紙の本
地味だけれども面白い
2017/07/15 21:33
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投稿者:アジア坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私事ながら高校生の頃に読んだ時には全く印象に残らず、ストーリーも犯人も
一切覚えていませんでした。
この新版で解説者の中川右介さんが中学生時代に読んだらとても読みやすかった
と書いておられるのを読んでさすがだなあと思いました。
あれから何十年、大人になって読んでみたら、読みやすいだけでなく地味は地味でも
滋味に満ちた魅力的な物語と登場人物。
じっくり読めば、きっと楽しめる名作です。
紙の本
戦争の影
2019/09/17 14:02
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争の影響がすごく大きい作品でした。空襲で亡くなったり、従軍していたり。相変わらず、家族それぞれの性格を描き出す天才クリスティー。最後はそれで良いのか?調子良くないか?と思いつつも面白いです。
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大富豪ゴードン・クロードが戦時中に死亡し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。戦後、後ろ盾としてのゴードンを失つた弁護士や医師らクロード家の人々は、まとまった金の必要に迫られ窮地に立たされていた。“あの未亡人さえいなければ”一族の思いが憎しみへと変わった時…戦争が生んだ心の闇をポアロが暴く。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50450786.html
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クリステイーにハズレなし!はじめのほうの人間模様は少々辛かったが、後半は時間も忘れて読みふけった。しかし…2年以上前だからよくは覚えていないけれど、ドラマは全然違う話だったような??(2010-12-04L)
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久しぶりにクリスティの作品を読み返してみると、謎ときや犯人探しよりも、人間模様というか登場人物たちの心理描写が面白いと感じる。
ポワロものとはいえ、彼が本格的に登場するのは小説半ばからだ。作品の主眼に置かれているのは、戦争後の混乱期における家族ドラマではないかと思う。
外地で従軍した女性が、戦争を経てもなお何も変わらない田舎の人々に感じる苛立ち、村の外からやってくる災いの気配、裕福な親戚の庇護の下、金銭的自立から目を逸らし続けた結果に戸惑う一族…
結末には少々納得しかねるが、時代を考えればそんなものなのかもしれない。
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大富豪ゴードン・クロードが戦時中に死亡し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。戦後、後ろ盾としてのゴードンを失つた弁護士や医師らクロード家の人々は、まとまった金の必要に迫られ窮地に立たされていた。“あの未亡人さえいなければ”一族の思いが憎しみへと変わった時…戦争が生んだ心の闇をポアロが暴く。
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大富豪ゴードン・クロードが戦時中に死亡し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。戦後、後ろ盾としてのゴードンを失った弁護士や医師らクロード家の人々は、まとまった金の必要に迫られ窮地に立たされていた。”あの未亡人さえいなければ”一族の思いが憎しみへと変わった時……戦争が生んだ心の闇をポアロが暴く
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なかなか頭に話が入ってこなくて、登場人物たちの相関図を書き出してみた一冊。戦争の色が感じられる表現がイギリスの田舎町にも戦争の影響が色濃く残ってるんだなと気づかされる。
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エルキュール・ポアロ・シリーズ
戦争中の爆撃によって死亡した富豪ゴードン・クロード。生き残った若い未亡人ロザリーン・クロードの相続した遺産。ロザリーンをまもる兄デビッド・ハンター。遺産相続の期待を裏切られたクロード一族。ロザリーンの元夫がアフリカで生き残っていると証言した男の死。疑惑をかけられるデッビッド。検死審問で死んだ男をロザリーンの元夫ロバート・アンダーヘイと証言したポーター少佐の自殺。クロード一族の仕掛けた罠。ロザリーンの自殺。ポアロの推理。
2011年2月12日読了
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物事にはタイミングがあり、それを見極められるか見極められないかで結果が変わって来る。
この話はタイトル通り、それを象徴している話でした。
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アガサ・クリスティーの面目躍如! と言えるミステリーです。冒頭に少し姿を表してから、中盤まで出てこないポアロ。代わりに語られるのは、遺産の相続権を、後妻に奪われた、一族の物語です。一族の嫉妬や恨みが渦巻く一方で、当の後妻は、かなり気弱な様子。しかし彼女の兄がなかなかの曲者で、一族と真っ向から対立します。事件が起こるまでの人間関係に標準を当て、読ませるのは、さすがクリスティーです。
事件の展開も意外な方向に転がります。ここで単純に後妻やその兄を被害者にしないところが、この小説の面白いところ。兄妹を脅迫する謎の男、古い友人の登場と、事件の様相は、第一の事件以降、様々な形に移り変わります。ここで前半に描かれた一族のドラマが効いてきて、犯人は誰か、まったく予想がつかなくなるのです。みんながみんなとにかく怪しい(笑)
様々な思惑が入り乱れた事件を、一本の線に繋ぐポアロの推理はさすがです。そして個人的には、本の最後の一文も、伏線が見事に決まった、ニクい一文で思わずニヤリとしてしまいました。
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英語の表題だと分かりやすい。
taken at the flood
floodというと、洪水かと思っていたが、
波が押し寄せる、満ち潮もの状態なのかもしれない。
潮の満ち引きに関するいろいろな言葉が引用されていた。
どれも読んだことがない文献なので、いちど確かめようと思う。
ロザリーンが、性格がよいことになっていたので、読み進みやすかった。
味方したくなる人間と、味方したくない人間とがあるのは仕方がないことなのでしょうか。
結果としては味方していた2人は犯人でなかったのでよかったが、
結果はハッピーエンドとはいえないのだろう。
遺書が結婚で無効になるが、その場合は全額相続ではなく、
信託財産になるという仕組みなど、こまめに読んでいると
イギリスにおける遺産相続の法律に詳しくなりそうです。
動機がなさそうに見ることが、ある制約条件が成り立つと、
動機そのものだったりすることも知りました。
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単調な生活を送る主人公(女)はある日、危険なにおいのする男に出会う。その出会いによって莫大な遺産問題と殺人事件に関わることになってしまい・・・。
プロローグ、第一編、第二編構成となっておりプロローグでは事件の予兆を匂わせ、第一編では事件が起こるまで、第二編ではポアロ登場という感じです。
前にも書いたかもしれませんがクリスティの魅力は事件が起こるまでの登場人物の関係性や言動を詳細に描いてあることだと思います。ですからそこで事件が起こっても自分なりにそれまでの登場人物の会話などを振り返って「この人が怪しいんじゃないか?」と推測できます。小説の中の探偵がいかに優秀かを引き立てるために事件そのもののみをまず提示している本もありますが。
またこの本は女主人公が2人の男の人の間で揺れ動く恋愛模様も魅力です。
クリスティ、おもしろいですよ。お勧めです。
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悲劇はあたかもシェイクスピアのように。
大富豪の未亡人、その兄と、困窮する一族。戦争の傷が描かれた作品で、戦後を生きるイギリスの人々の姿に思うところがある。戦時中は従軍し、戦後田舎に帰って婚約者との結婚に戸惑うリン・マーチモントが印象的。前半でたっぷりとクロード一族の人間模様を描き、ポアロは名探偵だが、もはや主役ではないのでは。ラストは、すっきりとまでは言わないが、ひとつの人間関係の決着に満足した気持ちになった。クリスティ作品に出てくる女性は、いつも印象的で、何十年たった今でも全然古びていないと思った。
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財産を成した男、その援助をあてにする兄弟姉妹や甥姪。そこに男が結婚した若い女が。「死が最後にやってくる」と同じ構造だ。死が~が古代エジプトなのに対し、こちらは第二次世界大戦が舞台。死の直前に結婚した若い女の出現で遺産の行方が変わることによる事件。
そこに空襲で死んだり、戦争に行ったり、銃後を守ったり、その戦争の影と、遺産をなんとかものにしようとする双方の駆け引き。植民地が世界各地にあり財を成す場所も世界各地。そこで結婚すれば兄弟であろうと妻の顔は知らない、こういう設定がクリスティではけっこうある。イギリスの事情が興味深い。そしてそれがこの事件の鍵になっている。
舞台は1946年春、男は空襲で死に、遺言が無かったことから遺産はその若い妻に。妻にはやり手の兄がいて兄弟姉妹を寄せ付けない。男の側と妻の側の家の格差、資産家兄弟は弁護士や医者や農業とちゃんとした仕事をしているが、どこかで亡兄の資金をあてにした生活をしている。海軍婦人従軍部隊に参加したリン、リンの母は60過ぎて無職だが戦争中は疎開者を自宅に受入世話をした。従兄のローリイ兄弟は弟が戦争に行き兄のローリイは農業に従事した。これは1人は農業に従事すべきという国令に従ったものだ、などという興味深い記述がある。弟は戦死したが、残った兄も戦争に行かなかったことでとても生きずらかったのだとの吐露がある。
1948発表
2004.6.15発行 2012.11.25第4刷 図書館