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商品説明
戦いの惑星に降りた新聞記者が体感する驚異の世界「射性」。唯一の糧である麦を武器に戦いつづける村と、運命に翻弄される青年「麦撃」。他、滅びと再生のSFショートショート13編。『ログイン』『SFマガジン』等掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
All clear | 6-16 | |
---|---|---|
愛しのリューラ | 17-26 | |
ファントム | 27-37 |
著者紹介
神林 長平
- 略歴
- 〈神林長平〉「狐と踊れ」がハヤカワ・SFコンテストに入選しデビュー。著書に「グッドラック」「小指の先の天使」など。「敵は海賊」シリーズ、「戦闘妖精・雪風」シリーズはOVA化されている。
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紙の本
神林長平は、長距離ランナーだと思う。上手くても、短篇よりは長編がいい。でも、ちょっとセンチな短篇、それもいいかな、なんて思ったりして
2004/10/28 23:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
装幀・挿絵装画はヲバタトモコ。ただしカバー画が素晴らしすぎて、挿絵が所詮は凡百のイラストと変わりがないのにと、逆に才能の使い方に疑問を抱いてしまうのは、やっぱり大きなお世話なんだろうなあ。でも、カバー画レベルの挿絵を一杯つけて欲しかったなあと思うのです、わたし。ちなみに出版社名については、参りました。
1980年代に発表された13の短編を集めたもの。超古代コンピュータの告げる地球の最後、ヨシアの選択「ALL CLEAR」。右ひざを痛めた永久追跡刑事ゼボンが追い求めるのは「愛しのリューラ」。実動してはいけないアッシムが暴走した、ネットワーク上のウィルス退治「ファントム」。
少年が飼っている一台の蜘蛛に似たロボット、でくのぼうライダス。人類に君臨する超高速コンピュータに挑む「過速」。障害児MとLOVEシステムとの友情「マシン・チャイルド」。石ころ生物マイク=マーシが可愛い「God be with you…」。紅大十三世の意識と十一世が十二世の脳の中で語る人類創生の物語「エデン」。夫婦喧嘩をして家を出たおれが街で見かけた店は「怒髪」。
朝起きて、スリッパを履こうとした男に襲いかかる不思議な現象、それがいつの間にか「和の君」。最後の一行の前で、思わず頭を抱えてしまった「とんでもない猿たち」。男の性を、戦争と人肉喰いとうまく混ぜ合わせた「射性」。戦争がなぜか長閑な印象の「麦撃」。父親が息子に語る遠い国の話「炎帝朱夏」。
挿絵は、あまりに児童書風で好きではないけれど、「麦撃」のなかに出てくる飛行機は、ちょうどカバー画と同じ題材なのでやけにしっくりとキマッテイル。ヲバタトモコがこの本で描く人間は、どれも機械染みて今ひとつ親しみがわかないけれど、メカはいい。線の感じが、そちら向きではないのだろうか。うーむ、再び、いらぬお世話か。
解説は、ちょっと神林を褒めすぎかな、でもよく読めば、確かにお説御尤もだよなと思わせる山田真里。この人の解説はマニアックにはならず、読者としての距離感が私たちと同じで、はっきり言って好きです。ウーム、と唸る所はないけれど、これで読みたくならなければ、あんた読書人やめなさい、といえるくらい適切なもの。
ちなみに、私が一番好きだったのは「God be with you…」、いや、「マシン・チャイルド」だろうか。長い時間をかけて全く違った形で出会う二つの意識、これはまさに歌舞伎の世界である。ちなみに小林恭二『宇田川心中』を読んでみればいい。時というものの長さ、いや短さというものが予想もしない形で理解されるはずだ。愛は、時間を超える。
紙の本
著者コメント
2004/02/24 18:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:神林長平 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずいぶん昔のことなのだが、手元にある未発表の小品を集めて、しゃれた造作の本ができたらいいな、と思ったことがあった。文庫サイズのハードカバーの本とか。
今回の、ヒヨコ舎・Oさんからのお話は、そんなかつての願いがかなう、嬉しいものだった。作家にとって、本好きでしかも「あなたの作品が好きだ」という担当者に本を造ってもらえるほどの幸福はない。
収録作品の候補については、随分以前のものゆえ、あまりに未熟だと自分で感じるのは除外してもらった。久しぶりに読み返すことになった各作品はなつかしく、面映ゆかったが、いまでも十分に新鮮だと思えたのは、「麦撃」だ。それで、この作品集のタイトルも『麦撃機の飛ぶ空』とした。
紙箱入りソフトカバーという、なかなかに凝った作りの本は、もちろん私には初めてのもので、できあがりを楽しみにしている。神林長平 2004.02.24