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《吊るされた男》、そして… 上 (講談社X文庫 Teen's heart 真・運命のタロット)
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紙の本
「おかえりなさい」と、とにかく言いたい
2004/05/03 21:59
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投稿者:渦巻 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いったい、何年待ったのだろう、それくらいぶりの「真・運命のタロット」新刊である。私にとって待ちに待った新刊だ。
運命に翻弄され逆らい、考え、時には思考すらとめ主人公のライコ(水元頼子)は《魔法使い》とようやく再会を果たす。そして、ついに彼女が関わるという、「世界の命運にかかわる重大な事象」に手をかける。彼女はどんな運命にさらされいかなる選択するのか…。
主人公ライコが最終的にどうなってしまうのかは、もう既に何巻か前に書かれていてわかっているのだが、この物語は「結果」ではない。その結果を導く、またはその運命とされる結果から防ごうともがく「過程」の物語なのだ。
過去と未来、現在が複雑に交じり合い、様々な出会いと決別を繰り返していく。時には過去の自分に出会い、傷を抉られながら「未来」を目指す。それがたとえ、敗北が決まっていても。
Teen's heartという媒体とは思えない本の厚さ、それに比例する情報量。少女小説というカテゴリーから飛び出たハードな内容と設定。
このシリーズは、登場人物は時間軸を行き来するため、どの段階の彼らなのかにしばしば混乱をきたしていた(段階によって、敵味方が入れ替わってしまうキャラが多い)。
だが、今回は久方ぶりの刊行ということか巻頭と巻末にいままでのあらすじとキャラクター紹介が付けられていたため、おさらいも含めて非常に親切で読み進めやすかった。実際、今まで私が読み落としていた関係も書かれており、改めて相関図の複雑さに絶句。
著者のTeen's heartの前作である、「ティーパーティシリーズ」からの付き合いの私はその複雑ささえ楽しみではありますが。