紙の本
基本テーマは幻想怪奇的。
2017/04/15 21:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
1933年のノンシリーズ短編集。バラエティに富んでいる。 以前の作品の解説で読んだけど、クリスティーは降霊会が気取らないお茶会の普通の娯楽だった世界をうまく描いているとのこと。 オカルト前世的な話から、精神異常と感応の世界と思わせて犯罪……と思ったら別の話はみえみえの詐欺と思わせて……。 真ん中に配置された通常のミステリ「検察側の証人」がお互いを引き立ててる。
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怪奇幻想色の濃いクリスティーの作品集
2004/06/20 23:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
純粋なミステリと言えるのは「検察側の証人」一編のみ。他の作品は、心霊術や憑依現象、予知能力などをテーマに、不気味な雰囲気を醸し出している。本書は、そうした怪奇幻想色の濃い短編集である(1933年)。
純然たる怪奇小説でもない、かと言ってミステリでもない、中途半端な印象も受けたけれど、そこはクリスティー、なかなか面白いじゃないのという作品がいくつもあった。なかでも、O・ヘンリ風の話の妙味を感じた「翼の呼ぶ声」が一押し。金の威力に縛られた億万長者が、現世からの脱出を希求する話が面白かった。
「検察側の証人」は、後年(1954年)、クリスティーが戯曲化したものを、ビリー・ワイルダー監督が映画化した作品として有名(映画の邦題は「情婦」)。話がどう転がっていくか予測がついていたとは言え、かっちりと引き締まったプロットと、巧みな人物造型に、これは見事な作品だなあと唸らされた。
まあ、クリスティーの異色短編集ではあるけれど、緊迫したムードが高まっていく話のスリリング感などには、ぞくぞくさせられる雰囲気があって楽しめた。
風間賢二氏の巻末解説は、「ミステリと怪奇幻想」「精神分析学と心霊主義」の面から、本作品集の味わいを見ていったもの。読みごたえがあった。
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怪奇な短編集+1
2014/07/31 21:14
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投稿者:yami_aru - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は「検察側の証人」で知られる、怪奇オカルト系の短編集です。
ほとんどが超常現象やオカルトに彩られた作品なのですが、
やはり探偵小説としては「検察側の証人」が白眉でしょう。
今となっては通用しないようなネタですが、まさにこの時代にしか書かれない内容です。
この作品のためだけに購入しても良いかと思います。
ほかの短編はまあ、これといってどうということはない作品なんですが。
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怪奇系短編集。
クリスティが面白がりながら書いたとは
思えないんだけども……。
主に霊媒師の話。
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短編集。
ホラー……というか、不思議な怪談とミステリーが、一緒くたに入っています。
そして、ホラーとミステリーは、途中まで雰囲気が一緒なので、読んでいると、最後まで、
「これは、ホラーとして読んでいくべきなのか?ミステリーとして読んでいくべきなのか?」
が、混乱してしまいます。
その混乱をふくめて楽しめるかというと、そこまではいってないような気が。
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ベルギーの小さな村に侵入したドイツ兵士を、謎の爆発現象で吹き飛ばしたのは聖女と評判の修道女であった。まもなく、彼女は「死の猟犬」について謎めいた話を始めるが…。超自然現象とそれに絡む犯罪を描いた表題作をはじめ、幻想怪奇をテーマにした異色短篇11篇と映画化された名作短篇「検察側の証人」を収録。
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12話が収録された、短編集です。
戯曲にもなった法廷ミステリの「検察側の証人」以外は、いわゆる"怪奇譚”で、オカルトやサイコサスペンスばかりなので、ミステリ目当てで読むと、あてが外れるかもです。
私は、このちょいと不気味な雰囲気を堪能しつつ読みました。
心霊的な描写が多く、日本語訳が難しかっただろうと、お察ししますが、時々読んでて「?」となる部分がありました。
特に「死の猟犬」は、正直内容がよくわかりませんでしたね(苦笑)。
この話が表題作で、しかもトップバッターなのは、短編集の構成としてどうなんだろう、と余計な事を思った次第です。
本書唯一のミステリ「検察側の証人」は普通に面白くて、ラストの一文に「!!」となりました。
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神秘主義っぽい作品を多く集めた短編集。中学生の頃けっこう好きでよく読んでいたのだが、いかにも中学生が好きそうだ。当時はとくにジャンルを意識していなかったが、やっぱりミステリ色が強いものがおもしろい。
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少し不思議で怖い話の短編集です。1つのお話が40P前後なので毎晩寝る前に1話ずつ読んだら意外と楽しめました。個人的には「第四の男」「ランプ」「ラジオ」「検察側の証人」「アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件」が好きです。
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アガサ・クリスティーのハヤカワミステリで新訳だったので読んでみた。
ミステリーじゃなく
ホラーというかオカルト短編集。
さすがにクリスティーで安定感はあるけど、とくに怖くない。
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まさかの超常現象やゴシックホラーな一冊。
確かに解説を読むとミステリー好きが傾倒するのもわかるような気がしますけども。「検察側の証人」先に映画で見ていて個人的にベスト10に入る映画だと思って原作読んでみたら‥あれ、こんな展開だったけ‥??映画のほうが私はLOVEですね。
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オカルトに特化した短編集。交霊会、霊媒師、精神科医といった単語が飛び交う時代。怪奇現象を調べていった結果、科学的に説明がつく話もあれば、説明がつかないままの話もある。似たような題材を使いながらも、悲劇的なものもあれば、少し哀しかったり優しい雰囲気の作品もあり、オチにま工夫があって興味深く読めた。
「赤信号」交霊会で霊から忠告を受けたあとに起こる殺人。狂気に囚われた殺人者はいったい誰なのか。主人公の追い詰められ方が緊張感あり、意外な真相も面白い。
「第四の男」列車で意気投合した三人の学者が議論のネタにした多重人格少女の事件。そこに居合わせた四人目の男が、世間には知られていない少女の真実を語る。
「ジプシー」子どものころからことあるごとに夢の中や現実でジプシーに不吉なお告げを受けていた友人。友人の死を機に、主人公は、友人がジプシーと呼んでいた女性に会いに行くことに。話を通しての不吉な感覚が、
「検察側の証人」は、唯一オカルト要素のない作品。殺人の容疑者となった青年の無実を信じ、助けようとする弁護士。青年の妻は、検察側の証人として青年に不利な証言をしてくる。そこで得られた、妻の証言をさらに覆す証拠とは。ラストの衝撃はなかなか。ひねりが効いて面白かった。
「アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件」ある朝突然、記憶をなくしたアーサー。心理学者カーステアズは、アーサーのふるまいに猫を連想していく。そして屋敷には猫に関係する怪現象や、かつての飼い猫の死の噂が。まさにオカルト探偵といった物語。
「最後の交霊会」他の話と違い説明をつけることがない単純に怖いホラー。利己的な人間が恐怖に拍車をかけていく。
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猟犬が関連したミステリはいくつかある。
本短編集にも、猟犬にまつわる話が一つある。
短編集の名前は、どの短編の名前にするかは迷わないのだろうか。
しばしば、一番いいと思うものでない名前になっていることもある。
本編は、2週間楽しむことができました。
短編集には、他の作品と関連した話題、用語をみつけるのが楽しみです。
似た構造、似た登場人物、似た風景、似た駅名があると、
アガサクリスティものを読み進むときのヒントになります。
自分では、ミステリと怪奇物の区別がつきません。ごめんなさい。
ネタばれになるといけないのでこのあたりで。
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アガサ・クリスティのホラーやオカルトばかりの短編集。
その中で異色なのが「検察側の証人」。
これは映画化されたり別に単行本化されたりもしているので面白かったが、それ以外はイマイチ好みじゃなかった。
やはりクリスティはミステリやサスペンスのがいい。
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そこには理屈なんてない?
超自然現象と死。いわゆる推理小説とは違って、明らかな謎解きは行われない。これだから怪奇小説は。幻想的な雰囲気とホラーを楽しむ短編集。「検察側の証人」だけは怪奇小説でない。それ以外は、うまく理屈で説明できないものが事件を引き起こしている。それはつまり、名探偵の不在。いつもの推理小説も、名探偵がいなければ怪奇事件なのかな、と思いつつ。
「検察側の証人」は、映画やドラマをみたことがあるが、こんなにシンプルな短編だと思っていなかった。