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しゃばけ(新潮文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4 855件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2004.4
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/342p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-146121-X
  • 国内送料無料
文庫

紙の本

しゃばけ (新潮文庫 「しゃばけ」シリーズ)

著者 畠中 恵 (著)

【日本ファンタジーノベル大賞優秀賞(第13回)】【吉川英治文庫賞(第1回)】【「TRC MARC」の商品解説】

しゃばけ (新潮文庫 「しゃばけ」シリーズ)

637(税込)

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みんなのレビュー855件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

置き去りの哀しさ

2008/09/11 13:53

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:AQUIZ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 江戸が舞台の時代物であり、出自通りに人ならぬ妖達が罷り通る和製ファンタジィであり、広義の安楽椅子探偵ものである(実質は、椅子に座るも侭ならぬ病床探偵であるが)。
 古典推理小説の様式を雛形とすれば、あらかた規格外揃いとなりそうな近年のミステリの体裁に近い構造となっている。
 しかし、当シリーズの本質は「置き去りの哀しさ」ではないのだろうか。
 探偵役たる主人公、一太郎は、両親始め、現代社会に置き換えれば大企業である店の一同、揃いも揃っての溺愛が過ぎ、布団に沈んでいるような少年である。
 幼時の一太郎は、今と変わらず寝付いてばかりで、家の回りで友だちと遊ぶにも不自由する有様。家族は誰も優しく、その気になれば贅沢三昧もできる裕福さ。しかし、どこへも行けない。大人になれず死ぬのだろうと、もはや絶望も恐怖も薄い。寝床の中に置き去りにされて、明日の無い一太郎。
 計らいあって、虚弱ながらも長らえた一太郎は、彼を愛する多勢の妖の助力を得る。
 まず、大方の人間に妖の存在は認識されない。
 この構図は、事実とは異なるが多重人格者の物語と重なって見えるのだ。
 水夫を従え、家業を取り仕切ることができる偉丈夫。
 容姿端麗で博学、彼に任せられた店である薬種商を切り盛りできる才覚。
 時に人をからかい、皮肉も云えば、良き同居人とも云える派手好みの男。
 好き放題に、自由に、転げ回ることのできる身体。
 布団に押さえ込まれたまま、一太郎は妖らに逆恨みもしない。自分の一部であるかのように。そうあれば、と思う力や特質が彼らにはあって、しかし、すべてが自分に都合良く運びはしない。
 出会いと別れは、自室から離れられない一太郎ばかりが受け身になって起こるように感じられてしまう。置き去りの哀しさ。手足となり、目となり、耳となる妖らは、決して彼の道具ではないが、心の支えでもある。
 そして、置き去りが約束されているのは、一太郎では実はない。
 いずれ彼が、亡き祖父のように一切を棄てても良いと思えるものに出会い、病も切り抜けて天寿をまっとうしたとして。
 彼を取り巻く妖らは、百年も千年も生き続けるのだ。
 積み重ねるほどに散らばった時の残骸は広がることを知っているのに、こぞって一太郎との関わりを積んでしまう妖ら。
 人外の威力ではない。あっけなく失うことを知り、それでもなお彼を愛そうとした妖らこそが強いのだ。

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紙の本

妖怪に囲まれた病弱探偵。しかも江戸もの。異色なのにかわいい。

2006/12/01 17:33

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

第13回(2001年)日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
どうしてこの作品って大賞じゃなかったのかな?
それくらいおもしろいし、うまい小説です。
主人公は日本橋通町に店を構える廻船問屋「長崎屋」の御曹司。一粒種で病弱。すぐに寝込んでしまう17才の一太郎。
5才のときに、祖父は体の弱い一太郎を守るために、奉公人佐助と仁吉(にきち)を連れてきます。彼らは実は「妖(あやかし)」。しかし忠実に一太郎に仕えます。ほとんど自由がないくらいに大事に大事にします。
一太郎が初めて夜歩きに出た日、湯島聖堂の脇道で殺人を目撃します。しかもどうやら妖怪の仕業のよう。一太郎の周りには妖怪が次々に現れます。不思議な御曹司なんですね。
それからも猟奇的に薬種屋が殺されます。長崎屋も廻船とは別に薬種も扱っていますので、あっという間に巻き込まれてしまいます。
妖怪たちの手を使っていた一太郎ですが、最後は弱い自分が出張らなければならなくなる伏線もしっかり張られています。
「しゃばけ」は「娑婆気」。「付喪神」は「九十九神」。こんなふうに変換すると、物語の種がわかりやすい。
妖怪の話だけれど、とっても人間っぽい。「神様」になりたがったり、強いものには巻かれたり。妖怪にも厳然とした階級があるんですね。そんな妖怪人情話(?)も楽しい。
なんの不自由もない暮らしに見えるけれど悩みの尽きない一太郎に、幼馴染で和菓子屋跡継ぎ・栄吉の行き先の不安定さを重ねるうまさ。
「逃げたら、体だけでなく、心まで弱くて使いものにならないと、自分で認めなくてはならなくなる」
という一太郎の心情が泣かせます。いくら妖怪たちが助けてくれるといっても、人生は自分で切り拓いていく一太郎が頼もしい。

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紙の本

捕り物帖なのか人情物なのかとにかく楽しい

2005/01/20 11:24

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Yan - この投稿者のレビュー一覧を見る

あやかしと病弱な大店の若旦那が
連続殺人事件を解決すると言う
捕り物帖のようでもあり江戸の人情ものでもあり
妖怪ものでもあるふしぎで明るい物語。
あやかしというと陰陽師に出てくるような
かなり危ないモノかと思えば
若旦那と一緒に店の離れで活躍するあやかしは
家守みたいに小さくてかわいい感じがする。
体の弱い若旦那にぴったりついてその身をお守りするのも
手代に化けたあやかしでこちらはやさおとこだ。
ひょんなことから殺人の現場に遭遇してしまった
若旦那が殺人犯があやかしであることを突き止めて
最後の火事場で封じ込めるまでの
登場人物のせりふや動きがとても面白い。
江戸の風物、商売の動き、町屋のつくり
人の考え方など当時の江戸の風物を見ているようだ。
若旦那だけに見えるあやかし、と言うのにはわけがあるのだけれど
病気の自分のために家族や店の人がしてくれたことを思って
殺人を繰り返す凶悪なあやかしを退治しようと考え付いた
若旦那の姿にすっきりしたものを感じた。
甘やかされて育ったぼっちゃんと言う感覚はない。
気概のある若旦那。このあとも続編があればイイナと思ってしまった。
江戸時代の日本人は周りの自然現象にもあやかしを感じていたのだろうか。
そう考えると現代の機械と道具に囲まれた生活が
つまらないものに感じてしまう。


Yanの花畑

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紙の本

ほろりと楽しめました

2016/11/09 13:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なか20 - この投稿者のレビュー一覧を見る

何となく手に取った本。そんなに期待してなかったけど、あっという間に読めました。

江戸時代の話だけど、難しくなく
体は弱いけど、心が強い若旦那と、それを守る妖たち。
ちょっぴり考えさせられたり、ほろりとしたり
笑ったり、最後はスッキリ。

短編だけどつながっていて、読みやすいです。

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紙の本

しゃばけデビュー作

2016/02/14 22:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しゅん - この投稿者のレビュー一覧を見る

2001年度ファンタジーノベル大賞優秀賞。
江戸時代を題材にした探偵推理小説。
妖たちが当たり前に生活している中で起きた殺人事件。素人の若だんなが、推理力を駆使して事件を解決する。
思わぬ設定であるが、事件の進み方は疑問を持つ間もなく進行する。
大変面白い。

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紙の本

乗り過ごした初めての本

2013/03/27 13:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:りんしゅん - この投稿者のレビュー一覧を見る

でも、まさかよね。
だれが、んなことする?

乗り過ごしは、普通眠っててとかならあるよ。
本を読んでては、考えたことなかったなぁ。

でも、やっちまったことはしゃぁない。

それくらい引き込まれてたっちゅことですわ。

憑依されてたりして.......

きゃーーーーー!

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紙の本

道具立てはおどろおどろしいですが・・・

2005/05/16 22:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふぉあぁ - この投稿者のレビュー一覧を見る

漆黒の闇に包まれた夜、わずかな灯火(ともしび)の影にはなにかが潜んでいるように感じてしまう。
昔の人々は 人知の及ばぬ物の怪と当たり前のように 隣り合わせに過ごしていたのかも知れません。
そんな江戸時代でも この物語の主人公 廻船問屋の若旦那 一太郎は特別な存在だったのです。
すぐに寝込んでしまうほど体の弱い一太郎には、しっかりものの手代が二人 彼の面倒を見るためにと言いながら、まるで監視をするかのようにいつも付き従っています。 が なんと、この佐助と仁吉は、実は妖(あやかし)が人の姿をしているものなのです。
ある夜、手代の目をごまかして外へ出て行った一太郎は人殺しの現場に居合わせてしまいます。 そして事件に巻き込まれた一太郎は、妖たちと事件の解決のために知恵を絞っていくのです...。
妖、殺人と道具立ては おどろおどろしいですが、物語はなぜか ほのぼのとした ちょっと温かな雰囲気につつまれています。
この本を読み終わったときには、心地よい優しい風に包まれたような気分になっていました。
さぁ続編を買わなくちゃ。

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紙の本

「若だんな」と「一太郎」の「妖」隠し?

2005/02/04 12:42

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る

そう、あの映画に似ているのだ。
身の回りの物は、長年大事にしていると「付喪神(つくもかみ)」になれるらしい。
長年大切にされ、付喪神になれた茶器。
親方には大切にされてきたが、人間の勝手によって壊され、付喪神になれない墨壷。

主人公「一太郎」は廻船問屋の若だんな。生まれた時から体が弱く、両親からは赤ちゃん以上に甘やかされ、自由な外出もままならい。
その若だんなに仕えているのが、手代(お店の使用人)である「佐助」「仁吉」の2人。実は名の知られる妖怪なのだ。
2人以外にも、顔は怖いが気の弱い子鬼の妖怪「鳴家」、派手な身なりでふすまから抜け出てくる「屏風のぞき」など個性的な妖怪達が若だんなと同居している。
妖怪同士で相性の良し悪しはあるが、若だんなを守るという気持ちはみな同じ。

ある日若だんなはある事件に巻き込まれ、妖怪達に協力してもらい犯人探しを始めるが、佐助や仁吉よりも上位の妖怪「見越の入道様」に出会う。そして入道様は、妖怪達にも心を開き正直に接し、優しく強い心を持つ若だんなの味方になる。

逞しく成長していく若だんな。心優しいい妖怪達。力ある入道様。付喪神の意味。

どうでしょう? 似ていませんか?

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紙の本

妖が普通の存在として扱われる不思議な世界は実に興味深い

2017/05/23 23:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

妖が普通の存在として扱われる不思議な世界は実に興味深いのだが、妖の社会実態そのものが余り描かれていないためまだピンとこない。若旦那中心の流れで、なかなか本題に収斂しないもどかしさも気になった。連続する不可解な殺人事件が「妖になりそこねた」=「なりそこない」によるものらしいと推測してからの展開は速やかで楽しめた。そして、若旦那が実は人間と妖との間に生まれたという誕生の秘密が明かされてお仕舞。まだ、面白さが十分に伝わってこないけど、もう少し妖の世界を覗いてみたい気持ちにさせられました。

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紙の本

シリーズ読み返し中です

2017/04/29 20:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

今になって読み返してみると親切すぎる説明的なセリフが多いですね。それでも 体が弱くて世間知らずだが 芯はしっかりな若だんなと周囲のみんなの魅力がいっぱい!

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紙の本

ようやく、しゃばけ

2016/12/30 20:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

江戸で大きな廻船問屋の若旦那の一太郎が、夜に手代に内緒で出かけ、殺人者とに遭遇したことから、次々事件が起こる。虚弱な一太郎は、大切に育てられ大概外出を禁じられる有様。すぐに疲れ寝込むことが多い。妖の姿がわかり、佐助と仁吉の手代もまた妖。妖怪と話を普通にする一太郎は、一体何者?
本屋に行くたびに、「しゃばけ」のことが気にかかっていた。面白いです。シリーズなので楽しみ。

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紙の本

ドラマ以上に

2016/09/28 10:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:PPM - この投稿者のレビュー一覧を見る

以前、ドラマが面白かったので読んでみたのですが、ドラマよりも面白かったです。
2巻目も購入決定です。
江戸時代の、何度も死にかけている体の弱い若だんなと、その周りにいる妖怪たち(人間として生活してるものもいる)のお話です。
物の考え方のちがう妖怪たちぶっ飛んだ行動も面白いですし、体はよわっちいのに心根は一本芯の通ってる頭の良い若だんなにも好感が持てます。
つづきが楽しみです。

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紙の本

江戸時代の幻想的な事件帖。

2016/06/18 20:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:透子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

江戸有数の廻船問屋の一人息子一太郎は、家族やなぜか周囲にあふれる妖怪から溺愛されていますが、病弱なために外出もままなりません。
じれた一太郎がある晩こっそり外出した時に、殺人事件に出くわし……
ホームズがなかなか床から離れられない代わりに、ワトソン達(主に妖怪)が情報収集に駆け回るのですが、事件は次第に妖がらみの気配をみせ、一太郎出生の秘密に迫ることとなり、ついには、犯妖と対決します。

一太郎はもちろんのこと、妖怪たちがたいそう魅力的です。ほんとは怖い妖怪ですが、この作品では愛嬌があって、一太郎との掛け合いが読んでいて楽しくなります。

シリーズ作品ですが話は独立して読めますので続きが気になる! ということもありません。未読の方は、まずは試しにこの1冊を手にとってみられるのもよいのではないでしょうか。

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紙の本

虚弱だけどしたたかで、細くしぶとく生きていく

2007/01/06 21:28

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 タイトルの「しゃばけ」とは何だろうと首を傾げ、色いろと想像してしまいました。我ながら傑作だったのは「塩鮭を咥えた化け猫」。妖怪がたくさん出てくる話という前知識があって、ちょうど書店で同シリーズの「ねこのばば」を見かけたので無理もないと思うのですが、何のことはない「娑婆気」だったのですね。漢字で書いてくれればすぐわかったのに……
 さて時は江戸、江戸有数の廻船問屋の一粒種である「若だんな」一太郎は、体が弱くて外出もままならず、両親から溺愛されています。両親だけでなく店のもの総出で若だんなを心配し甘やかし可愛がり、周囲で評判になるほど。でも誰よりも、「若だんな命!」と燃えているのは、世話係兼お目付け役である二人の妖です。犬神の佐吉と白沢の仁吉。もともと人間とは感性の違う妖である二人は、さらに度を越した若だんな至上主義のため、周囲から浮いていることもしばしば、若だんなをハラハラさせています。他にどっさり出てくる妖怪たち(屏風のぞき、家鳴など)も、個性豊かで自由気ままに振舞っています。
 本作では、偶然人殺しを目撃してしまった若だんなが、馴染みの妖怪たちと事件解決に乗り出すのですが、この若だんな、粗筋を読む限りでは春の陽だまりのような人という印象がありました。おっとり、のほほんとしてひたすら良い人なのだろうと。どうしてどうして、一筋縄ではいきません。何度も死を間近に感じたゆえか、シニカルでドライな一面も持っていて、文句を言いつつも甘やかされた立場を上手く利用している喰えない奴なのです。佐吉、仁吉との関係にしても、彼らを無条件に信頼し全てを預けているというわけでもなく、妖としての一面を垣間見せる彼らと対する緊迫した場面は見ものでした。
 物語も推理仕立ての人情話と思いきや、妖怪も人間も結構みんな身勝手で、その身勝手さが積み重なって、事件の結末はズンと胸に重いものでした。けれど全体としては愉快で温かく、江戸の風情もたっぷり楽しめる小説です。1巻目は長編ですが、連作短編風にいくらでも続いていきそうです。私が気になるのは、とっても才能がない菓子屋の後取り息子、栄吉。頭が良く商売の才覚もありそうなのに体の弱い一太郎といい、丈夫だけど菓子造りの才能がからきしない栄吉といい、親御さんの悩みは尽きません。

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紙の本

次作に期待

2005/12/20 22:46

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る

病弱で何かにつけてはよく寝込む、江戸でも有数の廻船問屋の一人息子、一太郎の周りには、店の手代の二人をはじめなぜか妖(あやかし)のものたちが大勢姿をみせる。たまの外出のときに人殺しを目撃したことから、周囲で不思議な事件が何度かおこる。一太郎は、妖たちといっしょに事件を調べはじめるが・・・。
時代小説、ミステリ、捕り物帳、ファンタジー小説などの良いとこ取りをしたような内容、出てくる妖怪たちと一太郎との会話も楽しく、また、人殺しとなぜ一太郎の周りに妖怪が現れるのかという謎に引き込まれ、なかなかにおもしろい。のですが、大きな不満が。せっかく出てくる妖怪が、あんまり活躍しない。やることといったら、寝込んでばかりであまり外出できない一太郎のかわりに情報を集めてくるくらい。これじゃああまりにもったいないような気がするのですが・・・。シリーズ化されているようですので、次作以降に期待します。

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