- カテゴリ:一般
- 発売日:2004/06/16
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/537p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-06-212441-6
紙の本
ICO 霧の城
著者 宮部 みゆき (著)
頭に角の生えた生贄の少年。鋼鉄の檻で眠る囚われの少女。二人が運命を変えることを「霧の城」は許さない−。同名コンピュータゲームに触発された著者が、その物語世界をノベライズし...
ICO 霧の城
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商品説明
頭に角の生えた生贄の少年。鋼鉄の檻で眠る囚われの少女。二人が運命を変えることを「霧の城」は許さない−。同名コンピュータゲームに触発された著者が、その物語世界をノベライズした作品。『週刊現代』掲載に加筆。【「TRC MARC」の商品解説】
「ぼくが君を守る。だから手を離さないで」
頭に角の生えた生贄の少年。鋼鉄の檻で眠る囚われの少女。2人が運命を変えることを、「霧の城」は許さない。
構想3年。同名コンピュータゲームに触発されて、宮部みゆきがすべての情熱を注ぎ込んだ、渾身のエンタテインメント!
霧の城が呼んでいる。時は満ちた、生贄を捧げよと。
何十年かに1人生まれる、小さな角の生えた子。頭の角は、生贄であることの、まがうことなき「しるし」。13歳のある日、角は一夜にして伸び、水牛のように姿を現す。それこそが「生贄(ニエ)の刻(とき)」。なぜ霧の城は、角の生えた子を求めるのか。
【商品解説】
目次
著者紹介
宮部 みゆき
- 略歴
- 〈宮部みゆき〉1960年東京都生まれ。「理由」で第120回直木賞受賞。
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紙の本
遊び手の一人として
2004/10/17 09:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛蘭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
元になったゲームは余りにも多くを語らない。
美麗なサウンドやグラフィックの迫力、トラップの妙と緊張感
それらに圧倒された後は、城や登場人物のおぼろげで美しい背景にあるもの
ひっそりと静寂に包まれてただそこにあるそれらの関係性、歴史…歳月…
いくつもの尽きぬ疑問に想像力を掻き立てられ夢想に遊んだプレイヤーは
決して少なくないはず。
このノベライズは原作ではなく、また解説書でもない。
一人のプレイヤーに生まれた一つの素敵なICOサーガなのです。
紙の本
ゲームの方をやってない人の意見
2004/08/11 21:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じりくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕はこのゲームの存在は知っていたけれども、
プレイをしたことはおろか、
販売しているのすら、見たことがなかった。
本の表紙を見て、「あ、宮部さんの小説だ」ということだけで、
手に取ったと言える。
僕が宮部みゆきファンになったのは、
みゆきさんが書いた「BRAVE STORY」で感動したからだ。
この小説においては、また別に書評してある。
この小説同様、やはり風景描写に感動した。
みるみると頭の中に描かれてゆく情景。
読み手の心にまで染みこむ、登場人物の感情。
何より、主人公のICOと少女ヨルダが手を取り合っているところは、
なぜか僕までも温かい気持ちになるのだ。
また、ヨルダの背負っている過去の記憶。
これらもやはり、読み手の心をちりっと痛ませるだろう。
何かを愛すということは、何かを愛さないこと。
その選択を迫られたヨルダの結論…
彼女にいったい何が?と、くせになるストーリー展開。
すごい作品だと、僕は思う。
そして、エピローグの感動。
これは読んでみなければ、わからない感動だろう。
この本を読み、僕はゲームの方もやってみたいと思った。
ゲームをやることによって、さらに自分の想像していた世界が、
確立されるからだ。
紙の本
美しい霧の城
2004/06/20 21:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぐう - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はICO(ゲーム)をやったことがあるのですが、やったことのある人もない人も楽しめると思います。ゲームの世界の雰囲気をそのままに、もっと世界を広げた感じで、以前からICOの世界、あの雰囲気が好きだった私は、この本を読んでさらに好きになりました。宮部みゆきさんの本を読むのはこれが初めてですが、その描写力に感動しました。霧の城とタイトルにあるように、本当に霧のかかったような、夢のような、美しい世界を味わうことができまると思います。
紙の本
イコはぼくらだ
2004/06/26 23:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上林 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の原作となっているゲームは、プレイしたほとんど全ての人に「感動」を与えた「名作」と呼べるものである。
その賞賛の源は圧倒的なグラフィックで描かれた霧の城の美しい風景と、何といっても「謎の少女」ヨルダの存在であったろう。
この本では、謎であったヨルダの過去や思いが語られている。
なぜ、あのような所に囚われていたのか?
そもそも彼女は「何者」なのか?
それらの謎が著者流の解釈を得て明らかになっていくのだが、そのさまは一種の「ヨルダ冒険譚」(!)の趣を呈している。
そして、それらの過去の出来事を知ったあとでは、ヨルダの事が一層悲しくそして愛しく感じてくる。
そして強く思うのだ。そう、イコと同じように「助けてあげたい」と。
ゲーム本編ではほとんど語られる事なく謎のままだった「世界」や「城」、「生贄」そして「ヨルダ」。
しかし、だからこそ人それぞれの解釈を可能にし、「名作」となった。
それゆえ心配している方もいるだろうから言っておこう。
この本は原作のイメージを壊すようなことは一切ない。
行間から感じるのは原作への愛とそのスタッフへのリスペクトだ。
当然といえば当然だろう。著者はその筋では有名なゲーマーでもあるのだから。
紙の本
ミヤベファンの罵声を覚悟でいうけれど、結局、作者だけが楽しんだファンタジーではないだろうか。才人ミヤベにしても全ての作品が素晴らしいわけではないという証明みたいな作品
2004/08/20 22:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部初のゲームをノベライズ化した作品。元となったのはプレステ2用テレビゲーム『ICO』だそうで、装丁画など、この本を彩るグラフィックにも、ゲームと共通のものを使っているらしい。らしい、とかくのは私自身がゲームに詳しくないからだけの話。そのアートワークは、上田文人(SCE)/木村菜々子/福井智加。ま、こういう画を見るたびに、キリコ、ダリと騒ぐのは短絡なんだけれど、もしかすると中身よりこの装丁のほうがずっと良かったりなんかして。
で、
「いつだかわからない時代の、
どこだかわからない場所でのお話。」
ということになる。
主人公はトクサ村で、ムラジとスズの間に生まれた男の子である。名前は後に養父母となる村長夫妻によってイコと名づけられる。タイトルの『ICO』がそれである。で、この子供はこの世に生を受けたときからニエとなって“霧の城”に行くことが運命付けられている。サブタイトルの『霧の城』である。
なぜ、その幼子がニエであらねばならないのか、実は彼の頭には角があるのである。トクサ村で何十年かに一人、生まれるという運命の子供。13歳になれば髪を分けて姿をあらわす、小さな水牛のようなそれ。その時を、ひとは「生贄(ニエ)の刻」という。これは、その時を迎えた少年が、自分の運命を受け入れ、霧の城に向かい、そこで一人の少女と出会う話である。
内容は、ここまで。ちなみに、話に彩りを添える登場人物だけを紹介しておけば、少年を実の親に代わって育て上げた優しい養母オネがいる。イコの友人で彼が運命を唯々諾々と受け入れることに反発するトトがいる。そして、霧の城で出会うことになる少女ヨルダ、騎士オズマ、そして霧の城の女王、これで十分だろう。
でだ、娘たちと、特に高一長女と話し合った結論を書いておく。宮部のファンタジーはつまらない。いや、これだけ書くと、ミヤベファンから噛み付かれるから、もう一つ意見が合ったことを書いておくと、宮部の時代小説は、圧倒的に面白い、ということになる。実は、ミヤベとファンタジーとの相性の悪さは『ドリーム・バスター』『ブレイブ・ストーリー』でも感じてはいた。
それが、この本で決定的となったという感じである。共感できる登場人物がいない、人間に深みがない、ファンタジーに不可欠なビルドゥングス・ロマンという部分で、主人公の成長の軌跡が甘い、伏線が見え見え、など少なくとも現代を舞台にしたときの時代や人間に対する絶望や希望、或は江戸を舞台にした時の人間への共感が伝わってこないのだ。ただし、ミヤベ自身が楽しんで書いているなということは、よく分かる。
まして、自身でゲームが好きだというミヤベである。ノベライズだからといって、手を抜いたと思ってはいない。しかし、たとえば『クロスファイア』『模倣犯』を読んだときの不気味さ、『ぼんくら』を読みながら沸いてくる愉悦を私はこの本で感じることはなかった。まだ『R.P.G』のほうが、よくできている。無論、それはファンタジーではない。
結局、宮部のファンタジーの本当の傑作は未だ書かれてはいない、それが私の、いや娘たちと出した結論である。
紙の本
失敗作とも呼べないような
2004/11/18 15:12
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:時計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひさしぶりに読んだ時間が“時間の無駄”であったと感じさせる小説でした。それなりに楽しく読ませる小説がいくらでもある中で、この作者においてこれだけ無駄感を抱かせるとは予想外。スピード感の欠如した展開、魅力に乏しい登場人物、説得力のない村の情景、あまりにステレオタイプな物語構成、退屈なまま盛り上がることも無い尻すぼみのエンディング。
宮部みゆきの面白さは、もともとがあまりエキサイティングなものではなく、ずるずると日常を描いているうちに微妙に非日常が交錯してくる、でもそれで世界が大きく変わるわけではなくそこはかとなくそのままお話しは終わってしまうというまったり感にあるわけだから、本作もある意味ではその延長にあると言えるのだけれど、初動時の設定がゲームからの引用のせいかもともと非日常世界にあり、そこからキャラのちまちました移動に頼ったのみでなんら“交錯”感もなく、ただただ無駄な時間が費やされる。
え、これでおしまいなの、というあっけなさ感はやはりいつものように味わえるので宮部ファンはそこは満足かも。