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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2004/03/01
  • 出版社: パルコ
  • サイズ:19cm/391p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-89194-682-2

紙の本

文学賞メッタ斬り!

著者 大森 望 (著),豊崎 由美 (著)

芥川賞・直木賞から、話題のホラー小説大賞、メフィスト賞まで徹底討論。WEBマガジン『エキサイトブックス』で話題の「言いたい放題」がパワーアップ。芥川・直木賞最新結果につい...

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文学賞メッタ斬り!

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商品説明

芥川賞・直木賞から、話題のホラー小説大賞、メフィスト賞まで徹底討論。WEBマガジン『エキサイトブックス』で話題の「言いたい放題」がパワーアップ。芥川・直木賞最新結果についての緊急対談も収録。究極の文学ガイド!【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

大森 望

略歴
〈大森〉1961年生まれ。SF翻訳家。
〈豊崎〉1961年生まれ。フリーライター。著書に「パチンコ天国」など。

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みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

夏休みOL読書日記8月13日(楽屋裏はいつも満員)

2004/08/13 07:14

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:脇博道 - この投稿者のレビュー一覧を見る

きのう「対話・日本人論」ていうすごい本を読んで、夏休みの初日
から脱力しちゃったんで、今日はすこし軽く読めそうな本を持って
外に出ました。でもなんだか表題もカバーの絵もぶっそうな感じ
だから思わずカバーはずしちゃいました。もう、私っていつも気弱
でやんなっちゃうわ。でっどうよ?ってことなんだけど、まっそこ
そこ楽しめたっていうのが本音ね。だってこういう楽屋裏の話って
面白くないはずがないわ。っていうか絶対面白いのよ。対談して
いるお二人も楽しくてしようがないって感じ。文学賞ってまるで
双六ね(古いな〜)。進んだり戻ったりもーたいへん! そしてそし
てよ。上がったらいいけど、いつまでたっても上がりにならなかっ
たり、途中で止まったままだったり、ほら一回休みっていうのが
あるじゃない、あれだわ。一度や二度ならまだがまんの子って事も
あると思うけど、何回もおあずけなんて、私だったらヤケ起こしち
ゃうわ。でもせいぜいお酒をいつもよりたくさん飲むくらいだけど
ね。いろいろな賞があまりにたくさんあるって事は、よーくわかっ
たけれどはっきりいってそんな事はどうでもいいわ。だってなんの
世界でもほとんどおんなじじゃない? 別に文学の世界だけがそうって
事じゃないもの。って言ってしまってはみもふたもないのよね。ご
めんなさい。勲章ってやっぱりたくさん持ってたほうが生きやすい
のかしら。すごく年をとってから新人賞とかもらっても(あれ?
もらえないのかな)仕方がないもんね。はやーくに賞をたくさんもら
って、あとは順風満帆って、ははっ、これって会社の昇進とたいして
ちがわない気がするわ。作品のタイトルでその賞の当落が決まる場合
もあるってはなしには少し笑えたわ。仕事のお昼休みに友だちとランチ
を買いにいくでしょ。そのとき飲み物もとーぜん買うじゃない。その
時、これってカワイイ! なんていってつい買っちゃうのはやっぱりネー
ミングが面白いものだったりする。でも、ふきげん、なんて名前のが
なんとなく面白くて買って飲んでみたらごきげんな味がしたりして。
ネーミングだけではわからない場合もあるってこと。それから興味
深かったのは、先物買いか、有名になってから読むかっていう話なん
だけど、わたし的にはどっちでもいいと思うわ。だって面白くない
小説を無理して読んだって時間のムダとも思うけど、ただ名前を知ら
ないって事だけで、読むのをさけてたら、実はそれがすごーく自分
的には面白かったりする場合もあるじゃない。そのときの気分で選べ
ばいいんじゃない。競馬だって研究しまくって当たるかっていうと
ちがう場合のほうが多い気がする(私は単なる研究不足だったりして)。
なにげで買ったときに大当たり(そんな経験してみたいわ)なんて
場合もありそうだしね。ここまで書いてきたら、あら、そこそこ楽し
んだなんてかっこつけて最初に書いちゃったけれどどっぷりはまって
すごく面白かったわ。やっぱり裏話が聞こえてきたときには素通りは
できないって事ね。すこし風が涼しく感じるわ。ありがとうございま
した。

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紙の本

正しく、斬りまくり

2005/11/14 21:08

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 書評で有名なお二人、豊崎さんと大森さんの
対談を、活字に起こしたものです。
下読み委員なんかもやっているのに、
ここまで喋って大丈夫かいなぁと、読んでてこちらが思う位。

 特に、大物作家の選考委員の
寸評というか、評は、いちいちチェックしてませんでしたが
凄いことになっているみたいですね、、。
”また読めてないな、ジュンちゃん”とか、
題名に怒るなになにさんとか、
豊崎さんが、書いてましたが、
もう殆ど若手新人作家とは、異文化意文明との交流みたい
になっているみたいです。
ファースト・コンタクトですな。
(ちゃんと理解して、褒めている場合もありますよ)
長いのは、ちょっとヤバイみたい。
小学生の課題図書じゃないのだから、
長さが問題になるとは、、、、です。
 選考委員のキャラ萌えで、楽しめ!と、ありました。
 私も毎回大変注目している、
日本ファンタジーノベル大賞を、高く評価して頂いて、
我がことのように嬉しかったです。
 ところが、非出版業界の色んな会社が出資していて、
出版社が全面バックアップみたいな体制
でないので、出版本に関しては、結構揉めるそうです。
佐藤亜紀さんの「バルタザールの遍歴」がそんなことになっているなんて、
知りませんでした。
 後、メフィスト賞も、最近勢いがあるそうです。
所謂、最近の本格ものは、少々苦手にしていたので、
よく判りませんが。
 各賞で、意外に知られていない名作を挙げていたので、
色々面白い作品を、教えてもらってこちらは、
とても勉強になりました。
 海外の現代文学は、特にですね、、、。
「ブラジルの赤」とか、「抱擁」とか「名誉の戦場」とか、
面白いみたい。
 一応作家になるには、
漫画みたいに持ち込みなども、ありますが、
(最近だと、平野啓一郎さんなどが、そうです)
 基本は、文学賞に受賞して、という形がメインです。
ところが、最近は、文学賞が多くなっていて、
デビューより、その後、仕事をプロとしてもらい続ける
ほうが、大変みたいです。
 各章末に、書かれた、
文学賞の心得を、読むだけでも、面白くて参考になります。

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紙の本

私が文学賞を白い目で見るようになったのは度重なる筒井康隆の直木賞落選、そして乱歩賞のレベル低下。でも胸が騒ぐんです、発表の時

2005/03/19 22:00

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

冒頭に大森望の「はじめに」があって、その間が13roundにわたる対談が挟まり、最後のほうに豊崎由美「対談を終えて」があり、そのあとに飛び入りで「第百三十回芥川賞・直木賞受賞結果を緊急対談」、巻末特別付録'03〜'04年版・文学賞の値打ち、がついている。でだ、笑える。賞ってこんなものか、というのが分かること請け合いの一冊であることは間違いない。

ついでにかいておけば、この本はデザインで、かなり損をしている。横尾忠則をちょっとセンスを悪くしたようなヤクザの絵についても不満はある。これが横尾や山本タカトだったら、もっとよかったのに、とは思う。でも、問題は色だろう。まず地の色が悪い。この早稲田カラーに泥を塗ったそれと刺青男のきもののそれが全く合わない。

無論、この本の内容が一種の際物というか、吹けば飛ぶようなものなのだから、というアピール、文壇のヤクザ二人が吠えてますから、という印象を敢えて与えたかったというPARCOの戦略があることは認めよう。しかしだ、もしかするとこれは文学ファン必携の、少なくとも私にとっては孤島に流された時、100冊もっていってもいい、といわれたら持っていこうかどうしようか迷うレベルの本だし、正直、娘二人には絶対に読ませなくては、と思う一冊ではある。

でだ、ついでにかいておけば、この本の巻末に豊崎由美の写真が出ている。残念だった、できればもう少し夢を見させて欲しかった。せめて斎藤美奈子さんくらいであれば、そう思う。何が、ってこれ以上は書けないけど。でも、これを見れば分かる、岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読』を読んで豊崎は男ではないか、いやあ、この下品さは女性では決してない、と私が思ったわけが。

いやはや、である。で、具体的な内容は何時になく文末に並べる目次から想像してもらうとして、肯けることを幾つか。まず、審査員の資質についてのお二方のご指摘、ごもっとも。で、笑えるのは宮本輝と津本陽、石原慎太郎の発言で、これは完全にブラックユーモア、というか老人ハラスメントではありますな。

そして、各文学賞の栄枯盛衰譚は、読むだけで涙、涙、爆笑。笑いすぎて涙が止まらない。それにしても、乱歩賞の低迷と芥川・直木賞の賞をあげそこなたった重要作家たち、これは気になる。筒井康隆大明神が怒るはずで、そういう気配を読めない文春の古さというか、厚顔無恥は結局は文学離れを生むんだよな、と思わせはする。

で各ラウンドのタイトルと印象に残る部分を書き出せばround1「純文学新人賞の最高峰は本当に芥川賞なのか?」。以下、「エンターテイメント対決!直木賞VS山本賞」。「文芸誌主催の新人賞、えらいのはどれ?」。コラム「海外文学賞事情〜主流小説編」を挟んで「選考委員と選評を斬る!」。

再びコラム「海外文学賞事情〜ジャンル小説編」があって、「傾向と対策の砦、江戸川乱歩賞」。またまたコラム「受賞パーティってなにやってるの?」に続き「ミステリ系老舗新人賞はどうなっている?」。「ホラー小説大賞とホラサスの底力」。「注目度ナンバー1メフィスト賞から《ファウスト》へ」。

そしてコラム「ライトノベルの賞事情」。そして「続々登場!新興エンターテイメント新人賞の勝ち組は?」。「世界文学に最も近い?ファンタジーノベル大賞」。またまたコラム「海外のおすすめ受賞作品」。続いて「ようやく夜が明けてきた?SFの賞事情」。「ベテラン作家対象の文学賞の違いって何?」。最後が「新文学賞の提案、地方賞で文学賞甲子園!」。

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紙の本

本書によると「谷崎賞」受賞作なら積極的に手にとってもよいようですね。

2004/12/04 11:26

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私は1980年代の一時期、芥川賞を受賞した小説をご丁寧にもすべて目を通そうと試みたことがあります。決して無限ではない時間の中で、少しでも良質の文学書に出会おうとすると、文学青年でもない私が目安とできるものが当時は「芥川賞」という権威でしかなかったからです。
 しかし当時読んだ受賞作で心に残ったものはひとつもありませんでした。どうやら芥川賞というのは読書の目安には必ずしもならないのではないかということに遅まきながら気がついて、この試みを自ら頓挫させたのでした。

 さて、本書「文学賞メッタ斬り!」は、芥川賞をはじめとする日本の数々の文学賞を俎上にのせて、著者二人が対談形式で「揶揄と薀蓄の矢を放つ」という趣向の一冊です。タイトルからはアクの強さが感じられますが、読後感はいたって爽快。この手の類いの本にありがちな「徹頭徹尾罵詈雑言で押し通す」という手法はとっていません。むしろ文学賞の意味を問い直すことで、日本の文壇をより強くしたいという「応援」の思いが著者二人の言葉の端々に感じられます。

 うすうす感じていたことではありますが、文学賞受賞作がどの出版社から出されているのかということが受賞を左右する大きな要素であるとする推察が随所に具体例とともに提示されていて、苦笑することしきりです。
 また、選考委員の中には、どうみても候補作に目を通していない、あるいは候補者の履歴すら理解できていない先生がたが多いということも見て取れ、なんだかなぁ、と溜息が漏れる思いをしたのも一度や二度ではありませんでした。
 概して男性委員よりも女性委員のほうが「元気」で「まとも」という印象も持ちました。

 世界の代表的な文学賞が、その代表的受賞作とともに簡単に紹介されているのも大変参考になります。

 「文学賞は作家のためにある。(読者のためにあるのではない)」(332頁)という心得は、上述した私の体験に照らしても言い得て妙でした。

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紙の本

ジュンちゃの感想が聞きたい。

2004/04/27 14:21

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:池のワニ - この投稿者のレビュー一覧を見る

あの渡辺淳一先生を「ジュンちゃん」とよぶのは、近所の困ったお爺ちゃんをあしらうようで、爆笑でした。直木賞の選考会でも、大先生街道をゆくジュンちゃん。どんなジャンルの小説だろうと、自らの性生活を基準にして、ダメだ人間が書けてないと、けちょんけちょん。周りの人は止めてあげないのって。これが権威ある文学賞の選考の場なのかと思うと、笑っていていいものかと不安ではありますが、われらがジュンちゃんを筆頭に先生方の物言いのあまりといえばあまりさ。もはや喜劇です。
実力者であられるジュンちゃんを「下半身担当のご意見番」と太鼓判を押してしまうあたり、おふたりの勇敢な戦士ぶりが際立ちます。会社の食堂でトップの批判をするようなものでしょうから。
とにかく地方のマイナーな賞まで、ごっそりと文学賞をお座敷にあげ、選考委員を選評する。どの作品に対して誰が何を言っていたのか。ある種密室の設定だけに、言いたい放題。いやーもう唖然ボウゼンです。一昔前まではあったでしょう、作家の先生というのは物知りで広い視野で世間を見通せているというのは、実は神話。ヨイショされる竜宮の毎日でお部屋の外の「リアル」がお分かりになられなくっておられないのがよくわかりました。しかし、こういう本が出るなんてすごい。小説を出版しているところからは絶対に出ない本です。

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紙の本

情けは人のためならず

2004/03/30 14:49

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:青月にじむ - この投稿者のレビュー一覧を見る

…という言葉を思い出しました。
この本を読んで分かったのは、文学賞は主に文学者のためにあるということ。考えてみれば、殆どの賞の選考委員が同業の作家とある点で、こういうことは思いつくはずなのですが、作家というのは凡人では考えつかないほど突出している、とか、作家にしかわかり得ないことがある、とか思っていたので、この点は改めて認識しました。

“直木賞受賞!”という帯に惹かれて買ったものの、全く面白くなくて「この作家は二度と読まない」と誓った人もいるでしょう。しかし、その判断はもしかしたらまだ早いのかも知れないのです。だって、その人は今までいくらもいい作品を書いてきたのにタイミングが悪くて受賞できず「でも、この辺でやっとかないと…」という暗黙の了解で受賞したものかも知れません。世間の評価と受賞歴が一致しない作家や作品の謎も、この本でだいぶ解けてくるような気がしました。
とはいえ、作品の評価=受賞、またはそれに近い場合もあるようです。そういった文学賞を中心に見ていくのが一番「いい作品」に当たる確率が高いのだろうな、と思いました。そのための、小説と呼ばれる作品に与えられる文学賞を横断してメッタ斬りしているこの本ですが、お二人のキャラクターが実に絶妙だな、と思いました。学生の頃からSFファンダムの活動に携わり、その後文芸出版社の編集を経由して現業(文芸評論家・翻訳家)に到った大森さんのふかーくひろーい知識と、揺るがない豊崎さんの見識。そのコラボレーションが見事に結実してこの本ができたと言えましょう。
私が特に注目していて、この本を読んでこれからも注目していこうと思ったのは、日本ファンタジーノベル大賞、野間文芸新人賞(これは個人的にヒットが多い)、三島由紀夫賞、谷崎潤一郎賞、泉鏡花賞、といったところでしょうか。これに加えるとすれば、時々メフィスト賞。応募型の新人賞は別として、あげるべきタイミングできちんとあげている実績のある賞は、これからも時期を見誤ることが少ないのではないか、という理由からです。私はどちらかといえばジャンル系じゃない小説が好きなのでこういう結果になりましたが、人の好みによって変わってくるのではないでしょうか。

その他、普段は注目していないミステリ系やSF系の賞にも言及して貰ったのは、もう殆ど「トリビアの泉」的な発見が多数ありました。自分は知らない事情というのは、いつものぞき見趣味ではあるでしょうが、面白いものです。

ただ、どうしても不満なのが選考委員のこと。確かに、どうにもならない現状の不満を少しでも和らげるにはいつも妙な選評を書いたり、ちゃんと対象作品さえも読んでもいない選考委員はいじって喜ぶしか無いかも知れません。しかし、それは構造的な問題であって、それをそのままにしておくことがより一層の文学離れを招くのではないかという懸念が残ります。選考される方も、できればきちんとした評価をされたいのではないのでしょうか。勿論、そういう傾向を見せる文学賞も出てきてはいるようですが、もっとその兆候が見えてもいい頃ではないかと思っています。

読み物としても一級品、読書ガイドとしても参考になる(ダメな作品を読んでみたい好奇心が押さえきれなくなり悶絶すること請け合い!)、といいこと尽くめのこの本、いっちょ、読んでみませんか? 事実は小説よりも奇なり。それが実感できる一冊です。巻末の、お二人による「文学賞の値うち」も見物。双方の評価の違いがまたエキサイティングです。自分はどちら側かを考えながら見ていくのもいいのではないかと。
でもね、本当にいい本に巡り会うには、賞を頼りに自分の傾向を探し求めるより、自分の好きな傾向を持つ作品で書評を書く「信頼できる」書評家をひとりでも多く捕まえることだと思います。巻末の「値うち」でも、自分の好きな傾向が見えてくるかも知れませんね。

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紙の本

本音入り「あらすじで読む文学賞」

2004/06/13 10:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:青木みや - この投稿者のレビュー一覧を見る

文学賞には興味ないほうだと自分で思っていますが、この本は文学賞を知らなくても、文学賞受賞作品を読んでなくても、大爆笑できる本です。
大森さんと豊崎さんの的確な突っ込みがめっちゃくっちゃ可笑しい。

 ただし、作家の名前は知らないとダメです。そんなに難しいわけではなくて、渡辺淳一とか、宮本輝とか、山田詠美とかマスコミにも取り上げられる有名人程度で大丈夫です。
 判らないところは懇切丁寧すぎて、ひょっとしたら本文読むより時間がかかる注釈を読むとOKです。
 これであなたもいっぱしの文学賞通。

 ROUND4選評のところはサイコーです。受賞作を本で読むと、選評なんて読まないことが多いですけれど、それは勿体ないことだというのがよく判ります。選考委員って、日本文学界を代表するであろうお歴々が並んでるんですものね。そういうお歴々の選評もセキララオンパレード。そうかぁ、ああいう作品を書く人はこういう選を書くのねえ。

 つまり、本書は「あらすじで読む文学賞」って感じですか。いや、にしては大森さんと豊崎さんの本音入りすぎです。「本当は恐ろしい文学賞」。
 そして、なんていうのか、豊崎さんも大森さんも、本当に本が好きなんだなぁというか。じれったいほど愛してるのを感じちゃいます。いやぁ、楽しくて良い本ですよぉお。

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紙の本

テルちゃんの役割

2004/05/26 12:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:柿玉蔵(かき たまぞう) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 芥川賞における宮本輝の役割。文学新人賞における山田詠美の毒舌。この二点には深く共感。そのほかの作品に対する評価も的を得ている。
 
 期待の新鋭、舞城王太郎・佐藤友哉の評価も、あれでほぼ間違いない。この二人がセットであるということを、見事に喝破している。

 文学賞関連書のなかでは、ズバ抜けて見識の高い書物だ。

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紙の本

笑えます

2004/05/03 22:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うおざ - この投稿者のレビュー一覧を見る

思わずぷぷっと吹き出したり、ニヤニヤしたり、思わず爆笑しちゃったりして、夫に「あんたヘンだよ」と冷たい目で見られてしまいました。純文だけでなくエンタメ系にもちゃんと目配りされていて、おたく第一世代(本書大森氏の注)のわたしとしては嬉しいですね。
これ読んで、またまた読みたい本が増えてしまった〜!

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紙の本

賞ほど素敵な商売はない

2004/03/27 13:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:グーテンベルク - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本の中には、袈裟懸けに斬られたり、真っ二つにされたりした文学賞
たちが横たわっている。
だから、ページをめくる時にはそっとめくろう。
ゾンビと化して起き上がられてしまっては、困るから…

本書は各ジャンルの文学賞について、徹底的に論じた一冊である。
各文学賞の成立プロセス、選考委員のシステム、作品の傾向、そして、
それらにまつわるゴシップまでがドカンと詰め込まれている。
「○○賞を××氏が受賞」という、よくある新聞紙面のそっけない記述の
裏側を笑いながら楽しめ、さらにブックガイドとしても有用。
何よりも著者二人が、文学を本当に好きなのがビンビンと伝わってくるの
が嬉しい。
良いと思える作品を強くプッシュし、ダメな小説はビシッと叩くので、
すがすがしいのだ。
うん、これだけ文学への愛ある侍に斬られたのだから、斬られた側も以って
瞑すべしだろうね、合掌。

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紙の本

はじめに——本書は、読者のための文学賞ガイドです。(1/2)

2004/03/04 13:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:大森望 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 まず、ちょっとしたクイズを。次に挙げる作家たちの共通点はなんでしょう?

 紫式部、井原西鶴、巖谷小波、織田作之助、山本有三、宮澤賢治、椋鳩十、福島正実、小松左京、松本清張、坪田譲治、角川春樹、開高健、大佛次郎、新美南吉、伊藤整、島木赤彦、新田次郎、舟橋聖一、向田邦子、小川未明……。
 ここまででピンと来た人は相当なマニア(ってなんの?)。
 さらに続けて、柴田錬三郎、江戸川乱歩、横溝正史、鮎川哲也、三島由紀夫、川端康成、吉川英治、山本周五郎、泉鏡花、大藪春彦、太宰治、芥川龍之介、直木三十五——と並べれば、もうおわかりの通り、これは、「その名を冠した文学賞がつくられている作家たち」(のごく一部)だ。
 もちろん、だれかさんの名前を使っていない文学賞もたくさんあり、マイナーなものまで合わせると、日本国内だけでも文学賞の総数はたぶん五百を超える。小説業界に身を置く人間でも、とてもぜんぶは把握しきれない。

 逆に、超有名な賞でも、その実態まで把握しているのは本好きだけかもしれない。「直木賞をとりました」と親戚のおばさんに報告したら、「おめでとう、次は芥川賞ね」と言われた——みたいな笑い話も珍しくない。こないだ宮部みゆきさんに聞いた話もその一例。『理由』が直木賞を受賞した時のこと、内輪でお祝いをしようと、宮部さんのお姉さんが近所の魚屋に鯛を一匹注文したところ、
「なんかお祝いですか?」
「ええ、うちの妹がね、直木賞をいただいたもんだから」
「そりゃおめでとうございます。次は江戸川乱歩賞ですね」
 お姉さんからこの笑い話を聞かされた宮部さん、「あたし今、その乱歩賞の選考委員だよ」と答えた——というオチがつく。
 鈴木輝一郎氏も、作家志望者向けのガイドブック『何がなんでも作家になりたい』の中で、日本推理作家協会賞受賞の報を奥さんに伝えたら、「次は乱歩賞ね」と励まされた話を書いている。直木賞より乱歩賞のほうがえらそうに見えるんでしょうか。
 まあ、ミステリ読者なら、江戸川乱歩賞は日本推理作家協会が主催する公募新人賞であるということぐらい先刻ご承知だろうが、「じゃあ太宰治賞と川端康成賞はどう違う?」と訊かれて即答できる人は少ないんじゃないか。→続きはこちら

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2005/09/14 12:05

投稿元:ブクログ

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2004/10/10 00:46

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2004/11/03 16:23

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2005/05/14 18:01

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