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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2004/01/24
  • 出版社: 角川書店
  • レーベル: 角川文庫
  • サイズ:15cm/201p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-04-341005-0

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偶然の祝福 (角川文庫)

著者 小川 洋子 (著)

見覚えのない弟にとりつかれてしまう女性作家、夫への不信がぬぐえない妻と幼子、失踪者についつい引き込まれていく私……心に小さな空洞を抱える私たちの、愛と再生の物語。【商品解...

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偶然の祝福 (角川文庫)

税込 616 5pt

偶然の祝福

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見覚えのない弟にとりつかれてしまう女性作家、夫への不信がぬぐえない妻と幼子、失踪者についつい引き込まれていく私……心に小さな空洞を抱える私たちの、愛と再生の物語。【商品解説】

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みんなのレビュー155件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

短編集でありながら、ひとつの私小説のようであるような。

2006/11/19 19:32

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 7つの短編集が収まった作品であるが、読後に、ひとつのストーリーとして繋がっているのがわかる。
 そして、それぞれの短編がそれぞれに短編として読み解くことができ、独立し、お互いを侵害しないのに、7つが一つの物語に仕上がっているところに感心する。
 平凡な表現だが、「うまいなあ」と言うしかない。
 巻末に川上弘美氏が解説を述べておられ、その中で「キリコさんの失敗」を紹介されている。この7つの作品の中ではやはり、この「キリコさんの失敗」がもっとも印象に残るものだった。
 善の人でありながら、世間からは少々偏見をもって見られてしまう人物は結構いるものである。なぜか本人の意思とは関係のない偶然に振り回されているキリコさんに同情して、少しばかりの正義感でキリコさんに肩入れしたくなるのだが、おもうように行かない。
 奇行、奇怪な人の部類に入るかもしれないが、善の人だけに、なんとかしてあげて欲しいと願うが、筆者は容赦なくキリコさんを消してしまう。
 作品に登場する私という作家の主人公と小川洋子氏をダブらせながら読み進むのもおもしろく、生活の端々から想像をふくらませ、空想の世界に遊び、そして現実世界に軟着陸していく。
 偶然の織り成す世界に遊ぶのも一興かと思うが、筆者が抱く隠れた魔性をそこここに感じて読み進むのもいいかもしれない。

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紙の本

切なく、美しく、失われたものと、共に

2011/09/04 21:52

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェラテ愛 - この投稿者のレビュー一覧を見る

おススメの本は何?と聞かれても、あまり口に出さない川上弘美さんがこの『偶然の祝福』を断言してまでおススメしている。本書に含まれている『キリコさんの失敗』をつらつら読みながらそう思ったそうだ。

私も、この『キリコさんの失敗』を大変面白く読んだ、今までの小川洋子にはない何かが光っていて、不思議なお話なのです。(小川洋子は不思議な話が多いけれど)

色々なものを失った私は、キリコさんをはじめとする人達にその穴を埋めてもらうのです。失ったものへの愛おしさ、それを劇的に取り戻す美しさ。どこの部分を取っても美味しいお話。

「小説を書いていると、時折自分がひどく傲慢で、醜く、滑稽な人間に思えてどうしようもなくなるときがある。」と言うくだりは、ご自身のことを書いているのかなとも想わせる切ない文章だ。

私がおススメしなくても、川上弘美さんがおススメしてるんだから、読んで損はないと思います。穴場的な小川洋子作品です。

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紙の本

「盗作」って、嫌な話だけど好き

2021/04/13 22:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

小説家が主人公の7つの短編、失踪者に関わる女、思いもよらぬ盗作をしてしまう女、個性的なお手伝いさんを思い出す女、ストーカー的なファンに出会う女、南の島へ取材旅行に行った女、一時的に言葉ができなくなる女、私が面白い、そして怖いと思ったのは思いもよらぬ盗作をしてしまう女を描く「盗作」、「背泳ぎの有力選手だった弟が精神科に入院したことにより選手生命をたたれてしまった」と語る女と通院途中で出会った主人公、その話を小説にして初めての文学賞を獲得するのだが実はその女の語った話は事実ではなくて古い海外小説の内容だった、今、あらすじを書いているだけでも鳥肌が立つ、あの女はいったい何者だったのか

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電子書籍

静かで深い、だからいつか読み返したい

2015/04/13 10:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:モンブラン - この投稿者のレビュー一覧を見る

7つの短篇は独立したお話だが、小説家である主人公の女性の語り手「私」は全部に共通している。
短篇の並び方は時間順ではなく、読んでいくうちに主人公が最初の短篇の「今」の暮らし方になった経緯がわかるようになっている。
後半の短篇では、主人公の恋愛が主に描かれる。
私は「エーデルワイス」が心に残った。主人公の前に現れた熱狂的な男性の読者。
この短篇を最後まで読むと、この男性が何者か、なぜ主人公の前に現れたのかがわかる気がした。
それから、主人公の息子(赤ちゃん)の友達であるカタツムリの縫いぐるみがでてくる部分がいいです。この縫いぐるみを見てみたい。

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紙の本

これぞ、まさしく純文学!!

2011/09/07 14:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る

連れ合いからの熱烈な推薦と、敬愛する川上弘美さんによる書評によって興味を持ち、
初めて体験した小川洋子さんの作品世界は、とても独特な世界観を持っていた。

作品の語り手である小説家が、作家になる前、なった後関係なく『物を書くということに対する思い、
それにまつわるエピソード』を記していく時系列はバラバラの連作短編集だ。

だが個々の作品が持っている言葉の力、読み手の内側に食い込んで残るパワーを目の当たりにするに付け、
純文学の持つ人間考察の深さや凄味を感じた。例えば【失踪者たちの王国】で綴られた文章

『さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、
失踪者たちが住むという王国。誰でもたやすく足を踏み入れられるという訳ではないらしい王国』からは、

人間の生きている、この不条理な世界にも、ある種の法則の様な物があるんだよと教えられた気がした。
しかもかなり優しい気持ちが伝わって来た。こんな読後感は初めてだったので

『なるほど小川さんの持つ魅力は人間の芯の部分を、なるたけ肯定的に書くという所にあるのか!』と
強く合点したのであった。他の作品でも至る所に抜き書きしたいと思わせる箇所があった。そんな中から、

2作品分取り上げてみたいと思う。まだ作家でなかった頃に、余りに酷いやり方で弟を奪われ、
心身両面から壊れてしまった私の姿が描かれている【盗作】

『ああ、これが留めの一撃だ―ーー病院で意識を回復した時、私は思った。
弟との別れを悲しむあまり、言葉を見つけられない苦悩のあまり、とうとう自分も死んでしまったんだ。』

如何なる時も、言葉を探し、書き記しておかなくては自分で自分を許す事が出来ない作家という
種族の業の深さを垣間見た気がした。次に巻末に収められている【蘇生】を取り上げようと思う。

ある種の病気が、息子と私、立て続けに起きたショックで声も言葉も丸ごと失ってしまった私。
そんな時、自分の名を、ロシア革命の為に殺された皇女【アナスタシア】だと言い張る老婆と出逢う。

彼女が語る、もう一つのロシア革命の裏側。奇跡的な脱出を経て再び新たな生を授かったアナスタシアは
私に向かってこう呟いた。『アナスタシアとはどんな意味か、ご存じ?』

『蘇生よ。蘇ること。私にこれ以上ふさわしい名前があるかしら』この会話をきっかけに
私も再び身体の奥深く隠された言葉の涌き出る泉に手を浸し、言葉の結晶をすくい上げる力を取り返そうとする。

人間にとっての声や言葉を空中から掴み取るのは、まさに【偶然の祝福】を浴びているのだな、と強く感じた。
物静かな余韻の残る読了感を、是非貴方にも。

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紙の本

夢と現実の境い目

2011/09/20 10:02

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mieko - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小川洋子さんの作品は『博士の愛した数式』と『アンネ・フランクの記憶』くらいしか読んだことがありません。『博士の愛した数式』は映画にもなったくらい話題の本だったので読んでみたのですけど、数学嫌いの私でさえ、数字ってこんなにも美しいものなんだと感動しました。『アンネ・フランクの記憶』はどういう経緯があって読もうと思ったのか記憶が定かでないのですが、たぶんアンネ・フランクに関する本を探していたときに検索で引っかかって、この本がエッセイだったので、エッセイ好きの私の気を引いたのかもしれません。
 この2冊しか読んだことがないので、小川作品の文体とかストーリーの癖とかって、全然意識していなかったし、この2冊に関しては特別「癖」があるような文章ではなかったと記憶しています。ところが『偶然の祝福』は随分独特な視点の物語だなぁという印象で、小川洋子さんってこんな作風の人だったのかと新鮮な驚きでした。

 『偶然の祝福』という一冊は短編集で、「私」にまつわるいくつかの出来事に関する小さな物語が連作の形で納められた本です。
 「私」というのが敬虔なクリスチャンの家庭で育った作家志望の女性という設定なので、「私」というのは作者自身のことなのかなと思いながら読んだのですが、もし本人のことであったとしたら、結構赤裸々な内容だなと驚きます。けれどこの本が「エッセイ」に分類されていないということは、自身にまつわるエピソードを膨らませて描いた物語なのでしょうか。

 7つの短編のタイトルは次の通り。

・失踪者たちの王国
・盗作
・キリコさんの失敗
・エーデルワイス
・涙腺水晶結石症
・時計工場
・蘇生

 どのお話も、幻想的です。どれをとっても「私」の切羽詰まった、いっぱいいっぱい感が迫ってくるのですが、読み進むにつれ、だんだん夢と現(うつつ)の境目がなくなっていき、自分がどちら側に存在しているのか判らなくなってくるような不安定な気持ちにさせられました。だからといって不愉快さはなく、心に余韻が残る物語ばかりです。
 薄い本なので読もうと思えは一気に読めるのですが、もったいなくてちょっとずつ読みました。

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紙の本

不思議な世界が...全編通すと見えるものが...

2011/10/04 07:55

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る

7つの短編集...と思いきや、いわゆる「連作」であることを途中で知る。話の中にでてきた飼い犬「アポロ」の名前によって。死んだ弟、不倫相手、失踪者...「失うもの」があって、主人公は哀しみ、それを受け入れ、乗り越えて生きる。そして、その対局にある「(なくしたものを)見つける」才能を持つ女性の登場...結果、彼女も去っていくのだが。
タイトルの「偶然の祝福」という第の短編はない。全編通して、その意味がわかる、ということであろうか。いわゆる「純文学」がフィールドにはない自分にはいまひとつつかみ切れず、短編ひとつひとつも、俗っぽい言い方でいえば「落ち」がないので、どうにも消化不良のところは、ある。おそらくは、前述したように「失うもの」と「見つけるもの」、どちらも「偶然」なのかもしれないけれども、「失ってはじめてわかるもの」新しく見つける中に見える「光」、これらがすべて、「今の自分」を作り上げているのだろう。
ちょっと前に読んだ『とげぬき』ほど主人公の強烈な存在感がなく、『潤一』のように、他者が軸になっているわけでもない。平坦な文調が続くが、(その3つの中では)もっとも「人間臭い」部分がでているような印象を受ける。
ご自身と重ねているかどうかは分からないけれども、孤独な小説家である主人公をとりまく人間たち。出会って、そして去っていく。それぞれ接した時間は短いのかもしれないが、ひとつひとつそれは「事実」であり、その出会いを経たからこそ、次の出会いがある。形はそれぞれだけれども、周りに存在する人は、ある意味その主人公の理解者だ。孤独な境遇ではそれも力になる。
...芥川賞作家、なんですね...存じ上げませんでした。次は長編『博士の愛した数式』を読んでみよう、と思ってます。

【ことば】...暖かい日差しが降り注いだ。息子が目を覚まし、もそもそと動き出した。私はカタツムリの縫いぐるみを、顔のそばに置いてやった。

『盗作』の最後の文。「文学的」表現ですねー。もちろんそれまでの経緯があってこそ、なんですが、こういう情景が浮かぶような、読んでいる自分の目の前に「カタチ」が現れるような。文章の力、言葉の力って、すごいですね。書き手と読み手が同じ世界に立った、そんな瞬間。

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2004/11/14 18:19

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2005/07/16 22:59

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