紙の本
ぐいぐい引き込まれる
2015/08/26 19:40
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投稿者:とと - この投稿者のレビュー一覧を見る
貫一お宮で有名なこの作品。熱海の海岸にある「アレ」のことです。
古い作品だし読みにくいなーと思いながら手に取ったものの、これは、すごい!引き込まれます。
男と女の不条理や、絶望のふちにある人間が、ふとした出来事に救われる様など今の自分たちが読んでも共感できることばかり。最初に言っておくと、これは未完の作品です。どんな結末がいいだろう、どんな貫一になってほしいかな、など考えて読んでみてください。いろんなことが思い出されるはずです。
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一月一七日、熱海にて
2002/06/30 01:31
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投稿者:れじー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「一生を通して僕は今月今夜を忘れん、死んでも僕は忘れんよ!
来年の今月今夜になったならば、僕の涙で必ず月は曇らしてみせるから。
月が曇ったらば、貫一は何処かでお前を恨んで泣いていると思ってくれ。」
これは主人公貫一の有名な台詞である。あまりにもインパクトのある台詞。
私はこの部分だけついつい何度も読んでしまい、半分くらい覚えてしまった。
主人公間貫一は、両親に先立たれ父親の友人である鴫沢家に世話になっている。
大学へ入るのを待って、鴫沢家の長女である宮と結婚することになっていた。
しかし、宮もその両親も金に目が眩んで富山唯継と婚約をしてしまう。
貫一は宮を愛していたが、宮はそうでなかったのだと知って怒り、悲しむ。
そして一月一七日熱海の海辺で宮に言ったのが、上に書いた台詞である。
貫一はこの日に姿を消した。
そして数年後。
鴫沢家を去った貫一は、この当時一番卑しい職業だと言われていた高利貸しになっていた。
全てを失って絶望した貫一は悪魔になるためにこの職業についたのだった。
ここから先は、貫一に言い寄る同業者の美女、貫一の債務者である旧友、そして宮との再開。
終わりの方になるとそれまでものすごく嫌な女だった宮が、段々可愛そうになってくる。
最後は、貫一に宛てた宮の自分の死を願う手紙で終わっている。
とてもいい話である。
ただ、残念なのは『金色夜叉』が未完のまま作者が亡くなってしまったことだ。
文語体で描かれているため少々読みにくいが、美しい日本語を堪能できるのが良い感じだ。
一読どころかニ読、三読の価値有り!
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☆金色夜叉☆
2023/05/20 10:07
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投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
『金色夜叉』は、尾崎紅葉が書いた明治時代の代表的な小説である。
許嫁だった鴫沢宮が金銭のために資産家の富山唯継と結婚することを知った間貫一が、高利貸しとなって宮や社会に復讐しようとするもの。
実は、未完中絶の作品である。
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黄金夜界
2018/01/26 15:06
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投稿者:きくりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
読売新聞朝刊連載の黄金夜界が気になって、モトネタの金色夜叉を買いました。
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間貫一には鴫沢宮という美貌の許嫁がいた。しかし宮はカルタ会で銀行家の子息・富山唯継に見初められ、貫一を捨て富山に嫁ぐことを決める。裏切られた貫一は激怒し、畜生となる決意をする。
一番有名なのは熱海でお宮が貫一に縋るシーンですね。私(というか意外に多くの人がそうだと思うんですが)、金色夜叉は未完って聞いてたからそこで終わってたと思ってました。が、金色夜叉ってちゃんと終わってるんですよね。正確には新続金色夜叉が終わってないんです。金色夜叉・続金色夜叉・続続金色夜叉ときて新続金色夜叉。
しかもその一番有名な貫一・お宮IN熱海のシーンって、金色夜叉の前編の最後のシーンなんですよ(ちなみに前・中・後の三編)。
なんだか尾崎が憐れになってきた…。
貫一がお宮にドロップキックかますのが一番笑えました(こんな感想かかれるのが一番憐れだよ)。
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閒貫一と鴫沢宮の物語である。基本的には財産家の息子、富山唯継がカルタ会で宮をみそめて、横恋慕をする。貫一は鴫沢家の食客で十年ほど息子同様に暮らしていて、ゆくゆくは宮と結婚して家督をつぐことになっていた。宮は音楽学校に通っていた頃から、ドイツ人ヴァイオリン教師に付け文されたり、妻を亡くした校長に言い寄られるほどの美貌で、貫一を愛してはいるが、自分にはそれ以上の価値があるのではないかと思っている。結局、宮と富山が結婚することになり、貫一は熱海で別れて、その後、高利貸しになる。
高利貸しになった貫一は取り立て先で同級生と鉢合わせして詰られたり、恨みをもつ債権者に闇討ちにあったりする。そんな貫一に赤樫満枝がほれこむ。貫一の主人、鰐淵は、私文書偽造の罪に落とした債務者の母親によって、自宅が放火され、凄惨な焼死をとげる。その後、貫一は鰐淵の息子に鰐淵の財産をゆずられ、正しい事業を興せと諭されるが、貫一はその後も高利貸しをやめない。そんななか、宮がとうとう貫一宅に尋ねてきて、満枝と鉢合わせする。その場は別れたが、満枝が宮に刺され、宮が自決する夢をみた貫一は、夢のなかで宮を許し、やがて宮が出した手紙も読むようになる。商用でいった塩原温泉で、心中をはかろうとしてた男女を金の力でたすけ、自宅にかくまうようになる。宮に飽きた富山が女(お靜)を身請けしようとしていたのであった。ここで、紅葉の死により絶筆である。
紅葉の文章はすばらしい。細かな人情の描写もさることながら、ちょっとした風景の描写なども味わい深いものである。
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残念なことに、未完なのです!今となってはちょっと古臭くて安っぽいとこもあるけど、やっぱり面白かった。しかし未完なのです。なのでこの評価。しくしく。
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有名な話ですが、終わり方はどうも中途半端。当時の大衆小説とはこういうものなんだ、と言うのが分かります。会話だけが口語体なのはその表れ?
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金と色の話だと思っていると、足下すくわれるから!!
「三百円!!三百円!!?」
好きな台詞。
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紅露時代……どちらに寄るかを聞かれたら、俺は露伴だね。どちらも面白くって、両人の転生でも俺は大歓迎するよ。
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間貫一萌え!に尽きる。実直さと頑固さが紙一重みたいなインテリ青年って設定がもうツボ。良くも悪くも堅いのね。だから普段抑え込んでいる感情が「爆発」するんだけど、その爆発の仕方も素敵。哀れなほど感情的だよね!そして自棄になり堕ちていく…けど堕ちきれない部分、砂粒程度でもどうしても残ってしまっている優しさからくる弱い部分が垣間見えると…!愛おしい!
名場面は名場面だった。まじ熱海行きたい。「宮さん、お前は好くも僕を欺いたね」から前編ラストまでの14ページに渡る修羅場は圧巻。
「ああ、宮さんかうして二人が一処に居るのも今夜ぎりだ。お前が僕の介抱をしてくれるのも今夜ぎり、僕がお前に物を言ふのも今夜ぎりだよ。一月の十七日、宮さん、善く覚えてお置き。来年の今月今夜は、貫一は何処でこの月を見るのだか!再来年の今月今夜……十年後の今月今夜……一生を通して僕は今月今夜を忘れん、忘れるものか、死んでも僕は忘れんよ!可いか、宮さん、一月の十七日だ。来年の今月今夜になつたならば、僕の涙で必ず月は曇らして見せるから、月が……月が……月が……曇つたならば、宮さん、貫一は何処かでお前を恨んで、今夜のやうに泣いてゐると思つてくれ」
!!!
この場面だけ有名なのは納得せざるを得ない。
そして四年後高利貸へと身を落とした貫一の…旧友と遭遇して焦って冷酷さをアピる場面なんかもう…萌えすぎる。
聖黒の練ちゃん然り、罪と罰のラスコーリニコフ然り…坊ちゃん気質の健康な青年が闇に踏み入れていくのがどうも好きだ。その苦悩、葛藤も素晴らしいが、突き抜けて狂っていく様はさらに素晴らしい!鮮やか。練ちゃんくらい徹底的に狂ってくれると、残された針先程の愛が落差で強調されて尚良い。
優等生の絶望、葛藤、回復に至るまでの混沌期をちっとも痛いと感じない、寧ろ愛おしいっていう、痛いわたしがいる。ああ間貫一を抱きしめたい。
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有名な明治時代の小説。面白いです!文章が昔の言葉使いですが、割とスラスラ読めてあまり気になりません。今の時代からしたら言葉使いや言い方に笑いそうになって外では読めないところもありました。明治的ギャグ(洒落)は丁寧な言葉使いなだけに余計面白いです。普段の会話では綺麗な言葉使いに日本語の美しさを改めて考えさせられました。
話は、始めらへんの明治的青春小説なところが好きです。有名な熱海のシーンは面白くて一気に読んでしまいました。この時代の人は熱くて真面目で一直線なところが好きです。
知って読んでいたとは言え、中途半端なところで未完になってしまっているのが残念。
明治30年1月1日〜明治35年5月11日読売新聞連載 未完
583P
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今まで読んだ恋愛小説の中で、大好きな作品です。
この作品こそが、恋愛小説と呼べるものだろうとまで思ってしまいました。
この作品を手に取るまでは、結婚する相手を裏切って
別の金持ちの男と結婚する女と、その女を恨んで高利貸しになった男の話というイメージでした。
でも、実際に読んでみると、かなりはまってしまいました。
本当は、貫一さんとお宮さんの、苦しい恋の物語でした。
ときどき、涙がでそうになるシーンもありました。
長編なので、最後まで根気良く読めるか不安でしたが、
この作品は面白いです。
最初は、地の文が堅いので、戸惑ってしまいましたけど。
ものすごく、古い作品ですが、
現代にも溶け込む、斬新的なものを感じます。
それに、色あせていません。
この『金色夜叉』は、
恋愛というものを知ったときに、読んでみるといいかもしれませんね。
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フラレ男のルサンチマン物語。
上巻1/4あたりで
貫一が宮を蹴ったあたりから後は
上巻の残り+下巻すべてが
貫一の恨み節で占められています。
宮に振られてグレて東大を辞めて
街金のヤクザになるけれども、
根が繊細なインテリ崩れなために
ワルにもなりきれず、
悪どい取立てをした後は
心労からグッタリ寝込んだりしている貫一。
ちょっと愛らしいけれど、
つくづくダメンズ。
こんな男子イヤだわ。
何気に気になったのが、
この街金のことを「アイス」ということ。
由来としては、
高利貸し→こおりがし→氷菓子
→アイスクリーム→アイス。
という模様。
他に「美人クリイム」(ビジクリイム)という
単語も出てくるのですが、
それは美人の高利貸しをさすようです。
美人クリイム。
美容液みたいでカワイイ。
洒落たことばのつかいかたにしびれました。
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6月25日読了。尾崎紅葉の代表作、ユニコーンの「僕はカンイチ君はオミヤ」はこの小説から。将来を誓い合った貫一と宮の二人だが、宮が富豪・富山に嫁いだことから貫一は高利貸しとなり人に疎まれ、一方宮も愛情のない結婚を悔い・・・。「豪華絢爛」という言葉が(見た目の華美さも含めて)よく似合う文体で、講談調に煽りに煽る文章も読んでいてぐいぐいくる。「こうりがし」を「アイスクリイム」とかけたり、意外と俗な会話文なども楽しい。(当時は余程悪徳な高利貸しが多かったのか、貸し金業者は随分恨まれたもののようだ)有名な、貫一が縋りつく宮を蹴倒す熱海のシーンはごく前半で、「別れた後の二人」がこの小説の主体なのね、知らなかった。続金色夜叉・新金色夜叉と「猿の惑星」のように続編が収められているが・・・まあ元が未完の小説というし、多くは求めまい。