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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.4 61件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2004/04/01
  • 出版社: 早川書房
  • サイズ:20cm/542p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-15-208553-3
  • 国内送料無料

紙の本

犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (海外SFノヴェルズ)

著者 コニー・ウィリス (著),大森 望 (訳)

謎の花瓶を求めて、21世紀と19世紀のあいだを行ったり来たり、タイムトラベルで歴史を縦横に駆けめぐる史学生ネッドとヴェリティの活躍をユーモアたっぷりに描く冒険譚。ヒューゴ...

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犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎 (海外SFノヴェルズ)

税込 3,080 28pt

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商品説明

謎の花瓶を求めて、21世紀と19世紀のあいだを行ったり来たり、タイムトラベルで歴史を縦横に駆けめぐる史学生ネッドとヴェリティの活躍をユーモアたっぷりに描く冒険譚。ヒューゴー賞・ローカス賞等受賞作。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

コニー・ウィリス

略歴
〈ウィリス〉1945年コロラド州生まれ。現代アメリカSF界を代表する女性作家。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞等の受賞多数。著書に「わが愛しき娘たちよ」「リンカーンの夢」など。

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みんなのレビュー61件

みんなの評価4.4

評価内訳

紙の本

にぎやかな21世紀からベル・エポックな19世紀へ、タイム・トラベルは猫と犬を連れて〜恋と歴史のすれ違い!?

2006/08/25 18:09

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:TYANA - この投稿者のレビュー一覧を見る

コニー・ウィリスのチャーミングな大傑作。タイムトラベル物なので、ジャンル的にはSFでしょうか。
科学的で難しいというようなことは全然ないので、面白い小説を読みたい人ならどなたでも、オススメですよ〜。
「消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」という副題が示すように〜歴史ミステリに近い内容。
「犬は勘定に入れません」というタイトルは「ボートの三人男」の副題だったもの。あちらでは有名なユーモア小説で、犬も一緒にボートに乗ってテムズ川下りをするわけですが、三人というのに犬は入ってない、という意味。犬は言うまでもなく、というニュアンスのようです。
21世紀、近未来のオックスフォードから時間旅行へ旅立つ若き研究者ネッドとヴェリティが主人公。
つまり、中世へのタイムトラベルを描いて荘厳なまでの迫力のあった「ドゥームズデイ・ブック」と舞台設定は同じです。
今回は主な行き先が19世紀の平和な時代で、恋愛の要素も強く、楽しめる仕上がりになっています。
この話の中では時間旅行は十分可能になっているけど、費用がかかるのでスポンサー無しでは成り立たない、何ともせちがらいものとなっているんですね。
ネッドとヴェリティは、スポンサーの好き勝手な要請にしたがって何度も行き来を繰り返します。時差ボケならぬ時間旅行ボケという症状に悩まされながら、歴史に誤った影響を与えないように奮闘することになるのです。
タイムトラベルの影響で出会う人が出会わなかったら、記録されていた結婚はどうなってしまうのか??
そして、ネッド自身と美しいヴェリティの恋は…
未来では絶滅種となってしまった猫を巡っての物語でもあります。
テムズ川下りの風景は美しいのですが、猫と犬を連れてでは、そりゃあ大変でしょう!?
プリンセス・アージュマンドというたいそうな名前の猫にネッドは思い切り振り回されます。この猫が後書きで「性格の悪い猫」と表現されているけど、猫としてはごく自然にふるまっているだけで性格は悪いってほどじゃないのも〜猫好きには笑えます。
旅の道連れのブルドッグも言うまでもなく活躍、良い味出してますよ〜。

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紙の本

ジェローム・K・ジェロームへのオマージュ・SF編

2005/08/04 08:49

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 昨年秋,ヴィクトリア朝のユーモア小説「ボートの三人男」(ジェローム・K・ジェローム著)を読んだ。そのあとで,多くの作家がこの小説に影響を受けてこれに対するオマージュみたいな作品を発表していることを知り,そういうモノのうち邦訳されているのを入手して読んでみようと,思ったこれが第一弾。オビに「ヒューゴー賞・ローカス賞・クルト・ラスヴィッツ賞受賞」とあるのを見ればそのミチのヒトには判る通り,なんとこいつはSFなのである。
 ……2057年,オックスフォード大学の史学部の学生であるネッド・ヘンリーは,タイムトラベル研究のスポンサー,レイディ・シュラプネルのコヴェントリー大聖堂再建のために働いている。第二次世界大戦中のロンドン大空襲で消失したこの建造物を往事と寸分の狂いもなく再現するため,目下彼が探しているのは「主教の鳥株」と呼ばれる花瓶……のようなもの。空襲の夜までは確かにあったその花瓶を探して過去への旅を繰り返した彼はついに過労で倒れ,教授の計らいで19世紀のヴィクトリア朝で「静養」をすることになるが……。
 「ボートの三人男」的ヴィクトリア朝ユーモアとハードSFの見事な融合。翻訳の大森望氏(ところで最近知ったんだけど,この「大森望」って名前,本名ぢゃなく清原なつのの漫画からとってるって本当?)があとがきで書いている通り,最初のウチは主人公同様読者も事態が良くつかめないのだが,おぼろげに話が見えてくるとこれがなかなか本を置けなくなる面白さ。歴史をひとつのカオス系と仮定し,その因果をまさしく糸車のように繋げてみせる離れ業,しかも細部には神が宿っている(……(笑)と書きたいがこのあたり,読んだヒトしか面白くないかも)。とにかく,こいつぁ傑作であります。

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紙の本

やっぱネビュラ賞を取れなかった、っていうのは、そこまでの作品なんじゃあないかって思うわけ、少なくとも北村薫『スキップ』には及ばないやね

2004/05/31 20:41

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

海外SFノヴェルズの一冊。色使いを除けば、どこか、一世を風靡したヤマガタ ヒロミチを連想させる装画は松尾たいこ、装幀は岩郷重力+Wonder Workz。

「ジェローム・K・ジェロームのユーモア小説『ボートの三人男』にオマージュをささげつつ、SFと本格ミステリを絶妙に融合させ、ヒューゴー賞・ローカス賞のほか、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞したタイムトラベル・ユーモア小説。」

さて、困った。熱心なSF読みではない私は、ウィリスの作品でいえば、数年前に出た『航路』だけしか読んだことが無く、今回の作品の姉妹編に当たるという、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞というSFファンならば無条件で飛びつく三賞を受賞した『ドゥームズデイ・ブック』も何故か読んではいないし、ジェローム・K・ジェロームのユーモア小説の傑作『ボートの三人男』といわれても、???で、今後手にする予定もないのである。

でだ、『航路』のときも思ったのである。訳者の大森望は、丁寧にウィリスの作品を翻訳し、親切で分かりやすい解説を付け、今回も前作同様に絶賛している。その大森の気持ちは痛いくらいに良く分かる。でも私は、大森のように感動をもって読むことは、この本でも、前の小説でもできなかったのである。それは、主人公たちの無駄とでも言っていい動きが、彼らの努力の空回りが、私をハラハラさせるのではなくイライラさせるのである。

この話、主人公たちが本当に所属する時代は2057年のイギリス。タイムマシンによる過去への旅行が可能になっている。主人公はオックスフォード大学史学部の学生ネッド・ヘンリー、年齢不詳だが20代だろう。彼はレイディ・シュラプネルの命令でコヴェントリー大聖堂にあったはずの「主教の鳥株」という花瓶を捜し求め、ロンドン空襲前の時代に行かされるが、使命を果たせず疲労でダウンしてしまう。

なぜ、一介の学生が歴史に影響を及ぼすような任務についているのか、計画の責任者とされるレイディ・シュラプネルが殆ど個人的としか思えない判断で歴史を改変できるのかといった説明は一切無い。読者は、ネッドとともにわけも分からず、シュラプネルの我儘から逃れ1888年ヴィクトリア朝時代のオクスフォード近郊に投げ込まれるのである。

そこで出会うのが、我儘で自分勝手な学生テレンス、その飼い犬のブルドッグのシリル、学者バカそのものといった釣り気違いのペディック教授、金魚オタクのミアリング大佐、降霊会に夢中なミアリング夫人、その娘で美少女のトシー、その飼い猫のプリンセス・アージュマンドであり、シェイクスピアやギボンも読む執事のベインである。それにヒロインのヴェリティである。

正直、途中から「なにをやっても、結局は織り込み済みじゃん、それに多次元宇宙であれば、一つの流れが変わったところで、そうでない歴史は他にもいっぱいあるわけだし、なんでそんなに夢中になるの?」と思ってしまうのである。むしろ、テレンス並に我儘で不細工なシリルや、高貴なアージェマンドの動きを追いかけているほうは、よっぽど楽しいのである。

まして、これをユーモア小説と解説されてしまうと、どこであんたは笑うの?と聞きたくなるのである。笑いといえば『フロスト』でしょ、ネヴィル『王者のゲーム』でしょ、と思うのだ。カーター・ディクスンの『パンチとジュディ』のドタバタが結局は笑いを呼ぶこよなく、たんなる悪ふざけでおわったように、この本のテレンスやペデイック教授にも、笑いを誘われることは一度としてなかった。

その部分をなくして、SF的な部分や、本格ミステリ風なところ、例えばコリンズ『月長石』、クリスティ『アクロイド殺人事件』、ドイル『緋色の研究』といった本が出版された当時の人々の会話などを、楽しみ古きよき時代に思いを馳せる、それがこの小説の正しい楽しみ方、そんな気がする。

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紙の本

タイトルに惹かれてもはずれなし!

2004/08/21 02:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Maku - この投稿者のレビュー一覧を見る

 <犬は勘定にいれません>??
 Y新聞の書評欄で、題名を見てすぐに購入しました。
 もちろん、作者がオマージュした<ボートの3人男>も一緒に購入しました。(こちらは、古き良きイギリス式ユーモアでしょうか…。)

 SFであり、<ボートの3人>のようななぜかイギリスちっくなユーモアあり(私は、この絶妙なユーモアが一番気に入ってます)、恋愛あり、推理あり、フリフリのヒアヒダあり、ジュジュちゃんあり(呼んだ方はご存知ですね)、猛女はいるけど、猛犬なし。

 この手の本を滅多に買わない私的には、<夏への扉>以来のHITでした。

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紙の本

“とにかく読み進めるのが吉”の、最高傑作!!

2004/06/24 23:50

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あんず86 - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初に言っておきます。
SFと聞くと難しそうで敬遠される方がいらっしゃるかもしれませんが、
この作品はそのような心配は全く無用です。
どうぞ安心して読み進めてください。

とはいえ、最初の数十ページは確かにちょっと読みにくいかもしれません。かくゆう私も読み始めて
すぐに寝てしまいました(^^ゞ でもだいじょうぶ。最初はワケわかんなくても、
面白くなくてもそのまま読んでみてください。
おそらく70〜80ページくらい読めば、そこから先は楽しい世界があなたを待っています。
とにかくのめりこんで読めます。ただ読んで読んで読み進む!だけです。
読み終わったときには恍惚としてしまって、ただもうはあ〜〜とため息をつくのみです。

タイトルの「犬は勘定に入りません」というのは、ジョローム・K・ジェロームの「ボートの三人男」の副題そのものをタイトルにしたものだそうで。
19世紀ヴィクトリア朝が舞台で、テムズ川を三人の男たちがボートで
川下りするという、のんびりとしたユーモア小説です。
実際、本書のなかにもその「三人男」とすれ違う場面が出てきます。

21世紀オックスフォード大学の史学生ネッドの19世紀での冒険、謎解き、ロマンス…
そうなんです、SFと言ってもこれはただのSFじゃない、ミステリでもあり、冒険小説でもあり、
ロマンスでもあり、さらに歴史小説でもある…と、いろいろな意味で楽しめます。
まさに最高傑作と呼ばれる小説だと思います。
舞台ものんびりとした19世紀がメインですし。テムズ川の川下りの場面などは本当にいいなあ、
自分もいってみたいと思わせる光景がひろがっています。

とにかく読み進めるのが吉という作品。ヴィクトリア朝版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と
解説でも書かれてましたがまさにその通り!
自分があることをしたせいで歴史が変わってしまう!? 
運命の女性と結婚するはずだった男性が…これまた運命の男性Cさんと結婚するはずだった女性と
出会ってしまって…といった話。

すごく楽しい。読んで絶対に損はない話です。ぜひ!!

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紙の本

ネコは勘定に入れて欲しい

2004/05/11 14:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぼこにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

題名を見て小躍りし、思わず手に取ってしまったものの、SF長編と判明した時点で少々気後れし、それでも気を取り直して読んでみたところ、これが意外なほど楽しめた。時間旅行ものというのか、登場人物は未来世界からヴィクトリア朝イギリス、すなわちあの懐かしき『ボートの三人男』の舞台へと、失われた工芸品(美術的価値の低い花瓶)の捜索やら、時間旅行により派生したパラドックスの修正やらといった使命のもとに出かけて行くのだが、この辺はたぶんタイムトラベル小説における古典的な設定なのだろう。私自身はSFSFしたSFはあまり好きではないので時間旅行に関する部分はどちらかというと煩わしい感じ(時刻表ミステリを読んでも意味が分かった試しがないのだ)すらしたのだが、場面一転、ヴィクトリア時代に移ってからは、一挙手一投足が笑いを誘い、登場人物(および犬と猫)もまた生き生きとして素晴らしい。特に上流階級の奥方が『メイドを全員グラディスと呼んでいる』とか、ひょうきんなディテールが笑えた。
 しかしながら幸か不幸か、『ボートの三人男』とはやはりその空気の質感がまったく異なっていて、面白ければ面白いほど、皮肉にも書き手の資質の違いが際立ってしまったという気はするのだった。『ボート』の筋立てが、一見何の目的も持たず、ただ三人男の珍道中やその背景を彩る挿話により徹底したアドリブ性を見せていたのに対し、本作には比較的明確なバックボーンが定められており(時間旅行の目的とか)、それゆえ話のハチャメチャ度を左右する起爆力がやや小さい、言ってみれば『犬』は比較的お行儀良くまとまっている印象、というのが思へらくその原因。ジャンルを問わず主要なテーマは大体出尽くしたあとの、スキマ家具フェアのような文芸の世界に、もはや『ボート』の不滅の無責任さは望むべくもないのかも知れない、などと思うとちょっと淋しい。ペンで紙に書きつけていた昔の作家と、キーボードをパカポコやっている現代の作家とでは、ものを書くことに対する執念の濃さが違うのかも知れない。あるいは思いきりの良さの度合いが。
 それにまた『ボート』自体が、作者がかつて過ごした(しかも散々だった)休暇への柔らかいオマージュ的作品であった点を考えると、『犬』は二重のオマージュとなるわけで、ウィリス自身の作中の言葉を借りれば『うんざりするほど感傷的』な水っぽさをまじえているのも否定できない。だからと言って作品の面白さが損なわれるというほどではないのだが、これほど緻密な構成力と筆力を持つ作家であれば、あんまり『ボート』にこだわらないで欲しかった。シャーロック・ホームズの多数のトリビュート作品が証明するように、真似することでオリジナルの魅力を超えるのは、いや、オリジナルの魅力を再現するのだって、ひどく難しいことなのだ。
 ともあれ読後感は上々。蛇足ながら、ウッドハウスのジーヴズ(ヴィクトリア朝の『社長秘書令子』)ものを、ぜひとも読んでみたくなった。

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おすすめコメント

2004/03/31 12:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:豊崎由美 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ……狂ってしまった歴史の細部の齟齬を修復する冒険におけるネッドの相棒にして、その齟齬の原因を作った女子学生ヴェリティが大変なミステリーおたくだから、ドロシー・セイヤーズやアガサ・クリスティといった推理小説黄金期の作家の作品の引用が頻出。ネッドと共にボートでテムズ河下りをする、19世紀のオックスフォード大学の学生テレンスと、金魚マニアにして歴史学の権威ペディック教授は、古典作品からの引用を連発。訳者の大森望さんの苦労がしのばれる、そのくらい凄まじいコニー・ウィリスの衒学趣味には唖然とするばかりだ。そりゃあ、これはSFですよ。たしかにSFでございましょうよ。けど、冒険小説でもあり、ミステリーでもあり、コミック・ノヴェルであり、恋愛小説でもあり、歴史小説であり、そしてまた主流文学とジャンル文学のいいとこ取りしたスリップストリーム小説の逸品でもあるんですから、この大傑作をSF者だけのものにしておいてはならじっ! 読後、SFファンからのコニー・ウィリス奪還を堅く堅く決意した次第でございます。(SFマガジン2004年5月号コニー・ウィリス特集掲載の豊崎由美「コニー・ウィリスをSF読みの手から奪還したい」より抜粋)

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2004/10/10 15:33

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2004/10/10 17:17

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2005/11/03 12:46

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2006/03/24 01:27

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2006/05/20 22:57

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2009/09/29 23:26

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2007/02/15 21:20

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2006/12/11 21:16

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