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陋巷に在り 11 顔の巻 (新潮文庫)
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紙の本
この11巻と次の12巻がこの小説の山場であろう
2009/07/11 21:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この11巻と次の12巻がこの小説の山場であろう。この物語の主人公は顔回であるはずが、実は3人のヒロインが主人公なのではないかと思われてくる。前巻までの孔子の母の顔氏の話が、どのような意味を持つ伏線であったのかも、明らかになる。この小説の主テーマは、祝や呪と一体となった古い礼に対する、「鬼神を語らず」という孔子の新しい礼との、交代や革新である、ということも明確になる。呪術や葬礼の儀式を主に司どる旧儒に対する、人間社会の潤滑油たる礼を称揚する新儒との変革である。読み過ぎであるかもしれない。伝奇小説、怪奇小説あるいは超能力ものSFとして楽しめば良いのだ。
革命や革新というものは、破壊と流血をともなうものである。三つどもえ、四つどもえの戦いが展開される。陰惨な陰謀や呪術ではなく、直接的な戦闘、闘争の展開であり、むしろ明るいとも言える。