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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2004.5
- 出版社: ソニー・マガジンズ
- サイズ:20cm/239p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7897-2283-X
紙の本
氷に刻まれた地球11万年の記憶 温暖化は氷河期を招く
グリーンランドの長さ2マイルに及ぶ氷柱を掘り出し分析した権威が描く「恐怖のシナリオ」とは? 気候変動のメカニズムを解き明かす。ファイ・ベータ・カッパ科学部門賞受賞作。【「...
氷に刻まれた地球11万年の記憶 温暖化は氷河期を招く
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商品説明
グリーンランドの長さ2マイルに及ぶ氷柱を掘り出し分析した権威が描く「恐怖のシナリオ」とは? 気候変動のメカニズムを解き明かす。ファイ・ベータ・カッパ科学部門賞受賞作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
リチャード・B.アレイ
- 略歴
- 〈アレイ〉オハイオ州立大学卒業。ペンシルベニア州立大学地球科学学科教授。南極およびグリーンランドで氷芯掘削プロジェクトに従事。教育と研究に関する賞を多数受賞。
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紙の本
人類文明が花開いたこの数千年間は、奇跡的な温暖安定期
2006/06/05 22:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
南極やグリーンランドの万年雪をボーリングしてゆくことで、過去の様子を年単位で調べる事ができる。筆者はその氷柱の解析者。地球の過去の気候変動をあばきます。
本書の前半は、氷芯でなぜ年単位のデータが取れるのか、どうやって解析してゆくのかが詳しく述べられています。後半は、そこから読み取れる過去の地球の気候変動を示し、後半では気候変動が起こるメカニズムの一つとして大西洋の海流による海洋コンベア説を説明しています。
筆者の主張は以下のとおり。
1.過去の気候は、破天荒なまでに変動していた。人間が農耕や産業活動を始めて以来、それほど大規模で急激な気候変化にはまだ直面していない。
2.何も原因になるものがなければ、気候はむしろ安定している。しかし、気候が外から「押され」無理に変化させられた場合、徐徐に変わって行くのではなく、しばしば突然、非常に違った状態に飛び跳ねる。気候は酔っ払いだと考えてもいい。放っておけば、じっと座っている。無理に動かせば、あっちにふらふら、こっちにふらふら千鳥足でよろめき歩く。
3.過去に気候変化を起こした外からの「押す力」の中には、おそらく、大陸の移動とか、地球の軌道変更とか、大氷床が押し出したとか、海の回流が突然逆流したなどということがあったと思われる。
4.小さな「外力」は、地球システムの沢山の営みにより増幅される。増幅によって巨大な変化が引き起こされたこともあった。温暖化ガスはおそらくもっとも重要な増幅装置だったろう。
5.人間は自分の巣を汚すことができる。—そして、巣をきれいに掃除することもできる。
読んで最もビックリした事は、過去11万年の間、気温グラフは細かいギザギザで非常に頻繁に寒暖が切り替わってきていること。その中で、現在を含むこの数千年だけが、特異的に温暖な状態が維持されているということ。
人類の歴史は数千年しかないが、それはこの特異的な温暖期間があったのではじめて文明化が起こったのではないかと感じられました。
又、地球気候の変化は本当に急激にも起こり、わずか十年足らずの間にグリーンランドの気温が8.3度も急上昇したことがあった事が分かっている。そして、気温が上がるとそれに伴う副作用が起こり、逆に氷河期への突入を招く可能性も考えられるということ。
地球は意外と荒々しい星で、付き合いにくい星なのかもしれません。読めば読むほど、地球について人類はまだ殆んど分かっていないという事と、人類のはかなさを強く感じます。
つい先日も、グリーンランドの氷が著しく減少し始めているという新聞報道がありましたが、温暖化がこれから地球に与える影響の可能性を知りたい方には好適な本です。
我々は、今、何をすべきなのか? 考えさせられます。
紙の本
科学者が穴を掘る理由
2004/12/05 03:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学関係の番組には、ボーリングで地面や雪原を掘り返しているシーンがよく出てくる。何のために、彼らは地中や氷河を深くまで掘り下げて試料を取り出すのか。それは、地下には“地球の過去”が閉じ込められているからである。特に、万年雪の降り積もった雪原の下には実に多くの情報が昔のままに取り残されているのだ。
グリーンランドの氷河からは、なんと11万年もの間の地球環境の変化を読み取ることができる。とても不思議なことに聞こえるだろうが、グリーンランド周辺の環境は地球全体の環境と密接な関係がある。その謎を知るためだけでも本書をよむ価値がある。
そうやって得られた情報からは、今に生きる我々が想像もつかないような、地球のダイナミックな環境変化が浮かび上がる。今のように温暖な気候が長く続いているのは例外であって、年代によっては10年たらずで8度以上も気温が上昇したこともあるそうだ。
では、将来はどうなのだろう。地球温暖化は本当にやってくるのだろうか?
その問題に答えるのは余りに複雑すぎて難しいようで、言えるのは、地球の温度と二酸化炭素濃度は連動して動いてきた過去があり、その間に関係が無いというのは難しいだろう、ということのようだ。
著者が実際にグリーンランドで雪原を掘り、試料を分析してきた科学者だけに、実地での研究生活の面白さも伝わってくる。地球表面のほぼ全てが雪に閉ざされていたと指摘したスノーボール・アースにはなぜ苦労をしてまで辺境の地に行くのか、ということを説明するためか苦労話が多かったが、本書では深いところから取り出した氷を飲み物に浮かべると炭酸が弾けるのを楽しむ様子など、生き生きとした研究現場を垣間見ることができるのも面白い。
地球温暖化などの環境問題に興味があるならまずは手にとってみることをお勧めしたい。