心棒日月抄シリーズの第三弾。
おなじみの源太夫や吉蔵は勿論の事このシリーズでは
我が麗しの佐知さんが大活躍します♪
とある事情からまたまた脱藩して江戸に旅立つことになった又八郎。
今作の決闘シーンは前の2作を凌ぐ勢い。
臨場感たっぷりの果し合いを楽しめる。
それにしても又八郎は、つくづく苦労人だな〜と思ってしまう。
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用心棒シリーズ第三段。
時は世が平定された江戸時代。
外の戦が内のお家騒動が移り変わり、ここでもお家乗っ取りの物語が始まる。
藩士の非違をさぐる陰の集団「嗅足組」を抹殺するため江戸に刺客を送り込む黒幕。
その内情には深いいきさつが。。。
嗅足組を影でささえる家老の頼みで脱藩し、極秘任務につく、青江又八郎。
決して他にはもらしてはいけない事項を胸に潜め、江戸へ用心棒稼業をしながら、
任務を遂行していく。
用心棒稼業の壮快さと、藩の命令の暗い部分を併せ持った味わい深い物語。
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タイトル:刺客
著者:藤沢周平
発行日:2001年
出版社:新潮文庫
佐知という女刺客の生涯の話で又八郎という上級武士を狙い、逆に腕を切られその武士に介抱されてしまいます。それをきっかけに二人は恋におちてしまいます。最後には悲しい結末で、とても興味深い内容でした。
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第3作目
佐知との関係が発展・・・
又八郎の人柄もだんだん変化してきて頼もしい
あっという間に読み終えてしまった
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全1巻。
シリーズ物第3段。
1作目程の凝った演出も無く、
むしろ2作目から続く時代もの。
基本は2作目と同じ。
もう笑ってしまう。
主人公の周りにいる
いつものメンバー。
いいなあ。
ニヤツキが止まらない。
今回はそこを楽しむ感じだった。
登場人物達を愛すための回。
あとがきの書評で、
やっぱり編集者にそそのかされたことが判明。
やっぱり。
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用心棒日月抄第3弾。今回は嗅足組が窮地に陥ります。それを助ける青江又八郎。今回もおもしろかった~
2010.5.10読了
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嗅足組の頭領、佐知の父からの依頼で組を守るべく子供が産まれる前にまたもや脱藩し江戸に行くことになってしまった又八郎。そして不運に見舞われ無一文となり毎度毎度の相模屋での用心棒稼業。日々喰いついでいきながら刺客と闘うことになる。佐知との恋愛模様もより親密になり、ええ、ある意味恋愛小説です。陰として組織の長として生きてきた佐知が時折見せる頬を染める恥じらいがとてもかわいい。一方、夫の帰りをただじっと待つ妻由亀がなんとも不憫だ。決闘シーンも緊迫した雰囲気が漂い手に汗を握る。とても面白かった。