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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1995.4
  • 出版社: 中央公論新社
  • レーベル: 中公文庫
  • サイズ:16cm/337p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-12-202287-8

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紙の本

残像に口紅を (中公文庫)

著者 筒井 康隆 (著)

残像に口紅を (中公文庫)

802(税込)

残像に口紅を

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残像に口紅を

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みんなのレビュー153件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

現実が模倣し得ないほどの虚構性とは

2003/06/29 22:05

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:べあとりーちぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 筒井康隆御大の著書のうち何が一番好きかと尋ねられたら、筆者は迷わず本書を選ぶ。
 文庫版では判らないが、かつて中央公論社から出ていた単行本版は、途中のとんでもない場面から先が袋とじにされて立ち読みできないようになっていた。「ここまで読んでもういいやという場合、袋とじを破らないまま中央公論社まで持参すれば返金する」という挑発的な文言がそこには書かれていた。『中央公論』に連載されていた時も、かつてない実験作ということで鳴り物入りの扱いを受けていたように記憶している。

 だが実験的かどうかなど、本書を語るうえでは何の意味も持たない。
 筒井御大を髣髴とさせる中年の作家が、虚構内存在としてとある作法に則り小説を書く。その作法とは、1節ごとに一つずつ日本語の「音(おん)」が消えてゆくというもの。音が消えるに従って、その音を含む言葉が消えてゆく。「パ」が消えればパソコンが、「に」が消えれば日本酒が虚構内世界から消えうせるのだ。
 消えてしまったものは記憶の中にのみ存在し、だからこそ美しく儚く懐かしい。序盤の魅力はそういった懐古的なもの、人が誰でも思い当たるような甘い朧な思い出の描写である。

 そしていよいよ音がどんどん消え、普通の自然な文章をつづることが困難になってからが読みどころとなる。主人公は4割がた音の消えた言葉を駆使して恋した女性と愛を交わし、さらに創作の方法論を講演し、半分以下まで減ってしまってから自らの半生を語り始める。ままならない文章は時にたどたどしいながらも、思いもかけない説得力で子供時代を表現する。訥々とした語り口が哀しみと痛みを醸し出し、なんと残りの音が12にまでなってもなお回顧は試みられる。この場面はまさに圧巻、息苦しいまでの迫力とすごみがある。一度読んだら決して忘れられないだろう。
 言葉に興味を持っていて万が一未読なら、ぜひとも手にとってみてほしい。

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紙の本

才能とバイタリティ

2016/02/28 17:08

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K.ザムザ - この投稿者のレビュー一覧を見る

筒井康隆先生の作品を読んだのは今回が初めてですが、圧倒されてしまいました。音を一つずつ消していくというアイデアもさることながら、豊富な語彙や読者を楽しませる工夫が散りばめられており、飽きることがなく読了しました。音が消えることに伴ってその音を含む物も同時に消えていってしまう世界に漂う哀愁は今まで他の作品では味わったことがありません。先生の才能とバイタリティにただただ感服しています。

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紙の本

奇怪

2001/08/21 19:09

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:猫  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 一章ごとに、使用できる言葉がひとつづつ消えていく。そんな奇怪な世界を描いた作品。そんなばかげたことをする必然性はまったく無いところが、かえって良い。無償の試みに挑戦する作者と、消え行く事象に想いをはせる主人公が、妙にダブってくる。

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電子書籍

限界に挑む

2018/05/28 04:57

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

リポグラムと呼ばれる文字遊びが楽しかったです。限られた表現方法の中でもひとつのストーリーを展開する巧みさに驚かされました。

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紙の本

へそ曲がりな作家の真骨頂です

2004/07/25 03:46

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

筒井康隆と言う作家は読者を極端に選ぶ作家です。
作品の本質を理解できず表層でしか評価できない読者と
隠された意図を読み解いて虚構を虚構として積極的に
楽しもうとする読者に二分されます。
この作品は実験的な作品で読者に理解するための努力を要求します。

主人公は神戸に在住のSF作家 佐治勝夫。
妻と三人の娘を持ち家族関係や仕事関係は良好だ。
ただ作品は前衛的で難解な超虚構作品が多く
読者や評論家の間でも論議を巻き起こしている。

そんな彼が現実と虚構の境界に挑戦しようと思い付く。
表現のためだけに必要な記号としての言語が大切なのか?
イメージを表現するために言語自身が大切なのか?
作者である佐治自身が見極めよう。
そのためには世界からことばが失われた時に
そのことばがいかに大切であったか、どのように大切であったかを
知ることができるのではないか?

そんな実験的なことばが1つずつ失われていく
虚構の中の現実とも虚構ともいえる世界で
主人公の日常生活が始まっていきます。

佐治は作家であり主人公であり、住んでいる神戸は実在の街であり、
佐治にとって作品内世界は現実でありながら虚構でもあります。
実際に作品を楽しんで判定していくのは佐治であり、
作者であり読者の役目です。
この作品の中で、どんなことばが失われていくのか?
失われる前後で、どう変わったのか?
言葉が失われた世界に論理的な間違いは無いのか?
それらを判定し作品の意図や目的を見出すことを
読者は要求されていきます。

題名は作品が進み、妻の氏名が失われても妻という固有名詞が
残像のように残り、そのボンヤリとした妻が化粧をする様子です。
実験でことばが失われていく事を楽しみながらも、
妻と娘たちがいなくなっていき喪失感にとらわれる佐治。
五十音のことばが1つ消え、2つ消え、残りが3つになり、
2つになり、1つになり、最後に全て消えてしまう。
そんなラストシーンはキイスの「アルジャーノン〜」に
匹敵するほどの緊迫感で描写されます。

実験的で思弁的でありながら、小説という概念に挑戦し、
叙情的で妙に可笑しく切ない作品に仕上がっています。
本当に筒井康隆ってへそ曲がりで才能の有る作家だと思います。
少し残念なのは実験のための実験のような面も感じられて、
日常生活を描いているので展開は地味な印象です。
確かに非常に制約の大きな設定なんですが、筒井さんならば
制約を乗り越えて、とんでもない作品にできた気がします。
それだけ才能があり実力のある作家だと思いますから…。
でも、良くできた問題作、意欲作、ケッ作です(笑
その後の断筆騒動を予感させるような場面も見受けられます。

私の所有する単行本では途中に封がしてあります。
最後まで読みたくなくなったら、封を破らず出版社に持参して
返品、返金できます、というものでした。
本当に筒井さんらしい。
読者にも挑戦的なんだから…。

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2004/10/28 00:38

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2004/10/30 20:55

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2006/04/13 18:05

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2013/01/13 11:33

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2005/05/16 03:58

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2011/08/21 22:20

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2005/06/04 22:03

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2008/12/15 01:37

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2006/02/02 17:58

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2007/11/20 13:14

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