紙の本
人生の1ページを校舎にとどめて
2007/01/22 12:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
第31回(2004年)メフィスト賞受賞作。
雪の降る朝、学校に閉じ込められた男女8人の生徒たちを描くミステリー。なぜか扉は開かず、ほかに誰も登校してきません。そして時は止まっています。
センター試験を1ヵ月後に控えた高校三年の彼らは、クラス役員を引き受けた仲良しグループ。成績もよく、みんなから信頼されています。
彼らの学校はその2ヶ月前、クラスメートが飛び降り自殺をしています。ところが、この8人はどうしてもその名前が思い出せません。
閉ざされた空間と時のなかで、それぞれに抱えた思いや人生をリアルに描きつつ、この不可思議な現象を解き明かします。もちろん欠点がないわけではないですが、デビュー作としての完成度はとても高い。
他者との距離感、頭がいいゆえの疎外感、家族の不和、心の弱さなど、切なくなるテーマがてんこ盛り。頭のよさがどれほど友達との間に距離を作るか。それはなにも進学校だけに限らず、それぞれの学校、クラス、小さなグループで起きうる、誰もが経験する階級です。だからこそ、この小説が心に響きます。
そして今、その時代をこの8人を通して覗いてみれば、その風景は「憧憬」です。苦しい時期に出会った友達への憧れです。親しみの距離、バックボーンは実は関係なく、ただその関係性には自分の他者への愛情だけが頼りだと、今になって理解できます。
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ある雪の日学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない玄関の扉、誰も来ない校舎。謎を追ううちに彼らは気づく。学園祭で自殺した級友の名が思い出せない…死んだのは誰!? 第31回メフィスト賞を受賞した学園ミステリー。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50749078.html
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第31回メフィスト賞受賞作品。学園切なげミステリーということで手にしてみた。掴みはオッケー。続きが楽しみ。
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少ない睡眠時間を削ってまで一気に読んだ作品。
センター試験を一月後に控えた12月のとある雪の日。
8人の高校生が校舎に閉じ込められてしまう。
現実にはありえない、齟齬の生じた世界。
彼らは現状を把握するべく話を進める内に奇妙な記憶の欠落を感じる。
2月程前、自殺したクラスメイトに関する情報が皆無なのである。
「この8人の内の誰かが自殺者なのか?」
「現状はその人物によって作り出された精神世界の中なのか?」
元より仲の良かった彼らは、受験前のひととき、その自殺者と時の止まった空間で過ごすのも悪くないかと考え始めていた。
その矢先、その空間で殺人が起こる。
圏外表示であったはずの携帯電話が受信していたメールには「せきにんをかんじてください」の文字。
残された7人は…。
といった内容でしょうか。
上巻の内容を暴露し過ぎな感がありますが。
読み始めたら止まらない小説なので問題なしとさせて戴きます。
高校生特有の空気が濃厚であり、現役の方も、とうの昔に過ぎ去ったという方も浸れるものがあると思う。
人間関係、友との距離、将来への悩み。
かく言う小悪魔も「そんな時期もあったよねぇ」と楽しんだタイプです。
しかしながら全体的にオカルトテイストであり。
推理を求めてはいけないと言う事でしょうか。
作者の解説力(読者説得力?)は高いので本を放り投げる方は…まぁ居ないかと。
じわじわと追い詰めていく進め方は『BATTLE ROYALE』風で素敵。
人数が少ない分、人物の書き込みが丁寧で感情移入が比較的容易だと思われます。
小悪魔はどのキャラも脇役のキャラさえも愛しめましたから。
時間のある方。
メフィスト賞受賞作にアレルギーがない方は是非ご一読を。
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ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そして他には誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友(クラスメート)の名前が思い出せない。死んだのは誰!?
キャラも多く魅力的ですがミステリというよりは青春もの? とりあえず読み進んでみましょう(笑)
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あ〜面白かった!といえる
ホラーミステリー。
単純に出来事→解決までの流れが面白いし、構成があざやか!
皆大学受験を目指す勉強家ばかりとういう偏った登場人物だけど、丁寧に心情が描かれていてそこも面白い。
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県内進学校青南学院,学園祭最終日
に生徒が飛び降り自殺。雪の降る日に集まった。T大を狙う絵のうまい清水あやめ,虐めで自殺したクラスメートの弟が青南にきた昭彦,リストカットの常習辻村深月,両親の離婚と援交経験のある梨香,T大を狙う担任教師の従兄弟鷹野,家が病院である景子,ピアスとタバコで停学あけの菅原,最初にマネキンになった充。春子の名前を思い出せない。春子の自殺は自分のせいと
悩む深月が担任の榊のところで
リストカットしたことにより
全員が同じ夢を見ていた。生死の
境をさまよう深月と一緒に落ちる
菅原榊。菅原は生徒でなく担任榊
鷹野と清水はT大。景子が雄二を
追って京都の私立医大。充,昭彦は
東京の私大。梨香は地元国立大の
教育学部。深月は1年送れて東京の
J大。春子の墓参りで帰郷する
榊は消息しれず。2年後母から榊の
消息を知る鷹野。西に向かう電車
死んだはずの春子が榊の新しい
勤め先の小学校の最寄で見かける
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第31回メフィスト賞受賞作。僕の好きな恩田陸さんを思い出させる小説で、今後に期待を抱かせるのには十分な作品です。
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雪降る校舎に閉じ込められた高校生8人。思い出せそうで思い出せない記憶・・・自殺した人はだれ?無情に響き渡るチャイム。ひとりまたひとりと追い詰められ消されていき・・・冷たく怖い学校にあなたも閉じ込められてください。
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雪の降る日に校舎内に閉じこめられた、クラスメイトの高校生8人。
不思議なことに彼らの他には生徒も教師も誰一人姿を見せない。
異様な状況の謎を追ううちに、彼らはふとある事件を思い出す。
2ヶ月前の学園祭、一人の生徒が校舎の屋上から身を投げて自殺したことを。
しかし今、その生徒が誰だったのかを誰一人思い出せない。
校舎にかかる時計は、その生徒が自殺した5時53分で止まっている。
時の止まった冷たい校舎の中でチャイムが鳴る時、何かが起こる――
***
辻村さんのデビュー作、青春ミステリ長篇の上巻です。
ほとんど前情報なしに読み始めたため、最初は「せ、精神世界……?」と面食らいましたが、まあ、話自体は進むに従って緊張感が増していくので、面白くなりそうな予感はあります。
ただ、女の子の登場人物が総じて好きになれないんですよね……。
まあこれも、辻村作品ではよくあることではあります。
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上下巻なので途中です。
密室の学校で展開される・・・、なんなんでしょうね。
下巻読むまではなんとも言えません。
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2008-18
今ちょうど、ゴーストハントの10巻を平行して読んだところ。
幽霊が出るからっと調査を依頼された廃校に調査に出かけた面々が、
出入り口が開かず、ガラスも割れない、っという状況で校舎に閉じ込められた。
あれれ?雪降る季節って言うこと以外、なんか似ているなぁ・・・。
そう思いながら読了した上巻。中巻を読み始めました〜さてどうなる?ワクワク
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第31回メフィスト賞受賞作。
雪の降る朝、いつも通り登校した生徒達。辻村美月、鷹野博嗣、佐伯梨香、菅原、桐野景子、藤本昭彦、清水あやめ、片瀬充の8人は、奇妙なことに気付く。登校しているのはこれだけ?他の生徒は?自分達の担任である榊をはじめ、他の先生は? そして8人は他にもたくさんの異常事態に気づく。校舎から出られない、携帯が通じない、学校のいたるところにある時計そして自分達の腕時計までが全て、5時53分を指して止まっているのだ。一体なぜ・・・!?そんな時、彼等の頭に浮かんだのは、2ヵ月前にこの学校で起こった自殺事件。ちょうど学園祭の最終日に事は起こったのだが、今ここにいる8人のメンバーは全員その学園祭の時にクラス委員を務めていたのメンバーなのだ。そして、さらなる事実に8人は愕然とする。たった2ヵ月前のことなのに、自殺した人間の名前も性別も顔も、誰ひとりとして思いだすことができなかったのだ。
前知識無しで読み始めたのだが、今の時点ではファンタジーなのかホラーなのかわからず。主人公たちは、自殺した人間の精神世界のようなものの中に閉じ込められている、この8人の中に実は自殺した人間がいると考えていて、その人間が自分達と遊び足りないからこんなことをしている、もしくは、この中に自殺の原因となる人物がいるからこんなことになっている、と、考えも両極端。初読みの作家さんだが、透き通った印象のある文章の中に、ところどころゾクッと背筋が凍るような表現があり、これもつかめない。設定はおもしろいが、今のところはこれが3冊にわける程のストーリー展開になっていくのかはちょっと疑問かなぁ。あと、作者と同じ名前の”辻村深月”が中に登場し、しかもそれが傷つきやすい繊細な人物で、みんなから気遣われているような設定にされていることにちょっとびっくり。あと、ここに登場する男子たちの女子への接し方にものすごい違和感あるのは・・・自分がそういう青春時代を過ごしていないから?これが普通なの?
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上中下巻と長かったけれども一気読みしてしまった本。
なかなか読み応えがあったので他のシリーズも読んでみたいと思います♪
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すごく気になっていた作家さん。長編を読んだのは初めて。アンソロジーの中で気になった作家さんの作品を読んでいくのが私の開拓方法だが、やっぱりしっくりくる作家さんだった。
この作品も3冊分冊だが、それほど長さを感じない。上巻、中巻と早く先が読みたいと思わせる引きを心得ている。登場人物の一人ひとりの中にある暗い部分を覗き見て、だれもがいろいろなものを抱え込んでいるのだと知る。そして、高校生の頃の、あまりに感度がよすぎて、震えがきそうな人間関係を思い出してしまった。必要以上に近づいては、相手のことも自分のことにようにダメージを受けて、すべてがダイレクトに心に響き渡ってしまったあの頃。
この作品のヒロインが作者の名前であることが一番の仕掛けだろう。この作品に閉じ込められた私たち読者をとらえてはなさないのだ。辻村深月という世界の中に。